歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
30 巻, 2 号
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  • 第6報Fibronectinによるリン酸カルシウム溶液中でのAmorphous calcium phosphate自発沈澱ならびにhydroxyapatiteへの転換過程の阻害について
    竹内 宏, 田島 一範, 金久 純也, 森 哲彦, 古橋 達, 藤井 輝久, 土井 豊
    1988 年 30 巻 2 号 p. 131-136
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/09/28
    ジャーナル フリー
    Higherおよびlower supersaturated calcium phosphate solutionでの非晶質リン酸カルシウムの自発沈殿, ならびにhydroxyapatite変換反応におけるfibronectinの影響を検討した所, 両者に阻害作用が現れ, low solutionではその効果がより一層著しかった。この結果からfibronectinは反応溶液中のカルシウムイオンを結合し, 阻害作用の生じることが判明し, またhydroxyapatiteへの吸着性が示唆され, ひいては唾液中の本タンパクがエナメル質表層のhydroxyapatiteに吸着し, 次第に分子量を高めつつ固相に変化して獲得被膜の形成に到ることが推測された。
  • 口蓋骨水平板部の正中口蓋縫合の形成について
    祐川 励起, 新飯田 俊平, 久米田 哲, 佐藤 功二, 西山 和彦, 池野谷 達雄
    1988 年 30 巻 2 号 p. 137-143
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    マウスの左右の口蓋骨水平板で構成される正中口蓋縫合の形成過程を光顕, 実体顕微鏡さらに走査電顕で調べた。
    縫合の前方1/4は細胞の凝集, 二次軟骨の出現, 軟骨結合さらに二次軟骨の骨化の4段階で形成された。縫合の後方3/4は, 細胞の凝集と膠原線維束の形成の2段階で形成された。なお, 縫合の前方1/4は直線的に走行するが, 後方3/4は嵌入を示した。
    縫合形態は外的作用に対応していることから, 口蓋骨水平板部の正中口蓋縫合は前方1/4と後方3/4で異なった外的作用を受けていると思われる。
  • 八十 一博
    1988 年 30 巻 2 号 p. 144-155
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    カイウサギの外頸動脈の分枝状況をアクリル樹脂注入法によって, 成熟カイウサギ740側について観察した。外頸動脈の主要分枝として舌動脈, 顔面動脈, 後頭動脈が認められた。舌動脈の起始様相を5型に分類し, これと他の分枝ならびに後頭動脈の起始源 (6型) を考慮して外頸動脈諸分枝との相関関係を総括した。総頸動脈は第1頸椎中央の高さで内頸動脈と外頸動脈に分岐していた。外頸動脈は, 顎二腹筋と茎突舌筋の間を通って, それらの外側に出て下顎枝中央の高さで顎動脈と浅側頭動脈の2終枝に分岐していた。しかし, この分岐位置がより近位 (低位) のものも認められた。舌動脈と顔面動脈は外頸動脈まれに顎動脈から, 舌顔面動脈 (幹) をへて, または単独で起始していた。とくに顔面動脈が顎動脈から起始する場合は外頚動脈の2終枝分岐位置がより近位 (低位) であった。一方, 後頭動は椎骨動脈, 内頸動脈, 外頸動脈 (第1枝または第2枝), 後耳介動脈, 浅側頭動脈のいずれかから起始していた。外頸動脈の2終枝分岐の位置がより近位 (低位) で外頸動脈が短い例では外頸動脈からの分枝は認められなかった。
  • 祐川 励起, 山道 祥郎, 久米田 哲, 佐藤 功二, 西山 和彦, 池野谷 達雄
    1988 年 30 巻 2 号 p. 156-163
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    東北歯科大学解剖学教室所蔵の乳歯列期から永久歯列期までのインド人頭蓋101顆を歯牙の萠出状況により5期に分けた。そして, 口蓋各部位を計測して各期ごとの平均値と1期から5期の成長率を求めて口蓋の成長変化を推定した。さらに, 口蓋を構成する上顎骨口蓋突起の長さと口蓋骨水平板の長さについいては相関関係も調べた。
    切歯骨口蓋部の長さと前方口蓋の幅はそれぞれ中切歯もしくは犬歯の萠出により変動するが, 最終的に1期から5期で1.01倍と1.08倍の成長率であった。上顎骨口蓋突起の長さ, 骨口蓋の長さそして歯槽突起の長さは大臼歯の萠出に伴って増大し, 最終的に1期から5期で1.57倍, 1.37倍さらに1.42倍の成長率であった。口蓋骨水平板の長さと幅, さらに後方口蓋の幅は比較的スムーズに成長し最終的に1期から5期の成長率はそれぞれ1.40倍, 1.27倍さらに1.23倍であった。
    以上の結果から, 口蓋の形態は成長に伴って前後に長くなることが分かった。特に, 口蓋の後方部の成長には大臼歯の萠出が関与していると思われた。さらに, 上顎骨口蓋突起の長さと口蓋骨水平板の長さはすべての期で相関係数が負であったことから, 互いに口蓋の長さを一定に保つような関係にあると思われた。
