本研究の目的は,作業中心のEBPにおけるコンピテンシーを探索的に検討することである.研究法は構造構成的質的研究法を採用し,データ分析にはSteps for Coding and Theorizationを用いた.対象は4名の作業療法士であった.結果は,コンピテンシーとして〈EBPの知識とスキルの理解〉〈作業中心の問題点の定式化およびアウトカムの採用〉〈作業療法の専門性に基づく多様なエビデンスの統合〉〈作業療法理論の実践的な参照〉が明らかとなった.作業中心のEBPを実践するためには,EBPの基本的な知識とスキルの理解を前提として,作業療法の専門的な実践に多様なエビデンスを統合する重要性が示された.
本研究の目的は,当院回復期リハ病棟における自宅退院3ヵ月後のCVD患者本人と主介護者のHRQOLが,退院時および在宅生活のどの要因に関係するかを明らかにするために予備調査を行うことである.対象は,適格基準を満たした36名とし,退院後3ヵ月の各調査項目,CVD患者本人と主介護者のEQ-5D-5Lについて統計学的解析を用いて検証した.主介護者のEQ-5D-5Lは,Home Care Score(HCS)の介護者の健康度,患者の入浴自立度,Frenchay Activities Index(FAI)の旅行や読書と,本人のEQ-5D-5LはFAIの掃除や整頓,買い物に相関を認めた.回復期リハ病棟においては,ADL介助量の軽減やIADLへの介入,介護負担を考慮したサービスの検討,介護者自身の介護力に配慮した介入が重要であると考える.