日本視能訓練士協会誌
Online ISSN : 1883-9215
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25 巻
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  • 三宅 養三
    1997 年 25 巻 p. 1-5
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 馬嶋 昭生
    1997 年 25 巻 p. 7-13
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    ごく一部の眼科医と,彼らを支持する少数のいわゆる知名人は「学校保健法に基づく一斉色覚検査を全廃せよ」という運動を執拗に続けてきたが,色覚とその異常の本質を理解している研究者と,多くの眼科医の強い反対によって阻止された。しかし,文部省は,「小学校4年生で1度だけ行う」というこれらの意見の折衷案か妥協案のような改訂を行った。本論文では,全廃論に対する反論,小学校1年生での検査の重要性,今後の対策として学校現場での正しい検査法や事後の措置などを解説した。眼科医や視能訓練士は色覚異常者の視機能を十分に考慮した指導や助言ができる学識を身に付けることの重要性,色覚検査廃止論者の好んで使う「異常者の差別」という言葉の誤りを指摘した。筆者は,個人の好まない学校現場での一斉検査が他にもあるのに,全廃論者が何故に色覚検査のみに執拗に拘泥するのかその真意を知りたい。
  • 川瀬 芳克
    1997 年 25 巻 p. 15-19
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 保沢 こずえ
    1997 年 25 巻 p. 21-24
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 梅田 千賀子
    1997 年 25 巻 p. 25-28
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 25 巻 p. 29-32
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 東 郁郎
    1997 年 25 巻 p. 33-40
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    緑内障の診断は,眼圧だけでなく,視神経乳頭,視野,隅角などの所見を基にして,その病態,病型,病期が確定される。緑内障の患者にとって大切と思っているのは視力であり視野で,その推移が最も気懸りなのである。
    基本的には初期の緑内障の視野障害はブエルム領域の孤立暗点と末端の鼻側階段が特徴であろう。初期の視野異常は中心30°以内に出現する確率が高く,この領域の変化を検知するために近年のコンピューター制御の自動視野計が開発されてきた(オクトパス,ハンフリーなど)。中心20°以内と鼻側30°域の鍵穴型の領域を静的自動視野では念入りに測定する。しかし,ゴールドマン動的視野計でしっかりと技術的に裏付けられた視野は緑内障の鑑別診断や病期の把握に有用で,特に高齢者や小児の場合に信頼がおけるし,進行状況の判断にも有用で,中期以降の進行例では何より大切である。
    本稿では緑内障の視野異常の検出の歴史,視野による病期診断,網膜神経線維層欠損と視野異常の関係,最近の各種視野計測法および視野変化の推移と評価について要点を記述した。
  • 粟屋 忍
    1997 年 25 巻 p. 41-44
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    弱視についての個別的な記述は18世紀あるいはそれ以前から散見されるが,体系づけられた概念として「弱視学」が台頭し始めたのは1950年代であった。初期には,消去法的な定義,分類が主流として受け入れられていたが,次第に積極的な原因的定義,分類へと変わり,今日,明確な弱視学が体系づけられるに至った。これらの定義,症候,分類,用語の変遷について考察を加えた。
    また,乳幼児の視力検査法としてPL法の種類や用語について解説を加えた。
  • 大西 克尚
    1997 年 25 巻 p. 45-47
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 視力,視野,まぶしさの機能的な評価の必要性
    中野 泰志
