過酸化フルオロアルカノイルとポリオキシエチレンメタクリレートから得られる, 両端にフルオロアルキル基を有する新規アクリレートオリゴマーの SR 加工剤としての有効性について, ポリエステルの表面改質から検討した。
空気中のような疎水性環境下では, 表面は撰油性に改質され, その表面自由エネルギー値は 25 mJ/m
2以下であり, 分散力および極性力成分はそれぞれ 16~18, 2~6 mJ/m
2であった。ESCA 分析の結果, フルオロアルキル基は空気に向がって配列し表面を撥油性にしている事が示された。さらに, 表面自由エネルギーの分散力および極性力成分とESCA 分析によるエーテル結合炭素の C
1sおよび F
1sピークの含有率との間に高い相関があった。この関係を基に, 布の表面自由エネルギーを見積もった。
一方, 時間とともに水の接触角は減少し未改質の時よりも低くなった。これは, 水中のような親水性環境下ではポリオキシエチレン基が表面へしみ出して来てオリジナル表面よりも親水性へと変化する (IILIP-FLOP 機構) ことによると説明できる。モデル洗浄実験の結果も, これら新規オリゴマーが FLIP-FLOP 型の SR 加工剤として機能することを支持した。
抄録全体を表示