歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
27 巻, 1 号
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  • 森本 俊文
    1985 年 27 巻 1 号 p. 1-15
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    Muscle spindles are one of the most popular sensory receptors found in skeletal muscles and their physiological function has long been studied using various muscles. Recent advances in the method recording from spindle afferents in intact animals facilitate understanding of the singnificance of this kind of receptors for motor control. Chronic experiments on spindle behaviour of the masticatory muscles reveal that secondary spindle endings can transmit information on the jaw position while primary spindle activities are more related to the velocity of jaw movement than to the jaw position though their firing patterns are more complex in intact animals than in anesthetized ones. These spindle behaviour seems to be controlled by the co-activation mechanism of alpha and gammamotoneurons, although both activities are not rigidly related with each other. In addition to facilitation of alpha-motoneuron activities during jaw closing phase of a rhythic jaw movement cycle, spindle discharges contribute to stabilize jaw position through the jaw-jerk reflex path.
  • 駒田 格知, 掘口 陽万, 岡本 一則, 今西 嘉男
    1985 年 27 巻 1 号 p. 16-26
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    サケ科魚類の口腔には多数の歯がみられ, その分布状況は口部の骨の形態と共に重要な分類形質の一つとして認められている。しかし, これら諸形質の成長に伴う形態の変化や発達については不明な点が多い。そこで, 今回はイワナ, Salvekinus pluvius, 仔・稚魚の口部歯系の発達について調べ, それらが日齢や体長にどのように影響されるかについて検討した。
    12月に孵化したイワナ仔魚は, 孵化後40日間は活発に成長し, 歯数も急激に増加するが, 40日目から100日目までの期間は冬季でもあり, 体長は全く伸長しない。しかし, この期間にも頭部各部相対比は変動し, 歯数は約2倍にそして歯長も約1.7倍に増加する。この期間中に歯骨, 前上顎骨, 上顎骨, 咽舌骨, 口蓋骨および鋤骨上に円錐歯の形成が進行するが, 前3者上に形成される歯の発達が最も早くて孵化後10日目にはすでに形成され, 20日目にはすでに一部の歯は下部の骨と骨性結合していた。その後, 咽舌骨, 口蓋骨上の歯が順に形成され, 鋤骨歯の形成・発達が最も遅れる。しかも鋤骨歯の形成の進行程度は個体間で著るしく異なり, 欠歯個体も5-25%の頻度で出現し, かなり不安定であった。卵黄吸収の完了する80日-120日齢の頃には各部相対比も変動し, 体長の伸長も顕著となり歯数も著るしく増加し始め, 歯長も大きくなる。そして, 150日齢, 体長48-60mmに達すると各骨上の円錐歯の数はほぼ安定し始め, その後の歯系の発達は主として歯の大型化であった。一方, 同一日齢群内のイワナの歯数は体長の変化に関係なくほぼ一定であった。以上の研究結果より, イワナの口部歯系の発達は体長よりもむしろ日齢により大きく影響されるものと考えられる。歯骨歯列および上顎骨歯列中における全歯数中に機能歯の占める割合は仔・稚魚期には日齢の進行に伴って増加し, 90-100日齢の頃に最高値を示し, その後低下して, 150日齢以後は体長や日齢の進行に関係なく38-45%でほぼ安定した値を示した。これらの事から, イワナ若・成魚は餌料生物の捕獲機能の維持を, 歯数を増加することではなくて, 個々の歯を大型強固にすることによって果していることが推測された。天然河川イワナの口部歯系は同体長の人工孵化養殖イワナよりも歯数が多く, 歯も大型であり自然界における活発な捕食活動を反映しているものと考えられる。
  • 大森 忠雄, 藤 英俊, 浜田 法康, 中村 隆之, 武井 俊哉, 魏 賢治, 呉 啓成, 羅 碧玲
    1985 年 27 巻 1 号 p. 27-38
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    著者らは1978年, 福建系台湾人 (男性78名, 女性62名) について, 頭・顔面部の生体計測ならびに歯列弓の印象採得を行った。これによって得られた頭・顔面部と歯列弓の計測値についての成績と両者の相関関係について検討を行った。さらにこれらの結果を先人の報告と比較することによって, その特徴ならびに年代差についての検討を加えた。これを要約すると。
    1. 生体計測
    男・女性ともに頭形は短頭化が進み, 顔面形は上部で広く, 下部で狭くなるという著明な年代差が認められた。
    2. 相関
    a) 有意な正相関が認められたのは, 男性では頭最大長と下顎歯列弓幅との間, 女性では頬骨弓幅と上顎歯列弓幅との間であった。
    b) 有意な相関を認めなかったのは, 男性における頬骨弓幅と上顎歯列弓幅ならびに下顎角幅と下顎歯列弓幅との間であった。
  • 國澤 重彦
    1985 年 27 巻 1 号 p. 39-52
