歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
39 巻, 5 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • Takeshi Odajima, Mihoko Onishi
    1997 年 39 巻 5 号 p. 557-564
    発行日: 1997/10/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ミエロペルキオキシダーゼ (MPO), ラクトペルオキシダーゼ (LPO) の2, 4-bis (O-methoxypolyethy-lene glycol) -6-chloro-s-triazine (活性化ポリエチレングリコール: PEG2) による化学修飾を試みたPEG2-MPO, PEG2-LPOの吸収スペクトルの可視領域の極大波長および形状は未修飾酵素のそれらとほとんど差異がなかった. PEG2修飾MPO, LPOは未修飾MPO, LPOの抗体に対する抗原性を失った. 酵素活性をo-メトキシフェノールの過酸化反応および塩基性フクシンのハロゲン依存性酸化分解反応を指標として調べた. 未修飾酵素の活性を100%とすると, PEG2-MPOのo-メトキシフェノールの過酸化反応活性は43.9%, 塩基性フクシンのハロゲン依存性酸化分解反応活性は37.5%であった. PEG2-LPOでは, それぞれ68.3%, 25.0%であったPEG2-MPO, PEG2-LPOが触媒するo-メトキシフェノールの過酸化反応および塩基性フクシンのハロゲン依存性酸化分解反応のpH依存性は未修飾酵素がこれらの反応を触媒するときにみられるpH依存性とほぼ同じであった.
    本研究によって, 抗原性を喪失し, 本来の触媒活性を有する修飾MPO, LPOの合成が可能となった.
  • Atsuko Sato, Shinichi Ukon, Miyuki Hamano, Sakuichiro Miyoshi
    1997 年 39 巻 5 号 p. 565-571
    発行日: 1997/10/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    この論文は歯肉着色の原因となり, 長期に埋入した金属片に対するヒト歯肉組織の反応に関するものである. 6年前に銀合金による支台築造がなされ金属冠が装着された左側上顎第1大臼歯周囲の着色した口蓋歯肉と歯間乳頭を光学顕微鏡, 透過型電子顕微鏡, 分析電子顕微鏡によるX線元素分析を用いて検討した. 6年後においても多くの各サイズの黒色または暗褐色の沈着物が粘膜固有層に認められた. 微細な電子密度の高い粒子は線維芽細胞の中に観察された. たまに微細な電子密度の高い粒子を有する大食細胞が観察された. X線元素分析により沈着物からは硫化銀, 硫化錫と鉄が検出された. 微細な粉粒子が歯肉上皮細胞間や細胞内の吸飲小胞の中に観察され, この粒子からは鉄もまた検出された. この元素は, 切削のスティール・バーから由来したものと考えられる. 鉄は細胞の更新によっていずれ排出されるものと思われるが, 硫化銀や硫化錫の沈着物は上皮内に認められず, 歯肉着色は永久に残るものと結論される.
  • Chun-Lin Qin, Masaru Murata, Hitoshi Nagatsuka, Masahisa Inoue, Noriyu ...
    1997 年 39 巻 5 号 p. 572-582
    発行日: 1997/10/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    異所性骨形成における加齢の影響を明らかにするために, 部分精製BMPとI型コラーゲン複合体を4週, 10カ月, 18カ月齢ラット皮下に埋入し, 経時的に摘出物にHE染色を施して形態学的観察をすると共に, ALP活性とカルシウム含量を測定した. 埋入14日後, 4週齢と10カ月ラットでは骨が観察されたが, 10カ月ラットのカルシウム含量は4週齢ラットの66%であった. 埋入21日後, 10カ月ラットのカルシウム含量は4週齢ラットの63%であった. 18カ月ラットでは埋入21日後にはじめて, わずかな骨が観察された, そのカルシウム含量は4週齢ラットの14%であった. ALP活性は各年齢群の骨形成開始期に一致して上昇を示しているが若いラット群ほど高値を示した. 以上のことからラットの加齢により部分精製BMPによる異所性骨形成は遅延し, その量は減少を示したが, 18カ月齢ラットにおいても骨誘導能が維持されることが示された.
