日本視能訓練士協会誌
Online ISSN : 1883-9215
Print ISSN : 0387-5172
ISSN-L : 0387-5172
37 巻
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  • 海原 純子
    2008 年 37 巻 p. 1-10
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 常岡 寛
    2008 年 37 巻 p. 11-18
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 上岡 康雄
    2008 年 37 巻 p. 19-36
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 吉田 正樹, 井田 正博, 長尾 毅彦, 原 崇彰, 柴 琢也, 野田 徹, 北原 健二, 常岡 寛, C Boucard, TH Nguy ...
    2008 年 37 巻 p. 37-46
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 岡 尚省
    2008 年 37 巻 p. 47-51
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 仲泊 聡
    2008 年 37 巻 p. 53-58
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    視覚になんらかの障害を持ち、生活に支障をきたした状態をロービジョンという。ロービジョン患者をうまく生活できるように支援することがロービジョンケアである。ロービジョンケアには、ニーズ調査、視機能の再評価、必要書類作成、社会資源情報の提供、ロービジョンエイドの紹介と環境整備という6つのステップが存在する。ロービジョンエイドの5つの基本は、1)拡大で視力を補い、2)遮光で羞明を予防し、3)照明でコントラスト改善および夜盲の対策を行ない、4)眼球運動訓練で視界を拡大し、5)便利グッズで日常生活動作を支援することである。
  • 若山 曉美
    2008 年 37 巻 p. 59-63
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 長谷部 佳世子
    2008 年 37 巻 p. 65-69
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:間歇性外斜視症例について、術前のプリズムアダプテーションテスト(以下、PAT)により、術後の両眼視の状態を予測できるかどうかについて検討した。
    対象と方法:対象は、2006年1月から2007年7月までに岡山大学病院で手術を行った15歳以上の外斜視症例57例。術前にPATにより、斜視角を中和するフレネル膜プリズムを平均2.9ヶ月間装用させ、初回装用時と手術直前、及び術後の両眼視の状態を比較した。両眼視検査には、バゴリーニ線条ガラステストを使用した。また、術後の両眼視を予測できない因子についても検討した。
    結果:1.術後の両眼視の状態と一致したのは、初回装用時では47%、術直前では77%で、両者の間には有意差が認められた(p<0.01)。2.術後の複視の予測は、感度100%、特異度87.0%、陽性予測値30.0%、陰性予測値100.0%であった。3.斜視角が大きい場合、術後の両眼視の状態を予測することは困難であった。
    結論:間歇性外斜視症例に、術前にPATによりフレネル膜プリズムを装用させ、シミュレーションをすることにより、77%において術後の両眼視の状態を予測することができる。
  • コツと落とし穴
    松本 富美子
    2008 年 37 巻 p. 71-79
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 吉田 希望
    2008 年 37 巻 p. 81-84
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
  • 千葉 惠美子, 中川 真紀, 臼井 千恵, 林 孝雄
    2008 年 37 巻 p. 85-90
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    症例は3歳6か月、男児。右眼斜視弱視で固視は中心固視不良、眼位は内斜視で交代性上斜位を合併しており、約4.0Dの不同視差が認められた。複数の難治要因を合併しており、当初は眼鏡装用を嫌がるなど弱視訓練に非協力的で3歳11か月時に行なった初回訓練にても訓練効果はみられなかったため難治症例と考えられた。
    しかし、5歳時に行なった再訓練で、健眼完全終日遮閉に引き続きアトロピン点眼療法を行なったところ健眼の視力が下がり始め、点眼中止後に健眼と患眼の機能が逆転した。健眼弱視化は患眼の固視持続能力の改善に伴って発生していることから、斜視弱視の成因には固視持続能力が関与していると考えられた。
    また、アトロピン点眼療法は斜視弱視の健眼を弱視化させることがあるので、治療に際しては固視持続能力の管理を十分に行なう必要性があると思われた。
  • 窪田 真実, 木村 亜紀子, 目黒 千章, 間原 千草, 佐野 直子, 田中 麻紀, 三村 治
    2008 年 37 巻 p. 91-94
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    Purpose: The angles of vertical and cyclo deviations measured by a synoptophore are very important data to decide on the course of treatment. However, we sometimes had the fact that the data by the synoptophore varied according to other measurement methods.
