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今井 小百合, 長谷部 佳世子, 青葉 香奈, 大月 洋, 渡辺 好政
2010 年 39 巻 p.
71-76
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
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目的:屈折性調節性内斜視症例における立体視機能不良(TNOステレオテスト、以下TNOで15~120”の正常立体視機能をもたない)の原因を調査すること。
対象及び方法:1999年7月~2009年9月の間に、岡山大学病院眼科および佐藤眼科医院を受診し、5年以上経過観察のできた屈折性調節性内斜視52例を対象とした。全患者の診療記録を後ろ向きに調査した。調節麻痺薬使用下での屈折検査、視力検査、立体視機能検査(TNO)、眼位検査、眼球運動検査を行った。最終検査時のTNO結果により、A群(良好):120”以下32例とB群(不良):120”が獲得できなかった20例の二群に分類し、発症年齢、治療開始(眼鏡装用開始)までの期間、屈折度、初診時の斜視角、眼位の変動、弱視、下斜筋過動、家族歴の有無について、統計学的に検討した(t検定、χ²検定、ロジスティック解析)。
結果:両群の間に有意差が認められたのは、発症年齢(p<0.01)、眼位ずれの期間(p<0.05)(t検定)、弱視(p<0.01)、眼位の変動または外斜視に移行(p<0.005)(χ²検定)であった。他の項目では、両群の間に有意差は認められなかった。
結論:立体視機能が不良な症例には、発症年齢が低い、治療開始までの期間が長い、弱視を合併する、眼位の変動がみられるという特徴があった。よって、早期発見・早期治療、そしてきめ細かな経過観察が重要である。
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澤田 園, 新田 朋美, 早川 友紀子, 丸中 夏央里, 白木 幸彦, 山口 泰孝, 梅基 光良, 植田 良樹
2010 年 39 巻 p.
77-80
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
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長期にわたり、隔日性のリズムを維持しつづけた周期性外斜視について報告する。
症例は8歳女子、2歳8ヶ月健診にて外斜視を指摘され当院を受診した。経過観察中、正位と外斜視の日を認めたため、周期性チェックを実施したところ、隔日性の要素を認めた。正位の日には良好な両眼視機能を示すが、斜視の日には強い片眼抑制がかかり、基礎型外斜視の様相を呈した。斜視の日であっても日中に正位に戻ることが多く、生活リズムや睡眠により眼位変化が起こりやすい傾向にあった。また5年を経過した現在もなお、隔日性の周期を維持している。
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大北 陽一, 木村 亜紀子, 間原 千草, 田中 麻紀, 近藤 美保, 三村 治
2010 年 39 巻 p.
81-85
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
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目的:大斜視角の成人外斜視に対する斜視手術が整容面の改善だけでなく、両眼視機能の機能回復も伴っているかを検討する。
対象・方法:2005年4月から2008年4月までに兵庫医科大学病院眼科(以下当科)を受診した外斜視症例の中で、交代プリズムカバーテスト(以下APCT)で80△以上の外斜視を認め、当科で初めて斜視手術を行った39例(16~90歳)を対象とした。手術方法は全例局所麻酔下での非優位眼の内外直筋前後転で、術後斜視角、術後複視の有無につき検討した。また、25例では術前後のTitmus Stereo Tests(以下TST)と大型弱視鏡の両眼視機能を後ろ向きに検討した。
結果:1回の手術により斜視角は平均近見99△から31△Base inへ、遠見72△から18△Base inへと改善した。術後複視を訴えた症例はなかった。術前輻湊により斜位に持ち込めたのは39例中13例であったが、術後は28例が斜位に持ち込めた。両眼視機能では、術前TSTのfly(-)が10例、100″以下の正常立体視が1例のみが、術後は25例中14例(56%)で正常立体視を獲得した。大型弱視鏡においては術前同時視(-)は11例、立体視まで可能であったのは5例のみであったが、術後は25例中13例(52%)で立体視まで可能となった。
結論:成人の大斜視角の恒常性外斜視の場合でも、斜視手術により両眼視機能の機能回復も期待できる。
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浅川 賢, 石川 均, 庄司 信行, 清水 公也
2010 年 39 巻 p.