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    Formocresol (FC) は乳歯の治療によく使用される薬剤の一つで, 歯根に対し浸透性を有し, 又, 強い消毒作用を持っている。このような効果はFCの強力な蛋白変性作用によるものと考えられている。従って, FCで処置を行うと, 乳歯歯根の象牙質中の蛋白質は変性し, 歯根吸収に何らかの影響を与えるものと思われる。そこで本研究は, FCで処理すると硬組織の吸収にどのような変化が生ずるかを観察することを目的とし, FC処理骨と対照として生理的食塩水で処理した骨を用いて, in vivo及びin vitroの実験系で比較検討した。
    in vivoでは, FC, 又は生食水で処理したラット及び兎の失活骨をラットの皮下, あるいは腹腔内に埋め込んだ。その結果, 皮下に埋め込んだラットの骨の周囲には破骨細胞様細胞が観察され, その数は生食処理群においてFC処理群よりも多く認められた。しかし, 顕著な吸収変化は両群において認められず, むしろCa量はImplantation後に増加していた。このCaの増加量は, FC処理群においては生食処理群よりも少なく認められた。又, thioglycollate mediumで誘発したラット腹腔マクロファージを培養し, FC処理骨又は生食処理骨を加えて, そのCa溶出量を比較したところ, FC処理骨のCa溶出量は常に生食処理骨よりも少なかった。従って, 本実験により, FC処理を行うと骨は生物学的な吸収活性に対し, 抵抗性を示すことが示唆された。
  • 松尾 朗, 矢嶋 俊彦
    1985 年 27 巻 1 号 p. 53-63
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ラット皮膚由来の線維芽細胞を用いて, 細胞増殖とコラゲン線維形成に対する培地, 血清濃度, アスコルビン酸とジフェニルヒダントイン (DPH) の影響を形態学的に研究した。
    細胞増殖率は, α-MEM培地とDM-160培地で共に, 血清濃度依存性を示した。しかし, α-MEM培地での増殖率は, DM-160培地のものより高かった。α-MEM培地では, 線維芽細胞は培養1日で渡銀される線維を形成し, 増殖対数期と定常期を通して細胞外にコラゲン線維を形成・蓄積した。DM-160培地での線維形成率は培養3週まで低く, その後, コラゲン線維量の増加がみられた。
    DM-160培地 (アスコルビン酸含有量1μg/ml) の線維芽細胞は, α-MEM培地 (アスコルビン酸含有量50μg/ml) の細胞に比べて, アスコルビン酸欠乏状態であった。これらアスコルビン酸欠乏状態では, 典型的な64nm横紋を持つコラゲン線維形成は阻害され, 横紋のない, 細線維とmicrofibrilsが形成されていた。これらの結果は, この線維芽細胞はコラゲン線維形成にアスコルビン酸を必要とすることを明らかにした。
    培養線維芽細胞へのDPHの添加は, 細胞増殖とコラゲン線維形成の両都を促進した。
  • 須佐美 隆史
    1985 年 27 巻 1 号 p. 64-79
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    唇顎口蓋裂患者の歯科矯正治療に当り裂隙閉鎖手術後の瘢痕拘縮は治療上の問題点の1つとなっている。そこで本研究では瘢痕組織の主な構成タンパクであるコラーゲンの生化学的性状に着目し, 家兎を用いて, まず口蓋粘膜コラーゲンの加齢変化を皮膚を対照として検討し, 次いで硬口蓋部に作成した粘膜切除創の治癒過程および形成された瘢痕組織のコラーゲンの特徴を明らかにした。
    分析はNaB3H4にて還元後ラジオクロマトグラフィーにて還元性架橋分析を, 電気泳動法にてI型およびIII型コラーゲンの存在比を検討し, また全アミノ酸分析, 水分分析も行なった。
    その結果, 加齢変化においては, 口蓋粘膜, 皮膚とも胎児期では主な還元性架橋はdihydroxylysinonorleucine (DHLNL) であったが, この架橋は皮膚では加齢に伴い減少したが, 口蓋粘膜では残存した。一方, hydroxylysinonorleucine (HLNL), histidinohydroxymerodesmosine (HHMD) の増加傾向は両組織において共通していた。また, 皮膚では加齢に伴いIII型が減少したが, 口蓋粘膜では胎児期にIII型が少なく, 生後増加し, やがて再び減少した。
    次に創傷治癒過程では受傷後3カ月までにコラーゲン量は一定に達し, その後も不溶性分画の変化は継続した。受傷直後の還元性架橋はDHLNLが多く, その後HLNL, HHMDが増加し, この変化は加齢のそれと類似していた。また治癒に伴いIII型の割合は減少した。こうして形成された1年後の瘢痕組織では, 水分が少なく, 還元性架橋結合が多く, III型がやや多く存在した。
    以上より, 口蓋粘膜コラーゲンは, 皮膚のそれと共通するところが多いが, 特徴的な変化も認められ, また, その加齢と創傷治癒に伴う変化は共通した機構をもつと考えられた。
  • 森 進一郎, 原田 吉通, 和田 忠子, 三好 作一郎
    1985 年 27 巻 1 号 p. 80-85
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    上顎側切歯の舌面小窩はう蝕に罹患され易い。盲孔は舌面小窩よりもさらにう蝕になり易いと考えられている。さらに, 盲孔の歯はカリエスがなくても歯髄死が起り, 歯根嚢胞となる。この研究は盲孔とう蝕さらに歯根尖病巣との関係を調査することである。上顎側切歯3, 484本のうち, 108 (3.1%) 歯に盲孔が認められた。この108歯のうち, 5歯には隣接面カリエスが見られた。しかし盲孔 (陥入) 部はカリエスではなかった。盲孔部がカリエスであったのはわずか2歯のみであったが, 陥入部の底部のエナメル質はintactであった。別に盲孔部の陥入部入口に予防充填処置がなされている側が3例あった。カリエスのない盲孔のうち8例 (7.4%) に歯根嚢胞, 又は歯根肉芽腫が認められた。これは全上顎側切歯 (3, 484歯) の0.23%に相当する。
  • 佐藤 敦子, 三好 作一郎, 藤 英俊, 大森 忠雄
    1985 年 27 巻 1 号 p. 86-95
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ニホンザル顎下腺導管系 (介在部, 線条部, 主導管) の微細構造を透過電顕を用い観察した。介在部導管上皮は立方細胞であり, 核上部細胞質に電子密度の低い大きい顆粒 (外径400~800nm) が観察された。遊離リボゾームも豊富であり, 粗面小胞体や良く発達したゴルジ装置も存在していた。細胞基底側には, 筋上皮細胞が観察され, その細胞質は筋細糸で満されていた。筋上皮細胞は介在部の細胞と共有の基底膜で被われていた。
    線条部導管上皮は基底陥入のある円柱状細胞から構成されていた。介在部寄りの線条部細胞頂部細胞質には多数小胞が観察されるが, その線維状の内容物は管腔内に見られるものに類似していた。他の線条部細胞頂部細胞質には電子密度中等度の小さい顆粒 (140~250nm) が豊富に存在していた。両者とも, 管腔側や基底側の形質膜の陥没 (被覆小坑) や被覆小胞が観察された。線条部細胞の微細構造はラット耳下腺のものに類似していた。
