歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
31 巻, 1 号
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  • 小林 吉春, 秋田 博敏, 加賀山 学, 金田一 孝二
    1989 年 31 巻 1 号 p. 1-12
    発行日: 1989/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ラット切歯成長端からエナメル質の形成期に至る組織片を3種の螢光標識レクチンで染色し, 螢光顕微鏡で観察した。歯乳頭細胞と上皮の境界はF-Con A, F-MPA, F-PNAで染色され, 象牙質と上皮の境界はF-Con A, F-MPAに染まった。中間層はF-Con A, F-MPA, F-PNAで染色され, 染まり始める時期は各レクチンでそれぞれ異なっていた。形成期エオメル芽細胞の遠位側細胞質はF-MPAで, 象牙芽細の遠位側細胞質はF-Con Aで染色され, ともに基質分泌が盛んになるに伴って染色性も増加した。従って, F-MPAはエナメル質の, F-Con Aは象牙質の形成開始時期を示す指標となる可能性がある。形成期エナメル芽細胞の遠位側細胞質はF-Con AやF-PNAによっても染色された。象牙芽細胞層はF-Con Aにのみ染まり, 歯乳頭はF-Con A, F-MPA, F-PNAで染色された。エオメル髄と外エナメル上皮はF-Con A, F-MPAで染色された。EDTA脱灰は標識レクチンに対する組織の染色性に殆ど影響しなかった。
  • X線写真による調査
    原田 吉通, 冨野 真悟, 小川 和久, 和田 忠子, 森 進一郎, 小林 繁, 清水 徹治, 久保 博英
    1989 年 31 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1989/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    昭和53年から昭和61年までの9年間に放射線学実習で撮影された平均年齢24.3歳の男女1,353人の全顎デンタルX線写真のうち小臼歯部を目的としたものと大臼歯部を目的としたもの及びパノラマX線写真を使用し, 下顎第一大臼歯の3根の出現頻度について調査した。
    結果は次の通りである。
    1. 3根は右側歯数1,163本中240本 (20.6%), 左側歯数1,168本中200本 (17.1%) であった。
    2. デンタルX線写真による歯根数の確認は, 小臼歯部目的の写真のみで3根の確認できたもの274本 (11.8%), 小臼歯部ならびに大臼歯部目的の写真のいずれでも確認できたもの124本 (5.3%), 大臼歯部目的の写真のみで確認できたもの42本 (1.8%) であった。
    3. パノラマX線写真で3根の確認できたものは, 440本中70本 (15.9%) であった。
    4. 左右両側に第一大臼歯の存在している人1,070人のうち, 両側共3根の人は136人 (12.7%), 片側のみ3根の人は127人 (11.9%) であった。
  • 島田 純治
    1989 年 31 巻 1 号 p. 19-34
    発行日: 1989/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    抜歯創の骨性治癒における血管構築の連続的変化についてニホンザル上顎4前歯を同時抜去し, プラスチック微細血管鋳型を主体に走査型電顕で検索した。抜歯後5日では, 歯槽壁と血餅との間で血管芽が形成され, 注入された樹脂がその先端から漏出していた。抜歯後1週では, 新生血管が抜歯窩の中心に向かって伸展し, 窩壁では拡張した血管が樹枝状に分岐して窩口方向へ向かっていた。抜歯後2週では, 抜歯窩は口径の太い新生血管で満たされ, 窩底部では不規則な血管の間に線維性骨woven boneが形成されていたが, 窩壁ではその形態を異にしていた。