87-92
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
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【目的】核上性垂直眼球運動障害に対して視能矯正を施行し、その効果を検討すること。
【症例および方法】22歳の男性、松果体腫瘍治療後に残存する正面および上方視時の複視を主訴に来院した。初診時所見として視力、視野は正常、眼位はskew deviation(6△LH(T))を伴い、垂直注視麻痺はほぼ治癒していたが、上方視における衝動性眼球運動時の眼球運動速度低下と滑動性眼球運動時の輻湊後退眼振、対光-近見反応解離が見られた。また体育教諭を目指しており、実技実習が困難である問題点を有していた。そこで視能矯正としてプリズム眼鏡処方および月に1回外来にて大型弱視鏡によるfusion lock trainingとEOGによる眼球運動訓練(狭義)、家庭訓練では赤フィルターとメジャーテープによる方法を毎日20分間施行した。訓練効果は融像域(°)と眼球運動速度(deg/sec)にて判定した(垂直方向は1△=0.5°換算)。
【結果】訓練開始時、正面視に対する複視はプリズム眼鏡にて消失するも、上方視時の違和感は解消されなかった。また大型弱視鏡による融像域は右方20°、左方30°、上方0.5°、下方2°と上方が狭く、衝動性眼球運動時のundershootも見られたが、訓練6か月後には融像域が左右方向ともに30°、上方2°、下方3°と拡大し、眼球運動速度も250deg/secから285deg/secとなり、自覚症状が改善された。
【結論】訓練期間が6か月にも及び患者の意欲も重要ではあるが、核上性垂直眼球運動障害に対する視能矯正により融像域拡大と眼球運動速度の改善が認められた。
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鈴木 理恵, 阿曽沼 早苗, 好川 由利子, 森本 壮, 不二門 尚
2010 年 39 巻 p.
93-101
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
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目的:波面センサー(TOPCON社 KR-9000PW)を用いて、小児の水晶体不正乱視眼の高次収差と視力の関係について検討を行った。
対象と方法:水晶体偏位が瞳孔領まで達していないMarfan症候群1例2眼と瞳孔中心に混濁のない先天性部分白内障3例4眼を対象とし、波面センサーを用いて、眼球全体のコマ様収差(S3)、球面様収差(S4)、全高次収差(Total)のRMS(root mean square)値を測定した。同様にコントロール群として正常眼33眼のRMS値も測定した。検討1として不正乱視眼と正常対照眼のRMS値の比較を、検討2として不正乱視眼のRMS値と視力の関係について検討を行った。
結果:不正乱視群と正常群のRMS値を比較した結果、不正乱視群の方が正常群よりS3、S4、Totalの全てにおいて有意に高かった(それぞれP≦0.001)。また、不正乱視群ではRMS値が高いほど視力予後が悪く、不正乱視群のRMS値はS3、S4、Totalの全てにおいて視力と有意な負の相関を示した(S3:P=0.03、S4: P=0.003、Total:P=0.03)。
結論:水晶体異常が瞳孔領にかからない弱視症例では、弱視訓練による視力の発達が期待されるが、訓練効果が十分に反映されない場合には、水晶体由来の高次収差が視力の発達に影響している可能性が示唆された。
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國上 佳奈子, 挺屋 孝子, 宮田 真由美, 小林 薫, 石井 祐子, 南雲 幹, 勝海 修, 宮永 嘉隆, 井上 賢治
2010 年 39 巻 p.
103-108
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
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目的:異種不同視における両眼視機能を調査した。
対象・方法:西葛西井上眼科こどもクリニックとお茶の水井上眼科クリニック小児眼科を受診した眼位異常のない異種不同視症例8例で、年齢は8~24歳、平均12.3歳であった。遠見視力検査は字づまり視力表、必要に応じ字ひとつ視力表を用いた。不等像視検査は勝海法を用い、立体視検査はTitmusStereotests(以下TST)、FrisbyStereotest(以下FST)、眼鏡装用開始時期と眼鏡装用感の聞き取りから異種不同視の特性を検討した。
結果:遠見視力は、8例中6例が両眼共に1.2の良好な視力が得られた。残りの2例においては矯正視力が0.6、0.4と中等度の不同視弱視を認めた。不等像視検査は6例に行い、6例中5例が所持眼鏡にて1%以下となり、立体視は1症例を除き平均値がTSTで87.9秒、FSTで76.9秒であった。眼鏡装用開始が早期であれば装用感は良好であったが、開始が遅かった年長者からは眼精疲労の声も聞かれた。
結論:異種不同視はモノビジョンとなる傾向があり、弱視になりにくく、眼鏡装用下にて不等像視は減少し、立体視は良好であった。同種不同視と同様に異種不同視でも早期から眼鏡装用することは、弱視の予防や両眼視機能の獲得に繋がるため重要である。
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塚田 貴大, 池田 史子, 高橋 千里, 坂庭 敦子, 田島 早苗, 岸 章治, 石田 香代子
2010 年 39 巻 p.
