作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
41 巻, 6 号
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巻頭言
学術部報告
原著論文
  • 米嶋 一善, 武田 智徳, 友利 幸之介
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 41 巻 6 号 p. 640-655
    発行日: 2022/12/15
    公開日: 2022/12/15
    ジャーナル フリー
    内部障害の目標設定の状況と研究ギャップを特定するためにスコーピングレビューを実施した.全1114編のうち46編が対象となり,がん19編,心臓疾患16編,呼吸器疾患6編,腎臓疾患0編,複合疾患5編であった.作業療法領域,個別的で活動や参加に焦点を当てた目標設定に関する報告は少なかったが,がんを対象とした報告では比較的実施されていた.ただし,がん以外の領域で研究の必要性がないわけではなく,心臓疾患や呼吸器疾患でカナダ作業遂行測定(COPM)を用いた作業ニーズを調査する研究等が報告されており,今後本邦においても類似した研究の実施が求められる.
  • 穴田 聡, 手塚 愛理, 増茂 悠希, 重田 暁, 金子 博徳
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 41 巻 6 号 p. 656-662
    発行日: 2022/12/15
    公開日: 2022/12/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,人工股関節全置換術を施行した変形性股関節症患者において,術後1ヵ月における浴槽での入浴実施状況とその関連要因を調査することである.術後1ヵ月までフォローアップできた者は89例(女性74例,年齢67.2±9.8歳)で,浴槽での入浴を実施していた者は47例(52.8%)であった.術後1ヵ月において,浴槽での入浴を実施していた者は実施していなかった者と比較し,術後2週での転倒自己効力感が有意に高値で,術後1ヵ月で浴槽内チェアの使用割合が有意に高かった.本研究の結果から,術後1ヵ月における浴槽での入浴の実施には,入院期間中に自己効力感を高めるための作業療法介入の必要性が示唆された.
  • ─質的研究Meta-studyを用いて─
    那須 識徳, 石橋 裕, 生田 純一, 久野 誠, 小林 隆司
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 41 巻 6 号 p. 663-675
    発行日: 2022/12/15
    公開日: 2022/12/15
    ジャーナル フリー
    後天性脳損傷後の自動車運転中断は当事者の社会参加に影響を及ぼすが,支援体制は確立されていない.本研究は,Meta-studyにより運転中断後の当事者や家族の経験を整理し,介入の枠組みを構築することを目的とした.対象論文は2020年までに発表された質的研究であり,海外論文9件が抽出された.対象研究の引用文をコード化し,人-環境-作業の理論で整理した.結果,39件のサブカテゴリに分類され,人は当事者5テーマ,家族3テーマ,環境3テーマ,作業4テーマに分類された.研究結果は後天性脳損傷者の運転中断の介入に活用されることが期待されるが,抽出論文は海外論文のみであり国内での使用には研究の発展が望まれる.
  • 戸田 皓之, 酒井 和香, 高畠 英昭
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 41 巻 6 号 p. 676-685
    発行日: 2022/12/15
    公開日: 2022/12/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,回復期リハビリテーション病棟に入院した大腿骨近位骨折患者を対象に,GNRIを用いた栄養評価を行い,入院時栄養状態が退院時の日常生活動作の改善具合や自宅復帰の可否の予測に有用であるか検討した.その結果,入院時栄養状態が良好であればFIMの清拭や移動,階段は改善するが,自宅復帰率との関連性は認めなかった.GNRIを用いた入院時栄養評価は,高齢の大腿骨近位部骨折患者の特定のADLの予後予測には有用であるが,自宅復帰率の予測には適さない可能性が示唆された.
  • 廣瀬 卓哉, 寺岡 睦, 京極 真
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 41 巻 6 号 p. 686-693
    発行日: 2022/12/15
    公開日: 2022/12/15
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は,作業中心のEBPにおけるコンピテンシーを探索的に検討することである.研究法は構造構成的質的研究法を採用し,データ分析にはSteps for Coding and Theorizationを用いた.対象は4名の作業療法士であった.結果は,コンピテンシーとして〈EBPの知識とスキルの理解〉〈作業中心の問題点の定式化およびアウトカムの採用〉〈作業療法の専門性に基づく多様なエビデンスの統合〉〈作業療法理論の実践的な参照〉が明らかとなった.作業中心のEBPを実践するためには,EBPの基本的な知識とスキルの理解を前提として,作業療法の専門的な実践に多様なエビデンスを統合する重要性が示された.
  • ─ケースシリーズ研究─
    小渕 浩平, 竹林 崇, 花田 恵介, 松井 克明, 中村 裕一
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 41 巻 6 号 p. 694-702
    発行日: 2022/12/15
    公開日: 2022/12/15
    ジャーナル フリー
    本邦では,急性期でのCI療法後の長期経過を観察した研究は見当たらない.今回,急性期にて1日2時間以内の修正CI療法を実施した複数の対象者について,介入から1年後までの長期間の追跡調査を行い,麻痺側上肢の回復経過を観察した.結果,FMA,MALともに,介入後・介入1年後と時点の固定効果で有意な差を認めた.またMALは,短期・長期ともにMCIDを超える変化を認めた.さらに,長期的なFMAの改善は,MALと強い関連があることが示された.本研究から,急性期においても適応患者によっては,修正CI療法が長期的にも上肢機能と麻痺手の使用行動に良好な変化を与える可能性が示唆された.
  • ─傾向スコアマッチングを用いた後ろ向きコホート研究─
    小渕 浩平, 竹林 崇, 花田 恵介, 徳田 和宏, 中村 裕一
    原稿種別: 原著論文
    2022 年 41 巻 6 号 p. 703-710
    発行日: 2022/12/15
    公開日: 2022/12/15
    ジャーナル フリー
    脳卒中後の上肢麻痺に対するエビデンスの確立されたアプローチの多くは,生活期の患者を対象としている.急性期でもエビデンスレベルの高い研究が望まれるが,急性期に比較試験を行うことは容易でない.そこで今回,急性期での修正CI療法の効果を推定するために,先行研究のデータプールを用いて,課題とされる対照群を設定し,介入群と傾向スコアマッチングによる比較検討を行った.結果,急性期での修正CI療法の実施は,比較的予後が良好な自宅退院例では有効な可能性がある一方で,回復期転院例では,短期間で十分な効果が得られない可能性が示唆された.今後は,麻痺手の使用行動に関する影響に関しても比較検討を行っていく.
実践報告
短報
第41巻総目次
第41巻著者別索引(五十音順)
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