抜歯後4週では, 窩壁の新生骨は厚みを増してlamella-like boneとなり, その内方には窩底からのwoven boneが形成され, それらから出る血管は口径を減じて窩口中央へ向かっていた。抜歯後5週では, 窩口部の新生骨は浅いpivot状の凹面となり, 骨基質が密でこれから出る血管は窩口表面中央に集束しており, 窩底部の骨梁はremodelingが進行していた。抜歯後6週では, 抜歯窩はほぼ新生骨小柱で満たされ, その間から出る整理された細い血管網が骨膜血管網へと移行し, 槽間中隔はlamella-like beneによって肥厚し海綿骨へとremodelingされていた。すなわち抜歯窩の骨性治癒はどの段階においても血管構築パターンが関与して骨の形態が決定されることが明らかとなった。
  • 熊井 敏文, 野村 浩道
    1989 年 31 巻 1 号 p. 35-43
    発行日: 1989/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ヒトの左右側頭筋と左右咬筋から筋電位を同時導出し積分した後, 差動型のリサージュ筋電図を求め, 正常者と顎口腔系になんらかの異常のある人で咀嚼筋の行動にどのような違いがあるかを比較検討した。実験に供した食品はピーナッツとチューインガムだが, リサージュパターンは咀嚼時における4筋の活動の関連性をよく表現していた。正常者では一般に言われている側頭筋と咬筋の活動様式が確認されたが, 個々のサイクルではバリエーションがあり例外も多かった。異常者の主な特微としては, 1) 特定の筋の活動が著しく低い。2) 咀嚼時における側頭筋と咬筋の全体組み合わせ, あるいは収縮順序が正常者と逆になる場合がある。3) ガム咀嚼における筋活動の定常性が低い, 等が観察された。
  • 斉藤 博, 佐藤 功二, 池野谷 達雄
    1989 年 31 巻 1 号 p. 44-49
    発行日: 1989/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ウサギの頬上皮を走査型電子顕微鏡で観察した。細胞表面は4型の微小堤で覆われていた。また細胞境界と剥落隆起で表面が区分されていた。剥落隆起で囲まれた小領域は, しばしば周囲よりも隆起していた。この小隆起部の微小堤の形態は, その周囲の微小堤よりも微小堤間の距離が狭く, 5型の微小堤に近づいていた。これは細胞膜の外界への露出により微小堤の形態が変化することを示すと考えられた。また将来小隆起部となる細胞境界線で囲まれた部位も認められた。これらのことは細胞の積層が各層でずれていて, しかも下層の細胞の一部が上層の細胞間に入り込み, 一種の嵌合を形成することを示している。この細胞配列は細胞の結合を強めるのに役立つと考えられた。
  • 唾液腺および他の組織の可溶性シアリダーゼの性質について
    佐藤 顕正, 平松 正彦, 柏俣 正典, 村山 真人, 上田 和也, 宇井 和彦, 南 直臣
    1989 年 31 巻 1 号 p. 50-60
    発行日: 1989/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ラットの顎下腺と耳下腺さらに脳, 肝臓および腎臓の可溶性シアリダーゼについて, 熱安定性, 金属イオンの影響を検討し, さらに分子量および等電点を比較した。いずれの組織の可溶性シアリダーゼも, 非常に不安定であり, 60℃の熱処理により著しく活性は低下し, 40℃, 1時間の熱処理では52~84%の活性の低下がみられた。可溶性シアリダーゼに対する金属イオンの影響について検討した結果, 低濃度のCa2+は顎下腺と耳下腺の酵素を活性化させる傾向があり, さらに顎下腺の酵素は低濃度のMg2+によっても活性化される傾向がみられた。しかしCa2+とMg2+は, 他の組織の酵素に対しては影響をおよぼさなかった。一方, Cu2+とHg2+は, いずれの組織の酵素に対しても強い阻害を示した。Sephadex G-200によるゲル濾過から, 各組織の可溶性シアリダーゼの分子量を概算した。その結果, 顎下腺の酵素は約68,000, 耳下腺と脳の酵素は約46,000, 肝臓の酵素の分子量は約43,000であった。一方, 腎臓では主要な酵素の分子量は500,000以上であり, そのほかに分子量が約46,000の2つの酵素の存在が認められた。等電点分画による結果から, 顎下腺では3種類, 耳下腺では2種類のアイソザイムの存在が認められ, 主要な酵素の等電点は, 前者では6.4, 後者では6.9であった。脳と肝臓の酵素の等電点は6.7であったが, さらに等電点の低いアイソザイムの存在が認められた。また腎臓の主要な可溶性シアリダーゼの等電点は4.4であり, 他の組織の酵素とはかなり異なる等電点をもつことが明らかとなった。
