日本視能訓練士協会誌
Online ISSN : 1883-9215
Print ISSN : 0387-5172
ISSN-L : 0387-5172
32 巻
選択された号の論文の29件中1~29を表示しています
  • 北原 健二
    2003 年 32 巻 p. 1-10
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 山本 隆一
    2003 年 32 巻 p. 11-14
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 南村 佳子
    2003 年 32 巻 p. 15-23
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    間歇性外斜視における眼位検査について、当院での方法を紹介し、特に外斜視の頻度に注目した検査とその結果を報告する。
    Phoriascopeは、検者が光軸の中心から眼位を観察することが可能であり、眼底からの反帰光が見えるので、縮瞳の様子や角膜反射の位置が分かり易い。
    外斜視になる頻度は、間歇性外斜視の程度を判断する上で重要であり、当院ではtropiaのなり易さとして判定基準を設けて評価している。これは、cover uncover test後の眼位、復位の様子を観察することにより、phoriaの維持能力、tropiaのなり易さを評価するものである。4歳から18歳までの間歇性外斜視患者54名のうち、4~9歳まで27名を低年齢群、10~18歳まで27名を高年齢群として検討した。斜視角の大小とtropiaのなり易さには、近見でも遠見でも相関はみられなかった。年齢による比較では、低年齢群よりも高年齢群の方が有意に良好群が多いという結果となった。ご家族への聞き取りによる日常の眼位とtropiaのなり易さには相関がみられ、検査室でのtropiaのなり易さは日常の眼位をも反映しうるものと思われた。
    間歇性外斜視の眼位は変則的で、時には随意的に、そして、疲労度や注意力にも左右されるものである。経過を追っていく中で、その時々の眼位として評価していくことに意味があるものと思われる。
  • 保沢 こずえ
    2003 年 32 巻 p. 25-31
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    間歇性外斜視に対して、当科で日常行っている検査の方法を概説し、間歇性外斜視に合併する上下偏位の臨床的意味付けをあわせて検討した。
  • 東 範行
    2003 年 32 巻 p. 33-34
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 不二門 尚
    2003 年 32 巻 p. 35-40
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 調 廣子
    2003 年 32 巻 p. 41-47
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    屈折検査は、視能訓練士にとって視力検査についで施行率が高い業務である。特に他覚的屈折検査(オートレフケラトトメータ)は、従来に比べ、精度が非常に向上し信頼性が高くなったため屈折異常の程度を把握するだけでなく矯正視力検査には今や不可欠な検査となっている。しかし、眼疾患を有する被検眼の場合には、未だ様々な影響が考えられるので注意が必要となっている。多くは中間透光体の障害により、受光像の画像情報欠如が発生するためだが、他に測定状況(例えば、コンタクト装用下や測定部位を視軸以外に移動させる)によって屈折値が不安定になる可能性も合わせて知っておくことが重要となる。
  • 根岸 一乃
    2003 年 32 巻 p. 49-54
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 田邊 宗子
    2003 年 32 巻 p. 55-65
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    Techniques for photography including stereo fundus photography, fundus photography with filters, the scanning laser ophthalmoscopy and angiographic photography are described.
    The advantages and disadvantages of digital photography are also discussed in comparison with among photographic techniques.
