歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
21 巻, 3 号
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  • 横田 敏勝
    1979 年 21 巻 3 号 p. 467-475
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • (2). 乳歯と永久歯およびそれらの置換
    前田 喜四雄
    1979 年 21 巻 3 号 p. 476-489
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    モモジロコウモリ, Myotis macrodactylus (Temminck) の乳歯と永久歯の形態, それらの成長と置換および歯数異常について研究を行ない, さらに他のコウモリ類と比較した。乳歯を含めた歯式は120. 1. 1034. 123 121. 34./123. 1. 34. 123. 1. 1034. 123であった。全乳歯は出生時にはえそろいしかも成長を終えていた。乳歯の脱落は10日齢頃に始まり, その順序はdI1-dI2-dPM4, dPM4-dI3-dPM3, dPM3-dC1-dI1, dI2, dC1で30日齢頃完了した。乳歯の形態の歯種による差違は少なく, 一方永久歯の形態とは非常に異なっていた。欠失歯を持つ個体の出現率は2.8%(標本数458) であり, その過半数が上顎第三小臼歯の欠失個体であった。永久歯は出生時すでにM1, M2, M1, M2, PM1が歯槽縁より突出しており, 4日齢でM3とPM4が新たに加わった。その歯槽縁からの萌出はM1-M1-M2-M2-PM1-M3-PM4-PM4-PM1-I1-I3-M3-C1-I2, C1-I1-I2, PM3-PM3の順であり, 21日齢には一揃いの歯がはえそろった。それらの歯はその後も成長を続け, 30日齢をすぎると全歯が成体のそれらと同じ大きさになった。
  • 江川 薫, 新村 明達, 滝口 励司
    1979 年 21 巻 3 号 p. 490-497
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    歯根膜は, 密な結合組織線維束で構成されているが, この線維束の間には, 疎性結合組織で束ねられた脈管神経束を収容している脈管神経隙が, きわめて多数存在する。成人の健全と思われる歯根膜の連続切片を検索した。脈管神経隙は, 根尖部付近, 中央部付近および歯頸部付近のそれぞれの高さにおいて, その形態, 大きさ (100×20μ-1200×800μ), 配列が異なる。歯根膜の水平断面によると, 根尖部付近の脈管神経隙は2列に, 中央部付近のものは1列に, 歯頸部付近のものは3列になっている。歯根膜の脈管神経隙は, 歯肉の粘膜固有層にまで進入している。
    脈管神経隙は, 歯根面に接する側の歯根膜では棚状のワナを形成している。
    脈管神経隙は, 顎骨の海綿質の骨髄腔から歯槽壁を歯頸側に向かって斜めに貫通し, 歯根膜を歯槽壁に沿って歯頸側に進入している。
    脈管神経隙は, 歯根膜を構成する線維束とともに, 咀嚼圧の緩衝帯の役割を果している。
  • 第III報: ウズラ胚肝細胞の接着性におよぼす各種重金属化合物の影響について
    兼松 宣武, 八戸 正已, 内藤 講一, 大鐘 清司, 川原 春幸, 黒田 行昭
    1979 年 21 巻 3 号 p. 498-510
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    細胞間相互の接着は, 細胞の分化ならびに増殖が正常におこなわれるうえで, 非常に重要な要因であり, ひいては, 生体を構成する臓器や組織の構築にも影響をおよぼすことが知られている。われわれは, 生体の重要な臓器である肝臓の構成細胞に対して, 各種重金属がいかなる作用をおよぼすかを, 旋回培養法をもちいて, 主として細胞間の接着性の面から検索した。結果は, Ag++ Cu++, Zn++では10-4M-10-3M, Cd++で は10-5Mの濃度で細胞の正常な接着性は障害され, 組織再構築能が抑制される。この結果は, in vivoにおいてもこれらの金属イオンによって細胞の分化ならびに増殖が阻害されることを裏づけている。なお, 金属イオンが細胞相互の接着を抑制する機構として, この濃度で細胞のコロニー形成能をも抑制するところから, これらの金属イオンは, 細胞毒性として働き, ひいては細胞間の接着に関与する糖タンパクの生成を阻害するためであろうと考えている。
  • 伊東 由紀夫
    1979 年 21 巻 3 号 p. 511-528
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    義歯床下残存歯槽堤の圧迫による変化のモデルとして, 自家製圧迫装置によりラット肋骨に持続的な圧迫を加え, 骨代謝に深い関連のあることが知られているアルカリホスファターゼ (以下, Al-Pase) 活性およびこの生理的基質であり石灰化の調節因子と目されている無機ピロリン酸 (以下, PPi) 濃度の変動を追及した。