    1997 年 25 巻 p. 49-57
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 辻 史孝
    1997 年 25 巻 p. 59-64
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 日比野 清
    1997 年 25 巻 p. 65-67
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 川瀬 芳克
    1997 年 25 巻 p. 69-74
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 清水 みはる, 稲泉 令巳子, 寺本 恵美子, 澤 ふみ子, 中村 桂子, 内海 隆, 上野 正人
    1997 年 25 巻 p. 75-82
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    検眼用フレームとして現在普及しているものはフィット感や重さ,耐久性が十分とは言い難く,満足できるのがないのが現状である。そこで使いやすさや耐久性を重視し,またカラフルな色彩を採用した検眼用フレームの開発・改良に参加し,試用する機会を得たので報告する。対象は平成8年2月1日から同9月30日までの8ヶ月の間に大阪医科大学附属病院眼科外来を受診した患者のうち,無作為に抽出した2980名と高槻市3歳児検診を受診した350名である。方法は従来からの固定三重枠®((株)はんだや)およびシンプルBC®((株)高田巳之助商店)を対照に,今回新しく開発した検眼用フレーム(増永眼鏡(株))と比較検討した。新しいフレームは材質としてホルダー部分には抗菌作用や耐磨耗性,強靱性のあるエンジニアリングプラスチックを用い,金属部分にはチタンを使用しているのでかなり軽量である。フィッティングを良くするための独自の工夫と子供が受け入れ易いように配慮したカラフルな色彩が特徴である。結果として,新しいフレームはレンズの装着感が良く,検者側からの評価も高く,患者の満足度も十分で,眼鏡処方時の長時間の装用テストにおいても好評であった。明るい色合いは小児に特に好まれた。今後の実用化が期待される。
  • 松崎 幸恵, 牧野 史絵, 鈴木 清実, 飛鳥田 一朗, 野地 潤
    1997 年 25 巻 p. 83-87
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    パイロットの近用眼鏡装用の実態を把握するために当社40歳以上のパイロット1,356名に対して近用眼鏡に関するアンケートを行い,得られた260名の回答を分析,検討した。その結果,使用している近用眼鏡のタイプは単焦点レンズタイプが40歳代前半では78%を占めているが,年齢とともに遠近両用タイプの割合が増加して,50代後半では69%が遠近両用タイプであった。
    近用眼鏡に関する不満は,50歳代前半が一番多く,単焦点レンズでは「かけはずしが面倒」などの使い勝手の点で不満が多く,両用タイプでは「側方視のゆがみ」など見え方の点で不満が多かった。
    累進レンズの装用感については“慣れ”の問題と近用重視型,遠用重視型などのレンズの型が関与していると思われた。
  • 美斉津 裕子, 長井 圭子, 臼井 千恵
    1997 年 25 巻 p. 89-93
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    Crowding現象は,当初弱視眼に特有な現象とされていたが,近年では正常小児の視力特性のひとつと考えられている。私どもは斜視弱視において健眼・弱視眼という固定した関係はなくどちらの眼も弱視眼になると考えている。そこで今回,弱視眼に明らかに本現象を認めた斜視弱視の健眼に対し,字ひとつ視力(AV)検査と字づまり視力(CV)検査を行い本現象の有無について検討した。
    その結果,初回の検査では22名中13名がAV=CV,9名がAV>CVであった。後者に対し再検査したところ,全例においてAV=CVとなり,斜視弱視の健眼には本現象は認められなかった。
    コントロール群として正常小児についても同様の検査を行ったが,斜視弱視の健眼と同様に全例AV=CVとなり,本現象は認められなかった。したがって,本現象は斜視弱視の弱視眼に特有な所見であると考えた。
  • 安部 匡代, 吉川 英子, 佐藤 真由美, 野村 代志子
    1997 年 25 巻 p. 95-100
