歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
22 巻, 4 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • IV. ミエロペルオキシダーゼ-過酸化水素-塩素イオン系によるサイトカラシンの酸化反応
    小田島 武志, 佐藤 尚子, 尾西 みほ子
    1980 年 22 巻 4 号 p. 545-549
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    マイコトキシンの一種であるサイトカラシンが弱酸性溶液 (pH5.0~5.5) 中で, ミエロペルオキシダーゼ, 過酸化水素及び塩素イオンによって特異的に酸化される事実が明らかになった。このミエロペルオキシダーゼによるサイトカラシンの酸化反応は, 塩素イオン以外のハロゲンイオン, 例えば弗素, 臭素イオンでは起こらなかった。また, この反応は, 植物由来の西洋ワサビペルオキシダーゼでは全く起こらなかった, これらの結果は, 生体内においてミエロペルオキシダーゼが, 過酸化水素と塩素イオンの存在下で, 本来, 脊椎動物のみが持つ生体防御機構の一つとしての殺菌, 解毒機構として働いている特質を表わすものであろうと考えられる。
  • 伊藤 秀美
    1980 年 22 巻 4 号 p. 550-575
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    パラトグラムと口蓋形態との関係を, 電気的パラトグラフを用いて, 成人の単音節発語時の舌の口蓋への接触から調査した。各音節は, 発語時に舌が口蓋に接する際にみられる閉鎖帯の部位や有無によって, 前・後閉鎖帯形成型および閉鎖帯非形成型に分類され, さらにこれらの型を形および位置によって19種類の型に細分される。性質変異の相関からは, 口蓋前部の近遠心性彎曲は母音 [i] と子音 [Ci] に, 口蓋中央部の穹隆状態は母音 [e] に, 口蓋後部の近遠心性彎曲は子音 [∫i] と [Ci] に, 口蓋後部の側方性彎曲は母音 [i] と子音 [∫i]・[ki]・[Ci] および [ni] のそれぞれのパトラグラムの出現型に関係があるものと考えられる。数量変異の相関からは, 口蓋後部の前頭断の大きさは母音 [i] と子音 [Ki] に, 口蓋後部の歯槽堤の高さは母音 [e] と [u], 子音 [∫a]・[sa]・[ku]・[ga]・[ta]・[tsu] および [na] に, さらに口蓋前部の歯槽堤の高さは子音 [ta]・[t∫i]・[na] および [Ca] のパラトグラムの規模にそれぞれ関連性があると推定される。
  • 田中 秀文
    1980 年 22 巻 4 号 p. 576-585
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    Actinomyces viscosus, A. naeslundii, A. israelii, A. bovisの菌体成分の細胞性免疫学的活性を検討することを目的に, 各加熱死菌をフロインド・コンプリートアジュバント (FCA) と混ぜてハートレ系雌モルモットに感作し, 皮内反応及びマクロファージ遊走阻止試験を行なった。各Actinomyces菌細胞壁は遅延型皮膚反応原性及びマクロファージ遊走阻止活性を示した。又, 細胞壁はActinomyces属4種間で遅延型皮膚反応原性及びマクロファージ遊走阻止活性で交叉性を示した。細胞壁を除く菌体成分は遅延型皮膚反応原性及びマクロファージ遊走阻止活性を示したが, 種間での交叉性反応は認められなかった。培養濾液成分は, A. naeslundii, A. bovis由来のものにのみ遅延型皮膚反応原性が認められたが, 他では認められなかった。Actinomyces細胞壁には, 遅延型皮膚反応原性及びマクロファージ遊走阻止活性における共通抗原の存在が示唆された。
  • 系統差について
    平松 正彦, 畠山 桂子, 南 直臣, 久米川 正好, 矢嶋 俊彦, 細田 さと子
    1980 年 22 巻 4 号 p. 586-593
