我々は,尿試料への反復凍結解凍負荷が8-hydroxy-2’-deoxyguanosine(8-OH-dG)の安定性へ及ぼす影響を検討した.使用保存試料は102試料(男85名,女17名,年齢22歳~79歳)であった.尿中8-OH-dG濃度の測定はHPLCによる二段階分離法にて測定した.初回凍結解凍尿と2回目凍結解凍尿の比較では(n=82),尿中8-OH-dG濃度はそれぞれ5.4±2.8ng/ml,5.2±2.8ng/mlであり対比較で有意な差は認められなかった.回帰分析では,xを初回凍結解凍尿中8-OH-dG濃度,yを2回目凍結解凍尿中8-OH-dG濃度とすると,y=0.97x-0.04(R
2=0.91,p<0.01)であった.次に,初回凍結解凍尿と3回目凍結解凍尿の比較では(n=20),尿中8-OH-dG濃度はそれぞれ5.9±5.0ng/ml,6.2±5.1ng/mlであり,これも対比較で有意な差は認められなかった.回帰分析では,xを初回凍結解凍尿中8-OH-dG濃度,yを3回目凍結解凍尿中8-OH-dG濃度とすると,y=1.0x+0.29(R
2=0.96,p<0.01)であった.本研究結果より,尿中8-OH-dG測定においては保存尿試料の反復凍結解凍は3回までであれば値が安定であることが示された.
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