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    近視性不同視患者の立体視を屈折矯正前後で比較し,さらに,正常人との比較を行った。また,近視性不同視患者28例中,眼鏡およびコンタクトレンズ装用者14例に対してアンケート調査を行った。
    1.正常人のTSTは全例Circle9/9まで可能で,大型弱視鏡立体視も全例High gradeまで可能だった。
    2.近視性不同視患者のTitmus Stereo Test (TST)は,屈折矯正前は,circle4/9以下の不良例が28例中9例で,矯正により2例のみとなった。
    3.近視性不同視患者の大型弱視鏡立体視は,屈折矯正前は立体視(-)およびEasy greadeのみの例が28例中13例で,矯正により2例のみとなった。
    4.アンケートの結果,回答の得られた10例すべてに自覚症状の改善がみられた。
  • 山口 恵, 早津 宏夫, 横山 利幸, 金井 淳
    1997 年 25 巻 p. 101-106
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    不同視による不等像のために眼精疲労,複視,立体感の低下などの症状をきたしている症例にしばしば出会う。反面,大きな不同視があっても快適に眼鏡を装用している小児も多い。1.75D以上の不同視の症例を対象にシングルディスクハプロスコープを用いて不等像を測定し,両者間での不等像の相違について検討した。自覚症状のないものの方が,自覚症状のあるものよりも不等像が小さいという傾向がみられた。近視の強い眼の像は小さく,遠視の強い眼の像は大きく感じられるという結果が得られた。眼鏡装用開始年令,眼鏡装用年数では不等像に有意差は見られなかった。一般に装用に耐えられる不等像は5%,1D当たり約2%の不等像が起こるといわれるが,実測値には1D当たり0~7.6%で個人差があった。したがって不同視の眼鏡処方時には,個々の例で不等像を測定することが望ましいと思われる。
  • 村井 亜実, 新見 明子, 山岸 智子, 川村 博久, 初川 嘉一
    1997 年 25 巻 p. 107-111
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    眼位検査に非協力的であった39例の内斜視患者の術前検査として,ビデオ画面を用いた角膜反射法(VIDEO-PHOROMETRY)と交代プリズムカバーテスト(APCT)またはKrimsky法を行い,これらの値をもとに手術量定を行った。全例において嫌がることなくVIDEO-PHOROMETRYが可能であった。39例中32例はAPCTおよびKrimsky法の値とほぼ一致し,これを基準に手術を施行したところ,術後1週の眼位は14Δ以内の内斜視または外斜視であった。輻輳過多型の乳児内斜視の術前眼位検査として,1.4mのVIDEO-PHOROMETRYが有効であると思われた。固視や潜伏偏位,および値のばらつきの原因とみられる眼鏡や頭位のずれに注意が必要であると思われた。
  • 高木 良恵, 高木 満里子, 堀田 明弘, 根木 昭
    1997 年 25 巻 p. 113-118
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    私達は正常な両眼視を持つ77例に,大型弱視鏡を用いてBRADDICK RANDOM・DOT GRADED STEREO SLIDES®(イギリスClement Clarke社製)にて遠見の立体視の正常値を定量的に検討した。結果は70%に90″以上の立体視が得られ,80%に180″以上の立体視が得られた。また全例において360″以上の立体視が得られた。年齢毎の正答率に差は見られなかった。
  • 視力光覚以上0.01以下のケース
    田辺 正明, 歓喜 仁美, 貫名 香枝, 呉 雅美
    1997 年 25 巻 p. 119-126
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    視力0.01以下のロービジョン者のほとんどは点字を使用しているが,高倍率のルーペやCCTVのような近見用補助具を利用すれば普通文字を利用することができる。日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンターでは視力光覚以上0.01以下の74例について近見用補助具の利用を試み18例に良好な結果を得た。利用可能であった視力と補助具の倍率は,0.01の場合6倍が2例,7倍が1例,10倍が1例,15倍が5例,CCTVが2例,指数弁の場合15倍が2例,CCTVが2例,手動弁の場合6倍が1例,7倍が1例,15倍が1例,CCTVが2例であった。補助具の利用ができたのは全て中途視覚障害者であり,受障するまで普通文字を使用していた経験が大きな動機になったと考えられる。また,補助具の利用に至らなかったのは中途視覚障害者で文字を読もうとする意欲がなかったり,先天視覚障害者で漢字の知識が充分でなく普通文字を読む動機がなかったためであった。
