マクロファージはほとんどの感染制御に不可欠であり, 自然免疫機構を担っている. 感染時には, lipopolysaccharide (LPS) がマクロファージを刺激し, 炎症性サイトカインを産生する. 近年, A 2 a adenosinereceptor (A 2 aR) が, 組織特異的および全身性炎症応答を抑制し終結させる負の生理的フィードバック機構に重要な役割を果たしていることが示された. 炎症を惹起するLPSと, 炎症を終結させるadenosine受容体との相互作用についての情報を得ることは有用かつ有意義である. しかしながら, 細菌感染時におけるA 2 aR発現に対する細菌由来LPSの影響についてはほとんど解明されていない. 本研究の目的は, マウスマクロファージ様細胞株であるRAW 264を用いて, A 2 aRおよびLPSの受容体であるToll-like receptor 4 (TLR 4) の発現に対する, adenosine, ATPおよびLPSの影響を検討することである. AdenosineおよびATPはRAW 264の増殖能には影響を与えなかったが, LPSは増殖能を増強させた. AdenosineはTLR 4発現を有意に増強させたが, A 2 aR発現には影響を与えなかった. ATPおよびLPSは, それぞれA 2 aRおよびTLR 4の発現を有意に増強させた. さらに, LPS存在下において, adenosineおよびATPはA 2 aRあるいはTLR 4発現のいずれにも影響を与えなかった. 以上の結果より, adenosine, ATPおよびLPSは, マクロファージにおけるA 2 aRおよびTLR 4発現に影響を与える可能性が示唆された.
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