    So we studied the difference of data between the afferent and centrifugal methods.
    Subjects: Forty-seven patients with vertical and/or cyclo strabismus, and 23 controls of good visual acuity without strabismus were investigated in this prospective study.
    Methods: Each subjective angle at their primary position was first measured by the centrifugal method of moving the tube outwards on the synoptophore. Next, the tube of the synoptophore was moved far away from the position corresponding with the centrifugal data and then we measured the subjective angle again by afferent pathway approaching behind far point. We defined the difference in data between two methods as the dissociation.
    Results: The dissociations of the cyclo deviations were significantly larger than those of vertical deviations between the strabismic subjects and the controls. The vertical dissociations of the strabismic group were significantly larger than those of the control group, especially, those of thyroid-associated ophthalmopathy (TAO) subjects and decompensation superior oblique palsy (decompensate SO palsy) subjects. No significant difference was detected between the strabismic group and the control group.
    Conclusion: The results suggest that the dissociation of data between the afferent and centrifugal methods may be more associated with the stability of eye position than with the ability of binocular fusion. We recommend that careful measurements of vertical and/or cyclo deviations be performed in patients with strabismus, particularly those with TAO and/or decompensate SO palsy.
  • 杉山 絵美, 郡司 久人, 伊藤 正臣, 田中 聡, 青柳 典子, 常岡 寛
    2008 年 37 巻 p. 95-100
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:M-CHARTS®(イナミ)を用いて、黄斑部疾患の硝子体手術前後における変視量を客観的に評価して検討を行った。
    対象と方法:平成19年6月から10月に黄斑部疾患で硝子体手術を施行し、手術前後でM-CHARTS®の検査を行った20例20眼を対象とした。内訳は、黄斑前膜9例9眼、黄斑浮腫10例10眼、黄斑出血1例1眼であった。方法は硝子体手術前と手術後(平均2週間)に、視力検査、M-CHARTS®をそれぞれ施行し、その検査結果と自覚症状を比較検討した。
    結果:変視量の減少と自覚症状の改善は、ほぼ一致する傾向であった。また、術後視力に変化がなくても、変視量の減少がみられる症例が多かった。
