日本油化学会誌
Online ISSN : 1884-1996
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46 巻, 12 号
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  • 1997 年 46 巻 12 号 p. 23
    発行日: 1997年
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
  • 木瀬 秀夫
    1997 年 46 巻 12 号 p. 1447-1454
    発行日: 1997/12/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    有機溶媒/水系におけるプロテアーゼの構造に関する最近の分光学的研究の結果について概説する。α-キモトリプシンやスブチリシンの蛍光及び円二色性スペクトルの変化は, それらの触媒活性と密接な相関があることが見いだされた。この結果は, 水溶液中と比較して有機溶媒中での酵素の活性変化が, 主にその構造変化に起因することを示している。プロテアーゼの基質特異性及びエナンチオ特異性も, 有機溶媒の性質及び有機溶媒/水の組成により変化する。一般に, プロテアーゼのS1サイト特異性は水溶液中に類似しているが, S'1サイト特異性は水溶液中と異なる。有機溶媒中での酵素反応を利用したペプチド, エステル合成及び光学分割についても述べる。
  • 藤原 正美, 宮坂 広夫, 河合 武司, 谷村 俊之, 今野 紀二郎
    1997 年 46 巻 12 号 p. 1455-1459
    発行日: 1997/12/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    2本のアルキル基を有するカチオン界面活性剤 (Arquad 2HTおよびArquad20) 希薄水溶液の-30~70℃における相転移挙動を時間分解蛍光異方性測定から調べた。Arquad 2HT系では, 既報のジオクタデシルジメチルアンモニウム=クロリド-水系と同様に, コアゲル-ゲルおよびゲル-液晶間の相転移がそれぞれ36および42℃で観測された。コアゲル-ゲル相転移では, Arquad 2HTのアルキル鎖間の距離は変化したが, アルキル鎖の揺らぎの程度は変化しなかった。一方, Arquad2Oは-30℃以上で液晶状態であった。
  • 中村 和吉, 藤原 夏美, 國枝 博信
    1997 年 46 巻 12 号 p. 1461-1465
    発行日: 1997/12/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    二本鎖型カチオン界面活性剤 (ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド;DODAC) は, 柔軟仕上げ剤やヘアリンスの主剤として用いられている。その親水性表面への吸着状態を電子顕微鏡, 原子間力顕微鏡により観察した。
    親水化処理をほどこしたニトロセルロース膜にDODACの水中分散液を滴下し, ネガティブ染色法を用いて電子顕微鏡観察を行った。超音波処理を行わない試料に関しては, 膜上には平均直径250nmの多重層ベシクルが膜上に吸着していた。超音波処理を施した試料は, 一枚膜型ベシクルを形成する。
    マイカ基板上にDODAC分散液を滴下して, 原子間力顕微鏡により吸着したベシクルの形態および厚さを測定した。超音波処理を行ったベシクルは, 乾燥後の厚さが4nmとなった。これはベシクルの内水相が乾燥とともに外部へ流出し, 閉殻構造がつぶれて, さらに二分子膜が指組構造をとっていると考えられる。
    これらの結果よりDODACは単分子の状態で吸着するのではなくベシクルの状態で親水性表面に吸着していることが明らかとなった。
  • 体脂肪蓄積予防素材としての可能性
    澤田 玄道, 富 裕孝, 田村 幸一, 阿武 尚彦
    1997 年 46 巻 12 号 p. 1467-1474
    発行日: 1997/12/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    ガルシニアは体重の減少に効果があるとして知られているスパイスである。今日, カルシウム型のガルシニア抽出エキスを含む多くの製品が上市されているが, 有効成分の (-) ヒドロキシクエン酸 (HCA) はおそらくカルシウム塩として存在している。カルシウム型のパウダーは安定性に優れているが, 水に不溶性であるので食品への使用が限られている。したがって, 水溶性のガルシニアエキスが望ましいが, HCAのラクトン型が含まれるようになる。HCAのラクトン型は脂肪合成系の鍵酵素であるATP-クエン酸リアーゼに対する阻害活性が試験管内では極めて低いので, ラクトン型を大量に含む水溶性ガルシニアエキスの体重減少への効果は低いものと思える。しかしながら, ラクトン型が生体内では活性型になる可能性を示した報告がある。そこで, HCAのラクトン型を含む水溶性ガルシニアパウダーと, 液体ガルシニアエキスを調製し, カルシウム型のガルシニアエキスと比較するとともにラット及びヒトでの体重の変化に及ぼすそれらの効果を検討した。
    その結果, 飼料と同時に投与する条件では, 水溶性パウダーの方がカルシウム型ガルシニアパウダーより, ラットの体重の増加抑制には効果のあることが示唆された。また, 水溶性ガルシニアパウダー, 液体ガルシニアエキスのいずれも, 脂肪の蓄積を抑制することにより, ヒトの体重減少に有効であることが示唆された。
  • 田岡 英実, 小川 悦子, 高橋 正雄, 國枝 博信
    1997 年 46 巻 12 号 p. 1475-1479