  • Takeshi Odajima, Mihoko Onishi
    1997 年 39 巻 5 号 p. 583-593
    発行日: 1997/10/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    一酸化窒素 (NO) と, 還元型ミエロペルオキシダーゼ (MPO) および還元型修飾MPO (シトクロムオキシダーゼ様誘導体) との結合物について, 吸収スペクトルと電子スピン共鳴 (ESR) スペクトルを測定した. 吸収スペクトルからMPOは低濃度高濃度のNOの存在下で2種類の異なるNO結合物を生成し, 修飾MPOはNOの濃度にかかわらず結合物は1種であることが明らかになった. NOに対する結合はMPOではヘム鉄とポルフィリン環のホルミル側鎖の2カ所, 修飾MPOでは修飾によりホルミル側鎖のNOに対する反応性を失い, ヘム鉄1カ所であることが示唆された. ESRスペクトルはMPOのNO結合物ではヘムの6配位状態に特徴的な3組の3本線の超微細構造を示し, 修飾MPOのNO結合物ではヘムの5配位状態に特徴的な1組の3本線の超微細構造を示した. 第5配位子はタンパク質部分のヒスチジン残基のNが考えられる. MPOがNOと結合する生物学的意義は, 常磁性を有するNOを補捉し, その不対電子を消去する生体防御系としての役割が考えられる.
  • 徳島 貴子
    1997 年 39 巻 5 号 p. 594-604
    発行日: 1997/10/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    多くの骨吸収因子は, 内因性プロスタグランジン (PG) の産生を介し, 破骨細胞形成することが知られている. 最近, PG合成酵素 (PGHS, シクロオキシゲナーゼ; COX) には, PGHS-1とPGHS-2の2つのアイソザイムが存在することが明らかとなった. そこで, 破骨細胞形成, 分化過程におけるPGHSアイソザイムの発現の変動をマウス骨髄細胞培養系を用いて検討した. 培養系に副甲状腺ホルモン (PTH), PGE2を添加すると7~8日間で破骨細胞が形成される. そこで培養開始後3~8日目におけるPGHS-1, PGHS-2蛋白の発現を経日的に免疫染色し, その発現量を定量化するとともに, 生細胞におけるPG合成活性を生細胞活性測定法を用いて検討した. その結果, 破骨細胞形成刺激因子を添加しない細胞では, PG合成活性, PGHS-1, PGHS-2蛋白の発現はともに全く認められなかったが, 添加した細胞では経日的にPG合成活性の上昇が認められた。しかもPGHS活性は, 骨芽細胞に比較し, 単核細胞で高値を示すとともに, 酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ陽性単核細胞にのみ認められた。さらにまた, その活性は培養前期ではPGHS-2の選択的阻害剤であるNS-398の添加によって抑制されなかったが, 培養後期ではNS-398で有意な抑制が認められた。また, PGHS-1蛋白の発現は, 3~8日に培養期間中ほぼ一定であったが, PGHS-2蛋白の発現は培養中期, 後期で上昇していた。
    以上の結果は, 破骨細胞形成過程におけるPGHS-2の重要性を示すとともに, 単核細胞側におけるPG合成が破骨細胞の形成, 分化に関与する可能性を示唆している。
  • 川崎 弘二
    1997 年 39 巻 5 号 p. 605-613
    発行日: 1997/10/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    疎水/親水性, すなわち, ぬれ性状の尺度である界面張力の測定は, 一般に液滴法による接触角測定が用いられる。ところが, この方法で生体高分子を測定しようとすると, 乾燥によるコンホメーション変化の可能性があり, 必ずしも, in situの情報を得ることにはならない。そこで, これが問題とならない, タンパク質吸着固体表面のぬれ性状を測定する方法を開発した (特許出願中)。この方法により, 各種フッ素系界面活性剤で表面処理したシリカガラスへのタンパク質の吸着挙動とその表面性状を調べた。ヒト血清アルブミンはいずれの表面にも吸着し, その表面はintactでは非常に親水性であるという結果を得た。また, 固体表面への吸着の初期過程におけるぬれ性状から, タンパク質の吸着挙動の動的側面についての情報も得られることがわかった。
  • Yoshiyuki Shibukawa, Takashi Suzuki
    1997 年 39 巻 5 号 p. 614-617
    発行日: 1997/10/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
  • Jiro Arai, Yoshihiro Abiko, Michiko Nishimura, Masato Saitoh, Tohru Ka ...
    1997 年 39 巻 5 号 p. 618-621
    発行日: 1997/10/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
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