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    カラムおよびゲル等電点分画から, マウス顎下腺のesteroproteaseはそのisozymeが系統間で著しく変動することが明らかにされた。4系統の近交系マウスの間で等電点の異なる9種のBAEE水解酵素のisozymeが見い出された。Isozyme I, II, VIIおよびVIIIはDBA/2Nにだけ認められた。IsozymeIIIとVはBALB/cA, C57BL/10NおよびC3H/HeNに, isoayme IVはBALB/cAとC57BL/10Nに, isozyme VIはBALB/cAとDBA/2Nに認められた。Isozyme IXはBALB/cAにだけ認められた。
    上記のisozymeの系統間での変動は, norepinephirine刺激唾液を等電点分画した際にも全く同様に認められた。マウス顎下腺のATEEとBAPA水解酵素のisozymeにも系統差が見い出された。
  • 第3報 T-cell immunityが歯周組織に与える影響について
    竹内 宏, 金久 純也, 松田 信介, 堀 泰典
    1980 年 22 巻 4 号 p. 594-605
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    口腔内細菌によって感作されたT-cellが再度対応抗原と遭遇した際に, 歯周組織が如何なる影響を蒙むるかを免疫病理学的に検討した。その結果, 今回の実験の如くnon-specific mitogenのCon AとPHAにほぼ同等の芽球化率を示すようなT-cellのsubsetは組織傷害性に作用することなく, むしろ傷害に対して防御的に作用することが分った。一方, 比較対照群として実験を進めた口腔内細菌可溶性抗原のみを注射した群や, 感作B-cellならびに同T-cellのmixtureを同抗原とともに注射した群においては, 強い炎症性循環障害に起因して骨芽細胞の変性ならびに消失, 破骨細胞の分化, osteoclastic resorptionなどの病的骨吸収の出現を認めた。
  • 1-(3-Dialkylamino-2-hydroxypropy1)-4-phenylpiperidine誘導体の局所麻酔作用
    五十嵐 治義, 佐藤 陽子, 浦井 仁子, 滝田 芳子, 遠藤 初恵, 浜田 節男, 川崎 徹
    1980 年 22 巻 4 号 p. 606-613
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    Pethidine・HClなどの基本骨格であるphenylpiperidineにおけるpiperidine環の4位の炭素を3級炭素とし, 1位に3'-dialkylamino-2'-hydroxypropylを導入したphenylpiperidine誘導体5種を新たに合成し, それらの抗炎症作用などの薬理作用にかなりの活性を有することについては, すでに報告した。
    今回は, これら新化合物の化学構造と局所麻酔作用の持続時間, 麻酔導入および消失, 局所刺激作用とこれらに対するadrenaline添加の影響さらに疼痛閾値との相関性を検索することを目的として検定を行った。
    その結果, 全化合物とも, 表面麻酔作用よりも浸潤麻酔作用の持続時間が長かった。また, adrenaline添加により, 表面麻酔, 浸潤麻酔作用の持続時間の延長が認められ, 麻酔導入も若干速くなったが, 麻酔回復は両作用とも緩慢となった。局所刺激作用は, 脂肪族アミノ体が異項環アミノ体よりも若干強く, またadrenaline添加により脂肪族アミノ体にredllessやnecrosisが認められた。
    疼痛閾値は全般にlidocaine・HClよりも高い値を示した。
    急性毒性の検定結果から, これらの全化合物は普通薬に属しているものと推定される。
  • I. 正常, 担癌マウスにおける測定基礎条件の検討
    永橋 正通
    1980 年 22 巻 4 号 p. 614-623