    発行日: 1997/12/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    W/O型マイクロエマルションは, 等張生理食塩水/タウロコール酸ナトリウム (NaTC) /ソルビタンラウレート (SL-10) /イソプロピルミリステート (IPM) 系において形成される。また, 水の可溶化量は, 与えられた油/水の系において混合界面活性剤のHLBが最適な条件において最大となる。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 (HCO-10) は, わずかに親水性の強い界面活性剤であるが, NaTCとの混合において, 油としてIPM, グリセリン=トリス (2-エチル) ヘキサノエート (TEH) を用いた場合可溶化量は減少する。しかし, HCO-10をより親油的な cosurfactant, SL-10, グリセリン=1-オレエート (MGO) と混合させると, 油としてTEHを用いた場合可溶化量は増大する。
    一方, HCO-10単独のHLBは, 水/IPM系において適度であり, 親水性もしくは親油性の界面活性剤と混合した場合, 等張食塩水の可溶化量は減少する。
    本研究においては, 温度及び油の型による影響についても議論した。
  • 野口 範子, 西野 公大, 鷲尾 英一, 石 紅朕, 陳 京生, 二木 鋭雄
    1997 年 46 巻 12 号 p. 1481-1488
    発行日: 1997/12/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    イチョウ葉エキス (GBE) の抗酸化活性について種々の反応系において調べた。GBEはガルビノキシルラジカルと速やかに反応し, また, ペルオキシルラジカルのスカベンジャーとして働くことが明らかとなった。リノール酸メチル均一溶液や, 大豆ホスファチジルコリンのリポソーム膜, そして低比重リポタンパク (LDL) の脂質酸化を濃度依存的に抑制した。さらに, GBEはα-トコフェロキシルラジカルを還元し, 脂質やLDLの酸化において, α-トコフェロールの減少を抑制することがわかった。これらの結果はGBEがin vivoにおいてもin vitroと同様に有効な抗酸化物として働くことを示唆している。
  • 高度不飽和アシル基をもつリン脂質と油脂の自動酸化挙動の比較
    武内 将, 原 節子, 日比野 英彦, 田中 幸久, 戸谷 洋一郎
    1997 年 46 巻 12 号 p. 1489-1494
    発行日: 1997/12/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    トリアシルグリセリン (TG) とリン脂質 (PL) を含むサケ卵油が, TGのみからなるサケ油に比較して酸化に対して非常に安定であること, またこのサケ卵油の高い安定性はその脂質組成とトコフェロールやアスタキサンチンの含有量に依存することが前報において明らかになったため, 高度不飽和TG, 高度不飽和PL及びこれらの3 : 1混合試料の自動酸化挙動について検討した。サケ卵油から分画したPL, TG及びこれらの3 : 1混合試料をトコフェロール添加系または無添加系において30℃暗所にて自動酸化させた。これらの試料の自動酸化挙動は過酸化物価 (PV), カルボニル価 (CV) 及び脂肪酸組成により追跡した。
    TGではPVが上昇した後にCVが上昇したのに対し, PLでは酸化の初期段階においてCVがPVと同時に上昇し始めた。PLとTGの自動酸化挙動の差は, PLでは主な酸化一次生成物であるヒドロペルオキシドの安定性が悪いこと, あるいは脂質ペルオキシラジカルから二次生成物であるカルボニル化合物への経路が異なることによると思われた。
    これらの試料にトコフェロールを0.1%添加するといずれにおいても酸化が抑制され, ラジカル捕捉剤としてのトコフェロールの酸化防止作用はPLやTGにおいてよりもTGとPLの混合試料において, より顕著に観察された。これらの結果から, TGにPLとトコフェロールが共存することは高度不飽和TGを自動酸化条件下で安定化させるために非常に有効であることが示唆された。
  • 山本 二郎, 多田 宗広, 一色 富彌, 佐々木 英人
    1997 年 46 巻 12 号 p. 1495-1498
    発行日: 1997/12/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    DMSO-FeCl3 (1 : 1) 錯体 (Fe-錯体) を用いて数種類のベンゾインを酸化し, 高収率で相当するベンジル類を得た。この酸化反応で, Fe-錯体の酸素原子と塩素原子とがベンゾインの水素引抜き反応を行ったと考えられる。
    Fe-錯体を用いた2, 2'-, 3, 3'-および4, 4'-ジメチルベンゾインの酸化の速さは, 次に示す通りである。
    2, 2'-ジメチルベンゾイン>4, 4'-ジメチルベンゾイン>3, 3'-ジメチルベンゾイン
  • 高津戸 秀, 川島 崇弘, 野口 貴弘, 藤岡 昭三, 桜井 成
    1997 年 46 巻 12 号 p. 1499-1504
    発行日: 1997/12/20
    公開日: 2009/10/16
    ジャーナル フリー
    アサ種子中から得られた不けん化脂質中に含まれるブラシノステロイドと植物ステロールについて調べた。イネ葉身屈曲試験において活性な物質を精製し, 誘導体化後GC-MS分析を行った。ブラシノステロイドの一種であるティーステロンを同定したことから, このものが双子葉植物中に脂肪酸エステルとして存在する可能性が初めて示唆された。また, 種子中に含まれる植物ステロールについて調べ, 6種のステロール (コレステロール, カンペステロール, カンペスタノール, スティグマステロール, シトステロール及びシトスタノール) を同定したところ, カンペステロールとシトステロールが主成分であった。カンペスタノールとシトスタノールはアサ種子中から初めて同定された。アサ種子中に含まれるブラシノステロイドと植物ステロールとの関係について, 生合成的観点から論じた。
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