  • 綾坂 則夫, 中村 元, 田中 輝男
    1989 年 31 巻 1 号 p. 61-71
    発行日: 1989/02/20
    公開日: 2010/09/28
    ジャーナル フリー
    SD系ラットに, それぞれ別々にmicroperoxidase (MP, 分子径20Å, 分子量1,900) およびhorse radish peroxidase (HRP, 分子径40Å, 分子量40,000) を静注して, 付着上皮 (JE) における両トレーサーの取り込みの相違について電顕レベルで観察した。
    両トレーサーともにJEによる取り込みが認められたものの, 細胞に為害作用があるHRPのほうが多く取り込まれた。この所見からして, JE細胞には為害作用をもつ物質に対して選択的に貪食能を発揮する性質があるらしく, また両トレーサーの取り込みは, 歯肉溝に近接する部分 (coronal portion of the JE) に最も多く認められた。すなわち, JEの中でもこの部分が歯周疾患防衛上で, とりわけ重要な役割をはたしていると考えられた。
  • 川村 早苗
    1989 年 31 巻 1 号 p. 72-82
    発行日: 1989/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    動物の咀嚼運動が脳の発育に及ぼす影響を検討する目的で, 硬度の異なる飼料で飼育したマウスおよびラットを用いて学習テストを行い, その成績を比較検討した。実験には, C57BLマウスおよびWistar系ラットを用い, 生後20日目に離乳し, 同腹を固形食飼育群 (日本クレア製, CE-2) と固形食と同一成分の粉末食飼育群の2群に分け飼育し, 8週齢で実験を開始した。実験には群馬大学型条件回避反応実験装置を使用し, レバー押し回数と回避率を測定した。実験期間中, 動物の体重増加, 自発運動量, レバー押し回数には両群間に有意差は認められなかった。しかし, 回避率では学習の初期には固形食飼育群と粉末食飼育群間に差は認められなかったが, 学習を重ねるに連れて次第に固形食飼育群の方が粉末食飼育群より回避率が高く, マウスでは第18, 19, 20セッション目には, 粉末食飼育群はそれぞれ29.2%, 31.7%, 33.9%であったのに対して, 固形食飼育群では50.2%, 50.9%, 53.5%となり, ラットでは20セッション目に, 粉末食飼育群51.8 %, 固形食飼育群75.2%となり, その差は1%と5%水準で有意であった。
  • Toshiaki Nakajima, Junzo Okugawa, Hideomi Ikuta
    1989 年 31 巻 1 号 p. 83-88
    発行日: 1989/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    合成樹脂注入法により鶏の外頸動脈とその分枝について観察した。鶏の外頸動脈は第二頸椎の高さで内頸動脈と外頸動脈に分かれる。外頸動脈は咽喉の後外側を広頸筋, 茎突舌骨筋, 後頭下顎筋に包まれて前上方へ進む。その後, 関節骨の内側下顎突起の後方, 頭直筋と咽頭の間で前口蓋動脈と顔面動脈に分かれる。外頸動脈は後頭動脈, 舌骨下顎動脈, 前側頭動脈, 舌下動脈, 前口蓋動脈, 顔面動脈を分枝する。
  • Yuzo Kato, Kazuhisa Nishishita, Hideaki Sakai, Masahiro Tatsumi, Kenji ...
