歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
32 巻, 1 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 村山 真人, 平松 正彦, 柏俣 正典, 佐藤 顕正, 上田 和也, 宇井 和彦, 南 直臣
    1990 年 32 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    マウスの代表的な咀嚼筋である咬筋のNAGの性質について検討した。組織ホモジネートでのNAGの至適pHは4.3であり, 基質 (p-nitrophenyl-N-acetyl-β-glucosaminide) に対するKm値は0.98mMであった。ホモジネート上清を等電点分画した結果, 4種のNAG (NAG I-IV) が認められた。NAG I, II, IIIおよびIVの等電点は, それぞれ4.9, 6.4, 7.2および8.7であった。各NAGの至適pH (4.2-4.4) はホモジネートでの至適pH (4.3) とよく一致し, さらに, Km値は0.61-0.83mMの範囲にあった。分子量はNAG IとIIIが135,000, IIが120,000, IVが110,000であった。熱安定性について検討した結果, NAG IIとIIIが, IとIVに比べてやや高い安定性を示した。各NAGともにN-acetyl-glucosamineとN-acetyl-galactosamineにより濃度依存的に阻害され, N-acetyl-galactosamineがより強い阻害作用を示した。金属イオンの影響について検討したところ, 各NAGともにMn2+イオンで活性化されたが, Ag+とHg2+イオンにより強く阻害された。
  • 嶋本 達家, 福井 一博, 児玉 孝雄, 下野 勉, 太田 寛行, 加藤 慶二郎
    1990 年 32 巻 1 号 p. 10-19
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    齲蝕の発生に深く関与するプラーク内の細菌叢では絶えず酸素に触れ, 酸素に対し防御できる細菌は初期歯垢内で優勢種となる可能性がある。これらの観点からS. mutans Ingbritt株の酸素耐性機構を調べる目的で, グルコース制限下での増殖に対する酸素の影響を検討した。増殖速度は, 好気条件下では, 嫌気条件の場合に比べて若干の低下 (30%) はあったが, 増殖収率は, ほぼ同じ値 (35g/mol) を示した。嫌気および好気培養細胞の過酸化水素感受性とグルコース依存の酸素代謝諸活性のうち, スーパーオキサイドの産生とスーパーオキシドジスムターゼ活性に差異はみられなかったが, 好気培養細胞の過酸化水素還元活性は, 嫌気培養細胞の約2倍であった。また, 好気培養細胞は過酸化水素を添加した嫌気培養において, 嫌気培養細胞より過酸化水素に対して耐性がみられた。これらの結果から, S. mutans Ingbritt株の酸素耐性機構に高いパーオキシダーゼ活性が一翼を担っていることが示唆された.
  • 逢坂 文博, 朝波 惣一郎, 木崎 治俊, 桜田 知己, 田中 陽一
    1990 年 32 巻 1 号 p. 20-27
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    9, 10-dimethyl-1, 2-benzanthracene (DMBA) 誘発ハムスター舌扁平上皮癌および前癌病変の細胞蛋白質を2次元等電点-SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分析した。主なポリペプチドの大多数はいずれの病変においても共通していたが, 舌癌では正常舌粘膜に比べ, 著しい差異 (大きさ, 染色性) を認めた13個のポリペプチドが存在していた。8個のポリペプチドは減少, 3個のポリペプチドは増量が見られ, また2個のポリペプチドは新たに出現していた。しかしながら, 新たな2個のポリペプチドは上皮異形成においても認められ, 癌に特異的なものではなかった。また上皮異形成では異形成の程度により正常に近いものから, 癌とほぼ一致したものまでポリペプチドパターンに差異が見られた。これらの結果から2次元電気泳動法は正常粘膜の癌細胞への形質転換を検索する有効な方法として期待される。
  • 土門 卓文
    1990 年 32 巻 1 号 p. 28-49
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    本研究は硬組織吸収細胞である破骨細胞とその吸収窩との位置的関係を正確に把握し, 並びに破骨細胞の移動に伴う微細形態の変化を三次元的に明らかにするために行ったものである。実験では, マウス骨髄より得た破骨細胞をクジラ象牙質研磨片上に培養し, これらの細胞を透過型電子顕微鏡で観察した。その結果, 破骨細胞は不規則な外形を示し, 既に形成された吸収窩とずれた位置にあり, また伸びだしている細胞体の一部には膜様足が観察された。これらのことから, この破骨細胞は移動時期のものと判断した。既に形成された吸収窩側の細胞体中には, 複雑に入り組んだ膜系集合体が観察され, この膜系は移動に伴う波状縁の細胞膜の収支に関連する構造と考えられた。移動時期における波状縁は指状と板状の突起から構成されていた。また, 新たに形成された吸収窩に一致して発達した板状の突起が観察された。