    結論:M-CHARTS®は、変視の自覚症状の変化を簡便かつ客観的に評価でき、治療効果を判定する上で、有用な検査方法である。
  • 小林 昭子, 肥田野 めぐみ, 遠藤 成美, 後藤 浩
    2008 年 37 巻 p. 101-107
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    【目的】緑内障を疑いGoldmann perimeter(以下GP)を用いて検査を行う際、周辺視野における応答が不安定なために評価が困難なことがある。視野検査の長期観察例の経過をもとに、早期の周辺視野における異常が緑内障性変化をとらえていたか否かを検討した。
    【対象および方法】対象は経過中に計10回以上GPによる検査を施行した症例のうち、最終的に緑内障性視野異常を呈した198例315眼である。方法は、経時的に視野検査を行なった症例について視野異常の部位と範囲の変化を後ろ向きに調べ、異常出現時の周辺視野異常の程度と部位について検討した。
    【結果】初回検査時に異常がなかったのは36眼(11.4%)であった。異常出現時に周辺・中心ともに視野異常を呈したものが15眼(41.7%)、中心異常が12眼(33.3%)、周辺異常が7眼(19.4%)、判定不能2眼(5.6%)であった。周辺視野の異常部位は36眼中、上鼻側が13眼(36.1%)、下鼻側が14眼(38.9%)、下耳側が1眼(2.8%)、上耳側が4眼(11.1%)と鼻側の割合が高かった。経過中に視野の鼻側周辺における応答が不安定であった8眼は、最終的にいずれも特徴的な緑内障性視野異常に変化していた。
    【結論】GPによる緑内障の視野検査にあたっては、中心のみならず、周辺の鼻側を詳細に測定することの重要性が改めて確認された。検査時に不安定な部分は、やがて緑内障性視野異常に変化する可能性があるので、検査時にはその旨を正確に記録することが大切である。
  • 宮崎 かづき, 柏田 てい子, 林 孝彰, 北川 貴明, 久保 朗子, 浦島 充佳, 北原 健二, 常岡 寛
    2008 年 37 巻 p. 109-114
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:Lanthony desaturated panel D-15 test (Desaturated test)は、Farnsworth dichotomous test (Panel D-15)に比べ、色相を変えずに明度を上げ彩度を落とした色覚検査器で、程度判定に用いられている。今回、異常3色覚における本検査器の有用性について検討した。
    対象および方法:対象は、等色法で異常3色覚と診断されPanel D-15をpassした中で、矯正視力1.0以上で眼疾患を認めない162例(男性155例、女性7例)である。Desaturated testを実施しpassかfailに判定した。本検査をpassする割合が、1型3色覚と2型3色覚で等しいかどうかx2検定にて検討し、オッズ比を算出した。有意水準5%未満を有意差ありとした。また、11歳未満と11歳以上で2分し、passとfailの割合を比較した。
    結果:1型3色覚では35.2%(19/54)がfailし、2型3色覚では17.6%(19/108)がfailした。両群間で有意差(p=0.013)を認め、2型3色覚に比べ、1型3色覚でfailするリスクが2.5倍(95%信頼区間1.1-5.7)高かった。1型・2型3色覚ともに11歳未満のfailする割合が著しく高かった。
    結論:Desaturated Testで程度判定を試みる場合には、1型3色覚者が2型3色覚者に比べfailしやすい傾向があること、11歳未満を対象者にした場合failする割合が高いことを念頭におく必要がある。
  • 宮田 真由美, 勝海 修, 及川 恵美, 伊藤 純子, 稲川 容子, 宮永 嘉隆, 井上 治郎
    2008 年 37 巻 p. 115-121
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    眼球外傷後に片眼性の心因性視覚障害が疑われた症例にパターンリバーサルVER(以下PVER)を施行した2症例を報告する。
    症例1は11歳男児。右眼にゴムボールが当たった。視力は右眼0.6(1.2)左眼1.2(1.2)だが、打ち消し法で右眼を再検査すると、Planeレンズにて1.2となった。症例2は8歳男児。友人に左眼を殴られた。初診時視力は右眼1.2(1.2)左眼0.1(0.15)。数日後、左視力は更に低下した。視野検査は両症例とも外傷眼に求心性視野狭窄とらせん状視野を認めた。PVERは両眼ともに正常反応であった。これにより心因性視覚障害と診断した。PVERは器質的疾患との鑑別診断に有用であった。