109-115
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
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目的:実験的な遠視性不同視を外径の異なる眼鏡レンズで矯正し、同度数のレンズ間で不等像視の程度に差があるかを検討した。
対象及び方法:屈折異常の他に眼科的疾患がなく正常な両眼視機能を有する健常者32例を対象とした。ソフトコンタクトレンズ(SCL)を用いて優位眼を正視に、非優位眼をそれぞれ+3.00Dと+5.00Dに設定して、実験的な遠視性不同視を作った。非優位眼を外径の異なる眼鏡レンズで矯正してNew Aniseikonia Tests(NAT)にてそれぞれ3回ずつ不等像視を測定した。+3.00D(屈折率=1.6, 8 curve)のレンズは外径が55mm、65mm、70mm、75mmのレンズを、+5.00D(屈折率=1.6, 8 curve)のレンズは外径が55mmと65mmのレンズを用いた。各々の被検者でそれぞれ3回ずつ測定した不等像視の平均値を求め、同度数のレンズ間で不等像視に差があるかを検定した(Kruskal-Wallis test, Wilcoxon signed-ranks test)。
結果:+5.00Dのレンズでは、外径65mmは外径55mmに対して有意に不等像視が大きかった(P <0.01)。+3.0Dのレンズでは外径が大きい方が不等像視は大きくなる傾向があったが、有意差はなかった。
結論:レンズ条件(度数、カーブ、屈折率)を一定にして比較した場合、レンズ外径が大きくなるほど不等像視が大きくなった。
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高杉 麻希, 林 孝彰, 奥出 祥代, 竹内 智一, 北川 貴明, 月花 環, 神前 賢一, 久保 朗子, 中野 匡, 常岡 寛
2010 年 39 巻 p.
117-122
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
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目的:常染色体優性視神経萎縮(DOA)は、視力障害、視野異常、色覚異常をきたす視神経疾患である。我々は、新規の
OPA1遺伝子変異(IVS20+1G>A)を認めたDOA症例を報告した(Ophthalmic Res 37: 214-24, 2005)。今回、本症例の黄斑部機能について検討したので報告する。
症例:30歳、女性。24歳時にDOAと遺伝子診断された。矯正視力は右眼(0.9)、左眼(1.0)であった。タイムドメイン光干渉断層計所見として、視神経乳頭周囲の網膜神経線維層の菲薄化および黄斑部中心6mmの黄斑体積の減少を両眼に認めた。Humphrey視野計を用いた、blue-on-yellow視野でのMD値(右眼-10.66dB、左眼-10.47dB)は、white-on-white視野でのMD値(右眼-3.68 dB、左眼-3.64 dB)に比べ不良であった。また、Farnsworth-Munsell 100-hue testで青黄色覚異常を示した。主に黄斑部の錐体機能を評価できる黄斑部局所網膜電図では、a波およびb波の振幅低下を認め、網膜神経節細胞に由来するphotopic negative responseは消失していた。
結論:OPA1遺伝子変異陽性DOAでは、黄斑部の錐体機能低下を合併する場合がある。
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並木 祐子, 林 孝彰, 奥出 祥代, 竹内 智一, 北川 貴明, 月花 環, 神前 賢一, 久保 朗子, 常岡 寛
2010 年 39 巻 p.
123-128
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
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目的:小口病は常染色体劣性の遺伝形式をもつ先天停在性夜盲の一つで、視力、視野、色覚に異常はないと考えられている。以前、我々が報告した錐体機能低下および進行性の視野障害をきたし、
SAG(アレスチン)遺伝子変異(1147delA)を認めた高齢者小口病の1例(臨床眼科 63:315-21, 2009)について、今回は、黄斑部機能、色覚について検討したので報告する。
症例:70歳、男性。矯正視力は右(1.2)、左(1.5)、Humphrey視野(中心10-2全点閾値)の中心窩閾値は良好であった。スペクトラルドメイン光干渉断層計所見として、中心窩付近の視細胞内節外節接合部ラインは明瞭であったが、それ以外の部位では不明瞭であった。錐体機能を反映する黄斑部局所網膜電図で、a波およびb波とも著しい振幅低下を認めた。片眼ずつ色覚検査を行い、石原色覚検査表国際版38表では誤読数が右4/21、左3/21と成績は良好であった。Panel D-15では両眼ともpass(no error)であったが、Farnsworth-Munsell 100 hueテストにおいては、青黄色覚異常の極性に一致し、総偏差点は右268左292と年齢によるスコアを超える異常値を示した。
結論:SAG遺伝子変異(1147delA)陽性小口病の中には、黄斑部錐体機能が低下し、経過中に典型的な後天青黄色覚異常を呈するものがある。
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大弓 幸子, 村上 綾香, 稲田 歩, 松田 恭一
2010 年 39 巻 p.
