作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
41 巻, 1 号
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巻頭言
  • 小澤 恭子
    原稿種別: 巻頭言
    2022 年41 巻1 号 p. 1
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー
    この原稿を書いている今,パラリンピック選手の活躍が世間をにぎわせている.アイシェード(目隠し)をしながらの正確なボールキャッチ,激しい車椅子同士のタックルなどは非常に刺激的であり,スポーツに疎い私にも新たな種目を知る機会となった.今回日本選手が獲得した金13,銀15,銅23個の合計51個のメダルは,母数が違いこそすれ,オリンピックの58個に迫る成果だといえよう.
学術部報告
第55回日本作業療法学会学会長講演
総説
  • 吉田 一平, 平尾 一樹, 野中 哲士, 小林 隆司
    原稿種別: 総説
    2022 年41 巻1 号 p. 13-20
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー
    作業療法にて満足や楽しみといった肯定的な心理状態を考慮した支援を行うことが必要と考えられ,そのような心理状態を捉えた概念として「フロー理論」が挙げられる.今回,フロー理論を応用した作業療法に関する実践報告に関して文献レビューを実施した.結果として6論文が抽出され,それぞれの研究において,介入目的とした認知機能,高次脳機能のほか,フロー体験,健康関連QOLや主観的QOLの改善を認めた.今後は,作業療法/リハビリテーションにおける有効なアプローチの1つとして示されるよう,さらなる実践・研究が課題として挙げられた.
原著論文
  • 南 庄一郎, 倉石 立, 内川 誠
    原稿種別: 原著論文
    2022 年41 巻1 号 p. 21-30
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー
    本研究では,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて,医療観察法病棟で勤務する作業療法士が職業的アイデンティティを形成するプロセスを明らかにした.この結果,【あいまいに形成された作業療法士としての自分らしさ】を抱いた研究参加者は,医療観察法病棟における多職種連携の中で【作業療法士としての自分らしさの危機】を経験していた.しかし,その後の【作業療法士としての自分らしさの再確立に向けた取り組み】によって【作業療法士特有の関わり】を可能にし,【作業療法士としての自己効力感の高まり】を感じるに至っていた.今後は【職業的アイデンティティの更なる形成に向けた方略】への取り組みが重要と考えられた.
  • 池田 晋平, 芳賀 博
    原稿種別: 原著論文
    2022 年41 巻1 号 p. 31-40
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー
    神奈川県綾瀬市の地域在住高齢者3,058名を対象に地域活動(地域行事への参加,自治会の活動,老人クラブの活動,趣味の会など仲間うちの活動,特技や経験を他人に伝える活動,ボランティア活動)の参加状況と,それに関連する社会的要因を性別ごとで検討した.要介護者等を除く1,266名の分析から,男性よりも女性がこれら地域活動に参加する傾向が確認され,さらに各地域活動と地域への愛着,結束型SC,橋渡し型SC,信頼,互酬性の規範,地域住民との交流頻度の関連性は,性別によって特徴がみられた.これらを念頭に,作業療法士は高齢者の地域活動の参加を促進することが重要であることが示唆された.
  • ─複線径路等至性アプローチを用いて─
    草野 佑介, 寺岡 睦, 京極 真
    原稿種別: 原著論文
    2022 年41 巻1 号 p. 41-50
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー
    後天性脳損傷児の学校への適応プロセスにおける共通性と多様性を解明することを目的に,質的研究法である複線径路等至性アプローチを用いて5名の保護者の経験を分析した.その結果,後天性脳損傷児の就学(復学)プロセスにおける【適応をめぐる葛藤】という新たな概念および3つの分岐点が生成された.学校への適応は通過点としての目標である.適応という概念が葛藤を内包したゆらぎを帯びた状態であることを前提に,将来に待ち受けているライフステージの変化を考慮した,対象児と保護者の地域社会生活への参加における問題解決を長期的に支援することが作業療法士の役割として重要であると考えられた.