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    螢光偏光法によりマウス脾臓リンパ球のConA反応性を測定する方法論を検討した。正常マウスおよびEhrlich腹水癌を接種した種々の時期のマウスについて, その脾リンパ球ConA反応性を螢光偏光法で測定した。この結果を3H-TdR uptake assayの結果と比較した。正常マウスではConA刺激によってリンパ球の螢光偏光度は大きく低下した (0.79±0.03)。これに反し, 担癌マウスリンパ球では, その低下率ははるかに小さく (0.91±0.04, t-test0.01<P<0.05), その差は癌接種早期 (3日後) から明白となる。3H-TdR uptake assayも癌接種3日後からConA反応の低下を示し, 両アッセイの並行性が確認された。従って, 本螢光偏光法はマウスリンパ球のConA反応性を確実にとらえることができ, 担癌マウスにおける反応性も検出可能な方法であることが明らかとなった。
  • II. 癌患者血清によるマイトージェン反応抑制の検出
    永橋 正通
    1980 年 22 巻 4 号 p. 624-629
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    螢光偏光法により担癌マウス血清および口腔癌を主体とする癌患者血清のConA反応に対する抑制効果を検討した。Ehrlich腹水癌マウスの血清や腹水を正常マウスリンパ球に反応させると, ConA刺激による正常リンパ球の螢光偏光度の低下が抑制された。正常マウス血清には, この抑制効果は認められなかった。担癌マウス血清による抑制効果は, 癌の進行と共に増強し, 3H-TdR uptake assayともよく並行した。さらに, 癌患者 (主に口腔癌) 血清も, 正常ヒトリンパ球と反応させると, ConA刺激による螢光偏光度の低下を抑制した。この抑制効果は血清IAP (immuno suppressive acidic protein) 量と相関した。正常血清にはこの抑制効果は認められなかった。これらのことは, 担癌生体リンパ球のマイトージェン反応の低下には, 血清抑制因子が大きく関与することを示し, この抑制因子を螢光偏光法で検出できることが明らかとなった。
  • 電顕観察
    南出 千景, 矢嶋 俊彦, 久米川 正好
    1980 年 22 巻 4 号 p. 630-638
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ヒト線維芽細胞のコラーゲン線維貪食能を明らかにする目的で, ダイランチン性肥大歯肉を用いて電顕観察した。
    線維芽細胞内コラーゲン線維を, 中程度炎症部から非炎症部にかけて多数観察した。
    細胞内コラーゲン線維は, 限界膜で囲まれた小体内に存在し, 小体内基質が明るくコラーゲン線維横紋構造の鮮明なものと小体内基質が暗くコラーゲン線維横紋構造が不鮮明なものを認めた。これらの小体は貪食小体でライソゾームが融合し, 細胞内で消化されてゆく過程を認めた。この様な観察所見は, 線維芽細胞による活発なコラーゲン線維の貪食を示すものであり, 線維芽細胞が破線維細胞としての機能ももつことが推測される。
  • 大家 清, 遠谷 良雄
    1980 年 22 巻 4 号 p. 639-642
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ヒト正常歯肉の上皮と結合組織境界部の形態学的特徴をしるために, 上皮と結合組織を臭化ナトリウムで分離した後, 走査電子顕微鏡で観察した。分離された歯肉溝上皮は長円錐形の結合組織乳頭に相応して分散したアーケード型の小孔を示した。遊離歯肉の上皮と結合組織は, 水平な隆起を示し歯肉縁に平行に走っていた。遊離歯肉と付着歯肉の移行部で, 水平な隆起の基底の上に短円錐形の結合組織乳頭が現われ, 歯槽粘膜に向かってそれらは数を増し, 蜂窩状構造を示した上皮に相応していた。
  • 山崎 亨, 秋田 智雄, 秋山 圭子, 立川 哲彦, 吉木 周作, 阿部 悦子, 須田 立雄
    1980 年 22 巻 4 号 p. 643-648
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    産卵期にあるニワトリおよびウズラの骨髄骨を用い一連の異なった産卵周期に応じた骨髄骨量の変動と破骨細胞数との関連性を光学顕微鏡的さらに電子顕微鏡的に観察を行った。
