唾液腺における老化現象と細胞死との関連を調べる目的で, スナネズミ (生後3カ月から39カ月) の耳下腺および顎下腺腺房細胞を電子顕微鏡的に観察した。細胞死に関連していると思われる細胞として, アポトーシス様のクロマチン凝縮像を示す核をもつ細胞 (Type I細胞), 粗面小胞体の拡張を特徴とし, 核クロマチンの凝縮像をもつ細胞 (Type II細胞), ネクローシスの特徴を示す細胞 (Type III細胞), 顕著な空胞構造と核クロマチンの凝縮像をもつ細胞 (Type IV細胞) の4つのタイプが区別できた。Type I細胞は耳下腺で単独に認められ, 生後36カ月以降増加傾向を示した。Type II, III, IV細胞は耳下腺と顎下腺で集団的に観察され, 生後18カ月以降増加傾向を示した。さらに, アポトーシス小体様構造物が腺房細胞に認められることがあり, 生後18カ月以降増加傾向を示した。
TUNEL陽性反応が核に認められた細胞はその出現状況から, 単独に認められた陽性細胞はType I細胞に相当し, 集団的に認められた陽性細胞はType II, III, IV細胞に相当すると思われた。また, ときどき細胞内に果粒状に陽性反応の認められた細胞はアポトーシス小体様構造を示していると推測された。
今回の観察結果より, スナネズミ耳下腺および顎下腺においてこれら4つのタイプの形態が腺房細胞数の減少と関連していると推測された。
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