  • 小林 昭子
    2003 年 32 巻 p. 67-78
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    視能訓練士のかかわることの多い視野検査のskill upのために、検査をすすめる上で大切な点を確認し、検査方法の「コツ」や最新の検査法も含めて下記の項目について報告した。
    1 検査の準備-輝度調節、眼瞼挙上、屈折矯正
    2 Goldmann型視野計
    a.暗点・欠損の検出-中間フィルター使用でのisopter計測、Armaly法とspot check
    b.中心の閾値測定-0/1視標と固視標投影器の使用
    3 自動視野計
    a.目的に応じたプログラム-測定範囲や視標サイズの変更
    b.身体障害者手帳申請-自動視野計でのプログラムや閾値検査の応用
    c.検査結果の解析-視野の経時変化の表示
    d.検査時間短縮-統計の利用
    e.自動視野計による新しい検査法-視野異常の極早期発見
    4 その他の検査-チャート式視野検査、眼底直視下での感度測定、他覚的検査視野検査にあたって、視能訓練士は検査や機器に関連する多くの知識を習得しなければならない。また、自覚的検査が多いので検査のすすめ方が判定に重要な影響を及ぼすことを念頭に入れて検査する必要がある。
  • 川瀬 芳克
    2003 年 32 巻 p. 79-86
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    網膜疾患の検査診断に使われるERG検査は眼科における電気生理検査の代表であるが、ISC EVの標準に従って杆体反応、杆体錐体混合反応、錐体反応、フリッカー反応を記録することで、疾患の鑑別診断にさらに有用となる。
    ERG検査においては電極が角膜上に正しく置かれていることを常に確認することが正確な検査結果を得る上に重要である。暗順応下で白色閃光により記録されるERGはもっとも一般的に行われているが、この検査においても電極位置が不正であれば誤った波形が得られる可能性がある。
    VEP検査においては被験者の注意力や意識水準の確認が正確な検査結果を得るために不可欠である。パターンリバーサル刺激によるVEPでは被検者が固視を維持し、パターンの反転を常に意識できるように検者が誘導する必要がある。フラッシュVEPを睡眠下で実施するときは、できるだけ浅い睡眠下で検査を実施することが望ましい。また、刺激への慣れによる反応の低下と疾患による反応の低下を鑑別するために患眼の反応を先に記録することや、VEP波形であることを確認するために背景脳波のみを加算したときの波形と視覚刺激を与えた場合の波形を比較するなどの工夫が有効である。
  • 湯沢 美都子, 森 隆三郎, 松本 容子, 藤田 京子
    2003 年 32 巻 p. 87-92
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    OCTでは主に黄斑の網膜実質、網膜硝子体接面の垂直断面の状態がよくわかる。 SLOは、蛍光眼底造影の他、マイクロペリメトリーなど黄斑機能検査も行える。
    両者の結果を組み合わせることによって、後極とくに黄斑の病変の深さやその状態を把握でき、治療方針をきめ、治療効果を判定できる。
    さらにSLOによって読書時の固視の評価を行うことが出来ることを示した。
  • 久保田 伸枝
    2003 年 32 巻 p. 93-95
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 内川 義和
    2003 年 32 巻 p. 97-101
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    今回、平滑筋弛緩作用を有するアドレノメデュリン(adrenomedullin: AM)に着目し、ウシ摘出瞳孔括約筋に対するAMの影響を検討した。カルバコール(100nMおよび3μM)による瞳孔括約筋のコリン作動性収縮および静止張力(100mg)に対して、AMによる瞳孔括約筋の張力変化を等尺性に記録した。AM(100nM)は、カルバコールによるコリン作動性収縮には有意な影響を及ぼさなかったが、静止張力を減少させた。AMによる静止張力減少作用はAM受容体の遮断薬といわれるAM〔22-52〕(100nM)により有意に遮断された。これらの結果から、AMは副交感神経抑制時の瞳孔括約筋の弛緩をさらに強めることにより、交感神経興奮・副交感神経抑制時の散大筋の収縮を助け、効果的に散瞳を引き起こすと考えられた。
  • 坂庭 敦子, 牧野 伸二, 酒井 理恵子, 保沢 こずえ, 近藤 玲子, 川崎 知子, 杉山 華江, 平林 里恵, 山本 裕子
    2003 年 32 巻 p. 103-108
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    等価球面換算2.0D以上の不同視、乱視度1.0D以下、顕性斜視のない10歳未満の遠視性不同視弱視115例の治療成績を検討した。治療開始年齢は3歳~9歳11ヵ月(平均6.4歳)、弱視眼屈折度は+2.0D~+11.0D(平均+6.2D)、不同視は2.0D~9.0D(平均4.0D)であった。治療方針は完全屈折矯正眼鏡を装用させ、時間遮蔽、近業訓練を年齢、視力差に応じて行った。視力1.0以上が得られたのは108例(93.9%)で、改善に要した期間は2ヵ月~3年6ヵ月(平均1.1年)で、6ヵ月以内が33%、1年以内参59%、2年以内が86%であった。改善に要した期間と治療開始年齢との間に相関はなかったが、弱視眼屈折度(p<0.05)、不同視(p<0.01)との間には有意な正の相関、弱視眼視力との間に負の相関があった(p<0.01)。視力1.0が得られなかった7例は、治療開始年齢が6歳2ヵ月~9歳11ヵ月(平均7.9歳)と有意に遅かった(p<0.05)。遠視性不同視弱視の視力予後は良いが、弱視眼屈折度、不同視が大きいもの、弱視眼視力の低いものは、視力改善までに期間を要することが明らかになった。また、弱視眼屈折度では+7.0D、不同視では5.0D、弱視眼視力では0.3~0.4が治療開始から1年半までに視力1.0が得られる大まかな目安になるものと考えられた。
  • 関本 紀子, 阿曽沼 早苗, 岡井 佳恵, 田中 仁菜, 水野 真由美, 小澤 亜紀, 平 智穂, 高尾 泰子, 藤井 英美, 黒田 輝仁, ...