  • ─デルファイ法質問紙調査での内容妥当性の検討─
    中村 泰久, 國島 千晶, 松井 泰彦, 朝倉 起己
    原稿種別: 原著論文
    2022 年41 巻1 号 p. 51-60
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー
    本研究は作業療法士(以下,OTR)の統合失調症患者に対する地域生活支援での作業療法評価開発に向けて,評価項目を明らかにすることを目的にした.研究Ⅰでは,地域生活支援の経験を豊富に持つOTR 10名に半構造化面接のデータ分析と情報収集からの評価として8項目の生成と,ICFコアセットに基づいた質問紙調査から62項目を抽出した.研究Ⅱでは,OTR 82名に対しデルファイ法質問紙調査をして中央値と四分位数範囲,同意率で項目の内容妥当性を確認した.最終的に,統合失調症患者の地域生活支援での作業療法評価項目として合計70項目を同定した.
  • ─妥当性・信頼性の検討─
    池知 良昭, 井上 桂子, 小野 健一, 金山 祐里, 大岸 太一
    原稿種別: 原著論文
    2022 年41 巻1 号 p. 61-69
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー
    本研究は終末期がん患者に対する作業療法士の実践自己評価尺度を開発する目的で信頼性,妥当性を検討した.緩和ケア病棟入院料届け出受理施設の作業療法士246名分を分析対象とした.結果,カテゴリカル探索的因子分析より20項目5因子構造が推定された.カテゴリカル確認的因子分析により適合度指標RMSEA=0.067,CFI=0.958,TLI=0.951であり良好な構造的妥当性を有していた.ω係数=0.8~0.92で内的一貫性も確保された.基準関連妥当性は相関を認めたが弱かった.今後,本尺度と作業療法士の作業参加状況との関連性の検討が課題である.
実践報告
  • 村田 明穂, 清水 拓人
    原稿種別: 実践報告
    2022 年41 巻1 号 p. 70-77
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー
    長期療養目的で入院している脊髄損傷患者を担当した.事例は外出を希望していたが,外出を行うにあたり移動や吸引の介助が必要であり,定期的な外出が困難な状況であった.また障害が治らなければ日常生活動作や自身のやりたいことはできないという信念を持っており,自身で行える動作も介助者に依存していた.今回,生活行為向上マネジメントを用いて,重度訪問介護の利用による外出支援を実施した.その結果,定期的な外出が可能となった.また自己効力感が向上し,自身のことは自身で行うという行動変容につながった.
  • ─発症からの時期が異なる2症例による検討─
    庵本 直矢, 稲垣 亜紀, 柏木 晴子, 竹林 崇, 花田 恵介
    原稿種別: 実践報告
    2022 年41 巻1 号 p. 78-85
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー
    今回,脳出血後に上肢麻痺を呈した2症例に対し,脳卒中後の上肢麻痺に対してエビデンスが確立された介入を麻痺手の状態に合わせて行った.また,得られた上肢機能や使用行動の改善と白質のFractional Anisotropy(以下,FA)の変化の関連性を検討した.結果,2症例ともに上肢機能や使用行動の改善が得られ,FAでは鉤状束のみが両者とも向上した.そのため,上肢機能や使用行動の改善に伴って,運動機能に関わる皮質脊髄路の可塑的変化が生じる可能性は低いと思われた.一方で,報酬系に関わる鉤状束の可塑的変化が生じる可能性が示された.
  • 田中 卓, 竹林 崇, 花田 恵介
    原稿種別: 実践報告
    2022 年41 巻1 号 p. 86-93
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー
    今回,脳卒中後左片麻痺と左半側空間無視を伴う全般的認知機能障害を呈した事例に対して,病態に応じた工夫を施した麻痺手に対する複合的なアプローチ(病棟スタッフ主体のTransfer Packageや課題指向型アプローチ,電気・振動刺激)を実施した.結果,予後不良と考えられた事例において,臨床上意味のある最小変化量を超えた上肢機能の改善と,意味のある作業の達成が可能となった.さらに,半側空間無視も中等度の障害から軽度の障害への変化が見られた.回復期の介入のため,自然回復の影響は否めないが,本介入は認知機能低下を呈した事例に対する上肢機能アプローチにおける工夫として有用な可能性があると考えられた.