  • 須長 桂, 眞下 隆光, 浅野 奈津子, 坂上 敏枝, 鈴木 恵, 三須 一雄, 橋本 浩隆, 吉田 紳一郎, 筑田 真
    1997 年 25 巻 p. 127-131
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    角膜形状解析装置とケラトメーターを用いて白内障手術前後の角膜屈折力と眼圧の日内変動との関係を確認した。そして角膜形状解析値に影響する白内障術前・後の日内変動について検討した。
    その結果,術前の角膜屈折力は,角膜形状解析,ケラトメーターと共に,朝に比べ昼以降減少していた。眼圧は朝高く,夕方は低い傾向にあり,角膜屈折力との間に関係が見られた。
    術後6日目の角膜屈折力と眼圧は一定の傾向がなく,個人差を認めた。
    角膜形状解析はさらに信頼性のある測定結果をえるためには一定の時間を決めて測定すべきである。
  • 小島 ともゑ, 和田 博子, 橋本 紀子, 石郷岡 均
    1997 年 25 巻 p. 133-137
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    筆者らは1993年1月より1996年3月までに京都桂病院眼科を受診したEB服用開始者212名を対象にEB視神経症の初期症状について検討した。EB服用中止になった症例は9例で全体の4.2%であった。全例にCFF値の低下を見たが,視力,視野障害は2例,色覚の異常(パネルD-15)を認めたのは1例のみであった。CFF値の低下がEB視神経症の最初の症状と思われた。
  • 調 廣子, 森 由美子, 須田 和代, 中村 誠, 関谷 善文, 山本 節
    1997 年 25 巻 p. 139-143
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    生後24週以内で先天白内障手術をうけた両眼性症例6例12眼,片眼性症例2例2眼の術後視力経過,立体視機能について検討した。
    手術時年齢は,両眼性は平均17.3±5.5週の両眼同時手術で片眼性では3週と20週であった。術後は速やかにハードコンタクトレンズの装用を行い,また左右差が確認された症例については多くとも覚醒時間の半分までの健眼遮蔽を指示した。
    術後視機能については,両眼性では全例0.6以上でうち4例7眼が1.0の視力を得ることができ立体視は4例に認められた。片眼性では1例が1.0の良好な視力が得られたが,健眼遮蔽のコンブライアンスが不十分な1例は,0.04の視力しか得られなかった。立体視は視力良好例にも獲得することができなかった。両眼性症例は視力,両眼視機能は概ね良好であったが,片眼性では両眼視機能獲得の難しさが確認された。
  • 視力改善度と満足度の関係
    松島 菜穂子, 杉本 朝子, 佐藤 美菜子, 山田 徹人, 青木 繁
    1997 年 25 巻 p. 145-150
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    高齢化の進む現代社会において視機能の改善は,患者のQuality of life (QOL)において重要であることから,今回我々は老人性白内障術後の視力の変化や眼鏡処方等と生活状況,生活の満足度などの調査・検討を行った。
    対象は1990年から1995年の間に片眼または両眼白内障の手術を施行された67名83眼で,年齢は49歳から87歳,平均72.1歳である。
    術後の生活状況や見え方の変化についてアンケート調査を行い,術後の視力や屈折などの他覚的評価と比較検討を行った。
    患者の約9割において自覚的症状の改善が認められ,術後の屈折度の変化は1ヶ月後より改善し始め,2~3ヶ月で安定した。また眼鏡は約8割が術後6ヶ月以内に処方された。
    視力改善度と日常生活における満足度の関係では,視力の改善度の少ないものでもかなり満足度の高いものが存在した。術後の満足度は,必ずしも視力の改善のみでは評価出来ないと考えられた。