129-134
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
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【目的】複視の訴えがない眼球運動障害例の偏位を簡便に検出するために、Duane のParallax testを応用した検査法を考案し、その有用性を検討した。
【対象と方法】対象は、平成21年8月に松田眼科クリニックを受診した外来患者115例(年齢7歳から91歳:平均58.0±20.9歳)である。複視の訴えのある例、遮蔽試験で偏位が認められた例は除外した。方法は遠見の光指標を用い以下の検査を行った。1)複像検査:一眼に赤ガラス装用して位置関係を問う。2)Parallax test原法:交代遮蔽を行ない、視標の動いた方向を尋ね、自覚的に視標の動きが停止するまでプリズムを増減する。3)Parallax test変法:一眼に赤ガラスを装用してParallax testを行う。
【結果】複像検査では115例中100例で偏位がない安定した融像、7例で動揺、7例で偏位が検出された。Parallax test原法では102例で検査が可能であったが、13例では再現性が得られず検査不能であった。原法で偏位が検出されたのは43例であった。Parallax test変法では114例で検査が可能であった。検査不能は1例であった。変法で偏位が検出されたのは65例であった。
【結論】偏位を検出するためには、交代遮蔽によって融像を十分に除去することが必要であった。一眼に赤ガラスを組み合わせたParallax test変法は、最も検査可能例が多く、敏感に偏位を検出することができた。このことから、Parallax test変法は、偏位検出スクリーニング法として、有用な検査であると思われる。
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秦 規子, 肥田野 めぐみ, 中村 瑞紀, 小林 昭子, 丸山 勝彦, 原澤 佳代子, 遠藤 成美, 後藤 浩
2010 年 39 巻 p.
135-139
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
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半視野異常を有する緑内障症例30例30眼と正常者15例15眼を対象とし、半視野異常症例の異常半視野と正常半視野、ならびに正常者の上下総半視野の各半視野における平均total deviation(TD)と、対応する半周網膜神経線維層厚(RNFLT)の比較検討を行った。なお、視野の測定にはHumphrey自動視野計(HFA)中心30-2 SITA standardを用い、RNFLTの測定は光干渉断層計(Stratus OCT)のサークルパターンFast RNFL thickness(3.4)、RNFL thickness average analysisで行った。半視野異常症例の異常半視野と正常半視野、ならびに正常者の総半視野のTDは、それぞれ-7.85±6.58dB、0.02±1.33dB、-0.06±1.13dB(平均±標準偏差)で、異常半視野におけるTDは正常半視野、正常者のTDと比べ有意に低かったが(p<0.0001, 対応のないt-検定)、正常半視野と正常者のTDの間には有意差はなかった(p=0.8056)。また、異常半視野に対応する半周RNFLTは74.6±15.9μm、正常半視野に対応する半周RNFLTは95.7±13.1μm、正常者の半周RNFLTは103.7±11.5μmで、異常半視野の半周RNFLTは正常半視野ならびに正常者の半周RNFLTより有意に低値であったが(p<0.0001、対応のないt-検定)、正常半視野の半周RNFLTも正常者と比較すると有意に菲薄化していた(p=0.0146)。
緑内障症例では、TDが低下していない正常半視野に対応する神経線維層にもOCT上、菲薄化がみられることから、本症の早期診断に有用な診断法となる可能性がある。
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伊藤 寿美恵, 盛武 由香里, 田澤 聖子, 小林 昭子, 原澤 佳代子, 遠藤 成美, 後藤 浩
2010 年 39 巻 p.
