近年,耐用年数を迎える橋梁が出始め,耐震補強工事が数多く行われるようになってきた.これら補強工事では,重量が1トン近くに達する金物を数多く取り扱う現場も見られ,このような金物の搬入や取付に際し,つり足場をその仮置き支持台等として利用する必要性がでてきた.しかしつり足場は,作業員の作業床として主に利用されてきたものであり,積載荷重が小さいとはいえない重量物を仮置きする場合は,別途安全性を検討し直す必要がある.この点,重量物支持用として使用されるつり足場は,従来のものより断面積の大きいチェーンを利用するのではなく、一般には従来品を複数本使用する方法で組み立てられている。そこで本技術解説では,そのような重量物用つり足場の基本性能を明らかにするため,同一箇所に2本のチェーンを配置したものを対象として静的加力実験を実施し,その許容荷重および破断荷重について検討を行った.
その結果,隣接するチェーン同士でチェーン長に相対的な差がある場合、引張降伏前で各チェーンの負担荷重値が著しく異なる場合があることを明らかとした.そしてこのような場合、つり足場全体としての最大荷重(各チェーンの負担荷重値の合計の最大値)も小さくなり,とりわけ全長の短いつり足場でその影響が大きいことを示した.
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