労働安全衛生研究
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8 巻 , 1 号
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巻頭言
労働安全衛生の新技術 特集(2)
原著論文
  • 佐藤 嘉彦, 板垣 晴彦
    2015 年 8 巻 1 号 p. 3-12
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/26
    [早期公開] 公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    化学プラントなどにおいて,大量に蓄えられた化学物質の中心部分は,物質の熱移動が遅いため擬似的な断熱状態となる.それは蓄熱による爆発火災事故をもたらす可能性があり,それらの事故を防止するには断熱条件における発熱挙動の把握が重要である.最近,着目している反応の断熱条件における発熱挙動を直接測定できる示差型の断熱熱量計(DARC)が開発された.しかし,DARCによる熱的危険性の評価例は少なく,その適用範囲は十分に分かっていない.そこで,DARCの熱的危険性に対する適用範囲を明確にすることを目的として,反応機構が既知であり,断熱熱量計の性能評価によく用いられているジ-tert-ブチルペルオキシド(DTBP)とトルエンの希釈溶液及びDTBP単体の熱分解挙動を測定し,広く用いられている断熱熱量計(ARC)との比較を行った.その結果,ARCでは評価が困難であった発熱量100 J/g未満の微小な発熱を示す反応の熱的危険性評価に,DARCが有効であると考えられた.一方,蒸気圧を有する発熱量の大きい物質の熱的危険性評価には適用すべきではないと考えられた.
総説
  • 梅崎 重夫, 福田 隆文, 齋藤 剛, 清水 尚憲, 木村 哲也, 濱島 京子, 芳司 俊郎, 池田 博康, 岡部 康平, 山際 謙太, 冨 ...
    2014 年 8 巻 1 号 p. 13-27
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/26
    [早期公開] 公開日: 2014/11/14
    ジャーナル フリー
    日本の強みは,現場の優秀な作業者や管理・監督者及び生産技術者が質の高い安全管理と生産技術に基づく改善を実施していることにある.したがって,この“現場力”を基盤に置いた上で,技術に基づく安全の先進国と言われる欧州の機械安全技術や社会制度を適切に活用すれば,日本の現場力と欧州の機械安全技術を高次の次元で融合させた新しい枠組みの安全技術と社会制度を構築できる可能性がある.本稿では,以上の観点から日本で望まれる法規制及び社会制度のあり方を検討した.その結果,今後の日本の社会制度では,安全をコストでなく新たな価値創造のための投資として位置づけること,高い当事者意識と安全な職場を構築しようとする共通の価値観を関係者間で共有すること,及び再発防止から未然防止,件数重視から重篤度重視への戦略転換と想定外の考慮が重要と推察された.また,実際の機械の労働災害防止対策では,特に経営者及び設計者に対して欧州機械安全の基本理念と災害防止原則を普及促進するとともに,①ISO12100に定めるリスク低減戦略,②モジュール方式による適合性評価と適合宣言に関する情報伝達を目的としたマーキング,③マーキングの情報に基づく機械の使用段階での妥当性確認,④機械の設計・製造段階への災害情報のフィードバックが特に重要と考えられた.
資料
  • 濱田 健次郎, 梅崎 重夫
    2015 年 8 巻 1 号 p. 29-39
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/26
    [早期公開] 公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    パワーリードスイッチは,安川電機株式会社が独自に開発した磁気で駆動するガラス封入接点で,一般用途のリードスイッチより耐振性と接点開閉容量を飛躍的に向上させ,鉄道・電力・昇降機・産業機械・防爆等の分野で使用実績がある.パワーリードスイッチの安全技術に関する標準化は,平成13年度に産業安全研究所(現 独立行政法人労働安全衛生総合研究所)と安川コントロール株式会社が,「大規模生産システムを対象とした安全手段の高度化」を共同研究した成果を基本としている.本研究の成果として規格化されたIEC62246-seriesは,この共同研究及び標準化活動の成果として,全てのリードスイッチ製品の品種を定義し,それらの接点定格の評価手順を明確化した.また,産業機械を初めとして各適用分野規格が規定する安全要求事項及び機能安全規格が規定する安全度水準とリードスイッチ製品の安全適用事例を関連付けて体系化を行うとともに,労働災害防止対策への活用も検討した.なお,本資料は,パワーリードスイッチの安全技術に関する標準化体系の概要,標準化の経緯及び標準化した技術の導入成果を纏め,国際標準をビジネスツールとして活用する際の事業戦略についても述べている.