  • 塩屋 美代子, 南村 佳子, 高橋 悦子, 細見 容子, 山下 安子, 西村 知美, 小出 美和子, 坂之下 昭子
    1997 年 25 巻 p. 151-155
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    1978年10月から1996年5月までに新城眼科を受診してプリズム眼鏡を装用して経過観察できた乳幼児内斜視患者109例について検討した。プリズム眼鏡装用のみで治療した例は60例であった。手術療法を併用しその前後にプリズム眼鏡を用いた例は49例であった。その結果良好な両眼視機能の獲得と保持が得られた。43例(45.7%)は10Δ以上斜視角が減少し,そのうち9例(9.6%)は手術をせずに正位にもちこめた。また手術の量定の際,術後プリズム眼鏡を装用することを見込んで10Δ低矯正にする方法をとった。こうすることにより術後外斜視の発現が防がれる結果となり,装用プリズム度数が手術量定のめやすとなると思われた。
  • 松本 富美子, 大牟禮 和代, 富山 園子, 谷田 清美, 田野上 恭子, 大鳥 利文
    1997 年 25 巻 p. 157-163
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    間歇性外斜視の症例に対し,斜位化を目的とした視能訓練を行なった。症例は5例で,年齢は8歳~13歳8ヵ月,斜視角は,近見時は20Δ~25Δ,遠見時は10Δ~20Δであった。訓練方法は,Flashing methodによる抑制除去訓練,Framing cardによる生理的複視認知訓練, Stereo cardやプリズムによる融像訓練を順次行なった。抑制除去訓練は院内で,他の訓練は主に家庭で1日2~3回,1回5~10分程度行ない,全訓練期間は平均14.6週間であった。結果,訓練前は間歇性外斜視であった5例全例が,訓練後には抑制が除去され融像力が強くなり,各むき眼位や各距離で安定した外斜位になった。間歇性外斜視に対する視能訓練は有用で,特に抑制除去訓練を行なうことが斜位化するために有効であると考えた。
  • 新井 紀子, 深井 小久子, 岡 真由美, 木村 久
    1997 年 25 巻 p. 165-170
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    脳動脈瘤により発症した動眼神経完全麻痺に対して視能訓練施行例と自然経過観察例を比較し,その適応と効果について検討した。経過観察期間は,視能訓練例16ヵ月,対照例9ヵ月であった。視能訓練例は,入院で84日間,眼球運動訓練および融像訓練を中心に行ない,退院後は家庭訓練を指導した。
    その結果,訓練例は融像・眼球運動の回復過程で異常連合運動の発現を認めた。上下転運動の制限と上方の融像障害が残存したが,下方視での融像域の獲得と眼瞼下垂,内転,下転,上転の順に眼球導動障害の改善が得られた。異常再生を伴う動眼神経麻痺に対して,積極的な視能訓練が,眼球運動障害の改善と融像域の獲得に有効であったと考えられる。
    一方,対照例は術後3ヵ月目に眼球運動の発現を認めたが,眼球運動障害の改善や融像域の獲得はできなかった。
  • 岡 真由美, 深井 小久子, 新井 紀子, 木村 久
    1997 年 25 巻 p. 171-175
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    Fisher症候群の内科的治療後に眼球運動障害が残存し,内斜視が増強した38歳の女性に対して施行した視能矯正管理について報告した。
    症例の問題点は両眼潜伏遠視及び調節不全,融像障害,全眼球運動障害,複視であり,19年間精密作業に従事していたという職歴があった。衝動性眼球運動訓練で垂直運動の制限は緩解したが,右眼の外転制限が最も遅くまで残存したため内斜視が増強した。完全屈折矯正の眼鏡装用による内斜視の漸減と,訓練56日目(発症より3.5ヵ月目)に眼位と外転制限の正常化,融像域の拡大が認められた。著者らは症例により臨床所見に合った視能矯正管理の選択が重要であると考えている。
  • 福山 千代美, 加藤 栄子, 普天間 歩, 大久保 恵里, 後藤 祐子, 平岡 真砂代, 渡辺 圭一, 高橋 美和子
    1997 年 25 巻 p. 177-184
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    保健所の3歳児健康診査で要精密検査と判定され受診した,受診月齢3歳0ヵ月~3歳7ヵ月男34名,女26名の60名にたいして行った検査結果から3歳児眼科検診の意義について検討を行った。