    主導管上皮は多列上皮であり, 明調細胞 (I型, II型), 杯細胞, 基底細胞より構成されていた。明調細胞間には側面指状嵌合が良く発達していた。
    主導管上皮には, ラットで観察されたtuft cellや暗調細胞は存在していなかった。
  • 駒田 格知
    1985 年 27 巻 1 号 p. 96-105
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    サケ科魚類における鋤骨の形態, 鋤骨歯の分布様式および歯数は, 他の口部骨格の形態や歯の分布様式と共に一つの重要な分類形質として認められている。しかし, その形態および歯の分布様式等の成長に伴う変化については不明な点が多い。今回は, イワナ属イワナ (Salmlinus pluvivs) の仔-成魚における鋤骨の形態変化や鋤骨歯の形成について調査した。
    イワナ仔魚の口部において鋤骨の骨化は40日齢, 体長21.1mmの頃に約70%の標本で確認され, 日齢の進行に伴って石灰化が進行し, 鋤骨は長さも幅も厚さも増大する。90日齢に達すると頭部と柄部は明瞭に区分されるようになる。その後, 鋤骨の背側部が前・後に著るしく伸びて柄部が大型化すると共に頭部の隆起も大型になる、この場合, 隆起部の中央後端部の成長が先行したり, 側方部が先行したりするために, この隆起上に形成される歯が一時的に縦列状になったり不規則に配列したりする。そして未成魚に達すると, 隆起部は台型又は逆台形と呈し, その隆起部下縁に沿って横一列に鋤骨が配列するのが最も一般的であった。しかし, 約23%の頻度で, 後方へ長く伸長した隆起部上に鋤骨歯が縦に配列しているのが観察された。すなわち, イワナの鋤骨歯の配列様式は変異に富んでおり, しかもその分布は鋤骨隆起部の形態に深く関連しているようである。
    鋤骨歯の形成は, 50日齢の時に3.3%の頻度で出現し, 50%以上の標本で認められるようになったのは120日齢, 体長38.7mmに達した時であった。体長の全く伸長しない40~100日齢の期間にも鋤骨歯の形成は徐々ではあるが進行した。仔魚期には, 歯の形成は体長よりもむしろ日齢に左右されようであるが, 120日齢時には急速に増加することから稚魚一若魚期には双方の影響によって進行すると考えられる。また, 人工孵化イワ+では10~13%の頻度で鋤骨歯欠如の標本が出現し, 歯数も個体変異が著るしかった。天然河川イワナでは同体長の人工孵化イワナに比べて, 鋤骨は大きく形態も安定し, 鋤骨歯の数は約2倍であり, 歯長も大きくて, 前者は後者よりも強力であり安定していた。
  • 柴田 学, 大久保 つや子, 前田 定秋, 高橋 宏
    1985 年 27 巻 1 号 p. 106-115
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    種々な光条件の変動が疼痛感覚に及ぼす影響を知るため, マウスに種々な光条件を与え, その際の疼痛閾値を酢酸writhing法並びにformalintestによって測定した。光量の変動に伴って疼痛閾値も変化し, 暗条件において疼痛は過敏に, 明条件において感受性が有意に低下する事実を観察した。特に, 光ストレスとして2500luxを与えたマウスの疼痛閾値は有意に上昇したが, これはnaloxoneによって拮抗された。またこの時の脳内endorphinは脳幹部において顕著に減少しており, 光ストレス下の鎮痛作用は, 体内オピオイド活性によるものと推定した。更に, 光ストレスによって遊離活性化すると考えられる体内諸物質について, 疼痛感受性に及ぼす影響を調べた。その結果α-及びβ-MSH (Mloxoneによって拮抗される), vasopressinに有意な疼痛抑制を, またcortisol (dexamethasoneで代用), melatoniaに有意な疼痛過敏反応を観察した。またACTHは疼痛に対して無影響であった。この事実から, 光ストレスによる鎮痛はβ-endorphinを中心とする疼痛抑制機構と, これに拮抗するcortisol, melatoninなどの痛覚過敏機構が並存し, 両機構の微妙なバランス下において痛覚の調節が行なわれていることを推定した。
  • 大久保 つや子, 柴田 学, 高橋 宏
    1985 年 27 巻 1 号 p. 116-122
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    melatoninの疼痛感受性に及ぼす作用並びに脳内疼痛制御物質との相互関係を検討した。melatonin 2-20μg/mouse, i. c. v. 投与によってhyperalgesiaが出現し, その作用は用量依存的であることをhot plate, 酢酸writhing法によって確認した。またmelatoninは、β-endorphinの鎮痛作用に拮抗し, 更にはmelatoninとの問に生成調節機構が成立していると考えられるα-MSHの鎮痛作用にも拮抗することが観察された。また化学構造上, 同じ誘導体に属するserotoninの著明な鎮痛作用にも競合的拮抗を示し, serotoninの用量作用曲線を右方へ平行移動させた。
    以上の諸成績からmelatoninがopioidergic或はserotoninergic systemと相互に関連し合いながら疼痛発生並びに制御の機構に関与している可能性について議論を行った。
  • melatonin の hyperalgesia発現機構の解明
    高橋 宏, 柴田 学, 大久保 つや子
    1985 年 27 巻 1 号 p. 123-131
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    前報において, 明暗条件の変動によって疼痛閾値が顕著に変動し, 明条件でanalgesia, 暗条件においてhyperalgesiaが出現すること, 及び暗条件におけるhyperalgesiaの主体は松果体ホルモンであるmelatoninに帰すべきことを報告した。本報告はmelatoninのhyperalgesiaの作用機序解明を目的としての種々な実験の総括である。melatoninは脳内または慢性皮下投与実験においても明確なhyperalgesiaが生ずることを確認した。しかしtetrabenazine, α-methyldopa, haloperidol, tolazoline, phentolamine, propranololなどの薬物前処置によってhyperalgesiaは消失することからdopaminergic或はadrenergic mechanismsの関与が重要であることが示唆された。melatORinはmorphine鎮痛作用を著明に増強し, 松果体摘出動物ではmorphine鎮痛は出現しなかった。またmelatoninのhyperalgesiaもnaloxoneによって拮抗されることが確認された。このことからmelatonin作用には, 体内opioidが関与しているこが推定された。
