作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
39 巻 , 3 号
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巻頭言
  • 籔脇 健司
    2020 年 39 巻 3 号 p. 259
    発行日: 2020/06/15
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー
    二項対立とは,「二つの概念が対立や矛盾の関係にあること.また,そうした対立概念によって世界を単純化して捉えること」を意味する(広辞苑 第7版).わが国の作業療法は,この二項対立であふれているように感じる.実践に目を向ければ,(要素)還元主義的か全体論的かの議論が古くからなされ,現在でも,機能か作業か,トップダウンかボトムアップか,evidence-basedかnarrative-basedかなど,視点はそれぞれ異なるものの作業療法の方針に関する話題となることが多い.研究に目を向けても,量的研究か質的研究か,実験的研究か記述的研究か,基礎研究か応用研究かなどの二項対立に遭遇することは少なくない.このような議論は,作業を用いて対象者の健康に寄与するという作業療法の専門性が,きわめて複雑で多様な特徴をもつことから引き起こされると考えられる.
総説
  • 大西 正二, 熊谷 恵子
    2020 年 39 巻 3 号 p. 261-272
    発行日: 2020/06/15
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー
    本研究は,漢字書字の習得が困難な学習障害児における国内の研究動向を調査し,今後の課題を明らかにすることを目的にした.漢字書字の習得が困難な要因には視覚情報処理や聴覚情報処理を問題とする報告が多かったが,書字成績に認知スタイルや筆順の正確さが寄与した報告も見られた.また介入研究では,単一事例研究法を用いた研究は少なかった.今後は単一事例研究法を用い,認知スタイルだけでなく,書字運動や運動覚心像に着目した研究や,各児童の特性に適応した介入方法をフローチャート化し自主学習しやすいツールを開発していくことが求められる.併せて,Information and Communication Technology(ICT)を活用した支援の普及も重要である.
  • 櫻井 友実, 橋本 健志, 四本 かやの
    2020 年 39 巻 3 号 p. 273-281
    発行日: 2020/06/15
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー
    本稿の目的は,我が国における精神障害(者)に対する偏見について,偏見が弱い人の属性や偏見を低減する効果的な介入を検討するために現段階で信頼性の高い一定の知見を得ることである.医中誌WebとCitation Information by NII(CiNii),J-Dream Ⅲで文献検索し,検索範囲は2002年1月1日から2017年10月13日とした.検索の結果,1,906編中13編が分析対象となり,その結果,偏見が弱い人の属性は,精神障害者との接触があることと知識があることの2点である可能性が示唆された.精神障害者に対する偏見を低減するための効果的な介入は,精神障害者と『共に作業』することと,普及啓発活動だと考えられる.
研究論文
  • 久保田 智洋, 坂本 晴美, 六倉 悠貴, 岩井 浩一
    2020 年 39 巻 3 号 p. 282-291
    発行日: 2020/06/15
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,セルフモニタリングによる効果的な転倒予防の指導方法を検討した.65歳以上の地域在住虚弱高齢者を対象に,3ヵ月間の介入研究を実施した.介入群は,転倒予防体操に加え活動スケジュール表の作成をした.コントロール群は,転倒予防体操のみであった.介入群は,①下肢筋力の向上や動的バランス能力の向上,歩行能力の向上,②認知機能の改善,③転倒恐怖感・転倒リスクの軽減,④身体的QOLの向上,⑤身体活動量の向上や社会参加活動の向上が認められた.虚弱高齢者に対する転倒予防の指導には,転倒予防の体操に加えセルフモニタリングをすることが効果的であった.
  • ~失快楽症,非社会性,意欲の低下,感情鈍麻,言語の貧困と社会機能との関連~
    岡田 宏基, 平野 大輔, 谷口 敬道
    2020 年 39 巻 3 号 p. 292-300
    発行日: 2020/06/15
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,陰性症状の5つの因子である失快楽症,非社会性,意欲の低下,感情鈍麻,言語の貧困と社会機能との関連を検討することである.分析対象者は当院に入院する長期入院統合失調症者51名であった.従属変数を精神障害者社会生活評価尺度下位項目,独立変数をBrief Negative Symptom Scaleの下位項目とし,Spearmanの順位相関係数および重回帰分析にて分析した.結果,日常生活,労働には意欲の低下,対人関係には非社会性,感情鈍麻が有意に寄与していた.自己認識についてはどの因子とも関連していなかった.陰性症状の中でも意欲の低下,非社会性,感情鈍麻の改善に取り組むことが,退院支援に向けて有用であることが示唆された.
  • ─ランダム化比較試験─
    高木 雅之, 其阿弥 成子, 織田 靖史, ボンジェ ペイター
    2020 年 39 巻 3 号 p. 301-310
    発行日: 2020/06/15
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー
    地域在住高齢者の健康や幸福を促進する作業に焦点を当てた集団プログラムの開発が進められている.本研究では新たに開発された活動日記を用いた集団プログラムの効果を,ランダム化比較試験によって検証した.対象者は地域在住高齢者125名であった.実験群には計4回の集団セッションが実施され,活動日記を毎日記入することが依頼された.対照群に介入は行われなかった.その結果,実験群の作業に対する満足度,生きがい感,生活満足度の変化量は,対照群よりも有意に高く,効果量は中程度であった(p<.001,r=0.3300.38).本プログラムは,地域在住高齢者の作業に対する満足度,生きがい感,生活満足度の向上に寄与することが示された.
  • ─健康職場づくりをめざして─
    世良 龍哉, 山崎 喜比古
    2020 年 39 巻 3 号 p. 311-320
    発行日: 2020/06/15
    公開日: 2020/06/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,精神健康度に対する労働職場ストレスと職場風土良好度,ストレス対処力SOCの関連性を明らかにした.岐阜県下の作業療法士に郵送調査を実施した(有効回答率72.4%).その後,従属変数をGHQ12,独立変数を労働職場ストレス尺度,職場風土良好度,SOCとし,階層的重回帰分析を実施した結果,精神健康度に対し労働職場ストレスは負の影響力を有し,SOCは正の影響力を強く有していた.職場風土良好度はSOCを介して労働職場ストレスの影響力を減少させていた.SOCは良好な職場風土から形成されるため,今後,職場風土に対する環境へのアプローチと,作業療法士が持つSOC向上に対する個人へのアプローチ,その両面からの対策が重要である.
実践報告
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