看護師の勤務環境改善について日本看護協会は2010年「病院看護職の夜勤・交代制勤務等実態調査」を実施し,勤務時間が長い方がより勤務後半部でヒヤリ・ハットを起こす可能性が高いことを明らかにした.これに基づき2013年「勤務拘束時間13時間以内」体制とする「看護職の夜勤・交代制勤務ガイドライン」を作成した.しかし,2014年の2交代制病院の実態調査による「勤務拘束時間13時間以内」体制の実施は19.8%であり容易に着手できない状況がうかがえている.そこで,看護師の「勤務拘束時間13時間以内」体制の導入に効果が得られた文献から,その促進要因を明らかにすることを目的とし,レヴィンの変革理論の3段階である解凍期・移行期・凍結期を基に分析をした.その結果,まず解凍期では,導入の「契機」から管理者が適切なビジョンを掲げリーダーシップを発揮して「推進体制づくり」を発足し「現状分析」を行っていた.次に移行期では,「推進に向けた取り組み」により実践可能な「具体的対策」を立案し実施していた.最後の凍結期では,取り組みを継続しさらに変革を進めて維持する「導入後の評価と改善」を繰り返し行っていた.また,どの時期においても変革を促進する力と抑制しようとする力のバランスを保つため,現状の不満や不安・怒りを抑える場を作り意見交換をして情報共有を図り,組織構成員の理解と承認を得ることにより変化を起こすための組織力を高めていた.
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