141-146
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
フリー
我々は以前、東京医大病院眼科における1988年~1990年の視野検査の実態を報告しているが、今回はその後の実態について改めて調査するとともに、視野検査のあり方について再考した。対象は1988年、1998年、2008年に当科で視野検査を施行した症例で、各年度における検査眼数、年齢分布、疾患別割合、測定法について比較した。その結果、
1)視野検査を施行した延べ眼数は1988年:1233例2350眼、1998年:2669例5101眼、2008年:3762例7275眼であった。また、年間の当科受診者総数のうち視野検査施行患者数の割合は、それぞれ1988年:2%、1998年:4%、2008年:6%であった。
2)年齢層の割合で最も多かったのは、1988年:60歳代(24%)、1998年:60歳代(26%)、2008年:70歳代(25%)であった。
3)疾患は各年とも緑内障が半数以上を占め、次いで視神経・頭蓋内疾患、網膜疾患であった。
4)測定法については、静的量的視野測定で施行した眼数が1988年:48%、1998年:52%、2008年:73%であった。2008年の調査では、緑内障の症例の90%が静的量的視野測定を、視神経・頭蓋内疾患の症例の73%が動的量的視野測定を行っていた。
近年、視野検査の需要は確実に増加しており、被検者の高齢化がみられる。したがって今後はこれまで以上に、疾患の性質や全身状態を把握した上で適切な検査法を行うことが求められ、そのように工夫することが検査の効率の向上につながると考えられる。
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塩野 未祐紀, 市原 美重子, 春日井 めぐみ, 堀 普美子, 山口 直子, 川瀬 芳克
2010 年 39 巻 p.
147-151
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
フリー
目的:ニデック社製液晶視力表システムチャートSC-2000(以下SC-2000と略す)に用いられている絵視標を評価するため、はんだや製ランドルト環単独視標(以下ラ環単独視標と略す)による視力値と比較検討した。
対象と方法:対象は平成20年12月5日~12月16日の間にあいち小児保健医療総合センターを受診した5歳~12歳(平均7.4歳)で、屈折異常以外の眼疾患がなく、矯正視力1.0以上の小児35人35眼と、あいち小児保健医療総合センターに勤務する視力良好な正常成人5人とした。
方法はSC-2000の絵視標(一文字表示)と、ラ環単独視標を用いて視力を測定し、検者は5人、被検者ごとに同一検者が担当し、検査距離5m、同じ場所にて行った。
なお、測定順による偏りを除くため、絵視標とラ環単独視標の測定順を交互とした。
また、正常成人においてRyser社製弱視治療用眼鏡箔(以下眼鏡箔)6種類を用いた状態で両者の視力を測定した。
結果:小児では、絵視標による平均視力値は1.16、ラ環単独視標による平均視力値は1.32であり、後者のほうが有意に良い結果が得られた(Wilcoxsonの符号付順位検定p<0.001)。
成人に眼鏡箔を用いて実験的に行った視力測定の結果は、絵視標による平均視力値は0.78、ラ環単独視標による平均視力値は0.66であり、前者のほうが有意に良い視力値が得られた(同p<0.01)。
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丹治 弘子, 八子 恵子, 飯田 知弘
2010 年 39 巻 p.
153-158
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
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目的:福島県福島市の三歳児眼科健診に、市内の病院やクリニックに勤務している視能訓練士が参加して10年目を迎える。この多施設共同参加形態をとるようになった経緯と健診内容、利点と成功のポイントにつき述べる。
経緯と健診内容:福島市の三歳児眼科健診では、2000年から1名の視能訓練士の参加が開始されたが、十分な健診が出来なかったため、市内の多施設に協力を呼びかけた。また、保健センターの理解も得られ、2001年からは、市内の他施設から2名が参加している。健診項目としては、1)対象児全員に屈折検査、2)自宅で視力検査が出来なかった児、しなかった児、自宅視力0.5が見えなかった児の視力検査、3)眼位・眼球運動・輻湊検査、4)必要に応じて立体視検査である。
精検結果:対象児全員に屈折検査を施行したことで、不同視弱視の検出率があがった。
多施設共同参加の利点:1)大規模の健診でも、参加が可能となった、2)毎回2名の参加で、全員の屈折検査を施行できた、3)視能訓練士が健診参加を通じて、職域を広げる事ができたとの実感を持てた、などがあげられた。
結論:三歳児眼科健診は、今後視能訓練士の活動の場として拡大されるべきものであるが、地域によっては、多施設共同参加が有用である。
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齋藤 かおり, 森 隆史, 根津 吉史, 清野 あかね, 坂本 章子, 丹治 弘子, 橋本 禎子, 八子 恵子, 飯田 知弘
2010 年 39 巻 p.