  • 原 涼子, 和田 直子, 並木 美夏, 三戸岡 克哉, 島崎 晴代, 常岡 寛
    2008 年 37 巻 p. 123-128
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    近年はストレス社会と言われている。大人と同様に子供もいろいろなストレスに囲まれながら生活しているといっても過言ではない。ストレスに起因する眼科的な訴えを心因性視覚障害という。器質的疾患がなくレンズ打消し法や雲霧法を用いて視力検査を行っても視力の改善がみられない患児に対し、小児科と連携してその原因を検討したので報告する。
    症例は9歳女児。近医より心因性視覚障害の疑いで当院に紹介された。初診時の眼科所見は、レンズ打消し法及び雲霧法で行っても視力は両眼ともに(0.4)であった。視野は両眼ともに求心性視野狭窄を伴った小さいらせん状視野であった。器質的疾患は認められず、心因性視覚障害と診断し、小児科へ紹介となった。小児科での7種の心理検査の結果、患児の高い不安度と、自己抑圧傾向が示唆された。家庭環境は、両親は離婚しており、母子間調整が必要との判断から数回のカウンセリングが施行された。
    眼科における検査及び診察だけでは、患児の家庭環境や心理状態を把握することが難しいため、心因性視覚障害を治療できない場合がある。根本的な問題を解決せずに検査することは患児にとっても負担と考えられ、他科と連携をとりお互いの情報を共有しあいながら治療を進めていくことが有用であると思われた。
  • 中山 周三, 岩尾 圭一郎, 山中 雅恵, 上坂 勉, 佐藤 好, 関 ゆかり, 中川 たか子
    2008 年 37 巻 p. 129-134
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:間欠性外斜視に対する手術前後の遠見立体視を測定し、改善度や影響を与える因子について検討した。
    対象及び方法:1995年1月から2004年12月までの間に初回斜視手術を施行した間欠性外斜視のうち、術後経過観察期間1年以上かつ最終検査時年齢6歳以上で、遠近の立体視および斜視角、輻湊近点検査ができた29例を対象とした。
    遠見にはNikonツインチャートNC-10®を、近見はTitmus Stereo Testを用いて、立体視検査を行った。また、交代プリズムカバーテストを用いて斜視角の測定を行い、術後遠見立体視に影響を与える因子について統計学的に検討した。
    結果:術後遠見立体視が得られたものは100%であった。また、術後の遠見立体視スコアも術前と比べ有意に増加していた。術後遠見立体視と術後近見立体視の間に有意な正の相関を認め、術後遠見立体視と術前遠見斜視角・術後近見斜視角との間で有意な負の相関を認めた。
    結論:術後遠見立体視は改善し良好であった。また、術後近見立体視が良いほど術後遠見立体視は良好で、術前遠見斜視角と術後近見斜視角が大きいほど術後遠見立体視が不良になることが明らかになった。術後遠見立体視と術後近見立体視の間に正の相関があることから、術後遠見立体視の低下は、重要な再手術の適応の要素であることが示された。
  • 間原 千草, 木村 亜紀子, 目黒 千章, 窪田 真実, 佐野 直子, 田中 麻紀, 三村 治
    2008 年 37 巻 p. 135-139
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    【目的】両眼視が失われていた手術予定の斜視患者にフレネル膜プリズムによる保存的治療を行い、両眼視機能の改善が得られた2症例を報告する。
    【症例】症例1は5歳女児。2歳頃から内斜視で、他院で眼鏡により経過観察されていたが、軽快せず3歳時に当科を受診した。眼位は完全屈折矯正眼鏡装用にて遠見、近見とも45ΔETで、同時視は認められなかった。手術までの期間、右20Δ基底外方、左15Δ基底外方のフレネル膜プリズム療法を施行したところ、両眼視機能が得られ、斜視角の減少を認めた。
    症例2は9歳男児。2歳半から母親は眼位異常に気づいていたが、近医で経過観察と指示され9歳時に当科を受診した。眼位はAPCTで近見30ΔXT、DVDを合併していた。同時視認められず恒常性外斜視と診断した。水平偏位矯正のみのフレネル膜プリズム装用を開始したが斜位に持ち込めず、優位眼で水平偏位矯正を、非優位眼でDVDによる上下偏位の矯正を行ったところ、斜位に持ち込めるようになり、2ヶ月後には同時視、融像がARCにて獲得でき、トレーニングを併用することでNRCへと改善し、眼位もフレネル膜プリズム上、斜位を保っている。