  • 内田 隆
    1985 年 27 巻 1 号 p. 132-139
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    無処置およびセロトニンまたはセロトニンの前駆物質である5-ハイドロキシトリプトファン (5-HTP) を投与したマウスの有郭乳頭味蕾について, 光顕では浮遊切片法を用いたPAP法で, 電顕ではプロテインA・金コロイド法でセロトニン様免疫活性の局在を調べた。また対照として側脳室壁と第3脳室壁に分布するsupraependymal nerve plexusを同一の方法で免疫染色した。
    無処置およびセロトニンを投与したマウスでは, 味蕾内にセロトニン様免疫活性は全く認められなかったが, supraedymal nerve plexus内には明瞭なセロトニン様免疫活性を示す神経線維が認められた。5-HTP投与後のマウスでは, 味蕾内の一部の細胞がセロトニン様免疫活性を示し, 電顕免疫組織化学ではIII型細胞の細胞質核・芯あり小胞に免疫活性が認められた。これらの免疫活性は抗セロトニン血清をセロトニンクレアチニン硫酸で吸収させることにより完全に消失したが, 5-HTPによって免疫活性影響されなかった。
    マウス有郭乳頭味蕾のIII型細胞は, 5-HTPを取り込みこれをセロトニンに転換する能力を持っているが, 生理的状態ではほとんどセロトニンを含まず, セロトニン以外の化学伝達物質がIII型細胞から神経終末への味覚伝達に関係している可能性が考えられた。
  • 佐藤 方信, 畠山 節子, 佐島 三重子, 鈴木 鍾美
    1985 年 27 巻 1 号 p. 140-145
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    口腔病変におけるKoilocytotic atypia (以下KAと略) を組織学的に検索した。材料は過去5年間に扱った501例の生検標本である。鏡検は主として通常の方法でパラフィン切片とし, ヘマトキシリン・エオジン染色を施した標本で行った。検索にあたってはKomorowskiらの基準に従ってKAを核の異型から3群 (Grade I, II and III) に分けた。
    検索した501例のうち207例 (41.3%) でKAが出現していた。このうちでGrade Iが107, Grade IIが78例, Grade IIIが22例であった。20-39歳代の症例では有意の関連をもってKA出現率は低かった。病変別には乳頭腫でKAが最も高率 (75.0%) に出現し, 他の病変でのKA出現率との問に有意の関連がみられた。病変の発生部位別には舌の病変でKAが最も高率に出現していた。今後口腔領域病変にみられるKAに関しても詳細な検索とその本態の解明が望まれる。
  • 春日井 昇平, 佐藤 温重, 小掠 秀亮
    1985 年 27 巻 1 号 p. 146-151
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    本研究は, ラット切歯歯髄細胞の培養にとって最も適する培地を決定する目的で行われた。用いた合成培地はF12, Eagle's basal medium (BME), minimum essential medium (MEM), Dulbecco's modified Eagle's medium (DMEM), RPMI1640, 199であり, 血清は牛血清 (CS) と牛胎児血清 (FCS) を用いた。歯髄片から遊出した細胞の占める面積を測定する方法, および細胞数の算定法により評価した。その結果, ラット切歯歯髄細胞の培養にとって, MEMにFCSを15%添加した培地が最も適していることが示唆された。
  • Eiichi Kubomura
    1985 年 27 巻 1 号 p. 152-164
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/11/30
    ジャーナル フリー
    Colchicineの骨端軟骨に及ぼす影響を, 組織学的並びにtritiated thymidineを用いたantoradiographyによる検索を行なった。
    Colchicineを静脈内投与後, 3-5日でラット脛骨の骨端成長軟骨板の厚さが増加した。骨端成長軟骨板においては, 肥大軟骨細胞数の著しい増加が認められた。骨端成長軟骨板と骨幹端の接合部では, 一次骨梁表面から骨芽細胞や破骨細胞が離れ, また骨端成長軟骨板の終末部へ侵入する血管数も著しく減少した。骨梁について見ると, 骨幹端部において正常よりも細い骨梁の形成が認められた。Autoradiographyによる所見では, colchicine投与後急速に増殖層の軟骨細胞の分裂活性が低下し, その後3-4日で著しい分裂活性の増加を示したが, 骨原性細胞の分裂活性はこの時期に低下する事が確かめられた。
    Colchicine投与後, 6-10日で石灰化軟骨基質の破壊が骨端成長軟骨と骨幹端の接合部で始まると共に, 骨端成長軟骨への血管侵入数は増加し, 骨梁表面には骨芽細胞や破骨細胞が再び現われ始めた。Tritiatedthymidineで標識された骨原性細胞数は, この時期に正常レベルに復した。
    これらの実験結果は, colchicineが骨端成長軟骨部で増殖層の軟骨細胞の分裂時期を同調させ, 一方骨幹端部では石灰化軟骨基質の破壊を阻害し, その結果, 骨端成長軟骨板の厚さが増加した事を示している、また, colchicineは骨梁における骨改造を抑制する事も明らかにされた。
    これらの事実から, 軟骨内骨化の過程を抑制するcolchicineの作用は, その過程に関与している細胞群における微小管機能の抑制と密接に関係しているものと考えられる。
  • 進士 久明, 金井 利員, 宮城 敦, 熊坂 純雄, 檜垣 旺夫, 藤原 努, 山崎 升, 川瀬 俊夫, 牧野 恒和, 斉藤 滋
    1985 年 27 巻 1 号 p. 165-171
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    Though fluorescent X-ray spectrometers have been applied for analysis of trace elements in many fields, few studies were reported on the odontological use of this method.
    In order to obtain a simple and quick analytical method for trace elements in deciduous teeth, pH of sample solution, APDC amount to be added, andaging time for precipitation were mainly examined.
