労働安全衛生研究
Online ISSN : 1883-678X
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5 巻 , 1 号
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巻頭言
原著論文
  • 芳司 俊郎, 池田 博康, 岡部 康平, 齋藤 剛
    2012 年 5 巻 1 号 p. 3-15
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/03
    ジャーナル フリー
    1980年に我が国で産業用ロボットの本格的な普及が始まってから約30年が経過した.その間,労働安全衛生規則において産業用ロボットの運用規制がなされているにもかかわらず,依然として,労働災害が発生している.そのため,その要因を調査し,労働安全衛生規則の在り方を検討するため,本論文では,産業用ロボットによる労働災害に見られる問題点を分析した.その結果,多くが自動運転中に,何らかのトラブル等で可動範囲内に立ち入って被災するケースが多く,同規則の有効性の検討が必要と考えられた.これは,規則自体の問題なのか否かを調べるため,日本工業規格と労働安全衛生規則の規定の比較を行ったところ,技術的方策の差異と,現実の担当範囲の違いがあることが明らかとなった.また,ロボットメーカとユーザへのアンケートにより,これらの問題点を聞いたところ,両者の規定内容の差異を問題視しており,内容の整合を求めていることが確認された.これらの結果を踏まえ,労働安全衛生規則等に関して,(1)産業用ロボット本体及び設置後の残留リスクをユーザに情報提供すること,(2)技術の進展等に伴う新たな課題について規定すること,(3)日本工業規格と労働安全衛生規則の役割の違いに留意しつつ両者の整合性を図ること等の提言を行った.
短報
  • 冨田 一
    2012 年 5 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/03
    ジャーナル フリー
    粉体の貯槽,集じん工程に用いられるサイロやダクト内部では粉体の摩擦等に伴う静電気の発生と帯電によって,静電気放電を着火源とした粉じん爆発が発生することがあり,その結果労働者の火傷などの死傷災害が発生している.本研究では,このような静電気放電を着火源とした粉じん爆発災害の対策の一環として,サイロやダクトなどの金属筐体内で発生する静電気放電を,着火危険性の低い初期の段階で検知するために,ダクトの内部周囲に取り付けられたループアンテナに静電気放電によって誘導される電圧を観測した.その結果,着火性の低いコロナ放電を誘導電圧から検知できることが確認された.コロナ放電による誘導電圧はレベルが小さいことからループアンテナは1m程度の間隔で配置する必要性のあることがわかった.
調査報告
  • 濱島 京子, 梅崎 重夫
    2012 年 5 巻 1 号 p. 23-31
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/03
    ジャーナル フリー
    第三次産業における労働災害件数は近年増加傾向にあるが,産業機械に起因する労働災害の実態はほとんど明らかにされていない.そこで本報告では,第三次産業での労働災害多発機種などを明らかにすることを目的に,当該機械設備で発生した労働災害を分析し,業種および機種別に災害件数を分析した.使用した労働災害データは,厚生労働省が件数を公表している死亡災害,死傷災害および重大災害である.調査の結果,死亡災害,死傷災害および重大災害では,それぞれ災害多発業種や機種に差異がみられた.これは死亡,死傷および重大災害の防止対策は,各々個別に検討する必要があることを示唆している.考察の結果,災害防止対策の確立へ向けた重点的な取り組みが必要とみられる機種は(1)死亡災害:廃棄物処理機械(ゴミ収集車など)および昇降搬送機械(フォークリフトやエレベータなど),(2)死傷災害:食品加工機械,フォークリフト,コンベア,(3)重大災害:一酸化炭素を発生する可能性のある燃焼機器,であった.また,洗車機,立体駐車場,介護用リフトやゴルフカート等の第三次産業特有の機械設備による災害についても,災害防止対策の確立に必要な課題を示した.
資料
  • 梅崎 重夫, 濱島 京子, 清水 尚憲, 板垣 晴彦
    2012 年 5 巻 1 号 p. 33-44
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/08/03
    ジャーナル フリー
    コンベヤに起因する労働災害は死亡災害で年間14件,休業4日以上の災害で年間1,216件と多発しているが,その実態はほとんど解明されていない.そこで,死亡,障害,及び休業4日以上の各災害を対象に,どのような業種,機種,及び作業でリスクが高いかを定量的に評価する手法を検討した.具体的には,従来行われている労働災害の発生件数を利用した評価手法に代えて,労働災害の発生件数(件/年)を危害の発生確率,労働損失日数(日/件)を危害のひどさに対応させて,両者の積である全労働損失日数(日/年)をリスクの定量的評価指標とする手法を考案し,分析を実施した.その結果,業種ごとのリスクは,(1)清掃・と畜業,(2)窯業土石製品製造業,(3)鉱業,(4)食料品製造業,(5)木材・木製品製造業の順に高く,これらだけで全労働損失日数の6割以上を占めていた.また,機種ごとのリスクは,(1)ベルトコンベヤ,(2)スクリューコンベヤ,(3)ローラコンベヤ,(4)チェーンコンベヤ,(5)バケットコンベヤの順に高く,ベルトコンベヤだけで全労働損失日数の7割以上を占めていた.さらに,作業ごとのリスクは,(1)異物などの除去,(2)清掃,(3)保守・点検・修理の順に高く,これらだけで全労働損失日数の5割以上を占めていた.今後は,以上の検討で得られたリスクの高い業種,機種,及び作業を重点に,機械安全国際規格に基づく具体的な保護方策の提案を行う予定でいる.
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