    【結論】フレネル膜プリズム眼鏡装用は両眼視機能と眼位の改善と安定を得られる有効な保存的治療である。手術までの期間、ただ単に経過観察を行うのではなく、積極的に保存的なフレネル膜プリズム療法を行うことが重要と再確認された。
  • 池田 福美, 中馬 秀樹, 小谷 洸太郎, 直井 信久
    2008 年 37 巻 p. 141-144
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:水晶体混濁は乳幼児においては視機能の発達を障害する可能性がある。治療は、手術を行うか否かと、その施行時期が大切となる。われわれは、水晶体混濁の混濁部位や大きさ、屈折異常により、手術ではなく、弱視治療を行い、良好な結果を得ることができた4例につき報告する。
    症例:症例1:初診時4歳、男児。初診時矯正視力右1.2、左0.6。左眼のみ約2mmの後嚢下混濁を認めた。調節麻痺剤点眼後、右眼は+1.5D、左眼は+5.0Dの不同視を認めた。眼鏡処方、健眼遮蔽療法を行い、7歳時に左眼矯正視力1.2となった。症例2:初診時6歳、男児。初診時矯正視力右0.7、左0.8。両眼約2mmの後嚢下混濁を認めた。調節麻痺剤点眼後、両眼+5Dの遠視を認めた。眼鏡処方を行い、8歳時に矯正視力右1.0、左0.9となった。症例3:初診時3.8歳、女児。初診時矯正視力右0.5、左1.0。右眼のみ約1.5mmの前極白内障を認めた。調節麻痺剤点眼後、右眼はS+1.0D=cyl-3.0DAx180°、左眼は+1.0Dの不同視を認めた。眼鏡処方、健眼遮蔽療法を行い、4.9歳時に右眼矯正視力1.0となった。症例4:初診時4.3歳、女児。初診時矯正視力右0.4、左0.3。両眼に核白内障を認めた。調節麻痺剤点眼後、右眼は-1.0D、左眼は-1.5Dであった。頻回の視力検査を行い、4.10歳時に両眼矯正視力0.9となった。
    結論:1.混濁の大きさが3mm以下の軽度の水晶体混濁の患者で、屈折異常を有している場合、適切な眼鏡処方と積極的な弱視治療を行うことが重要であると考えた。2.混濁が軽度の水晶体混濁の患者で、屈折異常を有していない場合、検査の不慣れが原因となっている可能性があるため、早急に手術をする前に、頻回に視力検査を行う意義があると考えた。
  • 吉里 聡, 志鶴 紀子, 高橋 広
    2008 年 37 巻 p. 145-149
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    重複障害児には健常児に比べ屈折異常が高頻度に認められるが、眼鏡を装用している例は少ない。そのため、視経験の不足を招き具体物の認知に影響を与える可能性が指摘されている。そこで、知的障害を持つ重複障害児の眼鏡装用開始時期を検討した。対象は知的障害をもつ18歳未満の重複障害児100名とした。視経験をより拡げたいと考え、4D以上の遠視・2D以上の近視または乱視をもつ児の様々な反応を観察し、眼鏡処方を検討した。眼鏡処方が必要であったのは44名(44%)で、うち装用可能群19名、装用不能群20名、判定不能群5名であった。装用可能群は0~5歳で18名中10名(56%)、6~11歳で14名中7名(50%)、12~17歳で7名中2名(29%)であり、若年者ほど高率であった。知的障害をもつ重複障害児において、早期に眼鏡処方ができた例ほど装用できる率は高く、屈折矯正眼鏡が知的障害児の発達に役立つと考える。
  • 吉本 洋平, 美濃部 美希, 宮崎 景子, 山田 敏夫, 沼 慎一郎, 松井 孝明
    2008 年 37 巻 p. 151-155
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    近年、日本のコンタクトレンズ(以下CLとする)装用者人口は1500万人を超えるといわれている。その中でCL装用者の25%がドライアイであるとの報告もある。今回、我々は、大島眼科病院でのCL希望者に対しドライアイの早期検出を目的に涙液スペキュラー検査(DR-1®興和社製)を実施し、有効な結果が得られたので報告する。対象は2006年11月から2007年5月までにCL作成を希望した100名(200眼)。方法は涙液スペキュラー(DR-1®興和社製)で涙液油層のドライアイGrade分類と涙液の自然破壊(Non-Invasive Break-Up以下NIBUとする)の有無とを観察し評価した。結果はGrade分類ではGrade 1・2は153眼、Grade 3は37眼、Grade 4は10眼、Grade 5は0眼であった。診察の結果、ドライアイと診断された眼数は31眼(15.5%)であった。またGrade分類別のドライアイ検出率はGrade 1・2が3眼/153眼(1.9%)、Grade 3が18眼/37眼(48.6%)、Grade 4は10眼/10眼(100%)とGrade分類の3・4が最も多く検出された。またNIBUは11眼に観察され、その内6眼(54.5%)がドライアイであった。涙液スペキュラーは操作も簡便でありドライアイ検出に適した有効な検査であると考えられた。