    2003 年 32 巻 p. 109-114
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    正常者と軽度白内障患者に対して、グレア光照射がコントラスト感度と瞳孔径に生じる影響について検討した。
    暗室にて、グレア光なし、軽度グレア光負荷時、最大グレア光負荷時の3つの条件下でVectorVision™社製CSV1000Halogen Grare Testを用いたコントラスト感度検査と浜松ホトニクス製電子瞳孔計イリスコーダ®C7364を用いて瞳孔径測定を施行した。
    正常者ではグレア光照射により著明な縮瞳が生じコントラスト感度の低下は認めなかった。
    軽度白内障者ではグレア光負荷により著明な縮瞳が生じ、コントラスト感度が著明に低下した。
    グレア光照射下でのコントラスト感度測定は、軽度白内障患者のコントラスト感度の低下を敏感に検出するのに有用な方法と考えられた。
    また、グレア光負荷時のコントラスト感度の変化には、縮瞳による収差の減少を超える強い散乱が影響することが示唆された。
  • 野上 かおり, 魚里 博, 藤山 由紀子, 嶺井 利沙子, 高橋 慶子, 清水 公也
    2003 年 32 巻 p. 115-119
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    今回、新しく開発されたメニコン社製CAT2000™を用いて昼間時と薄暮時の低コントラスト視力を測定し、その有用性について検討した。対象は、正常群25眼、白内障群18眼、IOL群10眼であった。白内障群では、昼間時に比べ薄暮時でコントラスト視力が著明に低下した(P<0.01)。また、正常群に比べ、100%、25%における昼間時と薄暮時のコントラスト視力の差が有意に大きかった(P<0.05)。CAT2000™は患者の見づらさを客観的に評価できたことから、臨床有用性は高いと考えられた。
  • 秋山 純子, 小林 薫, 小山 貴子, 増田 麗子, 三上 優, 東海 美奈子, 勝海 修, 宮永 嘉隆
    2003 年 32 巻 p. 121-126
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:不同視症例において異なるコントラストを持つ視標を用い,コントラスト視力を測定しその視機能を検討する。
    方法および対象:Wangらにより開発されたWang-Katsumiマルチプルコントラスト視力チャートを使用し,コントラスト視力を測定した。この視力表は90%,15%,3.5%の3つの異なるコントラスト視標とコントラスト90%の逆位相視標(背景が黒で視標が白)の4つのチャートからからなっていて,その配列は幾何学的配列になっている。コントラスト視力は各チャートの合計スコアポイントで表記した。
    対象は年齢5~11歳の遠視性不同視を有する11症例である。そのうち高コントラスト視標による視力検査により分類した弱視(+)の群が5例,弱視(-)の群が6例であった。
    結果:弱視(+)の群5例では,屈折異常のより強い眼のコントラスト視力はより弱い眼と比較して4つのチャートすべてにおいて低下が見られた。その平均は屈折異常のより強い眼が20.5ポイントであるのに対し,より少ない眼は30.5ポイントであり,32.8%の低下が見られた。また弱視(-)の群6例では高コントラスト視力による視力結果は良好であるにもかかわらず,屈折異常の強い眼のコントラスト視力は他眼と比較して低下を示した。その平均は屈折異常のより強い眼が26.3ポイントであるのに対し,より少ない眼は31.3ポイントであり,16.0%の低下が見られた。
    結論:不同視症例の視機能評価,特に弱視の診断には現在使われている高コントラスト視標による視力検査に加えて,中~低コントラスト視標による測定結果を考慮に入れることは有用であると考える。
  • 花田 正和, 竹下 哲二
    2003 年 32 巻 p. 127-130
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:マムシによると思われるヘビ咬傷で片眼の内直筋麻痺に加えて下斜筋麻痺を生じ、後に回復した症例を報告する。