原著論文
  • 齊藤 宏之, 澤田 晋一
    2014 年 8 巻 1 号 p. 41-48
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/03/26
    [早期公開] 公開日: 2014/12/12
    ジャーナル フリー
    近年熱中症が多発していることから,作業現場における暑熱環境リスクの指標としてWBGT値の測定・評価が求められている.その一方で現在さまざまなWBGT測定器が市販されているが,それらの測定器がどの程度適切かつ正確に本来のWBGT値を測定・評価しているかどうかは必ずしも明らかではない.そこで本研究は,その点を明らかにするために,複数の市販WBGT測定器を用いて屋外環境(曇天コンクリート上,晴天コンクリート上,晴天ステンレス板上)で並行測定を行い,機種間の測定値の比較ならびに自然湿球型の標準機種との比較を行った.その結果,黒球を持たない簡易型測定器では晴天時あるいは照り返しの強い晴天時で黒球付きの機種に比べて2~4℃程度の差があることがわかった.従って,黒球のない簡易型は日射のある屋外では誤差が大きくなることに注意が必要である.また,温度・湿度から簡易的にWBGT値を求める簡易換算表についても,日照のある屋外では平均で3~4℃程度過小評価することが示されたことから,誤差が大きくなることに留意が必要である.
調査報告
  • 野蝼 直人, 鈴木 輝夫, 崔 光石, 山隈 瑞樹
    2015 年 8 巻 1 号 p. 49-53
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/26
    [早期公開] 公開日: 2015/01/16
    ジャーナル フリー
    産業現場において,振動型静電界センサは粉体の静電気安全管理の器具として活用されている.本研究では,粉体の浸入の防止策である送風が静電界センサの計測値に及ぼす影響を調べた.帯電物体を模擬した帯電板を用意し,静電界センサ内を送風しながら,送風圧力,平行平板電極間の電界強度(計算値),静電界表示器の計測値の3つのパラメータを用いて調べた.実験結果から,送風圧力の影響により,静電界表示器の計測値は,平行平板電極間の電界強度(計算値)と同値とはならなかった.また,送風圧力の影響により,零点がずれると共に,電界強度の検出が低下した.これらの主な原因は,チョッパの振幅が送風圧力の影響を受けていることであった.
  • 大西 明宏, 高木 元也
    2015 年 8 巻 1 号 p. 55-60
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/03/26
    [早期公開] 公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    小売業では多くの人力荷役機器が使われている.しかし呼称が様々であるため事故の実態把握を阻害しているおそれがあるため,各種人力荷役機器の呼称に関する実態調査が必要と考えられる.本研究では自記式アンケートにより中小規模の小売業における人力荷役機器の使用実態および呼称等を調査し,694社から回答を得た.業態による違いはあるものの,およそ半数が2種以上の人力荷役機器を使っていた.中でも一般的には台車と呼ばれているハンドトラックは大半が使用しており,ロールボックスパレットが全体の4割,両そで形および棚形の片そで形ハンドトラック,ドーリーは3割程度であった.呼称が多数であったことはユーザーが使用している機種を的確に回答できないことを意味しており,労災のような事故データ上の呼称では各機種の弱点に起因した事故であるかの判断ができないことが分かる.今後は正式名称および一般的な呼称を周知し,具体的な対策につなげるための環境整備が必要であると考えられた.人力荷役機器を用いた作業での危険感や社内マニュアルの有無についても調査したが,全般的には危険に感じる度合いが低く,マニュアルの保有は全体の1割に満たなかった.積載状態によっては大きな危険を伴う作業であるため,今後はマニュアルの整備が課題になると示唆された
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