この論文では2交替制ナース・スケジューリング問題に対して提案されているアルゴリズムの改善を試みる. 1998年に提案された池上・丹羽のアルゴリズムは, 看護婦の1ヶ月分の実行可能勤務パターンから最適なパターンを選び出すという部分問題を看護婦毎に設定し, これらを繰り返し解くことにより全体として実行可能な勤務表を作成していくものである. しかし部分問題を解くアルゴリズム自体は考えられておらず, 実際には実行可能勤務パターンをすべて列挙し, その都度全勤務パターンの評価計算をして比較するというものであった. よって, 効率よく実行可能解を見つけ出すと言われるものの実行可能解を与えるまでの時間に問題を抱えていた. この論文では, 部分問題を効率よく解くヒューリスティック解法を構築するために, 提案されているアルゴリズムの振る舞いを観察し, 解の改善過程において採用される勤務パターンの特徴を明らかにした. そして, 比較計算する実行勤務パターンを有効な範囲に絞り込むことによりスピードアップを図った. 改善されたアルゴリズムは提案されているアルゴリズムと同じ実行可能解を数倍から数10倍の速さで与えることができた.
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