    A deciduous tooth was dissolved by H NO3 and a metal complex was formed in which APDC bonded with trace elements in the tooth solution. Then, trace element analysis was carried out by a fluorescent X-ray spectrometer after the precipitation was collected on the Millipore filter.
    As a result, trace elements such as Cu, Zn, Pb, and Fe in primary teeth were determined quantitatively and it was elucidated that data were obtained without interference when excesses in the amounts of Ca and PO4 existing in teeth were removed, because the APDC did not form any precipitation with Ca2+and P8+.
  • 歯質の分割層別含有量について
    金井 利員
    1985 年 27 巻 1 号 p. 172-188
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    乳歯歯質中の微量金属は, 小児の発育過程における生活環境を反映する指標となり得る。したがって, 乳歯の形成時期と含有する微量金属の関係について検討することは, 小児の発育や環境を把握する上で重要と考えられる。
    そこで著者は, 乳歯中の微量金属を経時的に検索するために, 乳臼歯1歯についてエナメル質を外層と内層の2層に, また象牙質をエナメル側層, 中間部層および歯髄側象牙質層の3層, 計5層に分け, 各層の微量金属-Cd, Zn, PbおよびCu-の定量を, カラムクロマトグラフィーとフレームレス原子吸光法を用いて行った結果, 次のような結論を得た。
    1. 乳歯歯質中の微量金属の各層別含有量についてみると, 各微量金属とも歯髄側象牙質が最も高く, Cd, Zn, PbおよびCuについてエナメル側および中間部象牙質の各々約2.6倍, 1.6~1.7倍, 1.3倍, 1.6~1.8倍の含有量を示し, また同様に, 外層エナメル質は内層エナメル質の約1.8倍, 1.3倍, 1.3倍, 0.98倍の含有量を示した。
    2. エナメル質ならびに象牙質の各層別平均含有量は, それぞれ, 従来の当教室の値とほぼ一致し, 本研究は, 試料が2~5mgの微量であっても, すぐれた定量性を示すことが確認された。
    これらのことから, 乳歯歯質への微量金属の取り込みは, 胎生期, 出生後および歯の萌出後の各時期によって異なり, 特に歯の萌出後に取り込みが著明なことが示唆された。
  • 蜂矢 喜一郎, 子安 和弘, 花村 肇
    1985 年 27 巻 1 号 p. 189-199
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    中期更新世の動物群集を含有する安藤採石場 (山口県美称市) の裂か堆積物から産出したアカネズミ属2種の大臼歯の大きさを美称市産の現生アカネズミ (Apodemus speciosus) およびヒメネズミ (A. argenteus) のそれと比較検討した。中期更新世産アカネズミ属2種の大臼歯は, 現生種と比較して2種ともM1の歯冠近遠心径を除いて全般的に小型であった。歯冠幅厚指数の比較から, 化石種2種はそれぞれ現生種よりも細長い大臼歯を持っていたことが示された。こうした差異は, 第四紀における気候変化ならびに日本産現生アカネズミ属の起源と進化に深く関連していると思われる。
  • 久田 洋, 飯田 正一
    1985 年 27 巻 1 号 p. 200-207
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    prolactin(LTH)は腸管のCa吸収充進を引起すが, その機序はVitaminD(V-D)の活性型への転化を刺激するためと考えられている。しかし, その事実がV-D欠乏動物でも起ることからV-Dに依存せずにCa代謝を調節する器官へ直接作用する可能性も重要視されている、
    本研究は, LTHの骨細胞Ca輸送に対する作用を, collagenaseによるsequential digestionを用いラット胎児頭蓋骨から分離した3細胞群について比較検討した。LTHの用量は200μg(8IU)/1ml溶液とした。
    細胞群1:主に繊維芽細胞より成る細胞群に対してはCa release及びCa uptake共に有意な影響は認められなかった。
    細胞群2:主に骨芽細胞より成る細胞群に対しては, Ca releaseでは添加後5, 15, 30分で約20, 44, 47%の抑制が見られ, Ca uptakeでは添加後5, 30分で約43, 113%の顕著な促進が認められた。細胞群3:主に骨細胞から成る細胞群に対しては細胞群同様顕著な効果が認められ, 即ちCa releaseでは添加後5, 15, 30分で約50, 47, 54%の抑制, Ca uptakeでは添加後5, 30分で約46, 116%の促進が見られた。
    骨細胞のCa release及びuptakeに対するLTHの作用は, 4μg~200μg/mlにおいて濃度依存性を示すこと, また37℃ の場合より4℃ で増大することが著者らにより既に報告されている。
    それらの成績からLTHは骨細胞系のCa輸送にのみ顕著に作用することが示され, その作用機序はPTHのそれに類似性を示すことが考えられた。
    本研究によりLTHがCa調節機構に関与する器官にV-Dに依存することなく直接重要な役割を担っている可能性が強く支持された。
  • 柴田 健一郎, 戸塚 昌攻, 渡邊 継男
    1985 年 27 巻 1 号 p. 208-214
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    Mycoplasmarium ATCC23064の細胞膜からaminopeptidase(AP)を可溶化する方法について検討した。可溶化剤として, DOC, SDS, TritonX-100, Tween80, Brij35, CHAPSO, digitonin, EDTA, trypsinおよびpapainを用いた。可溶化の程度は, 細胞膜を可溶化剤で処理したのち, 40, 000×gで1時間遠心し, AP活性がどの程度上清にきたかで評価した。