    骨髄骨量は産卵周期を通じかなりの変動があり, 排卵後卵が輸卵管膨大部に位置する時に最大値を示し, それが子宮部に達し卵殻石灰化が開始される時期に最少値を示した。このような変動があるにもかかわらず破骨細胞の数は産卵全周期を通じほとんど一定に保たれていた。この破骨細胞の数的変化と形態変化から, 卵殻形成に必要なカルシウム供給のための骨髄骨の吸収は, 破骨細胞の数の増加というよりむしろその機能的変化によることが示唆された。
  • 基質小胞によるプロテオグリカンの分解
    坂田 道昭
    1980 年 22 巻 4 号 p. 649-660
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    石灰化前基質にはプロテオグリカン (PG) が豊富に存在するが石灰化開始と共に消失する。PGはリン酸カルシウム (Ca-P) の沈降を阻害するが, 基質小胞 (M. V.) がPGを分解しCa-Pの沈降阻害作用を消失させることを見出した。
    骨端軟骨成長板および骨折時仮骨由来のM. V.は弱酸性域に至適pHをもつPGの分解活性があり, PG存在下での過飽和石灰化溶液では, M. V.の添加量に応じてPGのCa-P沈降阻害能を減少させた。コラーゲン共存の影響はほとんどみられなかった。また, 沈降したCa-Pは基本的にハイドロキシアパタイトであることがわかった。
    M. V.は従来報告されているようなアパタイトの核形成を行なうだけでなく, 石灰化基質のPGを分解してアパタイト結晶の成長を促すような微小環境を作り, 石灰化を進行させるのであろう。また石灰化初期にはコラーゲンの関与は少ないと推測される。
  • 江川 薫, 新村 明達, 滝口 励司
    1980 年 22 巻 4 号 p. 661-665
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    成長過程のSD系ラットの下顎頭の割断面を用いて, 軟骨内骨化について, 走査電子顕微鏡によって観察し, 次のような結果を得た。肥大層の下層の骨化層は侵食されており, 小骨髄腔が形成されている。基質の表面には骨小腔が散在しており, 骨組織が付加されている。骨小腔は石灰化球が, 基質に癒合している軟骨小腔壁の表層に出現している。骨小腔壁はきわめて密な網状構造を呈している未石灰化の膠原原線維で形成されているものと, 密に交錯している膠原原線維網に, 直径0.5μ前後の多数の球状構造物が形成されているものとがある。球状構造物の表層からは, 膠原原線維の小突起が突出している。骨小腔周囲の基質は, 一定方向に走向している膠原原線維束で形成されており, 最表層は疎で不規則な走向の膠原原線維で形成されている。
  • 秋山 圭子, 山之内 正高, 山崎 亨, 立川 哲彦, 吉木 周作
    1980 年 22 巻 4 号 p. 666-674
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    産卵期ウズラの骨髄骨にみられる破骨細胞の立体的構造とその骨吸収との関連性を走査電子顕微鏡で観察した。破骨細胞は産卵周期に応じて, 活性型及び不活性型の形態変化を示す。活性型破骨細胞には活発な骨吸収機能を示唆するruffled borderの発達を認め, 一部では骨基質から遊離したコラーゲン線維様構造物との移行像も認められた。ruffled borderに接する骨面は粗造で, 骨基質の離脱がさかんに行なわれている像を認めることが多い。また, ruffled border基部の大空胞は多孔性を呈し, 内部に線状あるいは顆粒状構造物を含むが, 明らかに細胞外と交通している所見もみられることから, これはruffled borderとともに細胞内外の物質交換の役割を果していると考えられる。また, 破骨細胞の骨髄側では細胞の小突起と血管との関連性を認めることから, この突起は吸収物質の輸送及び情報交換の役割を果しているものと想像される。不活性型破骨細胞は, 活性型でみられた骨の吸収及びその輸送に関与すると考えられる形態を全く欠いていた。
  • 片桐 信親
    1980 年 22 巻 4 号 p. 675-704
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    永久歯歯胚摘出後の乳歯歯根及び, 周囲歯槽骨変化の研究は, 従来, その観察範囲は実験部附近に限られた脱灰染色切片による観察であった。本研究では, 乳歯根の変化のみならず, それより離れた部分の歯槽骨変化をも広範囲にわたって観察しようとした。
