スフィンゴシン塩基の分析は一般にN-アセチル
O-TMS誘導体としてGLCやGLC-MSによって行われるが, その化合物の簡便な調製法は今までに報告されていない。
本報ではスフィンゴシン塩基の準アシル
O-TMS誘導体の簡易調製法について検討した。スフィンゴシン塩基とHMDS+TMCS/ピリジンとの反応から生ずるO-TMS誘導体と酸無水物とを反応させると目的の
N-アシル化が起こり,
N-アシル
O-TMS化合物が得られた。BSA/アセトニトリルとの反応から生ずる
N,
O-TMS体は, N-TMS基がアミノ基の保護基として作用するため, 酸無水物とは反応しなかった。上記の
N-アシル
O-TMS化反応について数種のスフィンゴ塩基について検討したところ, すべての場合について起こることが認められた。生成物の構造はGLC, GLC-MSから決定した。合成したC
n-ジヒドロスフィンゴシン (
n=12, 14, 16) を
N-アシル
O-TMS体とし, その
erythro/threo比を求めたところ, 従来法で求めた結果 (BSAを用い,
N,
O-TMS体としGLCで定量) と一致した。本報の特色は, スフィンゴシン塩基のNアシル
O-TMS体が簡便に調製でき, かつ, 短時間の反応で行うことができる点にある。しかも, GLC-MSの分析の際, スフィンゴシン塩基の
N-アシル体を別途合成することなく,
O-TMS体と
N-アシル
O-TMS体両方の測定ができる利点がある。
抄録全体を表示