    可溶化の程度は, もっとも高いのがSDS処理の場合の48%で, その次がDOCの30%であった。その他の可溶化剤はほとんど有効でなかった。次に, SDSの濃度を変えて可溶化の程度を調べたところ, 細胞膜蛋白質の2倍量以上のSDSで約80%可溶化された。しかしながら, SDSでは細胞膜蛋白質の約90%が可溶化されるため, 可溶性画分の比活性の上昇はみられなかった。ところが, 本実験結果からTritonX-100はAP以外の蛋白質を優先的に可溶化することが示唆されたので, 細胞膜をまずTriton X-100で, その後にSDSでさらに処理したところ, 比活性が3倍上昇した。しかしながら, この画分をSephacrylS-300でゲルロ過すると, APはほとんどvoid volumeに溶出され, 活性画分からSDSを透析により除くと白濁し, 以後の精製が難しく思えた, そこで, SDSの共存しない状態での可溶化を検討した結果, 細胞膜をまずTritonX-100で処理し, ひき続いてpapainで処理することにより約50%のAPが水溶性蛋白質として可溶化されることがわかった。
  • 鈴木 章則
    1985 年 27 巻 1 号 p. 215-253
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    エナメル質形成がおこらないラット切歯舌側象牙質において基質小胞の形態, 由来等を明らかにするために, 微細構造学的, 酸素細胞化学的に検索し, 唇側象牙質と比較検討した。
    材料は雄ラットの上顎切歯舌側を用い微細構造観察にはゲルタールァルデヒド, オスミウム酸の二重固定を施し非脱灰切片を透過電顕で観察した。酵素細胞化学にはSundstrom and Momstadの変法でCa2+-Mg2+-ATPase活性を, Mayaharaらの方法でALPase活性を検出した。
    象牙基質の特徴と象牙芽細胞の分化の状態に基づき, 未分化な状態から一層の石灰化象牙質の出現まで便宜的にStage IからVまでを区分した。その結果, 内・外エナメル上皮細胞は象牙基質形成とともに退化しStageVでは周囲結合組織中に埋めこまれ, その多くは消失した。一方, 歯乳頭細胞から分化した象牙芽細胞は遠心端の突起の形態を除けば唇側とほぼ同様であった。
    象牙基質は膠原原線維の増加とともに, その厚さが増加したが, 線維の配列は基底板と平行であり, 唇側での基底板に垂直に配列する膠原原線維とは異なっていた。基底板には垂直方向に配列する微細線維がみられたが細胞分化に伴いその配列は急速に乱れ, 石灰化開始時にはほとんど消失していた。
    基質小胞はStage IIから出現し, しだいに数を増すとともに内部の電子密度が高まりStageIIIでは結晶構造を含むものが多くなった。Stage IIIからStage IVにかけては多数の結晶塊が象牙質の基底板側に偏って集積するようになった。これは互いに癒合し, StageVで一層の石灰化象牙質を形成した。以上の過程は唇側とほぼ同様であるが, 基質小胞の形態は唇側ほど多様でない点, また唇側象牙質に出現するいわゆるCTMあるいはstippled materialsに相当する構造はみとめられなかった。
    Ca2+-Mg2+-ATPase活性の局在は未分化な時期には主として内エナメル上皮細胞にみられたが, これらの反応は象牙芽細胞の分化とともに急速に弱まり, 消失し, かわって象牙芽細胞に活性局在がみられるようになった。基質小胞にも同酵素活性が早期からみられ, その酵素の由来は主として象牙芽細胞に求められるものの一部は内エナメル上皮細胞由来が示唆された。なお唇側においては本酵素の局在はエナメル芽細胞のみにみられ, 細胞分化に伴い酵素活性の局在性が著しく異なることを明らかにし示ていた。一方, ALPaseは唇側とほぼ同様で主として象牙芽細胞に局在しCa2+-Mg2+-ATPase活性とともに基質小胞の象牙芽細胞の細胞膜由来を強く示唆していた。
    以上の結果から基質小胞の由来とその機能的役割, 特に初期石灰化機構との関連性を論じた。
  • 山田 一尋
    1985 年 27 巻 1 号 p. 254-271
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    成長に伴う筋付着部の移動様式を明らかにする目的で, 50日齢から80日齢のラット下顎骨咬筋深層付着部を組織学的に検索するとともに, 骨形成能および付着線維の形成能の経時的変化を硬組織時刻描記法および偏光顕微鏡を用いて検索した。
    ラット下顎骨咬筋深層付着部は, 付着線維の走向および骨化様式により, 骨膜性付着部, 移行部, 腱性付着部の3っの付着様式に分類された。骨膜性付着部では, 骨膜線維層から骨に侵入する細く, 幼若なシャーピー線維を介して, 層状の膜性化骨を呈する骨組織に付着し, 腱性付着部では, 腱線維とシャーピー線維を結合する幼若な線維からなる線維叢と細胞活性の高い線維軟骨細胞によって構成された線維軟骨組織を介して骨組織に付着していた。移行部では, 骨膜性付着部と腱性付着部の移行形態を示す付着様式を示した。
    これらの付着部の骨形成量は, 骨膜性付着部から移行部にかけて増加し, 腱性付着部移行部側では非常に少なく, 顎骨下縁側では再び増加していた。
    下顎骨内には強い複屈折性を示す膠原線維束が観察され, これらの線維束の末端部には, 強い異染性を示す接合線が存在し, それらはシャーピー線維と骨との接着に何らかの役割を演じている可能性が示唆された。
    下顎骨咬筋深層付着部では, 下顎骨成長に伴い, 付着様式が腱性付着部から移行部, 骨膜性付着部へと変化しながら, 下顎骨に対して一定の相対的位置関係を保って移動することが明らかにされ, この移動機序は付着線維の再配列によるものと推察された。一方, 骨化様式も, 付着様式の変化に伴い線維軟骨性化骨から膜性化骨へと変化することが明らかにされ, これに伴い, 腱性付着部では線維軟骨細胞から骨細胞に, 移行部では線維軟骨細胞から骨芽細胞へ変化する可能性が示唆された。
    以上の結果から, 下顎骨咬筋深層付着部の移動に伴う変化は, 筋機能と密接に関係していることが明らかにされた。
  • William F. Neuman, Margaret W. Neuman
    1985 年 27 巻 1 号 p. 272-281
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • Takeshi Odajima, Mihoko Onishi, Naoko Sato, Memi Kashiwabara, Tokuro I ...