    方法:症例報告。51才男性。右第5指をまむしに咬まれ、3日後に複視を自覚した。視力屈折検査・alternative prism cover test・Maddox rod test・頭部傾斜試験・synoptophoreによる9方向眼位の測定・Hess赤緑試験を行い、治癒前後で比較を行った。
    結果:正面視で外斜視と右上斜視を呈しており、右への頭部傾斜試験で著明となった。大型弱視鏡、Hess赤緑試験より左眼の内直筋及び下斜筋麻痺と診断された。症状は発症後3日で消失した。
    結論:マムシ咬傷により内直筋麻痺に加えて下斜筋麻痺が起こることが示唆された。
  • 大牟禮 和代, 若山 曉美, 角田 智美, 渡守武 里佳, 下村 嘉一, 松本 富美子, 中尾 雄三
    2003 年 32 巻 p. 131-137
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:後天性眼球運動障害による複視が患者の日常生活にどのような影響を与えているかについてアンケート調査を行い、両眼単一視野の障害程度と日常生活の不自由との関係について検討した。
    対象及び方法:対象は、発症から6ヵ月以内の複視のある後天性眼球運動障害47例とした。内訳は、動眼神経麻痺4例、滑車神経麻痺11例、外転神経麻痺18例、眼窩底骨折14例である。年齢は13歳から77歳であった。複視によって生じる日常生活の不自由な項目について評価表(18項目)を用いて調査を行った。両眼単一視野の測定は、Bagolini線条ガラスを用いて行った。
    結果:日常生活に不自由があった症例は47例中40例(85%)、不自由がなかった症例は7例(15%)であった。不自由のある項目については、動眼神経麻痺、滑車神経麻痺、外転神経麻痺では共通して、「歩行」、「階段」、「テレビ」、「車の運転」という動きを伴う項目があげられ、障害神経別による大きな違いはなかった。不自由度は動眼神経麻痺では高く、眼窩底骨折では低かった。日常生活での不自由度と両眼単一視野の関係では、第一眼位で両眼単一視野が存在しない症例は存在する症例に比べてばらつきが大きく不自由度は高かった。日常生活の不自由度の改善には、第一眼位での両眼単一視野の獲得が重要であり、周辺に関しては下方の両眼単一視野の獲得が他の方向に比べ重要であった。
    結論:日常生活の不自由度の評価を行なうことは、治療または眼球運動訓練後の自覚的な改善を定量的にとらえることができるため後天性眼球運動障害の評価法として有用である。
  • 菅原 友希子, 鈴木 武敏, 大場 貴之, 笹原 格, 東 礼子
    2003 年 32 巻 p. 139-144
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    高齢化社会とともに、中途失明予防が重要な課題となってくる。「鈴木式アイチェックチャート」(以下、チャート)は、数種類の有色の模様を四方に配置したスクリーニング視野シートである。視野異常を簡単に発見する事を目的として考案された。
    我々は、2002年3月1日から7月21日の期間に受診した緑内障患者104名の207眼に対して、このチャートを使用して視野検査のスクリーニングを行った。チャートによる結果とAulhorn-Greve変法の分類で分けたハンフリー視野計の結果とを比較した。チャートを使用して緑内障の暗点を検出できたのは、I期で50%を越え、II期以降では80%から100%であった。緑内障患者の視野異常を発見するスクリーニング検査としてこのチャートの有用性が示された。また、2002年6月24日から7月21日まで、このチャートを使用して初診の患者112名224眼を検査した。チャート上で異常と判定されたのは17.9%で、そのうち偽陽性率は50%であった。チャート上で異常と判定されなかった患者での偽陰性率は6.5%であった。初診患者の8%以上に視野異常を来す疾患を発見できた。初診や検診の視野スクリーニングテスドとして、このチャートを使用することは、視野異常を自覚していない、緑内障や網膜出血、脳疾患患者の発見に役立つであろう。
  • 鈴木 博子, 魚里 博, 嶺井 利沙子, 清水 公也
    2003 年 32 巻 p. 145-149