159-164
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
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目的:3歳児の携帯型自動屈折検査機での屈折値を報告し、それを3歳児健診で用いる際の方法と留意点について考案する。
対象と方法:福島市の3歳児健診には、毎回2名の視能訓練士が参加し、全受診児に対して屈折値を測定している。平成15年度から18年度に福島市の3歳児健診を受診し、両眼の屈折値が測定できた10,454人、20,908眼を対象とし、レチノマックス
®による自然瞳孔下の屈折値を収集し統計学的に検討した。
結果:レチノマックス
®による屈折検査の可能率は98.26%であった。等価球面値は-0.97±1.15Dであったが、最頻値は-0.875D、歪度は-0.64で遠視側により急峻、近視側により平坦な分布であった。円柱屈折値は0.47±0.45D、球面屈折値左右差は0.57±0.65Dであった。
結論:3歳児健診でのレチノマックス
®屈折検査は、検査可能率が高く、健診現場での使用には有用である。しかし、調節の介入があることから、それのみで視力に代わるスクリーニング検査にはなりえない。視力値と照合して結果を判断すれば、補助的に効果を発揮すると考えた。
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谷村 亞紀, 中岡 真美子, 旭 香代子, 谷 知子, 筑田 昌一, 池淵 純子, 楠部 亨, 真野 富也
2010 年 39 巻 p.
165-171
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
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【目的】当院では平成13年度から宝塚市の3歳児健診に参加してきた。今回3歳児健診におけるオートレフラクトメーター(以下オートレフ)を用いた屈折検査の有用性を検討したので報告する。
【対象及び方法】平成14年4月から平成20年3月に3歳児健診を受けた3歳6か月児11758人を対象とした。一次健診は家庭での視力検査と問診を、二次健診として視能訓練士が全員に据え置き型オートレフによる屈折検査を行った。さらに一次健診で問題があった幼児に対し視力検査を行った。精密検査を必要とした基準は、屈折が1.0D以上の遠視、3.0D以上の近視、2.0D以上の乱視と不同視、視力は片眼0.5未満とした。医療機関で要医療判定となった幼児の家庭での視力検査の結果と屈折検査の結果を比較検討した。
【結果】全対象者のうち85.4%が家庭での視力検査を実施しており、屈折検査は99.1%が可能であった。医療機関案内となった1278人中要医療判定を受けた幼児は92人で、このうち46人は「弱視」と診断されていた。要医療児は家庭での視力検査で41人、屈折検査では90人検出され、この90人のうち51人は家庭での視力検査をpassしていた。
【結論】据え置き型オートレフによる屈折検査は3歳6か月児では高率で可能であった。屈折検査により家庭での視力検査だけでは発見できなかった要医療児を検出できたことから、3歳児健診にオートレフを用いた屈折検査を加えることは有用であると考える。
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中村 秋穂, 稲井 隆太, 長浜 小映子, 石井 祐子, 南雲 幹, 堀川 良高, 若倉 雅登, 井上 賢治
2010 年 39 巻 p.
173-179
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
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目的:井上眼科で行っている近視矯正手術・Alcohol-guided photorefractive keratectomy(A-PRK)にて、wavefront- customized A-PRK(以下、WF(+))と通常のA-PRK(以下、WF(-))の術後成績の比較・検討をした。
対象と方法:対象は、A-PRKを施行し6ヶ月まで経過観察可能であったWF(+)26例52眼(平均年齢30.8±4.9歳:男性11例、女性15例)、WF(-)45例89眼(平均年齢33.7±7.9歳:男性15例、女性30例)、術前の自覚的屈折度の平均等価球面度数はWF(+)-5.43±1.65D(-1.75~-9.50D)、 WF(-)-6.87±2.25D(-1.25~-12.50D)であった。術後1日、3~5日、1週間、1、3、6ヶ月の裸眼視力、自覚的屈折度、矯正精度、術前・術後6ヶ月でコントラストグレアテスト(CGT-1000)を測定し、それぞれの群で比較した。
結果:裸眼視力の平均の経過は両群とも術翌日に0.5~0.6、3~5日に0.4と低下するがその後回復し、1ヶ月では1.0以上となった。術後の等価球面屈折度は、WF(+)の方が各測定時で有意に矯正誤差が小さかった(p<0.05)。コントラスト感度の術前・術後では、WF(+)に比べWF(-)では感度の低下があり、全視角で有意に低下した(p<0.05)。グレア光源負荷コントラスト感度では術前と比べWF(+)は向上、WF(-)は低下し、視角6.3、2.5、1.6、0.7deg.で両群間に有意差を認めた(p<0.05)。
結論:A-PRKにおいてもWF(+)はWF(-)に比し、より矯正精度が高く、さらに、良質な見え方が期待できることが示唆された。
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近藤 香里, 酒井 幸弘, 内藤 尚久, 玉置 明野, 市川 一夫, 磯谷 尚輝, 小島 隆司, 中村 友昭, 城山 敬康
2010 年 39 巻 p.
