離乳期である3週齢ラットと咬合完成期である6週齢ラットの下顎頭を用い, 咀嚼様式の変化に対する線維層の組織変化を透過型電子顕微鏡で観察した。3週齢の線維層を形態学的に2層 (F
1層, F
2層) に区分した。F
1層は線維芽細胞様細胞とマクロファージ様細胞が観察され, 基質は顆粒状, 細網状物質と疎に配列する太さ均一な (30~50nm) 膠原線維とelastinをともなわないmicrofibrilよりなっていた。辺縁部では滑膜細胞層へ連続的に移行していた。まれに, 細胞分裂像が観察された。F
2層は細胞内小器官の発達した線維芽細胞よりなり, 基質には不均一な太さ (40~100nm) をもつ膠原線維が密に配列し, その間に弾性線維が存在していた。6週齢では, 3週齢にみられたF
1層はほとんど観察されなく, 最表層まで膠原線維が密に配列していた。F
1層は滑膜細胞層に類似した超微構造をもち, 3週齢まで下顎頭を被覆し, 咬合運動が活発化する6週齢までに消失する細胞層であることが判明した。
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