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    今回、我々は非接触型光学式眼軸長測定装置(IOLマスター)を用いて、調節時及び非調節時の眼軸長、瞳孔径、前房深度を測定し、それぞれ比較検討した。対象は眼疾患の無い正常者5名10眼、平均年齢23.5±1.5歳である。
    調節時及び非調節時の眼軸長を測定した結果、調節時眼軸長が長く測定された(p<0.005)。調節に伴って縮瞳をし、前房深度が浅くなる傾向がみられた。IOLマスターで、調節時及び非調節時の眼軸長の僅かな変化を捉えることが出来た。
  • 石黒 進, 酒井 幸弘, 宇陀 恵子, 山田 裕子, 内藤 尚久, 市川 一夫, 玉置 明野
    2003 年 32 巻 p. 151-155
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    近年開発されたレーザー干渉法を利用して非接触で眼軸長を測定する装置Carl Zeiss社製IOL Master™(以下IOL Master)を用いて白内障眼の眼軸長を測定し、従来の超音波A-mode法(TOMEY AL-2000®)と比較した。挿入眼内レンズはCanon AQ-110NV®およびAQ-310NV®で、眼内レンズ度数の算出にはSRK II式とSRK/T式を用い、角膜曲率半径はIOL Masterには同装置の測定値を、A-mode法にはNIDEK社製ARK700A®の値を使用した。IOL MasterとA-mode法との眼軸長測定値の平均の差は0.28±0.10mmで、IOL Masterの方が長く測定される傾向があり、IOL Masterで測定不能な症例は206眼中24眼、約11.7%あった。角膜曲率半径の測定値の平均の差は-0.03±0.05mmで、IOL Masterの方が小さく測定される傾向があった。そのためIOL Masterで測定された眼軸長および角膜曲率半径を用いてSRK II式とSRK/T式とで眼内レンズ度数を決定すると、メーカー推奨のA定数では手術後に目標屈折値よりも遠視化する傾向があるため、IOL Masterに最適化したA定数を設定しなおす必要がある。
  • 酒井 幸弘, 宇陀 恵子, 山田 裕子, 内藤 尚久, 市川 一夫, 小島 隆司, 玉置 明野
    2003 年 32 巻 p. 157-161
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    調節が可能といわれている眼内レンズC & C Vision社CrystaLens AT-45®を挿入する機会を得た。AT-45®は、支持部への圧力で光学系が前房側に偏位することで調節するとしている。この眼内レンズを白内障以外に眼疾患を認めず、インフォームドコンセントで同意の得られた8例16眼(以下A群)に挿入し、術後3ヶ月までの結果について検討した。コントロールとして、従来型単焦点眼内レンズCanonstaar社AQ-110 NV®を挿入した15例30眼(以下B群)と比較した。
    遠見視力はA群、B群とも良好であった。片眼および両眼の遠見矯正下近見視力に統計学的な有意差はないが、加入度数において、有意差を認めた。また、A群の遠見矯正下近見視力は、有意差はないものの術後1ヶ月よりも3ヶ月の方が上がる傾向にあった。コントラスト感度をメニコン社CAT-2000®で測定した。A群とB群に有意差はなく、ほぼ同等の結果となった。A群とB群にアンケートをとった結果、B群よりA群の方が近くの見え方が良い結果となったが、A群では夜間の見にくさを訴える症例も多く認められた。RION社UX-03®でAT-45®の前房側への移動を観察したが、確認できなかった。多数のAT-45®挿入例について報告しているCummingらほど、近見視力に良い結果は得られなかった。
    AT-45®は従来型の単焦点眼内レンズと比較して劣ることはなかったが、調節力に関しては今後さらに他覚的な検討が必要であると思われた。また、Cummingらは、術後5ヶ月以上の近方視のトレーニングを推奨しており、長期の経過観察が必要と思われる。
  • 島村 恵美子, 須藤 史子, 菊池 理香, 高橋 智子, 佐藤 千秋, 徳田 芳浩
    2003 年 32 巻 p. 163-168