181-190
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
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【目的】回折型多焦点IOL挿入術における50歳代から80歳代までの年代別術後成績の検討。
【対象と方法】対象は平成19年1月から平成21年5月までに、両眼に回折型多焦点IOL(AMO社製ZM900 16例32眼、Alcon社製SA60D3 5例10眼)を挿入した21例42眼。年代別症例数は、50歳代10例20眼、60歳代5例10眼、70歳代3例6眼、80歳代3例6眼。遠見矯正視力、遠見矯正下近見視力の術後経過、コントラスト感度、アンケート結果を年代別に比較検討した。
【結果】50・60歳代は、術後早期より良好な視力が得られたが、70・80歳代は不安定で、80歳代では、最高視力が得られるまでに3ヶ月程度を要した。術後3ヶ月の視力・コントラスト感度は80歳代がやや劣るものの、遠見裸眼視力 0.96、遠見矯正視力 1.24、遠見矯正下近見視力0.91と良好な結果であった。70・80歳代の近用眼鏡使用率は0%であった。80歳代のハロー・グレアの訴えはなく、高い術後満足度が得られた。
【結論】70・80歳代における回折型多焦点IOLは、視力の安定には時間を要するものの、日常生活に関するアンケートでは高い満足度が得られた。症例数が少ないため、さらに症例を重ね検討する必要があるが、高齢者においても十分なインフォームド・コンセントを行った上で、回折型多焦点IOLは選択肢になりうる。
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大野 恵梨, 須藤 史子, 島村 恵美子, 渡辺 逸美
2010 年 39 巻 p.
191-196
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
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目的:非接触式光学式眼軸長測定装置OA-1000(TOMEY)における白内障手術前後の眼軸長測定精度をIOLMaster
®(Carl Zeiss Meditec)と比較すること。
対象と方法:対象は済生会栗橋病院にて白内障手術を施行、アクリル眼内レンズ(以下IOL) SA60AT(Alcon)を嚢内固定し、術前と術後3カ月目にOA-1000 とIOLMaster
®で測定した、53 名82眼。術後眼軸長は、各装置内蔵の屈折率変換プログラムでアクリルIOL挿入眼に屈折率変換した値とし、術前後の眼軸長測定精度について挿入IOL度数別に3群に分けて検討した。
結果:OA-1000、IOLMaster
®ともに術前後の眼軸長は高い相関を示し(r²=0.9989,r²=0.9992)、いずれの装置も術後は0.09mm短く測定された(p<0.0001,t検定)。OA-1000とIOLMaster
®は高い相関を示し (術前:r²=0.9993,術後:r²=0.9992)、術前後ともにOA-1000の方が有意に短く測定された (術前:0.08mm,術後:0.07mm,p<0.0001,t検定)。挿入IOL度数別の術前後の眼軸長の差に有意差は認められなかった(p=0.36,p=0.86,一元配置分散分析)。
結論:アクリルIOL挿入眼の測定精度は、OA-1000とIOLMaster
®で同等であり、挿入されたIOLの度数を考慮せずに、装置内蔵の屈折率変換プログラムで精度の高い測定が可能である。
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小林 昭子, 深井 小久子
2010 年 39 巻 p.
197-206
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
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【目的】Goldmann視野計の視野実技指導法の標準化をめざし、臨地実習における指導の課題を検討した。
【対象および方法】実習指導予定の視能訓練士70名を対象とした。方法は、Goldmann視野計記録用紙に正常視野と基本操作および緑内障性視野異常を描き、その結果と測定の経過について分析した。自由形式のアンケートからは指導上の問題点を抽出した。
【結果】1)正常視野と基本操作:正常視野と比較したイソプタの広さは、耳側と下方が鼻側や上方と比較して正常より狭くなる傾向がみられた(Wilcoxon-test with Bonferroni correction、p<0.01)。視標の軌跡は、「水平垂直経線を挟んで測定」が64名(91%)、「違う経線を選択」34名(49%)、「前のイソプタより外側から呈示」13名(19%)、「正確にプロットをつないで描写」9名(13%)であった。2)緑内障性視野異常:鼻側の精査不足は54名(77%)、その内37名(53%)は視野異常がないことを確認する測定点が少なかった。ビエルム領域の精査は「中間イソプタを使用」37名(53%)、「スポットチェックを使用」10名(14%)だった。3)実習指導での問題点:46名(66%)が指導方法や内容を指摘し、36名(51%)が実習生の力量を問題とした。
【結論】実習指導での課題は、正常視野の範囲と基本技術の要点を再確認する必要性、緑内障の測定に対して鼻側異常がないことを確認するプロットやスポットチェックの活用、および実習について養成施設と実習施設の指導者間での確認の必要性が結論として得られた。
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野原 尚美, 松井 康樹, 山本 欽一, 牧田 京子, 高橋 宏子, 岐阜県眼科医会
2010 年 39 巻 p.
