厚生省によると1991年の視覚障害登録者は35万3千以上に達し,さらに早期に眼科リハビリテーション(眼科リハ)を要する高齢者および非登録の視覚障害者数が急増している。本稿では,1993年4月1日より開設した川崎医科大学附属病院眼科リハ・クリニックの活動状況を紹介した。1994年8月末日までの眼科リハ・サービス被施行者は18名(平均42.9歳)であった。眼科医,視能訓練士および眼科ソーシャルワーカーが彼等の残余視覚,視覚的補助具使用の可能性,歩行・日常生活活動(ADL)状況,さらに社会的・環境状態などから総合的評価を行った。5名(27.8%)は残余視覚を利用出来ず,13名(72.2%)が視覚的日常生活が可能なロービジョン者であった。10名には単眼鏡,拡大ルーペ,拡大読書器や遮光眼鏡の利用,8名には簡単な歩行や家庭での日常生活訓練,5名には現在の職業の継続援助,3名には職業訓練施設への紹介,2名には盲学校への入学を勧めた。今後の課題として,第1に,スタッフ間の詳細な情報交換,第2に,眼科リハ専用の部屋および設備の完備,そして第3に,より適切な訓練法や視覚的補助具の開発のための科学的研究である。
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