    (1) 微量かつ多数の試料で極めて低濃度のPPiを測定するため特異的な酵素を利用した螢光分光光度法 (Lust and Seegmiller method) を追試してその妥当性を確認し, かつピロリン酸ナトリウムをヒトに経口投与した際の血清および唾液におけるPPi濃度およびAl-Pase活性の消長ならびに両者間の相互関係を追及した。ピロリン酸ナトリウムを投与して30分後に血清および唾液中のPPi濃度の著しい上昇を認めた。Al-Pase活性はPPi濃度の上昇とは対照的に低下し, Al-Paseが投与したピロリン酸ナトリウムによって消費されたことを示唆した。
    (2) ウィスター系雌ラットを用い, 各時間圧迫を加えた後, 肋骨の圧迫部, 非圧迫部および対照側の各部分ならびに血清のAl-Pase活性およびPPi濃度を測定した。実験的圧迫時におけるラット血清での両者の変動はピロリン酸ナトリウム投与時の成績と類似し, 互いに逆の経過を示した。
    (3) ラット脛骨では圧迫後, その初期には肋骨のどの部分においても大きな変動が認められたが, 一般的に両者は上記同様互いに逆の経過を示した。
    (4) 肋骨圧迫部における特徴的な所見は, 圧迫後48-168時間でPPi/Al-Pase比が著明な高値を示すことである。
    以上の成績により, Al-Pase活性とPPi濃度は一般に互いに逆に経過することが見出された。骨組織においてはAl-Pase活性の減少はPPi濃度の上昇をもたらし骨吸収を, Al-Pase活性の増加はPPi濃度の低下をもたらし骨の増生を促進することを意味すると考えられる。
  • I. Streptomyces chartreusis F2株の産生するエンド-α-1, 3グルカナーゼの精製と性状
    竹原 直道
    1979 年 21 巻 3 号 p. 529-542
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    Streptomyces chartreusis F2株がStreptococcus mutansの産生する非水溶性グルカンを唯一の炭素源として誘導的に菌体外に産生する非水溶性グルカン水解酵素 (F2酵素) の精製を行った。出発粗酵素 (培養液のamberlite CG 50吸着画分) はDE 52セルロースおよびCM 52セルロース・カラムクロマトグラフィーおよびBio-Gel A-1.5mによりゲル濾過することによってSDS加ポリアクリルアミドゲルスラブ電気泳動により単一の蛋白バンドとして検出されるまでに精製された。精製度は6.4倍, 回収率は27%であった。精製F2酵素のポリペプチド鎖の分子量は同電気泳動により約68, 000と推定された。尚精製酵素標品は分画分子量30万のメンブレンフィルターをまったく通過しないことから, 同標品はポリペプチド鎖のオリゴマーあるいは凝集塊を形成している可能性も考えられた。精製F2酵素の至適pHは5.5-6.0, 至適温度は55℃, また65℃ 10分間の加熱でほとんど失活した。同酵素活性は1mMのMnCl2, メルチオレートによって完全に抑制された。S.mutans OMZ 176株の非水溶性グルカンを基質とした時のKm値は1.54mMグルコース濃度に相当するグルカン量であった。同酵素はエンド型の作用様式を示した。その基質特異性から精製F2酵素は多糖類のα-1, 3グルコシド結合を開裂することが示された。同酵素によるOMZ 176株の非水溶性グルカンの主な最終分解産物は2~7ケのグルコース残基より成る少糖であった。以上の結果からF2酵素はエンドα-1, 3グルカナーゼであることが明らかとなった。本酵素は他の多くのS.mutans菌株由来の非水溶性グルカンを分解した。その分解はデキストラナーゼの共存により促進された。
  • II. エンド-α-1, 3グルカナーゼによるStreptococcus mutansのグルカン合成の抑制
    竹原 直道
    1979 年 21 巻 3 号 p. 543-551
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    Streptococcus mutms OMZ176株の菌体外グルコシルトランスフェラーゼとスクロースとを作用させてガラス壁上に形成されたグルカン・フィルムは, 高濃度のα-1, 3グルカナーゼを作用させても殆んど除去されなかった。一方フィルム形成時にα-1, 3グルカナーゼを共存させると酵素量に応じてその形成は著明に抑制された。α-1, 3グルカナーゼの共存によって非水溶性グルカン画分の合成は著明に抑制され, これに対応して水溶性グルカン画分の量は増加した。水溶性グルカンのα-1, 3グルコシド結合含量 (割合) は用いたα-1, 3グルカナーゼ量に応じて低下し, 一方非水溶性グルカンのそれは対照グルカンに比べて増加した。これらの結果から, α-1, 3またはα-1, 6結合したグルコース残基の総量は, 何れも非水溶性画分では対照グルカンに比べて低下し, 水溶性グルカンでは増加していることが判った。