  • ─課題達成度の変化からみた注意機能の改善プロセスと臨床的推論─
    谷利 美希, 寳珠山 稔
    原稿種別: 実践報告
    2022 年41 巻1 号 p. 94-105
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー
    注意機能をスクリーニングし,日常生活活動能力の予後予測を含めた臨床的推論を簡易的に行うため,注意障害の病態に基づいて段階づけた課題を設定した.本研究は,設定した課題達成度の変化を観察し,既存の評価との関連性を検証した.対象は発症2ヵ月以内に入院した脳卒中患者14名とした.結果,対象者の課題達成度および評価得点は有意に向上し,課題達成度と神経心理学的検査および日常生活動作能力には有意な相関が認められた.本研究で設定した課題の達成段階を目安にして,注意機能の改善プロセスを概観し,日常生活活動の達成度を推察できる可能性が示唆され,対象者の注意機能に合わせた課題や場面設定をすることが可能と考えられた.
  • 秋葉 周, 竹林 崇, 花田 恵介
    原稿種別: 実践報告
    2022 年41 巻1 号 p. 106-112
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー
    本邦における脳卒中急性期の作業療法において,目標設定や介入方法に関するShared Decision Making(以下,SDM)を行った報告はきわめて少ない.今回,我々は,麻痺手の使用頻度が低く,目標設定や介入内容の意思決定に消極的な事例に対して,ガイドラインを用いて作業療法介入に関するSDMを行った.その結果,事例の作業療法への積極的な参加が促され,麻痺手の使用頻度も臨床的意義のある最小変化量を超えて向上した.事例の経過は,脳卒中急性期の作業療法においても,目標設定やガイドラインを用いた介入内容のSDMが有益である可能性を示している.
  • 藤本 皓也, 衛藤 誠二, 田之上 恵菜, 亀澤 孝, 下堂薗 恵
    原稿種別: 実践報告
    2022 年41 巻1 号 p. 113-122
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー
    促通反復療法(RFE)は,脳卒中片麻痺上肢の機能改善や物品操作能力,生活の質の改善に有効であることが報告されている.しかし,麻痺手の使用頻度や目標とした動作への効果は不明である.今回我々は,回復期脳卒中患者1名に対し,持続的神経筋電気刺激下の促通反復療法と課題指向型アプローチを組み合わせた課題指向型促通反復療法(Task-oriented RFE)を実施した.6週間の介入後,上肢機能や麻痺手の使用頻度,動作の質が改善した.また,目標とした動作の作業遂行満足度も向上した.退院1ヵ月後も,麻痺側上肢機能や使用頻度の維持,向上を認めた.Task-oriented RFEは,回復期脳卒中患者において,麻痺側上肢機能や使用頻度の改善に有効である可能性が示唆された.
  • ─指定通院医療機関との連携による就労移行支援─
    南 庄一郎
    原稿種別: 実践報告
    2022 年41 巻1 号 p. 123-130
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー
    殺人未遂事件を起こした統合失調症の対象者に生活行為向上マネジメント(以下,MTDLP)を用いて関わり,「生活行為申し送り表」を通して指定通院医療機関の作業療法士と情報共有し,共に対象者の就労移行を支援した.この結果,対象者は就労継続支援事業所にてやりがいを感じられる仕事に就くことができた.本介入から,MTDLPは対象者の主体的な治療参加を動機づけ,合意目標の達成を目指して対象者と両親,専門的多職種チーム,指定通院医療機関のスタッフの連携を促進するとともに指定入院医療機関と指定通院医療機関における連携を強化し,対象者のシームレスな支援を可能にすると考えられた.
  • 稲田 雅也, 山岸 誠, 水落 和也, 中村 健
    原稿種別: 実践報告
    2022 年41 巻1 号 p. 131-138
    発行日: 2022/02/15
    公開日: 2022/02/15
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデスは関節や多臓器に病変をきたす全身性の自己免疫疾患である.本報告は,誘因なくJaccoud関節炎(JA)を伴った左中指の伸筋腱断裂と環指と小指の伸筋腱脱臼を呈した事例の経過から,段階的スプリント療法と関節保護に対する患者指導の重要性について検討することを目的とした.事例は70歳代女性,段階的にスプリント療法を行い,介入終了まで把握動作に対し患者指導を実施した.その結果,尺側偏位と中指の自動伸展角度の改善と安全な手の使用行動が獲得された.JAを伴った伸筋腱断裂では疼痛,腫脹や骨関節病変がなく腱の炎症性変化が出現するため,行動変容につながるまで関節保護指導を徹底する必要性が示唆された.
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