    精密検査依頼内容は視力不良(36名),眼位異常(17名)が多く瞬眼過多,物を斜めから見る,眼瞼下垂,顔を近づけて絵をかく,頭位異常,まぶしがる,眼科精密検査,小頭症,白眼に斑点があるなどであった。
    裸眼視力値について60名(120眼)の平均値は0.4で,その内0.4以下が46眼で矯正により0.5以上に28眼が改善され,この中に加療を要する不同視性弱視4例,眼鏡を必要とする遠視2例,中等度近視,近視性乱視の検出や外科視,調節性内斜視,未熟児網膜症が検出されたことから3歳児の視力値0.5を振り分け基準としていることは,その精度は悪くないと考えられた。
    屈折検査の結果は遠視および遠視性乱視が近視及び近視性乱視より多く,遠視の検出は幼少児の視機能障害の要素になりうるため健診によって抽出されたことは意義あることと考えられた。
    眼位検査の結果では内斜視,調節性内斜視,間歇性外斜視,外斜視が検出され,外斜視傾向が多く下斜筋過動症も検出された。また他の疾患として内反症,眼瞼下垂,結膜炎,結膜色素沈着が診断された。
    視力異常で依頼された36名(72眼)中44眼(61%)が0.5以上の矯正視力を得られていたことは,視力不良の中に屈折異常の存在が証明された。
    眼位異常で依頼された17名の中,正位(偽内斜視)が11名(64.7%)で偽斜視の検出が高く,斜視の検出は眼科医師および視能訓練士の参入が必要と考えられた。
    精密検査の結果60名の中から11名(18.3%)加療を必要とする屈折異常や不同視性弱視,調節性内斜視が検出され,現行の3歳児健診視力スクリーニング法の精度は悪くなく,3歳児の視機能の健全な発育の阻害要素の早期発見治療の目的を果たしていることが確認できた。
    3歳児健診に視能訓練士が,専門性をいかして視力及び眼位検査に参入することで,その効率性から医療機関への負担も軽減されると考えられた。
  • 児玉 由香, 窪田 賢司, 翠川 みどり, 新井 純, 北島 秀一
    1997 年 25 巻 p. 185-189
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    当院において,過去3年間に斜視-弱視と診断された患者65例の治療経過について検討した。
    斜視は,内斜視症例16例(調節性内斜視6例,部分調節性内斜視4例,乳児内斜視3例,微小斜視1例,その他2例),外斜視症例23例(恒常性外斜視10例,間歇性外斜視13例),また上下斜視3例に分類された。
    弱視は29眼(屈折性弱視18眼,不同視弱視5例,斜視弱視4例,その他2例)であった。
    今回の症例を他の施設と比較してみたところ,全体的に良好な眼位及び視力であった。
  • 山下 玲子
    1997 年 25 巻 p. 191-194
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    大阪市24区各保健所を窓口とし,(財)大阪市環境保健協会が大阪市の委託を受け実施している基本健康診査の概略の紹介,報告を行った。なお,その中の検査の一つである腹底検査に視能訓練士が携わっているので,この実態をあわせて報告する。基本健康診査の受診者は,病院での患者とは,病識の実感の点で異なるので接遇も異なると考えられる。視能訓練士は,検診に従事するにあたり,最良の眼底写真を提供することは,当然のこととして,眼に関しての疑問や不安を持っていたり,逆に無関心であるが為に放置していると思われる受診者に,適切な助言をする事が必要であると考えている。視能訓練士は,今後,必要性が高まる検診業務に不可欠な職種として参入していく事が必要であると考えられた。
  • 教員養成 これからの展開
    深井 小久子
    1997 年 25 巻 p. 195-200
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    視能訓練士教育は多元的な養成形態がとられ,1996年4月には,大学院教育へと発展してきた。これを機会に積極的に教育,研究活動のできる資質の高い人材の育成を行う。視能訓練士教員の資格については,厚生省指定規則における教員資格と文部省大学設置基準の教員資格では大きな格差がある。
    社会構造上で遜色のない教員資格とする為の要件とその対策を考えた。
    1.視能訓練士専任教員の育成は大学院で行う。
    2.教員資格には学歴,研究歴,教育歴を明確にする。
    3.社団法人日本視能訓練士協会又は第三者機関で指定講習会と資格試験等を行う。
