歯科基礎医学会雑誌
Print ISSN : 0385-0137
40 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 斉藤 博, 伊藤 一三
    1998 年 40 巻 2 号 p. 85-95
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    アルカリ液による消化法を用いて, 走査型電子顕微鏡 (SEM) でウサギの舌中隔部の立体観察を行った. 細胞を消化した舌中隔の矢状断面において, 横舌筋の起始部は直径8~18μmのすりばち状陥凹として観察された. また横舌筋の指状微突起が入っていた直径0.3~1.2μmの陥凹が, 緻密な膠原線維束の中に観察された. 舌中隔の膠原線維網は2種に分けられた. 1つは横舌筋線維端から伸びる線維で, 舌中隔を横断して左右の横舌筋線維を結びつけていた. もう1つは舌中隔の中を, 舌の背腹方向に走る膠原線維網で, この線維の一部は, 垂直舌筋の結合組織鞘から伸びていた. この二方向に走る膠原線維網は, 横舌筋起始部の支持体としての役割を持つと考えられた. また膠原線維を消化した試料の観察から, 一部の垂直舌筋線維は舌中隔に接していた. これは舌中隔の背腹方向の緊張度の調節に役立っていると推察された.
  • 第3報 筋線維間の膜電位感受性の相違の発生原因
    高橋 雅幸
    1998 年 40 巻 2 号 p. 96-107
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    下顎下制筋線維間の膜電位感受性の相違の発生原因はfeet付着部T管膜表面の興奮収縮連関入力機構にあることからconcanavalin A-ferritin (Con A-F) をトレーサーとして同機構の分子動態の相違について電顕的に検討を行った. その結果, 筋線維が静止状態では, 膜電位感受性大の筋線維の方が小の筋線維に比較してConA-FはよりT管遠位側に位置していた. 活動状態では, 両者ともCon A-FはT管遠位側に移動したが, その移動量は膜電位感受性大の筋線維の方が大きかった.
    以上より, 筋線維間の膜電位感受性の相違は, 興奮収縮連関入力機構部に存在する機能構造体 (electrometrin) の膜電位変化に伴う機械的動きの相違によるものであることが示唆された.
  • 佐藤 由紀江
    1998 年 40 巻 2 号 p. 108-119
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    胎生期でのop/opマウスの判別, また同腹マウスでのop/+, +/+の判別を分子遺伝学的に確定した実験を行うため, 新しい交雑系の大理石骨病マウスを作成した. B6C3Fe-a/a-op/+とA/WYSNJマウスの交配によりF1マウスを作成後, F1マウス同志を交配してF2マウス63匹中, op/opマウスの性状を示すマウスを14匹得た. F1マウスではすべてに歯牙の萌出がみられ, また得られたF2-op/opマウスの出現率は約22%であり, 劣性形質で単一の遺伝子であることが確認された. 新しい交雑系のF2-op/opマウスの病理組織学的検索は従来のop/opマウスの所見とほぼ一致した. この結果, 今後この新しい系を用いて病理学的および分子遺伝学的手法による研究への応用の道が開けたと考える.
  • 特に前頭断面での型分類について
    室野井 基夫
    1998 年 40 巻 2 号 p. 120-126
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    ヒト頭蓋の側頭骨と頭頂骨を連結する鱗状縫合部について10~89歳の1, 170症例をレ線的に, また50~87歳の17症例を組織学的に観察した. レ線的に, 鱗状縫合部に離開がみられないcontacted (C) 型, 離開があるseparating (S) 型, 離開と偏位があるmixed (M) 型, 側頭骨鱗部辺縁が頭頂骨外側を覆うoverlapping (O) 型の4型に分けられた. 4型の頻度では, 性差はなく, 左右ともC型とS型が多かった. C型以外の型は, 若年者に比べ, 高齢者に多かった. 脱灰光顕像での縫合部の基本構造は, 側頭骨と頭頂骨を連結する結合組織線維束と豊富な脈管よりなり, 結合組織線維は骨内に埋入していた. 軽度の変化として, 血管, 細胞成分が減少し, 膠原線維の硝子化, 石灰化が認められた. 高度の変化として, 膠原線維の走行の規則性が失われ, 骨吸収あるいは添加を伴う縫合面と平行に走行する膠原線維がみられ, また著しい骨改造による嵌合や癒合が認められた. 縫合部の膠原線維の走行や組織学的変化は外力に対応すると考えられ, レ線的および組織学的所見より, 離開と偏位がある鱗状縫合部は, 外力に対する機能的な役割をもつことが判明した.
  • Mayumi Saito, Shigeru Saito, Yasushi Nakamura, Tomio Morohashi, Shoji ...
    1998 年 40 巻 2 号 p. 127-136
    発行日: 1998/04/20
    公開日: 2010/06/11
    ジャーナル フリー
    1人の成人外科矯正患者より同意を得て採取した下顎皮質骨由来の骨細胞, 下顎第1小臼歯由来の歯根膜細胞ならびに上顎臼後結節由来の歯肉細胞をそれぞれ培養した. 各細胞の増殖, 細胞内アルカリフォスファターゼ (ALPase) 活性, 各細胞が産生するプロスタグランディンE2 (PGE2), さらには骨吸収活性を同じ継代数で比較検討した. その結果, すべての細胞は経時的に有意な増殖を示し, なかでも歯根膜細胞が他の2細胞よりも強い増殖を示した. 細胞内ALPase活性も増殖能同様, 経時的に有意な増加を示し, その大きさは骨細胞>歯根膜細胞>歯肉細胞の順であった. また各細胞の増殖, PGE2量, 骨吸収活性を各継代数ごとに比較した結果, 継代4, 5代目の細胞がすべての測定項目で継代6, 7代目の細胞に比べ強い活性を有していた. さらにインドメタシンの添加は各細胞の産生するPGE2を完全に阻害するが, 試薬無添加の歯根膜細胞の培養上清が有する骨吸収活性はインドメタシンで前処理しても部分的な抑制にとどまった. 以上より, 歯根膜細胞の培養上清中に存在する骨吸収促進因子はPGE2だけでないことが示された.
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