    1985 年 27 巻 1 号 p. 282-290
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ベンゾ [α] ピレンが過酸化水素と塩素イオンまたは臭素イオンの存在する条件下で, ミエロペルオキシダーゼによってそれぞれ, 2種類の物質に酸化される事実を逆相分配系カラムを使った高速液体クロマトグラフィー (HPLC) で確認し, 更にHPLCにより分離・精製した。ミエロペルオキシダーゼー過酸化水素-塩素イオン系によって酸化されたベンゾ [α] ピレンの生成物を, 極性の高いものから順次生成物ICIおよびIICIと名づけた。同様に臭素イオン系からの酸化生成物についてもそれぞれ生成物IBrおよびIIBrと名づけた。これらの精製した4種類の酸化生成物に関しては電界脱離質量分析計 (FDMS) で測定した結果, 生成物ICIとIBrからそれぞれ [M+35CI-H] +, [M+37CI-H] +, [M+79Br-H] +および [M+81Br-H] +と考えられる分子イオンピークが顕著に現われることが確認された。これらの結果から, 生成物IciおよびIBrはともに, ベンゾ [α] ピレン分子の水素1原子が塩素または臭素1原子と置換した化合物であると同定された。生成物ICIに関しては36Clを用いたトレーサー実験によっても塩素化物であることが確認された。
  • Mihoko Onishi, Takeshi Odajima
    1985 年 27 巻 1 号 p. 291-298
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    プロスタグランジンE1がミエロペルオキシダーゼ, 過酸化水素, 塩素イオンによって酸化され, 293nmに吸収極大を持つ物質に変換した (この生成物をプロスタグランジンE293と名付けた)。プロスタグランジンE1とミエロペルオキシダーゼ, 過酸化水素, 塩素イオンとの反応液を薄層クロマトグラフィー (螢光発色剤の含むシリカゲル薄層板を用いた) で調べた結果, 紫外線照射下で螢光を発する1種類の物質 (スポット) が認められ, 薄層板をリンモリブデン酸で染色すると5種類の物質が認められた。紫外線照射下で螢光を発するスポットの部分のシリカゲルを採取し, それより抽出された物質は293nmに吸収極大を持つ物質であった。このことからこの物質はプロスタグランジンE293であると同定した。またプロスタグランジンE293は逆相分配系カラムを用いた高速液体クロマトグラフィーによっても単一物質として分離可能であった。更に36Clを用いたトレーサー実験によって, プロスタグランジンE293が塩素化物であることが実証された。プロスタグランジンE1はアルカリ処理によってプロスタグランジンB1へ, また水素化ホウ素酸還元によってプロスタグランジンF1α およびF1β へ変換することが知られているが, プロスタグランジンE293もアルカリ処理および水素化ホウ素酸還元によって, それぞれ1種類および2種類の物質に変換した。しかし, これらの物質のRf値はいずれもプロスタグランジンB1, F1α, F1β のそれらとは異っていた。プロスタグランジンE293のアルカリ処理および水素化ホウ素酸還元によって生成した物質は紫外部に吸収スペクトルを有し, アルカリ処理で生成した物質は288nmに, 水素化ホウ素酸還元によって生成した物質は275nmに吸収極大を有した。
  • Tetsuji Nagahata, Satoshi Yamashita, Tomoko Yamashita, Kazuhisa Yamaza ...
    1985 年 27 巻 1 号 p. 299-305
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    本研究は, ビーグル犬を使用し, 積極的に歯垢を蓄積させ惹起させた歯肉炎に対し, 殺菌剤 (クロルヘキシジン) および抗炎症剤 (ゲリチルレチン酸カルバゾクロム, 紅花エキス) の薬効を調べることとした。
    実験を開始するにあたり, まず全顎の歯石除去と4~6週間にわたる徹底したブラッシングを行い, 臨床的健康歯肉を確立した。ついで小大臼歯の歯頸部に絹糸を結紮し, 一週間soft dietを与え歯肉炎を惹起させた。薬剤はシリコン印象材の各個トレーを使用して毎日1回20分間局所塗布し, これらの操作を5~10日間続けた。薬物投与後各被検歯より歯肉片を採取し, 連続組織切片を作製し400倍で検鏡した。観察部位は歯肉溝上皮直下結合組織部を上部と下部に分けて, その部に浸潤する主として好中球及びリンパ球数を計測した。
    その結果, 基剤のみを使用した対照部位にくらべて, 各薬剤の10日間投与部位で有意な好中球数の減少が認められた。
    本研究は, クロルヘキシジン, グリチルレチン酸, カルバゾクロム, 紅花エキスの歯肉炎に対する薬効の存在を証明した。
  • Takao Kubota, Yoshii Suzuki, Shigeru Saito
    1985 年 27 巻 1 号 p. 306-313
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    骨有機質中の非コラーゲン成分の一種であるプロテオグリカン (PGs) と, 骨の石灰化度との関係を知る目的で, 骨を石灰化の進行状態に応じて分離し, 石灰化の進行に伴うPGsの量的および, 質的違いを検討した。
    実験には牛歯槽骨を用い, 骨の微細構造レベルでの石灰化度の違いを, 微粉化した骨粉の密度の差を利用して, 1.8g/cm3から2.1g/cm3の間で4つの分画に分けた。各密度分画中のPGsの分離には, グァニジン塩酸 (GdmCl), EDTA溶液を用い, 非石灰化領域, 石灰化領域のPGsをそれぞれ抽出した。その結果PGsの量は密度が高くなるに従って急激な減少を示した、さらにこのPGsの分子量的な差をSepharose CL-6Bを用いて検討したところGdmClで抽出される非石灰化領域には, voidvolumeに溶出する比較的大きな分子サイズのPG (GI) と, 小さなPG (GII, 分子量70~120K) の2種類が存在することがわかった, しかもGIは密度が高くなるに従い減少することがわかった。一方, EDTAで抽出される石灰化領域には, 小さい分子サイズのPG (EI) しか存在しなかった。これらのことは, 大きなPGが石灰化の進行過程で分解あるいは変性を受け小さな分子サイズのものに変化しうる可能性を示唆するものである。そこで, この3種のPGsが同一起源のものであるかどうかを, アミノ酸分析によって調べた。その結果, 非石灰化領域, 石灰化領域に存在するGII, EIのアミノ酸組成は, 互いにきわめて類似しており, 同一のPGである可能性が強く示唆された。さらに, ELISA法による測定では, 牛大腿骨から得られた分子量70~120KのPGに対する抗血清に対し, 3種のそれぞれのPGsは交叉反応を示した。このことから, これら3種のPGsは, 本来同一のものであり, GIが分解, 変性を受けGII, EIになったものと考えられる。以上のことより, 骨の石灰化の進行に伴って, PGsはしだいに消失し, 分子サイズも小さくなることがわかった。
  • Kimio Abe, Hiroshi Inoue, Tetsuya Habu, Naoaki Sawamura, Satoru Naruse
    1985 年 27 巻 1 号 p. 314-318
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • Kimio Abe, Hiroshi Inoue, Tetsuya Habu, Naoaki Sawamura, Satoru Naruse
    1985 年 27 巻 1 号 p. 319-323
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • Kimio Abe, Hiroshi Inoue, Tetsuya Habu, Naoaki Sawamura, Satoru Naruse
    1985 年 27 巻 1 号 p. 324-328
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • Ayako Yamamoto, Yumiko Etoh, Mitsuyoshi Takahashi, Masahiko Kishi, Tet ...