    4.臨床現場の若い視能訓練士を実習助手として登用する。
    視能矯正学は後継者あっての学問である。資質の高い人材の育成に一丸となって取り組むシステムづくりをする。
  • 難波 哲子, 深井 小久子, 早川 友恵
    1997 年 25 巻 p. 201-205
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    即物的学習が求められる視能矯正の実習教育は,臨床現場が最適であるが,種々の制約があるために満足できる状態ではない。そこで,教育目標に沿った視能矯正シミュレーション教材をビデオで作成し,実習に応用して教育的効果と受容度について検討を行った。
    視能矯正実習の教育目標およびビデオの内容は,2年次では視能訓練士に必要な基本的態度とマナーの例,3年次では臨床的技能と方法を発展,応用するための視覚障害シミュレーション,4年次では問題解決能力を養成するための視能矯正管理ロールプレイである。
    学生によるアンケート調査の結果,ビデオを利用したシミュレーション教材は受容度が高く,臨床応用が可能で教育的効果があり,視能矯正実習における有意義な教育方法であるという評価が得られた。
  • 4灯テストによる検討
    松田 育子, 阿曽沼 早苗, 好川 由利子, 荒木 由美, 中塚 敬之, 近江 源次郎, 不二門 尚
    1997 年 25 巻 p. 207-213
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    眼鏡を装用せずに日常視に近い状態で周辺融像の検査が可能なNEW4灯テスト(N4D)を使用して,斜視患者の潜在的両眼視機能を評価し,Worth-4灯テスト(W4D)および大型弱視鏡(SYNOPT)の周辺融像結果と比較検討した。
    プリズムによる眼位矯正後にN4DとW4Dで18名の斜視患者に対して周辺融像の検出率を比較すると,N4Dでは16名(88.9%)であったのに対してW4Dでは6名(33.3%)で統計学的に有為にN4Dで高い融像検出率であった。同様に,N4DとSYNOPTで26名の患者に対して周辺融像の検出率を比較すると,N4Dでは20名(76.9%)であったのに対してSYNOPTでは9名(34.6%)で,これは統計学的にN4Dで有意に高い融像検出率であった。
    眼位矯正後のN4D使用は,日常視に近い状態で斜視眼の潜在的な周辺融像の状態が簡単に評価でき,日常臨床においても有用であると考えられる。
  • 阿曽沼 早苗, 松田 育子, 好川 由利子, 荒木 由美, 中塚 敬之, 細畠 淳, 近江 源次郎, 不二門 尚
    1997 年 25 巻 p. 215-221
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    われわれは以前,Titmus stereotestやLANG stereotestで立体視が(-)となっても, dynamic randamdot stereogram (DRDS)では立体視が認められる症例があることを報告した。今回は,1995年6月から1年4か月の間に当科を受診した132名を対象として新4灯(N4D)テストで評価される周辺融像の結果を,DRDSによる動的立体視およびTitmus stereotestのFLYによる静的立体視の結果と比較検討した。その結果,N4DができなければFLYやDRDSができなかったことから,N4Dで表される周辺融像はFLYやDRDSの成立の基礎となる両眼視機能であることが示唆された。
    さらに,FLYができてDRDSができない者や,DRDSができてFLYができない者がおり,両者の構成は似て非なるものであり,FLYとDRDSは,立体視の異なる側面を測定していると考えられた。
    また,DRDSはFLYよりも斜視角が大きくてもpassする傾向があることから,動的立体視の方が,融像域が広い可能性が示唆された。
    FLYおよびDRDSは,低年齢者において合格率が有意に低かったことから,低年齢者で立体視が(-)となった場合,再検してみる必要がある。
    FLYとDRDSは,立体視の異なる側面を測定していると考えられることから,立体視の評価は種々の検査法により,総合的に行う必要がある。
  • 半側空間無視の影響
    久田 育子, 宮沢 恵子, 工藤 明代, 仲泊 聡, 北原 健二
    1997 年 25 巻 p. 223-228
