労働安全衛生研究
Online ISSN : 1883-678X
Print ISSN : 1882-6822
ISSN-L : 1882-6822
1 巻 , 2 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
巻頭言
特別寄稿
原著論文
  • 伊藤 和也, 豊澤 康男, 鈴木 将文, 末政 直晃
    2008 年 1 巻 2 号 p. 95-102
    発行日: 2008年
    公開日: 2013/07/02
    ジャーナル フリー
    切土斜面の風化・浸食・落石防止のため,高度経済成長期に多く施工されたモルタル吹付け工は,近年,老朽化により維持・補修を行う必要がある.このようなモルタル吹付け面を維持・補修するための既設モルタル吹付け面の撤去作業が起因となり,斜面全体が崩壊して労働者が被災する事故が報告されている.
    本研究では,モルタル吹付け面背後が風化した老朽化モルタル吹付け法面の維持・補修時における斜面安定性について,崩壊メカニズムやその主な要因を求めるために遠心模型実験を行った.その結果,モルタル背面の岩盤が風化している場合,小割り作業によってモルタル吹付け面の曲げ・せん断耐力が低下することでモルタル背面の風化土砂を伴った急激な崩壊が起きる可能性があることが分かった.
  • 豊澤 康男, 伊藤 和也, TAMRAKAR S. B., 三田地 利之, 国見 敬, 西條 敦志, 大久保 智美
    2008 年 1 巻 2 号 p. 103-110
    発行日: 2008年
    公開日: 2013/07/02
    ジャーナル フリー
    建設工事中の斜面崩壊による労働災害は,中小規模工事での被災がほとんどを占めている.これらの背景には,中小規模工事に対応した労働災害防止技術の開発の立ち遅れや,経費に余裕のない中小規模工事においても利用可能な簡易で廉価な計測・警報装置が十分に整備されていないことがある.そのため本研究では,経費に余裕のない中小規模工事にも利用可能なより廉価な計測システムの製作を目的として,半導体加速度センサーを利用した高精度傾斜計の開発および試作を行った.本報では,高精度傾斜計の概要を紹介するとともに,高さ2.2mの室内斜面模型の崩壊実験に基づき,高精度傾斜計による斜面崩壊直前予知の可能性および最適な設置位置等について検証を行った結果を報告する.
  • 梅崎 重夫, 清水 尚憲, 齋藤 剛
    2008 年 1 巻 2 号 p. 111-118
    発行日: 2008年
    公開日: 2013/07/02
    ジャーナル フリー
    プレス機械による労働災害の大部分は,過去に発生した災害と同一・類似の繰り返し災害である.本来,一度経験した災害は再び繰り返すことのないように抜本的な再発防止対策を講じるべきである.このため,著者らは繰り返し災害である典型的労働災害事例の分析結果を基に,(1)機械安全国際規格である ISO12100 や欧州安全規格である EN692,EN693などに記載された保護方策を日本でも取り入れること,(2)現在問題となっているサーボプレス,プレスブレーキ及び大型プレス機械を対象とした新たな安全システムの開発を進めること,(3)〈1〉安全囲いの標準化や安全囲いを取り外したときはスライドが動かない可動式ガードの採用,〈2〉安全装置を不使用とできるキースイッチや切り替えスイッチの撤去(これが困難な場合は作業主任者による管理の徹底),〈3〉材料の両手保持が必要な作業に利用できる安全装置の採用,〈4〉寸動時でも安全装置を有効とするか寸動は両手操作でなければ行えない方式の採用,〈5〉安全装置の防護高さの確保や側面・下方ガード(光線用)の設置,〈6〉手払い・手引き・手工具を使用しない作業形態の検討などを提案した.以上のような方策によって,現在下げ止まりとなっているプレス災害の大幅な減少が図れると考える.
  • 濱島 京子, 梅崎 重夫, 木吉 英典, 中北 輝雄
    2008 年 1 巻 2 号 p. 119-130
    発行日: 2008年
    公開日: 2013/07/02
    ジャーナル フリー
    団塊世代の熟練職員の大量退職や,不況時の採用抑制による若手人材の不足により,安全管理のノウハウが現場から消失しはじめるなど,様々な要因による労働安全衛生水準の低下が懸念されており,こうした状況を証明するかのように,作業,環境的要因や管理的要因による労働災害が発生している.そこで,人の不安全行動を抑制し注意力を維持,補完する作業者支援策として「ITを活用した新しい安全管理手法」の開発が厚生労働省の計画の下に,(独)労働安全衛生総合研究所と(社)日本鉄鋼連盟の連携によって進められた.本稿は,このうち,労働安全衛生総合研究所が中心となって開発したシステム設計ガイドについて述べる.設計ガイドの開発にあたっては,情報の全ライフサイクルを対象にリスク関連情報を活用する際のあるべき姿を考察するとともに,鉄鋼業における労働災害分析結果を基にITを活用した安全管理システムの有効性を検証した.また,設計ガイドの開発では,産業現場での実用性を考慮してガイドをタイプA,B,C の階層化モジュール構成として構築するとともに,事業場のシステム導入担当者が後述するリスクアセスメント総括表などのいくつかの表を埋めるだけで比較的簡単にシステム設計に必要な安全上の要求事項を抽出できるように配慮した.以上の結果は,第11次労働災害防止計画に掲載された「ITを活用した安全衛生管理手法の普及促進」に活用できると考える.
