歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
37 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 松本 林, 荒木 勉, 弘田 克彦, 河田 照茂, 北村 清一郎, 山下 菊治
    1995 年 37 巻 3 号 p. 171-182
    発行日: 1995/06/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    ヒトの象牙質の頬舌と歯軸方向の6部位での自己蛍光強度の加齢的な変化を, 高速・時間分解・顕微蛍光測定装置を用いて検討した。静的な蛍光測定では, 蛍光強度はすべての部位で加齢に伴って増加した。動的な蛍光測定では, 蛍光スペクトルでピーク強度波長を示す440nmでの自己蛍光に少なくとも3つの蛍光成分の存在が示唆された。いずれの成分の蛍光強度も, すべての部位で加齢により増加したが, 増加の様子には差がみられた。蛍光の減衰速度が最も速い成分では, 蛍光強度が18歳以後加齢に比例して増加したのに対し, これより減衰速度の遅い他の2成分では, 蛍光強度の増加の度合が加齢とともにゆるやかになった。また, 静的な蛍光強度に対する3成分の蛍光強度の比率の加齢的な変化には, 歯軸方向で部位差がみられ, 加齢に伴い, 歯冠象牙質では減衰速度の最も速い成分の比率が増加したのに対し, 根尖象牙質では速度の最も遅い成分の比率の減少が特徴であった。
  • Hidemoto Murakami
    1995 年 37 巻 3 号 p. 183-193
    発行日: 1995/06/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    α-D-Nacetylneuraminyl cholesterol (α-SC) は神経細胞の活性化に影響を及ぼすことが示唆されている。本研究では, 舌下腺および顎下腺に及ぼすα-SC (1, 10mg/kg, p.o) の効果について正常マウスおよびレセルピン (0.5, 1mg/kg, s.c.) 処置マウスを用いて検討した。α-SCは正常マウスの舌下腺内のACh含量を増大させ, 顎下腺内および舌下腺内のCh含量を減少させた。交感神経終末においてノルエピネフリンの貯蔵を涸渇させるレセルピンは, 舌下腺内および顎下腺内のAChおよびCh含量を増大させた。α-SC (1mg/kg) はレセルピン処置マウスの舌下腺および顎下腺内ACh含量の増大を抑制したが, Ch含量の増大に対しては無効であった。α-SCは正常およびレセルピン処置マウスのピロカルピン誘導唾液分泌をさらに増大した。以上のことから, α-SCは副交感神経系に何らかの影響を及ぼし, 唾液分泌反応を促進することが示唆される。
  • Masako Takeda, Yuko Suzuki, Nobuko Obara, Yasuko Nagai
    1995 年 37 巻 3 号 p. 194-200
    発行日: 1995/06/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    成熟dd-マウスの有郭乳頭をタンニン酸とグルタールアルデヒド, およびパラホルムアルデヒド混液で前固定後, オスミウム酸で後固定し, エポンにより包理し, 透過電子顕微鏡で観察した。多数の球形の高電子密度の小体 (直径70~500nm) が, I, II, III型の細長い味蕾細胞の頂上部胞体と, 味孔内の微絨毛の間に見られた。この小体を高倍率で観察すると, 5nmの間隔を持つ同心円状の構造を呈した。これは, リン脂質を含むものに特徴的に見られる像であり, 固定液中のタンニン酸がリン脂質の構成成分のコリン塩基と結合して, 不溶性物質を作ったものと考えられる。すなわち, 味蕾細胞の中のリン脂質は, in vivoでは, 頂上部胞体に拡散しており, それが味孔内に放出され, 味物質の溶解性を促進する界面活性剤として働くことにより, 味蕾細胞の微絨毛膜への味物質の吸着を容易にするものと推測される。
  • 哺乳類エナメル質とサメエナメロイドを比較したin vitroう蝕実験
    北島 俊秀, 磯川 晶子, 平野 透子, 青葉 孝昭
    1995 年 37 巻 3 号 p. 201-215
    発行日: 1995/06/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    本研究では再石灰化反応における歯質に含まれるフッ素の役割を明らかにする目的で, 哺乳類 (ヒト, サル, ブタ, イヌ) の歯とサメの歯を材料に選び, in vitroにおいて乳酸を含む酸性ゼラチン溶液を用いてpH4.5とpH3.5の条件下で酸脱灰を行った。また, これら哺乳類エナメル質およびサメエナメロイドの化学組成と溶解度を測定した。本研究で得られた結果として, 1) 哺乳類エナメル質においては, いずれのpH条件においても表層部に高石灰化層を伴う表層下脱灰病巣が形成されたが, サメエナメロイドにおいてはいずれのpH条件においても脱灰病巣の表層部と脱灰前線部において石灰化の高まりを示す層は形成されなかった。2) ヒトエナメル質での脱灰病巣部では顕著な元素組成の変化 (F量は増加し, Mg量は減少) が認められたが, サメエナメロイドの脱灰病巣ではF量の増加を検知することはできなかった。3) エナメル質結晶は炭酸アパタイト (CA) と類似した溶解度をもち, その溶解度はハイドロキシアパタイト (HA) や合成アパタイト (FCA, FA) の溶解度より高いこと, またサメのエナメロイド結晶はFCAに類似した溶解度をもつことがわかった。以上のことから, 歯質に含まれているフッ素は歯質の溶解性を低下させ, う蝕病変の進行を遅らせるが, 他方, 高濃度のFを含む歯質表面では脱灰に併って溶出される格子イオン濃度が低く抑えられるため, 再石灰化反応の駆動力が小さくなり, 必ずしも表層下脱灰病変の成立に結びつかないことが明らかにされた。
  • 中山 二博
    1995 年 37 巻 3 号 p. 216-231
    発行日: 1995/06/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
    歯根と歯根膜のコラーゲン線維 (collagen fibers, 以下, CF) の連結過程を調べるため, 12日齢ラットの上顎第一臼歯近心根を上皮鞘被覆部, 上皮鞘分断部および上皮鞘消失部に分け, 光顕, 透過・走査電顕で観察した。
    上皮鞘被覆部では, 象牙質内部のコラーゲン原線維 (collagenfibrils, 以下, CF1) 網から細いCF1が歯根表面に垂直に伸びていた。上皮鞘分断部では, 象牙質表層のCF1は上皮鞘被覆部より密で細かい網目構造を呈し, しかも内エナメル上皮細胞が象牙質から離れたところでは歯小嚢のCF1束の末端が木の根状に広がってCF1網と絡み合っていた。そして上皮鞘消失部では, この絡み合った部分は歯根表面に分泌された顕粒物質によって包埋されていた。
    以上より, 歯根と歯根膜のCFの連結は, 象牙質表層のCF1網に歯小嚢のCF1の末端が絡み合い, そこを顆粒物質が包埋することにより起こることが確かめられた。
  • Keigo Ogata, Mitsuko Shinohara, Akira Tani, Hirosuke Sagawa, Masaki Ka ...
    1995 年 37 巻 3 号 p. 232-235
    発行日: 1995/06/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
  • Hisashi Fujita, Takao Suzuki, Shinji Harihara
    1995 年 37 巻 3 号 p. 236-242
    発行日: 1995/06/20
    公開日: 2010/10/28
    ジャーナル フリー
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