  • 今村 實, 北村 勝也
    1988 年 30 巻 2 号 p. 164-179
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ラットの臼歯部に咬合性外傷および辺縁性歯周炎を起こさせ, PGの生合成抑制剤のひとつであるインドメサシンの投与によって起こる変化について病理組織学的および酵素組織化学的に検索した。
    1) 咬合性外傷では破骨細胞による歯槽骨の下掘れ吸収がみられた。辺縁性歯周炎では咬合性外傷よりも多数の破骨細胞と, 好中球やリンパ球の浸潤および歯間乳頭部では細菌の介在も認められた。このことから骨吸収には炎症性細胞浸潤や細菌性毒素が関係しているものと考えられた。2) インドメサシン投与によって両疾患の破骨細胞は減少し, 形態学的には細胞の小型化, 核の濃縮による過染性, 空胞やruffled border様構造の消失などの変化がみられた。3) ACPおよびLDH活性がインドメサシン投与によって減少したことは, 破骨細胞の形態的変化によって生じたものと考えられ, この事実が骨吸収を減少させるものと思われる。
  • 中嶋 順
    1988 年 30 巻 2 号 p. 180-191
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ラットの顔面動脈の起始, 分枝と分布域について, アクリル樹脂注入法により詳細に観察を行った。顔面動脈は外頸動脈が, 顎二腹筋と茎突舌筋との間で, 外側方へ彎曲するとき, その凸側, 前壁から起始していた。本動脈は咬筋と顎二腹筋の間を前下方へ走り, 上行口蓋動脈, 茎突舌筋枝, 顎下腺枝, 扁桃枝を派出していた。さらに本動脈の顎下部は咬筋枝, オトガイ下動脈, 顎下リンパ節枝を派出したのち, 前外側方へ曲がり顔面血管切痕を通って顔面に現われ, 後皮枝, 下唇動脈と口角動脈, 前皮枝, 浅および深後上唇動脈, 上唇動脈, 鼻孔外側動脈を派出したのち, 眼角動脈となって終っていた。顔面動脈からは, 直接の咬筋枝, 口角動脈と深後上唇動脈からの咬筋枝がみられ, 咬筋表層部と深層筋前部の大半に分布していた。皮枝は顔面神経の分枝と耳下腺管にも分布していた。顔面神経は口角後上部で特有な神経叢を形成し, これへは前皮枝と浅後上唇動脈が分布していた。
  • 佐藤 政直
    1988 年 30 巻 2 号 p. 192-207
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ラット顎下腺アンドロゲンレセプターの酸性条件において合成アンドロゲンである〔3H〕mibore-lone (〔3H〕MI) 結合活性を検討した。10 mM molybdate存在下, 非存在下とも〔3H〕MI結合活性はpH 5.9で半減した。この結合活性の喪失は, 酸沈澱した細胞質タンパク質を中性の緩衝液に再溶解することにより回復した。Molybdate存在下では結合活性の回復は, 沈澱のタンパク量に一致したが, molybdate非存在下では沈澱より回復する結合活性はpH 4.9において最大値を示し, それ以降は急速に減少した。一方, molybdateを含まない細胞質をまず〔3H〕MIにより標識しその後にpHを下げた場合には中性条件で形成された〔3H〕MI-アンドロゲンレセプター複合体はより安定であり, pH 4.2にて半減した。Molybdate存在下では複合体はさらに低いpHまで安定であった。Molybdate存在下, 非存在下とも〔3H〕MI-アンドロゲンレセプター複合体は〔3H〕MI非存在下と同様に沈澱した。これらの結果はアンドロゲンレセプターがpH 4.1-5.9ではその〔3H〕MI結合活性について特殊な状態にあることを示唆している。すなわち, この領域ではアンドロゲンレセプターはリガンド結合活性はないが, あらかじめ〔3H〕MIが結合している場合は, 酸性化によりたとえレセプターが沈澱してもこのリガンドは保持される。さらにアンドロゲンレセプターはpH 5以下で真の変性がおこり, pH 4.1でその1/2が変性する。この変性過程は, 酸性条件でのアンドロゲンレセプターの活性化と, ひきつづき起こる活性型レセプターの変性よりなると考えられた。
  • Masanobu Satoh, Setsuko Hatakeyama, Hiroaki Morita, Atsumi Suzuki
    1988 年 30 巻 2 号 p. 208-211
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    日本人の口腔乳頭腫についてパピローマウイルスの検出を試みた。
    材料は岩手医大歯学部口腔病理学教室で過去6年間 (1981-1986) に扱った口腔乳頭腫38例である。パラフィンに包埋された標本は5 μに連続薄切し, PAP法 (PAPキット, DAKO Corp.) によってパピローマウイルスを検索した。その結果, 2例の口腔乳頭腫で陽性所見が得られ, それは扁平上皮の表層のKoilocytotic cellの核に局在していた。
  • Takeshi Igarashi, Ayako Yamamoto, Yumiko Etoh, Mitsuyoshi Takahashi, K ...
