真核細胞ではほとんどの場合, タンパク質の
de novo生合成は核内転写制御因子による遺伝子転写レベルでの制御を受ける. 今回われわれは, 糖尿病発症に伴い変動する転写制御因子を探索する目的で, ストレプトゾトシン (STZ) 投与による糖尿病発症モデルラットの脳および網膜を用いて, 転写制御因子Rel/NF-κBファミリーの構成タンパク質の1つであるp65の核局在性について検討を行った. イムノブロッティングアッセイ法により特異的抗体を用いた抗p65抗体陽性タンパク質を解析したところ, p65の核局在性 (核画分/可溶性画分) は大脳皮質, 海馬, 中脳および小脳ではいずれもSTZ投与群のほうが対照群動物よりも高かった. 一方, 線条体, 視床下部, 橋・延髄および網膜ではいずれもSTZ投与群でp65の核局在性は減少していた. 以上の結果より, STZ投与糖尿病モデル動物において, 脳および網膜内の転写制御因子の構成タンパク質の1つであるp65の核局在性が変動する可能性が示唆された.
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