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    超音波Aモードによる眼軸長測定は経験年数の異なる検者間において測定精度に差があるかどうか、熟練検者と習熟中の検者の2名が同一症例を測定し、その術後成績を比較した。対象は検査機器・術者・術式・眼内レンズを同一にし、術前・術中・術後に合併症がなく、術後3ヶ月以上の経過観察ができた280眼である。これらを眼軸長別に3群に分け、予測誤差の差を検者別に比較検討した。熟練検者・習熟中の検者ともパーソナルA定数はメーカー推奨値よりも約0.5大きい値となった。眼軸長別にパーソナルA定数を求め、メーカー推奨A定数との差から予測誤差を算出したところ、熟練検者は0.49±0.48D(短眼軸長群)、0.43±0.64D(標準眼軸長群)、0.10±0.79D(長眼軸長群)、習熟中の検者は0.63±0.58D(短眼軸長群)、0.49±0.65D(標準眼軸長群)、0.37±0.66D(長眼軸長群)となり、両者の間に有意差はなかった。検者間に予測誤差の差は若干あるものの、習熟中の検者であっても熟練者の指導のもとで測定すれば熟練者と同様の結果が得られるものと思われた。しかし、予測精度を向上させるためには、検者別の誤差の傾向を知ることと各自の測定技術の熟練が重要である。
  • 矢野 隆, 魚里 博, 清水 公也, 鈴木 雅信, 伊藤 美沙絵, 相澤 大輔, 天野 理恵
    2003 年 32 巻 p. 169-174
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    臨床的に精度の高いと言われている光学式眼軸長測定装置IOLマスター™(Carl Zeiss)を用いてLASIK (laser in situ keratomileusis)術後の眼軸長変化が捉えられるかを検討した。
    対象は、2002年4月から10月までに当院にてLASIKを施行した20歳から55歳(平均年齢32.6±9.9歳)の14名28眼であった。術前の等価球面度数は、-2.75~-9.50D(平均-6.33±1.77D)であった。眼軸長測定には光学式眼軸長測定装置IOLマスター™を使用し、角膜厚測定にはスリットスキャン式角膜形状解析装置ORBSCAN™(Orbtek)を用いた。
    性別、年齢別、屈折別の3項目で検討を行った。年齢や屈折度に関係なく、術後の眼軸長は術前に比較して有意に短く、角膜厚も有意に薄く測定された(p<0.01)。男女間に有意差は認めなかった(二元配置分散分析法)。
    IOLマスター™はLASIK術後早期から非接触で眼軸長測定が可能であり僅かな眼軸長変化を捉える事ができるため屈折矯正手術の臨床においても極めて有用な装置であると考えられた。
  • 伊藤 拓, 宮崎 清乃, 野口 益枝, 大淵 友子, 野口 和美, 山出 新一, 可児 一孝
    2003 年 32 巻 p. 175-180
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    片眼の詐病が疑われる症例を経験した。初回検査時、受傷眼の矯正視力は0.05であった。しかし、詐病を疑い視力検査法を工夫したことにより、再検時には0.5まで確認することができた。この方法は、受傷眼にピンホールを装用し、非受傷眼に凸レンズによる不完全遮閉を行うもので、両眼開放視力検査の応用である。
    この視力検査を行うにあたっては、不完全遮閉の目的で装用する凸レンズの度数が非常に重要である。そのため今回は、どのような度数で遮閉するのが適当かを検討する目的で、正常者7名(14眼)を対象に、各眼の完全矯正値に-1.0Dから+5.0Dを加えた状態で、負荷度数による視力の変化を測定した。視力測定はノートパソコンを利用したランドルト環単独視標を用い、恒常法で行った。
    得られた視力値は各負荷度数とも個人差が見られ、+1.0D付近で最も個人差が大きかった。負荷度数の増加に伴い、視力の低下は緩やかになった。+3.0Dの負荷では、0.15以上の視力を得られたものはいなかった。十分かつ安定した遮閉効果がある凸レンズをもって健眼の遮閉を行うには、+3.0D以上を用いるのが適当である事が示唆された。
  • 田中 仁菜, 岡井 佳恵, 関本 紀子, 水野 真由美, 小澤 亜紀, 平 智穂, 高尾 泰子, 藤井 英美, 阿曽沼 早苗, 前田 直之, ...