  • 岡 由紀子, 田中 康裕, 木戸 由美, 吉村 利規
    2008 年 37 巻 p. 157-161
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:和歌山県へき地学校眼科検診の報告をする。
    対象及び方法:和歌山県下7地域にて保育園児84名、小学生816名、中学生505名に対し、視能訓練士による他覚的屈折検査、矯正視力検査、及び、医師の診察を行い、個々の児童・生徒に関する事後指導を行なった。
    結果:保育園児8名、小学生159名、中学生153名が、要精検、要治療と判断された。そのうち1名は不同視弱視が疑われ、眼位異常は36名であった。また、所持眼鏡での視力が0.6以下であったものが、小学生で44名、中学生で60名に見られた。
    結論:我々の行なったへき地学校眼科検診で、未治療の斜視、弱視が検出された。このことから、眼科受診の機会の少ないへき地において小児眼科検診は有用であると考えられた。視能訓練士が参加することにより、眼科医が斜視・弱視を効率よく発見し、参加児童に適切な指導を与えることができた。
  • 濱田 瑞恵, 福永 紗弥香, 楡井 しのぶ, 石井 祐子, 永野 雅子, 若倉 雅登, 井上 治郎
    2008 年 37 巻 p. 163-170
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:平成18年4月から9歳未満の子どもに対して、治療用眼鏡等の療養費給付制度が新たに開始された。当院では旧制度の平成15年から療養費申請希望者に対し、手続きに必要な書類を作成するなど申請に協力してきた。新制度後からは対象者に対し、申請までの手続きを説明し、申請を支援している。今回、療養費給付状況を知るためアンケート調査を行った。
    対象および方法:療養費申請対象者は274名で、旧制度は55名、新制度は219名であった。旧制度の平成15年から平成18年3月までに希望して申請した55名、平均年齢4.2±2.1歳(10か月~8歳)と新制度後の平成18年10月から平成19年3月までに申請を行った219名、平均年齢5.5±1.8(1歳~8歳)にそれぞれ給付金額、給付までの期間、保険者の対応、などについてアンケート調査を行った。
    結果:アンケート回収率は、43.1%(118/274件)であった。旧制度は31.0%(17/55件)、新制度46.1%(101/219件)であった。新制度後は申請までの手続きについて説明しているが、事前に知っている親はほとんどいなかった。旧制度に申請が受理されたのは13件、不受理6件であった。新制度は受理98件、不受理3件であった。申請額に対する給付額の割合は、旧制度と新制度で大きな差は見られず、約7割であった。給付までの期間は、旧制度は4.5か月と長くかかっていたが、新制度は2週間から1か月と短縮した。また、旧制度は給付までに多くの障壁があったが、新制度ではほぼ問題なく給付されるようになった。
    結論:治療用眼鏡等に対する療養費申請についての制度は、まだ認知度が低い。医療側が積極的に情報提供すべきであると考えた。
  • 視覚障害児・者のニーズ
    久保 真奈子, 玉谷 晴代, 別府 美鈴, 松尾 雅子, 高橋 広
    2008 年 37 巻 p. 171-177
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:北九州市立総合療育センター眼科は、1991年より視覚障害児のロービジョンケアを行っている。視覚障害児の成長に伴い、他職種との連携を深めていく経過で、2001年頃より中途視覚障害者も受け入れるようになった。そこで今回は、視覚障害児・者のニーズを示し、そのケア内容を報告する。
    方法:対象は、2001年1月から2007年6月までにロービジョンケアを求めて初診した156名で、18歳未満51名を視覚障害児、18歳以上105名を視覚障害者とした。対象者において、当科への紹介者、初診時のニーズ、ケア内容をカルテ記録より検討した。