  • 齊藤 宏之, 毛利 一平, 小川 康恭
    2008 年 1 巻 2 号 p. 131-139
    発行日: 2008年
    公開日: 2013/07/02
    ジャーナル フリー
    有害物質取り扱い作業事業場を対象に1990~2000年の11箇年にわたって実施されたアンケート調査を解析し,有害物質(粉じん,鉛,有機溶剤)の取り扱い作業場における作業環境管理状況並びに健康管理状況についての把握を試みた.業種によっては必ずしも作業環境管理状況と健康管理状況の間に関連性がないケースが見受けられた.また,有害物質の種類(特殊健康診断の種類)によって健康管理状況に影響を及ぼす要因に差があることがわかった.作業環境管理状況と健康管理状況の双方の結果を用いて総合的に判断すること,ならびに労働衛生管理システムの現状を把握した上で必要があれば改良していく事が業務上疾病を未然に防ぐために必要であろう.
総説
  • 福島 昭治
    2008 年 1 巻 2 号 p. 141-149
    発行日: 2008年
    公開日: 2013/07/02
    ジャーナル フリー
    科学の進歩とともに多数の化学物質が作り出され,我々はその恩恵とリスクのはざまで生きている.食物,医薬品,農薬,その他生活するために必要な化学物質等,さらにはこれらを生産する職場環境や一般環境に存在する化学物質が人のがん発生に関与しているのか.そうだとするとどの程度なのかを実験的に予測することはがん予防の面から極めて重要である.現在,化学物質の発がん性検出にあたって従来の長期発がん性試験に加えて,その in vivo 代替法として発がん性中期検索法の開発が進められている.本稿では我々が開発し,医薬品の非臨床試験ガイドラインに採用されているラットを用いた肝中期発がん性試験法と多臓器中期発がん性試験法を中心に記述し,さらに遺伝子改変マウスを用いる中期発がん性試験法の現況を述べる.また,労働安全衛生法57条の5に基づく化学物質の発がん性試験結果の社会での活用度を紹介する.
調査報告
  • 柴田 延幸, 前田 節雄
    2008 年 1 巻 2 号 p. 151-156
    発行日: 2008年
    公開日: 2013/07/02
    ジャーナル フリー
    防振手袋の振動軽減効果の測定および評価方法について規定した新JIS T8114が施行され,国際規格ISO10819に整合化された.本報では,まず新JIS T8114の概要について旧JIS T8114と比較しながら説明をするとともに,新JIS施行時に国内流通していた主要な防振手袋について行った新JIS準拠振動軽減性能の評価試験結果を報告する.また,新JIS施行前後に国内防振手袋メーカー数社と共同で行った新JIS適合を目指して開発されたプロトタイプの防振手袋の評価試験結果についても報告する.新JIS施行時に国内流通していた主要な防振手袋について行った性能評価試験では,すべての試験手袋が新JIS T8114 に定める合格基準を満足することができなかったが,新JIS施行後の性能評価試験では,8双の試験手袋のうち6双の試験手袋が新JIS T8114に定める合格基準を満足することができた.
資料
研究紹介
  • 小泉 信滋
    2008 年 1 巻 2 号 p. 165-166
    発行日: 2008年
    公開日: 2013/07/02
    ジャーナル フリー
    従来,産業化学物質の健康影響を的確に理解することは容易ではなかった.しかし近年のトキシコゲノミクス技術の発展から,化学物質が影響を及ぼす遺伝子群を網羅的に検索することが可能になった.これを活用すれば,産業化学物質の作用標的や化学物質に対する防御機能を包括的に把握し,健康影響メカニズムの理解につなげること,また対象遺伝子の中に実用上有用な各種の指標を求めることが可能である.我々はDNAマイクロアレイ技術を用いて産業化学物質が影響を及ぼす遺伝子群の研究を進めているが,ここではその一部について紹介する.
研究所通信
feedback
Top