    1985 年 27 巻 1 号 p. 329-333
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • Kazuyuki Segawa, Sigenori Taniuchi, Reiji Takiguchi
    1985 年 27 巻 1 号 p. 334-337
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    Osteoblasts are distributed in a single layer along the surface of the bone matrix. While several type of osteoblasts are recognized during the process of bone matrix formation, osteoblasts active in the formation of the bone matrix possess extremely well developed rough endoplasmic reticulum and Golgi apparatus and exhibit the morphology of plump typical collagen formed cells. We therefore investigated the organelles of the osteoblasts that possess the ability to actively form the matrix of bone on the basis of the dilute osmium digestion method of Tanaka et al. and a high resolution scanning electron microscope.
  • Yukio Suzuki, Takako Morita, Katsumi Sugiyama, Hiroaki Furuta
    1985 年 27 巻 1 号 p. 338-340
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    Eugenol has therapeutic effects on the dentin and pulp and is used routinely as an antiseptic and anodyne in dental practice in the form of zinc oxide-eugenol mixture. However, this drug acts as an irritant and induces inflammation reaction. Recently, it was reported that eugenol was released from mixtures of zinc oxide-eugenol into pulpal space trough the dentin.
    Neutrophils accumulate at the inflammatory sites and act as scavengers. Once the cells are activated, various oxygen metabolites which have been implicated as putative mediators of tissue injury associated with the inflammatory reaction are produced. This paper describes eugenol-mediated O2- production of guinea-pig neutrophils and the effect of the O2- generation by N-ethylmaleimide (NEM) and azide.
  • Terumi Sueoka, Setsuko Katoh
    1985 年 27 巻 1 号 p. 341-344
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • Kenichi Ozawa, Kei Hirayama, Shozo Yamada
    1985 年 27 巻 1 号 p. 345-348
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • Ba Myint, Tsutomu Ohkubo, Kiyoshi Ooya
    1985 年 27 巻 1 号 p. 349-352
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • Hiroshi Nagai, Setsuo Uyeda, Kazunori Suzuki, Toshio Yamamoto, Yu Masu ...
    1985 年 27 巻 1 号 p. 353-356
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • Mituo Kakei, Hiroshi Nakahara
    1985 年 27 巻 1 号 p. 357-361
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • Kimio Abe, Yutaka Yokota
    1985 年 27 巻 1 号 p. 362-366
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • Kimio Abe, Yutaka Yokota
    1985 年 27 巻 1 号 p. 367-371
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • 2. DNA damaging effects of sodium fluoride and other fluoride compounds
    Nobutake Kanematsu
    1985 年 27 巻 1 号 p. 372-374
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • Nobutake Kanematsu
    1985 年 27 巻 1 号 p. 375-377
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • a preliminary report
    Mieko Sashima, Setsuko Hatakeyama, Masanobu Satoh, Atsumi Suzuki
    1985 年 27 巻 1 号 p. 378-381
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • Nobutake Kanematsu, Kani-chi Shibata, Akiyoshi Yamagami, Shuhei Kotera ...
    1985 年 27 巻 1 号 p. 382-384
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • Yasunaga Kameyama, Koji Yashiro, Masamichi Ohno, Ryoichi Funabiki, Tak ...
    1985 年 27 巻 1 号 p. 385-388
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • Takenori Miyamoto, Takao Mineda, Yukio Okada, Toshihide Sato
    1985 年 27 巻 1 号 p. 389-391
    発行日: 1985/03/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    The taste organ in the frog tongue is situated at the summit of the fungiform papilla. Morphologically, the frog taste organ is usually called the taste disk rather than taste bud. It comprises many taste cells which respond to various taste stimuli with depolarizing receptor potentials. There are many axon terminals at the base of the taste cell layer in the frog, and it has been found that there exists a chemical synapse between a frog taste cell and a gustatory axon terminal. It is considered that a depolarizing receptor potential in a taste cell elicited by a taste stimulus may release a transmitter from the cell, and then the postsynaptic potential in the axon terminal membrane evoked by the transmitter may trigger an initiation of gustatory neural impulses.
    Although it has been supposed that gustatory neural impulses may be initiated at the first node of Ranvier on the gustatory nerve fiber, obvious evidence has not been obtained until recently. In order to clarify the initiation site of gustatory neural impulse, it is important to examine the course of single gustatory nerve fibers within the fungiform papilla as giving attention to the spatial position of nodes of Ranvier.
    The purpose of the present experiment was to examine histologically the sensory innervation of the frog taste disk and to determine electrophysiologically the initiation site of gustatory neural impulses.
  • 1985 年 27 巻 1 号 p. 392
    発行日: 1985年
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
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