    結果:当科への紹介者は、視覚障害児では、他科の医師、眼科医、コメディカル、教育関係者がほぼ同数であった。視覚障害者は、眼科医と福祉関係者がほぼ同数であった。また、眼科医以外の紹介者が、視覚障害児76%、視覚障害者66%であった。初診時のニーズは、視覚障害児は主に視機能評価であった。そこで、同センタースタッフや教育関係者と連携した療育相談や視覚発達の訓練を継続するケアを行った。その中から保護者は、眼鏡装用や補助具使用が必要であることなどを理解していった。一方、視覚障害者は、紹介者からの情報提供もあり、補助具の紹介や羞明の軽減など明確なニーズをもって受診しており、これらに応えることがケア内容となった。
    結論:今後も眼科医はもとより他職種と連携しながら、ニーズに応じたロービジョンケアを当科が行う必要があると考える。
  • 石井 雅子, 張替 涼子, 阿部 春樹
    2008 年 37 巻 p. 179-186
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    就学に関しての不安をもつ6例のロービジョン児に対して読書を評価し、臨界文字サイズと教科書文字サイズとを比較した。視覚障害の主な原因は先天白内障または先天緑内障であった。初診時の良いほうの眼の視力は0.4から0.06であった。学習についていけるか、学校側からどの程度の配慮が受けられるか等の「就学前の相談」「読書」「羞明」「歩行」「遠見」をニーズとして受診した。視覚補助具の指導、処方、情報提供を行なった。全例、介助員の付き添いで通常学校に入学した。盲学校の学習支援教室に月1回程度通級している。
    症例の最大読書速度は33.62~74.76文字/分、臨界文字サイズは43.99~11.05ポイントであった。正常視覚の1年生12名の最大読書速度平均は154.49±19.11文字/分、小学1年生教科書最小文字サイズは12.8ポイントである。
    読書の評価は、視力検査のみでは捉えることのできない視機能の一面を知ることができ、ロービジョン児の学習状況を客観的に判断する上で有用であった。
  • 磯谷 尚輝, 井藤 麻由香, 洞井 里絵, 吉田 陽子, 中村 友昭, 酒井 幸弘, 玉置 明野, 小島 隆司, 市川 一夫
    2008 年 37 巻 p. 187-192
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的】laser in situ keratomileusis(以下、LASIK)後における眼内レンズ(以下IOL)度数計算を複数の方法で算出し、その精度を検討する。
    対象及び方法】近視及び近視性乱視に対してLASIKを施行し、その後白内障手術を施行した9例11眼。白内障手術施行時の平均年齢52.6±9.0歳、平均眼軸長26.43±2.20mm。
    IOLMaster™ (Carl Zeiss Meditec)で眼軸長測定、角膜曲率半径計測及び前房深度測定を行い、Haigis-L式以外の角膜曲率半径計測はARK-700A(NIDEK)を用い、前房深度は超音波AL-2000(TOMEY)の値を用いた。各計算式に必要なパラメータをそれぞれAramberriらのDouble-K method (DKM)、Holladay II式、ShammasらのNo-history法、Haigis-L式に当てはめ、実際に挿入したIOL度数で得られた術後屈折値と予想屈折値の誤差を比較した。
    結果】各計算式における予想屈折値と白内障術後屈折値の差の絶対値平均と、その差が±1.0D以内に入る割合は、DKM:1.18±0.86D(45.5%)、Holladay II式:0.93±0.61D(63.6%)、No-history法:0.74±0.60D(54.5%)、Haigis-L式:0.85±0.70D(63.6%)であった。
    結論】今回の検討ではLASIK後における4種のIOL度数計算式の間には差が見られた。またHaigis-L式の成績が±1.0Dに入る割合が多く術後屈折誤差は少なかったが、統計学的な有意差は認められなかった。Haigis-L式を含むいずれの式においても長眼軸眼では屈折誤差として近視化を生じる傾向が認められた。LASIK後の角膜屈折力の評価を含め、用いる際には各式の特徴を十分に検討する必要がある。
  • 金井 友香里, 鹿間 智子, 櫻井 ゆかり, 相澤 南, 佐藤 優, 堀 貞夫
    2008 年 37 巻 p. 193-197
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:白内障硝子体同時手術(以下同時手術)に対する眼軸長検査につき、非接触式光学式眼軸長測定装置であるIOLマスター™(以下IOLマスター)の有用性を検討した。
