ウサギにおいて粉末飼料飼育 (離乳直後5週齢から成獣時18週齢まで) が咬筋筋線維に及ぼす影響をタイプI, IIA, IIBの3種類についてミオシンATPaseならびにSDH染色法にて検討した. その結果, 実験群の筋線維の直径は対照群 (固形飼料飼育) と比べて, タイプI線維は43.9 (対照群, n=1, 809) から35.3μm (実験群, n=1, 462) に, IIA線維は55.0 (対照群, n=722) から50.1μm (実験群n=1, 410) に有意に減少したが, IIB線維では有意な変化はみられなかった. 計測した全筋線維数に占める各タイプの筋線維数の割合 (構成比率) は, タイプI線維は対照群と比較して統計的に有意に減少した (対照群: 40.7%, 実験群: 29.3%). 一方, IIA線維は有意な増加を示した (対照群: 17.6%, 実験群: 30.5%). 過去の筋に対する負荷を低下させた四肢筋での研究では, 負荷の低下はSとFRタイプの運動単位に属するタイプIとIIA線維の萎縮を引き起こすだけでなく, ミオシン重鎖の出現型をI→IIa→IId/x→IIbと変化させることが明らかにされている. したがって, 粉末飼料飼育による負荷の低下は, SならびにFRタイプの運動単位の活動量を低下させ, その結果, タイプIとIIA線維に萎縮が生じたと思われる. また, タイプI線維の構成比率の減少と, タイプIIA線維の構成比率の増加の背景には, おそらくミオシン重鎖のI型からIIa型への変換が存在すると思われた.
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