    1988 年 30 巻 2 号 p. 212-218
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    Actinomyces viscosus ATCC 19246株の産生する菌体外のショ糖分解酵素を精製した。この酵素は基質特異性とその分解産物から, ショ糖やラフィノース内のβ-2, 1-結合を分解するインベルターゼである事を証明した。酵素の分子量は約48,000, ショ糖にたいするKm値は18mM, 至適pHは6.0, 至適温度は比較的広く37~55℃であった。また, その酵素活性はFeCl3, ZnCl2, そしてHgCl2の金属イオンにより著しく阻害された。菌体外に存在する多量のグルコースがA. viscosusの増殖, 集積に関係するという報告があり, このインベルターゼは, 食物中のショ糖を分解することにより, 菌体周囲のグルコース濃度を高め菌体の増殖や集積を促進する事に関与していると推定出来る。
  • Ki-ichiro Tanaka, Toshio Ono, Nobuhiko Katsura
    1988 年 30 巻 2 号 p. 219-226
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ミドリシャミセンガイ殻よりヒドロオキシアパタイトに強く吸着するタンパク画分を単離した。これは分子量14万で, アスパラギン酸, グルタミン酸, グリシンに富む酸性タンパクである。またニンヒドリン陽性の末同定の酸性成分を含む。一方, γ-カルボキシグルタミン酸は含まない。このタンパクのアミノ酸組成はオステオネクチンやボーンモルフォジェネテックプロティン (bone morphogenetic protein) のアミノ酸組成に類似している。このタンパクはカルシウム親和性を有し, α-ヘリックス, β-構造をかなり含み, そのコンフォメーションはカルシウムイオン濃度を高めても, ほとんど変化しなかった。このタンパク画分は疎水結合, S-S結合によって会合した多量体タンパクである。
  • I. Investigation of junctional epithelial portion
    Akio Tanaka, Seiji Wada, Masahiro Wato, Tetsunari Nishikawa, Masahiro ...
    1988 年 30 巻 2 号 p. 227-233
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ベージュマウスは易感染性の特徴をもち, 常染色体に劣性遣伝するChediak-Higashi症候群 (CHS) のモデル動物である。CHSにおける歯肉接合上皮の状態を明らかにするために, 今回, 本弱齢マウスの歯周組織を電顕的に観察した。
    オスのベージュマウス (bg/bg) 10匹と非ベージュマウス (bg/+) 5匹を屠殺後, その下顎左側第一大臼歯部を摘出し前固定してEDTAで脱灰した。その後, それを唇舌的に歯の長軸に沿って分割し後固定して電顕試料を作製した。
    その結果, 両マウスにおける接合上皮内の好中球や上皮細胞内の空胞は歯冠側よりに多く存在したが, 根尖側よりにはみられなかった。脂肪滴は両マウスの接合上皮細胞に, 巨大顆粒はベージュマウスに認められた。したがって, 接合上皮細胞に巨大顆粒が存在したことはCHSのモデル動物であるベージュマウスの1つの特徴であると考えられる。
  • Koji Yashiro, Yasunaga Kameyama, Masako Mizuno, Akihiko Okada, Takehis ...
    1988 年 30 巻 2 号 p. 234-238
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ラット舌下腺の生体膜主要構成成分であるホスファチジルコリン (PC) とホスファチジルエタノールアミン (PE) の位置特異性アシル基組成を明らかにした。PCのグリセロール骨格sn-1位に結合するアシル基は主としてパルミチン酸, ステアリン酸などの飽和アシル基で, sn-2位はアラキドン酸, リノール酸などの不飽和アシル基で構成されていた。同様の非対称的なアシル基分布はPEでも認められた。さらにPEでは, sn-1位に多量のアルケニル基が認められた。これらの組成から, PC, PEの主要分子種は, 各々, 1-パルミトイル-2-アラキドノイル型, および1-ステアロイル-あるいは1-アルケニル-2-アラキドノイル (プラズマローゲン) 型であることが強く示唆された。イソプロテレノールの連続投与は, 耳下腺, 顎下腺リン脂質中のリノレオイル型リン脂質の著しい増加を引き起こすが, 舌下腺のPC, PEでは, sn-1位, sn-2位ともに, アシル基組成に変化は認められなかった。
  • Kayo Teraoka, Masaru Akao, Hideki Aoki, Yoshinori Kuboki
    1988 年 30 巻 2 号 p. 239-242
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
  • Shu Tanaka, Kenzo Kawasaki, Takao Ishikawa
    1988 年 30 巻 2 号 p. 243-245
    発行日: 1988/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
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