207-215
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
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設立21年目を迎えた当養成校は、一人でも多くの学生確保のために高等学校訪問を行っているが、進路指導の教官より「就職先は確保できるか」との問がよく返ってくる。そこで雇用側である眼科医師が視能訓練士の必要性に対しどのように考えているのかについて、岐阜県眼科医会会員の先生方にアンケート調査を依頼した。
視能訓練士の雇用を強く希望するか、あれば欲しい、希望しないか等の項目を含んだアンケートを作成し、岐阜県眼科医会会長より会員の先生方にFAXを送信し回答を得た。回収率は73.6%であった。
今回の調査で、岐阜県においては全体の62%の眼科医師が、今後の視能訓練士の雇用を希望しており、早急に知名度を上げる努力をし、岐阜県内の学生を確保することが必要であった。また知識や技術が優れていても、人との協調性に欠けていると雇用側は、期待はずれであったと感じていたことから、今まで以上に人間性を高める教育を行う必要があった。また眼科医師が視能訓練士に期待する業務として斜視・弱視検査が一番多かったことより、視能訓練士の専門分野である視能矯正の教育の強化も必要であると考えられた。
今後、我々は今回の調査から得たことを活かして、眼科医師から診療パートナーとして絶対に必要と感じてもらえるような視能訓練士の育成に勤めるよう努力していかなければならない。
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楡井 しのぶ, 堂山 かさね, 国谷 暁美, 小澤 優貴, 勝又 あかね, 石井 祐子, 南雲 幹, 井上 賢治, 若倉 雅登
2010 年 39 巻 p.
217-223
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
ジャーナル
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目的:井上眼科病院における遮光眼鏡の処方内容と臨床的要因を検討した。
対象:2000年10月から2008年12月までに、羞明を訴え、自覚的な見え方の改善を期待して「目の相談室」を訪れ、ロービジョンエイドの選定を行い、遮光眼鏡の処方に至った464例。
方法:診療録と「目の相談室」個人記録より、疾患及び視力ごとに、処方された遮光眼鏡の特性(色、視感透過率)を後ろ向きに検討した。
結果:処方に至った疾患は網膜色素変性症213例、次に緑内障69例、その他48例、視神経疾患42例の順に多かった。色グループでは全疾患において、ブラウン系が多く選ばれ、網膜色素変性症では透過率の低い色も処方された。
視力群別では、視力良好群(≧0.4)は透過率の高く薄い色が多く処方され、視力不良群(<0.4)はイエロー系の処方が視力良好群に対し有意に多かった(p<0.01)。
結論:当院で行われた遮光眼鏡の処方の傾向が明らかになった。処方は、網膜色素変性症を筆頭に様々な疾患に及んでいたが、色や透過率について疾患による特異的な傾向はみられなかった。
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石井 雅子, 張替 涼子, 阿部 春樹
2010 年 39 巻 p.
225-232
発行日: 2010年
公開日: 2011/03/28
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視覚障害児が通常学校で学習を継続するためには、視機能の評価に基づいて適切な視環境を整えることが重要であり、眼科医療機関と教育現場の連携が必要である。症例は先天白内障の6歳、女児である。生後2か月で両眼白内障手術を施行したが眼振の合併があり十分な視力が得られなかった。小学校就学準備に関する相談目的にロービジョン外来を初診した。通常学校に就学後も学年が進むにつれて新たなニーズが生じている。現在まで5年間に渡りケアを継続中である。学童期には、視覚障害が学習に与える影響を評価する必要がある。学童の学習の基礎である読書能力を評価し、その結果に基づいて効率よく学習するために拡大教科書を手配した。読書速度の測定は視覚障害による学習への影響を定量化する方法として有用であり、保護者および教育機関に対する情報提供の基礎となった。情報提供により学習環境を整え学習継続の円滑化を図ることができた。
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