    1989 年 31 巻 1 号 p. 89-94
    発行日: 1989/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    aspirin投与による実験的低Ca血症の発現機序を解明する目的で, salicylic acid (SA) に類似した化学構造を持つ薬物を用いて構造活性相関に関する基礎的実験を行った. 薬物の一部を2%CMC水溶液と混和し, 一晩絶食させたラットに, それぞれaspirin (2.22 mmol/kg), o-, m-, p-HBA・NA (hydroxy-benzoic acid, 2.50 mmol/kg) の用量で胃内投与した。その後, 経時的に60μlの採血を行い血漿Ca値を測定した。絶食は6時間群の採血後に解除した. 低Ca血症は, aspirinとo-HBA・Na投与群において従来の報告どおりに確認された。一方, OH基がCOOH基に対して, その他の位置にあるようなHBAの構造異性体においては, 低Ca血症が発現しなかった。またCOOH基がアミド化したsalicylamideも低Ca血症を発現しなかった事から, ベンゼン核上にCOOH基とOH基がorthoの位置関係にある事が, この現象の発現にとって必須であると思われた. この条件を満たして, しかも第3の置換期が同じベンゼン核上に存在する薬物でも, aspirinに比して程度の弱い低Ca血症が発現していた。次にaspirinとSAをそれぞれDL lysineに溶解して静脈内投与し, 低Ca血症を発現させたところ, 最初の30分における反応性はaspirinの方が弱く, 以後, 両群間に差がなかった。aspirin-DL lysineを静注すると初期にはcyclooxygenase を効率よくアセチル化するので, PGの関連した生体の反応に関しては, 経口投与のaspirinより速効性であると報告されている. しかし本実験では前述のごとく, 静注後初期にはかえってaspirin-DL lysineの方がSA-DL lysineよりも低Ca血症の進行は遅延したので, aspirin由来の低Ca血症の発現にアセチル化反応は関与していないのであろうと考えられる。封上のように今回の実験結果は, aspirin由来の低Ca血症は生体内でのPGの作用とは切り離して考えるべき現象であるという従来の報告を支持するものであると考える。
  • Masao Funakoshi
    1989 年 31 巻 1 号 p. 95-101
    発行日: 1989/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    牛副腎皮質のミトコンドリアおよび小胞体において, phenytoinによるsteroidogenesisに及ぼす影響を0.1μCi4-14C-cholesterol, 0.01μCi4-14C-17α-hydroxyprogesterone, deoxycorticosteroneおよびNAD-PH-generating systemを用いて検討した。ミトコンドリアにおけるcholesterol側鎖切断活性はphenytoin0.1μMで促進されたが, それ以上の濃度では抑制された。また, steroid 11β-hydroxylase活性はphenytoinにより抑制された。これに対して小胞体におけるsteroid 21-hydroxylase活性はphenytoin 1μMおよび10μMで軽度に促進した。phenytoinは, また, 牛副腎皮質ミトコンドリアーmalateにおいてmodified type I spectrumを作ることが認められた。
  • Etsuro Hoshino, Michiko Sato, Sasano Takashi, Kohichi Kota
    1989 年 31 巻 1 号 p. 102-106
    発行日: 1989/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ヒトロ腔内でトランジスターpH電極 (pH-ISFET) 上に蓄積させた細菌叢は, ヒトの歯のエナメル質表面に形成された歯垢と, 細菌数, 細菌構成の両方の点で類似していた。したがって, このpH電極上に細菌を蓄積させ, そのpH変化を測定する事によって, 歯垢中のpH変化の測定の代用とする事が可能である。この細菌叢構成細菌の主たるものは偏性嫌気性菌であった。また, 大多数が酸産生菌であり, この事が, 細菌叢に1%グルコースまたはスクロースを与えると, いずれの場合もpHが急激に4台にまで低下した理由であると考えられた。
  • Tsuyoshi Horio, Yojiro Kawamura
    1989 年 31 巻 1 号 p. 107-111
    発行日: 1989/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
  • Yoshiaki Kishi, Karoku Kai, Hideo Toris, Yuri Tsumuraya, Kazuto Takaha ...
    1989 年 31 巻 1 号 p. 112-114
    発行日: 1989/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
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