日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
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45 巻, 4 号
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  • 田中 稔
    1996 年 45 巻 4 号 p. 319-326
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    本総説では, キャピラリー電気泳動を用いる光学分割について概説する。とくに, キャピラリーゾーン電気泳動とミセル動電クロマトグラフィーの簡単な原理と光学分割への応用について紹介する。泳動電解質溶液中に未修飾および化学修飾シクロデキストリンをキラルセレクターとして添加し, イオン性エナンチオマーを分離するキャピラリーゾーン電気泳動について述べる。この方法のキラル分離は, エナンチオマーの包接錯体形成能の差に基づいている。化学修飾したシクロデキストリンの置換基の位置と置換度, および電解質溶液への添加剤の光学分割に及ぼす影響を述べる。キラルミセル相へのエナンチオマーの分配の差に基づいてキラル分離が達成される, キラルな界面活性剤を用いるミセル動電クロマトグラフィーについて述べる。多用されているイオン性界面活性剤である硫酸ドデシルナトリウムのミセルとシクロデキストリンを一緒に用いる方法についても簡単に紹介する。
  • 須貝 昭彦, 宇田 郁子, 近 一夫, 安藤 進, 伊藤 佑子, 伊藤 俊洋
    1996 年 45 巻 4 号 p. 327-333
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    Sulfolobus acidocaldarius N-8 の微量脂質成分であるジエーテル型脂質とトリアルキルタイプのテトラエーテル型脂質の構造について調べ, ジエーテル型脂質のPL-X, トリアルキル型脂質の PL-Y と PL-Z の3種類のリン脂質の構造を明らかにした。PL-X の構造は, ホスファチジルイノシトールの類似体で, PL-Y と PL-Z の両者もイノシトールリン脂質であり, 前者は脂質骨格の片側のグリセリンにイノシトールリン酸が結合したもの, 後者は脂質骨格の両側のグリセリンにイノシトールリン酸が各々リン酸エステル結合したものであることがわかった。また, 2分子の PL-X から PL-Z が生成し, PL-Y からテトラエーテル型脂質が生合成される経路の存在が推測された。 Sulfolobus acidocaldarius N-8 に於ける PL-X の含有量は全脂質の約5%であるが, PL-Y と PL-Z は1%以下であった。
  • 合同実験及び標準化
    梶島 俊樹, 青木 滋, 西本 ゆかり, 長谷川 栄治, 森好 栄子, 永山 裕美
    1996 年 45 巻 4 号 p. 335-339
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    高度不飽和脂肪酸を含有する精製魚油中のイコサペンタエン酸 (IPA) とドコサヘキサエン酸 (DHA) 定量法について6 機関による合同実験を行った。試料は, IPA 18%, 28% 表示のある精製魚油2種類とこれらを等量混合したものを使用した。脂肪酸メチルエステルは, 2N 水酸化カリウムーメタノール溶液を使用し誘導体化した。内部標準物質としてトリコサン酸メチルエステルを用い, キャピラリーガスクロマトグラフィーによって, これら高度不飽和脂肪酸を定量した。
    実験データは, 機関内及び機関間で検討し, 統計的に分析した。この方法による IPA 及び DHA 定量結果の全ては, 機関内, 機関間で変動係数3%以内であり, 満足できるものであり, この方法は, 高度不飽和脂肪酸を高含有する精製魚油中の IPA 及び DHA を定量する適切な方法であることがわかった。
  • 鎌田 正純, 原 節子, 戸谷 洋一郎
    1996 年 45 巻 4 号 p. 341-345
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    本実験では, まだ特性が明らかにされていない Bacillus sp. 由来のホスホリパーゼ C を用いて, ホスファチジルコリン (PC) を1, 2-ジアシルグリセリンに完全に加水分解するための最適反応条件を検討した。加水分解率は水系の反応よりも溶媒を用いた2層系の反応の方が高くなった。PC の加水分解は pH 7.0 のリン酸二水素カリウムーリン酸水素ニナトリウム緩衝液とジエチルエーテル存在下に促進された。ホスホリパーゼ C による PC-90 の加水分解最適条件は PC-90 : 50mg, ジエチルエーテル : 1mL, リン酸二水素カリウムーリン酸水素ナトリウム緩衝液 (pH 7.0) : 6mL, ホスホリパーゼCを 0.02 U と決定した。この最適反応条件のもとで PC は 80min. で完全に加水分解された。
  • 栗原 秀幸, 安藤 淳一, 川端 潤, 羽田野 六男
    1996 年 45 巻 4 号 p. 347-349
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    市販ヒジキから酵母α-グルコシダーゼに対して阻害性を示す少量成分を精製した。各種機器分析の結果から阻害物質の構造をスルポキノボシルモノアシルグリセリン (SQHG) と同定した。SQHG は既知阻害物質であるスルポキノボシルジアシルグリセリン (SQDG) のリゾ体である。阻害率を比較したところ, SQMG は SQDG より強い阻害性を示した。
  • 基礎的検討
    梶島 俊樹, 加藤 博史, 端本 謙一, 和田 俊
    1996 年 45 巻 4 号 p. 351-354
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    筆者らは GC 分析により5種類の精製魚油中に含まれるIPA および DAH を定量した。近年, 食品中の IPA および DHA 含量を製品単位重量中のmgで表示することが, 一般消費者から求められるようになった。
    GC 分析には, 分離能が高い DB-WAX キャピラリーカラムを用い, メチルエステル化法として, 三フッ化ホウ素°メタノール法と水酸化カリウムーメタノール法を比較した。水酸化カリウムーメタノール法を用いて測定したIPA 含量は, 三フッ化ホウ素-メタノール法を用いて測定した IPA 含量と比較して15%高い値を示した。DHA も同様に 5% 高い値を示した。いずれの方法も IPA および DHA の定量値は, 変動係数 2.5% 以内のばらつきであった。
    精製魚油中の IPA および DHA 量は, キャピラリーカラムによるGC分析と水酸化カリウム-メタノール法によるメチルエステル化法を用いることにより正確に定量できることが明らかになった。
  • 市川 和昭, 石井 貴子, 小山 吉人
    1996 年 45 巻 4 号 p. 355-359
    発行日: 1996/04/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    油脂の簡便な過酸化物価 (PV) の測定法の確立を検討した。試料油脂および発色試薬水溶液の両方を均一透明に溶解することができる2成分溶媒エタノール/1-ブタノール (容積比 6/4) を用いた鉄チオシアネート新法で PV 測定を試みた。PV* (本法による PV を示す) は, 油脂採取量 (Sg), 500nm での吸光度 (A-As), 及び次の算出式により求められる。
    算出式 : PV * = [4.15 (A-As) + 0.16] /10S
    試料油の自動酸化における PV 測定で, PV* は従来法 PV によく一致した。この新法は, 少量の試料で簡易に測定でき, 油脂の PV 測定の簡便法として利用できる。
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