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    頭蓋内病変により同名半盲をきたした43症例に対して,色覚検査と半側空間無視の検査を施行し,色覚検査に及ぼす半側空間無視の影響について検討した。色覚検査としては石原式色覚検査表,標準色覚検査表第2部およびパネルD-15テストを施行した。また,半側空間無視の検査として線分二等分試験および点画のなぞりを採用した。その結果石原表では6例が異常と判定され,そのうち4例が半側空間無視と判定された。標準色覚検査表第2部では10例が異常と判定され,そのうち6例が半側空間無視と判定された。またパネルD-15テストでは5例が異常と判定され,そのうち2例が半側空間無視と判定された。以上に対しx2検定を施行したところ,石原表および標準色覚検査表の結果は,半側空間無視の影響を受けていることが示唆された。一方,パネルD-15テストにおいてはこの影響は少なく,検査も簡便であることから半側空間無視を伴う頭蓋内病変患者の色覚検査法として適切な方法であると思われた。
  • 秋山 真紀, 石黒 進, 田辺 詔子, 深見 嘉一郎
    1997 年 25 巻 p. 229-232
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    標準色覚検査表第一部先天異常用(SPP-1),東京医科大学式色覚検査表(TMC表),石原大熊表,国際版石原色覚検査表の分類表によって,どの程度第一異常,第二異常が分類できるかを検討した。
    正しく分類できたものは,SPP-1では97.1%,TMC表では55.3%,石原大熊表では75.1%,国際版石原色覚検査表では84.3%であった。
    分類表に使われている色をFarnsworthのUniform Chromaticity Scale Diagram上にプロットすると,SPP-1以外の表の色は,異常者の色感では,第一異常と第二異常の差が少ない。そのために,正しい分類ができにくいことがわかった。また,SPP-1の分類が優れていることも図によって示された。
  • 石黒 進, 秋山 真紀, 田辺 詔子, 深見 嘉一郎
    1997 年 25 巻 p. 233-237
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    先天色覚異常者886名に対しては東京医科大学式色覚検査表(以下,TMC表)と石原・大熊表の成績から,またこの集団とは重複しない別の先天色覚異常者1000名に対しては国際版石原式色覚検査表(以下,石原表)の分類表(程度判定もかねる)の成績から,仮性同色表による程度判定の妥当性を検討した。
    TMC表では二色型色覚(色盲)の20.1%が中等度または弱度と判定された。一方,異常三色型色覚(色弱)の33.4%が強度と判定された。石原・大熊表では二色型色覚の53.8%が中度以下に判定され,異常三色型色覚の10.9%が強度と判定された。石原表では全体の85.9%が色盲(強度)と判定された。また,TMC表と石原・大熊表の二つの表で判定結果が一致する場合は少なかった。
    この様に,仮性同色表による判定は実際の程度を示さない場合が多い。その理由として,程度表に使用されている色(地色と図形色)の色差が色覚異常者の異常の程度を判定するうえで適切ではないためであることを,FarnsworthのUniform Chromaticity Scale Diagram(UCSD)によって説明した。
  • 籏 利江, 洞井 里絵, 渡辺 希理代, 斎藤 浩, 深見 嘉一郎
    1997 年 25 巻 p. 239-243
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    仮性同色表を使って,色覚異常のスクリーニングテストを行なう場合に必要な条件は,照明,検査距離,提示時間などを一定にすること,被検者のプライバシーを守ること,そして,成績を判定するときに,検者の主観が入らないことなどが挙げられる。
    この条件を満たす様に作られた,仮性同色表自動提示装置を用いて,小学四年生の児童に対して,健康診断を行なった。
    その結果,男子196名中,14名(7.1%),女子223名中,1名(0.45%)の異常者が検出され,検出率からみても,スクリーニングテストの目的に達する結果が得られた。
  • 1997 年 25 巻 p. 245-252
    発行日: 1997/07/20
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
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