要旨:Constraint-induced movement therapy(CI療法)は,麻痺手の機能改善だけでなく,日常生活における麻痺手使用の行動変容を目的とした脳卒中上肢麻痺の代表的アプローチである.今回,脳卒中後上肢麻痺を呈した回復期の2名の対象者に,modified CI療法(以下,mCI療法)を実施した.結果,mCI療法後およびmCI療法実施から1年後に,麻痺手の機能と実生活における使用行動が改善した.退院時に提供された,医療・介護保険の対象となるリハビリテーション(以下,リハ)サービスを辞退し,生活の中でリハを自己管理する行動に至った.回復期にmCI療法を実施することは,自らの活動,参加に焦点化したリハの自己マネジメントを促進する可能性がある.
要旨:脳卒中後の上肢運動障害の治療にConstraint-induced movement therapy(以下,CI療法)があり,回復期以降においては中長期ともエビデンスが示されている.ただ本邦において,急性期のアプローチに関する報告は少なく,急性期でCI療法を含む上肢集中練習を実施した対象者の長期予後は不明瞭であった.今回,急性期脳卒中患者に1日2時間の複合的な上肢集中練習を実施し,長期経過を分析した.その結果,介入1年後の長期にわたり,上肢機能は維持または向上した.急性期においても適応患者によっては,上肢集中練習が長期的にも上肢機能と使用行動に良好な変化を与える可能性が示唆された.