    幼犬の片顎の下顎第3小臼歯歯胚を摘出し, その後の期間 (2~16週) を, 前・後2段階に分け, 2色の硬組織ラベリング剤 (テトラサイクリンとカルセイン) を連続注射した。犬歯から第2大臼歯に及ぶ大研磨片を製作し, 螢光顕微鏡法とマイクロラジオグラフィーによる所見を無処置の対照側と比較した。
    その結果, 永久歯歯胚の摘出により乳歯根の吸収は著しく遅延する。ただし, その後, 不明の原因によって吸収は極くゆっくりと進行する。尚, 両隣在永久歯の萌出方向と速度, それに周囲歯槽骨構造には特別の変化は現われなかった。
  • 小佐野 悦雄, 尾関 正美, 浅井 康裕, 今村 基遵
    1980 年 22 巻 4 号 p. 705-713
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    主に就学前の小児25名の舌背, 頬粘膜, 歯垢, 歯肉溝に棲息する培養可能な菌を分離培養するとともに偏性嫌気性菌の一部を同定してみた。また, う蝕のない小児とう蝕のある小児の菌叢を比較検討した。
    その結果, 全部位でグラム陽性球菌の比率が高く, 特に頬粘膜で高かった。また, 舌背と頬粘膜では球菌が, 歯垢と歯肉溝では桿菌の比率が高かった。偏性嫌気性菌の検出率は平均24.6%で, 特に舌背 (32.5%) で高かった。同定した菌ではVeillonella が最も多く, 他にActinomyces, Fusobacterium, Propionibacteriumなどがみられた。口腔内全般においてう蝕の有無により菌数や構成菌群に明らかな差は認められなかったが, う蝕のある者の方がない者より全部位で菌数が多く, 特に歯垢で多くなる傾向がみられた。その構成菌群をみると, 嫌気性菌と通性グラム陽性球菌が増加した。
  • 三輪 哉
    1980 年 22 巻 4 号 p. 714-721
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    幼若エナメル質基質の硫酸化物質の本態と動的変化を検索するため, 35S一硫酸ナトリウムと3H-プロリンとをラットに投与し, ラベルされた幼若エナメル質の有機質をポリアクリルアミドゲル電気泳動, ゲル濾過クロマトグラフィー, 酵素消化を行って分析した。
    その結果, 幼若エナメル質には, これに含まれる有機質の大部分を占めるエナメルタンパク質とは性質を異にする, 分子量14,000~16,000の硫酸化物質が存在し, 35S-硫酸の大部分はこの画分に取り込まれることがわかった。この硫酸化物質は, エナメルタンパク質よりも早い時期にエナメル質から消失し, その諸性質から酸性ムコ多糖ではなく, 硫酸化糖タンパク質である可能性が示唆された。
  • 日比 栄子, 岩橋 弥寿彦, 山本 光人, 松本 竣介, 武井 盈
    1980 年 22 巻 4 号 p. 722-726
    発行日: 1980/12/31
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ヒト歯肉溝から, 変法CBRCA培地に, 溶血させた馬血液, Vancomycin 6.3g/ml, Bacitracin25u/mlを加えた分離培地を使用して, ローソク法で72時間培養後, 灰色半透明, 扁平集落を釣菌した。そのうちグラム陰性らせん菌で, オキシダーゼ反応, 硝酸塩の還元性, 運動性が陽性で, glucoseからの酸産生が認められない65菌株をCampylobacterと同定した。比較的発育の良好な41菌株についてさらに亜硝酸塩の還元性, 硫化水素産生性, 1%g lycinおよび3.5%NaCl耐性, 25℃ および42℃ の発育, カタラーゼ反応を検査し, Bergey's Manualをもとにして7群, 9タイプに分類した。その結果C. sputorum24.3%, C. faecalis 26.8%, C. fetus 17.1%, 同定不能株は31.8%であった。
    ヒト口腔内にもC. sputorum以外のspaciesが存在することが明らかとなった。
feedback
Top