    対象及び方法:対象は、2005年9月から2007年9月までに当院にて、IOLマスターと超音波Aモード法(以下Aモード)の両方による眼軸長測定を同日に施行した症例のうち、眼軸長22.0mm以上、24.5mm未満の標準眼軸長群で、同時手術を施行し、術後2ヶ月以上経過観察出来た18症例19眼である。白内障単独手術(以下単独手術)を施行した69例81眼を対照群とした。眼内レンズ度数の算出にはSRK-T式を用い、A定数は、Aモードでは標準眼軸群のパーソナルA定数である118.6を、IOLマスターはweb上の掲載値である118.9を使用した。これらの術後屈折誤差をIOLマスターとAモードとの間で比較した。
    結果:術後屈折誤差は、AモードのほうがIOLマスターに比べ有意に近視化していた(p<0.01,t検定)。黄斑状態別に、嚢胞様黄斑浮腫、漿液性網膜剥離のみで検討した場合でも、Aモードのほうが有意に近視化していた(p<0.05,t検定)。
    結論:IOLマスターはAモード法にくらべ近視化が少なく、網膜色素上皮に病変が及ばない限り黄斑の状態に左右されないため、単独手術のみでなく、同時手術においても、眼内レンズ度数選択に有用であると思われた。
  • 田邊 宗子, 深井 小久子, 内田 冴子
    2008 年 37 巻 p. 199-206
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    平成5年、視能訓練士法が改正され、視能訓練士の業務に散瞳下の眼底撮影が法律的に認められた。また、Evidence-Based-Medicine(以下のEBMと略す)が謳われ、evidenceの観点からも眼科写真は、疾病に関する客観的データとして診断、治療、予後の推測に活用され、その重要性が認識されてきた。
    そこで、著者らは医療現場における眼科写真撮影の現状と、視能訓練士学校養成施設における眼科写真撮影教育の実態を調査するために、無記名式アンケートを学校養成施設22校、医療施設110施設に行った。調査期間は、平成16年11月から平成17年6月末日までとした。有効回答率は、学校養成施設86.4%(19/22校)、医療施設84.5%(92/110施設)であった。学校養成施設では、眼底撮影100%(19/19校)、9方向眼位写真撮影94.7%(18/110施設)と高率であったのに対し、医療施設における視能訓練士の写真業務の順位は、眼底撮影67.4%(62/92施設)、9方向眼位撮影が65.2%(60/92施設)であった。
    以上の結果をふまえて、眼科写真撮影の質の向上を図る必要性と、眼科写真学の科目立ての重要性を認識し、眼科写真を眼科検査学の一つの独立した検査部門として位置づけることが必要であると考え、新しい時代の要請に対応できる視能訓練士教育ガイドラインの策定を試みた。
  • 宮崎 かづき, 柏田 てい子, 林 孝彰, 北川 貴明, 久保 朗子, 西尾 佳晃, 北原 健二, 常岡 寛
    2008 年 37 巻 p. 207-213
    発行日: 2008/10/31
    公開日: 2009/10/29
    ジャーナル フリー
    目的:先天赤緑色覚異常者のうち1型3色覚者及び2型3色覚者に対して、Waggoner版Hardy-Rand-Rittler色覚検査表(W-HRR表)を施行し、本検査表の有用性について検討した。
    対象および方法:1型3色覚16例、2型3色覚38例に対し、W-HRR表と有用性が評価されているRichmond社版HRR表(R-HRR表)による程度判定検査を施行し、W-HRR表判定に対するR-HRR表判定の一致率を算出した。さらに、W-HRR表およびR-HRR表の程度判定表にある視標と背景色の色度を測色し、検査結果との比較検討を行った。
    結果:W-HRR表とR-HRR表による程度判定結果の一致率は、1型3色覚では87.5%で、2型3色覚では73.7%と高い一致率を認めた。不一致であった症例は、R-HRR表と比較してW-HRR表で弱度に判定される傾向がみられた。また、視標及び背景色の色度差は、R-HRR表と比較してW-HRR表で大きい傾向が認められた。
    結論:W-HRR表はR-HRR表と同等に利用可能な色覚検査表と考えられるが、判定結果には不一致例もあることを念頭において評価する必要がある。不一致の一因として、両検査表における視標と背景色間の色度差が関与していることが推察された。
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