  • 吉川 仁育, 小川 康, 西本 雅弘, 寺町 好平, 出口 敏雄
    1990 年 32 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2010/09/28
    ジャーナル フリー
    各々の顎顔面骨格型態と下顎側方歯群の歯根彎曲との関係について調査した。
    材料として矯正初診患者のうち一定の条件を満した130症例のオルソパントモX線写真を用い, 下顎側方歯部の歯根の近遠心への彎曲について判定した。そして, 頭部X線規格写真より判定した顎顔面骨格型との関係について有意差検定を行って次の結果を得た。
    骨格性下顎前突症のうちANB<-2°を示す症例における下顎第1臼歯, 第2小臼歯は他のグループと比較して有意な差をもって近心に彎曲していた。したがって重度の骨格性下顎前突症においては, 顎基底部と歯槽骨部の成長速度の差によって歯根の近心彎曲が誘発されることが示唆された。
  • Kazushige Sasamoto, Guixin Zhang, Makoto Iwasaki
    1990 年 32 巻 1 号 p. 57-68
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ラットの大脳皮質の二つの領域の連続電気刺激により, 二つの異なる型のリズミカルな顎運動 (RJM) が誘発された。第1型は第1次顎運動野から誘発され, 常に開口運動が先行し, 高頻度 (5~7Hz) の単純な顎の開閉運動からなるものであった。前顎二腹筋の筋電図活動は, 個々の刺激に対し一定の潜時で応じる刺激結合型のものであった。第2型は島皮質腹側部から誘発された。第1型と対照的に, この型のRJMは多くの例で閉口運動から開始した。大きく複雑な側方および前後運動を持ち, RJMの頻度は低かった (3~4Hz) 。前顎二腹筋筋電図は刺激結合型成分を持たなかった。これらのRJMの型は刺激部位により決定され, 刺激強度や頻度の変化には影響されなかった。これらの皮質RJM領域の片方を破壊しても, 他方の刺激により誘発されるRJMの型には影響がなかったので, これらの領域は互いに独立して機能していると考えられる。
  • Isao Mizuno, Noriaki Saburi, Nozomu Taguchi, Toshio Kaneda, Takeshi Ho ...
    1990 年 32 巻 1 号 p. 69-79
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    離乳期である3週齢ラットと咬合完成期である6週齢ラットの下顎頭を用い, 咀嚼様式の変化に対する線維層の組織変化を透過型電子顕微鏡で観察した。3週齢の線維層を形態学的に2層 (F1層, F2層) に区分した。F1層は線維芽細胞様細胞とマクロファージ様細胞が観察され, 基質は顆粒状, 細網状物質と疎に配列する太さ均一な (30~50nm) 膠原線維とelastinをともなわないmicrofibrilよりなっていた。辺縁部では滑膜細胞層へ連続的に移行していた。まれに, 細胞分裂像が観察された。F2層は細胞内小器官の発達した線維芽細胞よりなり, 基質には不均一な太さ (40~100nm) をもつ膠原線維が密に配列し, その間に弾性線維が存在していた。6週齢では, 3週齢にみられたF1層はほとんど観察されなく, 最表層まで膠原線維が密に配列していた。F1層は滑膜細胞層に類似した超微構造をもち, 3週齢まで下顎頭を被覆し, 咬合運動が活発化する6週齢までに消失する細胞層であることが判明した。
  • Aiko Kamada, Masahiro Kawamura, Ken-ichi Nakamichi, Tetsuya Sakaki
    1990 年 32 巻 1 号 p. 80-82
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
  • Toshiro Ono, Takayuki Yoshida, Chofuku Hoh, John Edward Davies, Toshir ...
    1990 年 32 巻 1 号 p. 83-86
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
  • Takashi Sawada, Takaaki Yanagisawa, Shosaburo Takuma
    1990 年 32 巻 1 号 p. 87-89
    発行日: 1990/02/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
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