    2003 年 32 巻 p. 181-187
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    不正乱視成分を含む角膜乱視に対して、クロスシリンダー法などの自覚的屈折検査では、円柱レンズ度数や軸の決定が難しい場合がある。そこで今回、トーメー社製角膜形状解析装置TMS-2Nによるフーリエ解析を用い、十分な矯正効果を得る可能性について検討した。対象は全層角膜移植後17例21眼。フーリエ解析によって得られた正乱視成分を円柱レンズの度数と軸とし、球面レンズ度数はレンズ交換法で決定し、その視力を測定した(以下フーリエ矯正)。この方法により得られた円柱レンズ度数および視力(logMAR換算視力)とを、通常の自覚的屈折検査(以下従来法)による値と比較した。またフーリエ矯正値より、クロスシリンダー法を用いて(以下フーリエ矯正+クロスシリンダー法)得られた円柱レンズ度数および視力とを、従来法による値と比較した。その結果、フーリエ矯正による視力は、従来法による視力と差はみられなかったが、フーリエ矯正による円柱レンズ度数は、従来法による円柱レンズ度数より有意に少なかった。またフーリエ矯正+クロスシリンダー法による視力は、従来法による視力と差はみられなかったが円柱レンズ度数はフーリエ矯正+クロスシリンダー法による値の方が有意に少なかった。角膜不正乱視がある場合、フーリエ解析を利用することは有用だと考えられた。
  • 本多 聖子, 石井 祐子, 南雲 幹, 若倉 雅登, 井上 治郎
    2003 年 32 巻 p. 189-197
    発行日: 2003/07/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:当院では「目の相談室」を設置し、ロービジョンケアに取り組んでいる。その取り組みの中で「目の相談室」に直接関わるスタッフだけでなく、院内のすべての職員がロービジョンケアに理解と関心を持つ必要があると考え、ロービジョン講習会(以下、講習会)を行った。
    対象:平成13年9月から平成14年9月の期間に行った講習会に参加した、当院の様々な職種に携わる職員104名である。
    方法:講習会は、(1)ロービジョン者の心理についての講義、(2)誘導法のデモンストレーション、(3)シミュレーションゴーグルを使用したロービジョンの疑似体験、を一回のプログラムとして行い、後日、記名式でアンケート調査を行った。
    結果:ロービジョン者誘導能力の自己評価は「できる」「だいたいできる」が講習会の前後で54%向上した。また、講習会に参加したことは業務に「役立つ」の回答が85%、「少し役立つ」との回答も含め98%に至った。講習会参加後、「ロービジョン者に対する意識は変化したか」については90%以上が「変わった」「ある程度変わった」と回答した。
    結論:ロービジョン講習会は、参加した職員のロービジョンケアへの理解を深めることができ、ロービジョン者に対する意識の向上を図ることがでるものであった。講習会継続と職員への事後調査は、意識変化を持続させるために重要であり、ロービジョンケアをより実践的で効果的なものとすることができると考えられる。
feedback
Top