α-1, 3グルカナーゼの共存は非水溶性グルカンの粘性を著明に低下させたが, 水溶性のそれは殆んど変化させなかった。またゲル濾過の結果から, 水溶性グルカンはα-1, 3グルカナーゼにより著しく低分子化していたが, 非水溶性グルカンは高分子のままであった。対照も含め全ての非水溶性グルカン標品は, α-1, 3グルカナーゼおよびα-1, 6グルカナーゼに対してそれぞれ高および低感受性を, 一方水溶性グルカンは高濃度のα-1, 3グルカナーゼ存在下に合成されたものを除いて何れのグルカナーゼに対しても高感受性を示した。以上の成績から, α-1, 3グルカナーゼによるグルカン・フィルムの形成の抑制は主として同酵素が非水溶性グルカン画分中のα-1, 3グルコシド結合の生成を抑制し, またその一部を可溶化させることにより非水溶性グルカンの合成を著明に抑制し, またそのα-1, 6結合含量を減少させることにより粘着性を低下させる結果であることが示唆された。
  • 犬塚 則久, 笹川 一郎, 吉岡 敏雄, 高橋 正志
    1979 年 21 巻 3 号 p. 552-561
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    従来, 長鼻類の脱落した臼歯に関する記載が乏しかったので, その形態的特徴を明らかにするためにおこなった。
    アジアゾウ4頭からえられた臼歯11点について, 計測, 記載した。
    脱落歯の特徴は, 咬板数が少ない, 歯冠長が短い, 歯冠高が低い, 歯根が吸収されている, 近心の咬合面が滑らかで, 象牙質彎入が浅い, エナメル摺曲が不明瞭で, 遠心面の接磨面が広い点にある。
    歯根の吸収は, 遠心より近心, 中央部より頬舌両側, 上顎歯では頬側, 下顎歯では舌側の方が対側より顕著である。
    脱落歯のなかには, 3年間で歯冠高が14-15mm減少した例 (P1. I, 1-4) がみられた。また, 通常は近心から脱落するはずの臼歯において, 遠心の咬板の一部が3カ月早く脱落した例 (P1. 1, 5-7) がみられた。
  • その測定量と臨床的意義
    島田 雅光
    1979 年 21 巻 3 号 p. 562-570
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    歯周疾患とは男性ホルモン学的立場からすると, いかなる環境におかれている疾患であるかを検討する目的で, ヒト歯周疾患々者の血液および歯肉組織を用い, 男性ホルモンとくにTestosterone, Dihydrotestosteroneの動態について主に, in vivoにおいて実験した。
    血中および歯肉組織中のTestosteroneとDihydrotestosterone量の測定, また歯肉組織内でのそれらの代謝過程の検索にはRadioimmunoassayを用いた。
    その結果,(1) ヒト歯周疾患々者の血中Testosterone量は, 男453±184ng/dl, 女32±12ng/dlであった。
    (2) ヒト歯周疾患々者歯肉中のTestosterone量は, 男216±129ng/100g, 女193±163ng/100gであった。
    (3) ヒト歯周疾患々者の歯肉組織におけるAndrostenedioneからの代謝物はTestosteroneのみであり, 17β-Hydroxysteroiddehydrogenaseの存在が確認された。また歯肉におけるAndrostenedioneからのTestosterone生成量は, 男7.7×10-7μM/g/min., 女4.1×10-7μM/g/min.であった。
  • 江俣 得志
    1979 年 21 巻 3 号 p. 571-585
    発行日: 1979年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    歯を移動させる力として振動力を用いる可能性を検討するため, サルの劃に振動力Fv (100-150Hzの周波数で, 最大荷重40gf, 平均荷重25gf) を, 対照として匿には静荷重Fs (40gf) を1日3時間づっ6日間負荷した. Fv負荷時の荷重と変位の軌跡より求めた歯周組織内で消費されるエネルギーは, 0.13gf・mm/1周期, 6日間の累積では約1×106gf・mmであった. 共振曲線を測定して負荷中の歯周組織のばね定数k, と粘性減衰定数Ctの変化を求めた. 両負荷とも負荷後, 時間の経過にしたがって, k, とc, が増加し, 歯の動揺度が減少し, 約2時間である値に漸近した. Fv負荷によるk, とc, の変化量は, Fs負荷のそれぞれ4倍と2倍であった. Fv負荷では負荷日数が増すと, k, とCtが平衡状態に達するまでの時間が短くなった. これは前日までの負荷の効果が歯周組織に残るためと思われた. Fs負荷ではその様なことはなかった. 以上のように, Fv負荷の方がFs負荷に比べて, 力学的には効果があると思われた.
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