骨芽細胞様細胞MC3T3-E1において観察される電位依存性Ca
2+チャネルの電気生理学的性質と薬理学的性質を, 穿孔全細胞固定法により解析した. 電位レベルを-104mVの保持電位からステップパルスにより脱分極させると, この細胞は, 10mM Ba
2+溶液中で一過性の内向き電流 (-4.25±0.25pA/pF, n=16) を示した. この内向きBa
2+電流の活性化の閾値は約-60mVであり, ピーク値は-40mVと-20mVの間に存在した. 内向きBa
2+電流の定常時の活性化と不活性化の曲線から, -70mVと-40mVの範囲においてウィンドー電流が観察された. Cd
2+ (0.1mM) は, 内向きBa
2+電流を約60%抑制した. Ni
2+ (0.1mM, T型とR型Ca
2+チャネルの阻害剤), ニフェジピン (5μM, L型Ca
2+チャネルの阻害剤), オメガコノトキシン (3μM, N型Ca
2+チャネルの阻害剤) およびオメガアガトキシン (200nM, P/Q型Ca
2+チャネルの阻害剤) は, この電流を抑制しなかった. Bay K 8644 (0.5μM, L型Ca
2+チャネルのジハイドロピリジン型促進剤) もBa
2+電流に影響しなかった. 以上の結果より, MC3T3-E1細胞には新しい種類のCa
2+チャネルが発現していることが示唆された.
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