骨の代謝の機構には日内変動があることが知られている。顎顔面頭蓋部における日内変動の時間構造や変動の大きさを正確に把握することは歯科矯正臨床にとっても重要であるため, 本研究では, 規則的な明暗サイクル (明期: 7: 00-19: 00) に適応させた成長期のラットを用い, とくに下顎頭における基質合成・分泌活性の日内変動について, 一定時間内における
3H-prolineの取り込み量を指標としたオートラジオグラフィーによる解析を行った。
その結果, 軟骨の各細胞層および軟骨下の骨梁骨骨芽細胞におけるプロリン取込活性には, 13時に最高, 1時に最低となる明瞭な日内変動が認められた。また, プロリン取込活性の高かった肥大軟骨細胞や骨梁骨骨芽細胞のコラーゲン性基質分泌活性にも同様に大きな日内変動の存在が確認され, 最高値 (13時) の最低値 (1時) に対する比は, それぞれ約240, 190%に達した。
以上の結果より, ラット下顎頭の軟骨細胞と骨芽細胞のプロリン取込活性および基質分泌活性には明期 (ラット休息期) 中期 (13: 00) を最高, 暗期 (ラット活動期) 中期 (1: 00) を最低とする明瞭な日内変動が存在することが確認された。
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