作業療法
Online ISSN : 2434-4419
Print ISSN : 0289-4920
44 巻, 2 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
巻頭言
  • 小澤 恭子
    2025 年44 巻2 号 p. 121
    発行日: 2025/04/15
    公開日: 2025/04/15
    ジャーナル フリー

    私のスマホに表示されたリンゴの数が,この活動があと数分で終わることをこどもに知らせている.便利になったものだ.読字障害があるAちゃんは,相談があると言って答案の画像を送ってくるし,脳性麻痺があるBさんは,「もうお財布からお金を出してもらわなくていいんよ」と最新機種でサッと支払い笑顔になる.私は,デジタルネイティブの学生や若いOT仲間に教えてもらいながらどうにかスマホを使っているというありさまだが,誰がこんなに役立つものを作ってくれたのだろう? 30年近く前,私が初めて手にした「ケータイ」は,まさしく携帯「電話」だった.持ち運べる電話,十分便利だった.そのケータイを指さして「これ,聞こえない仲間内で流行ってるよ」と聴覚障害のある知人が教えてくれた時には驚いた.なぜ電話が? ちょうどその年にSMS(ショートメッセージサービス)が開始され,切手ほどのサイズの画面に数行の文字が送れるようになったためだった.会話が見えるようになった.おもしろい! 意外なところで役立つものだな,作業療法でも使い方を練習するようになるかも? 新人OTだった私はそんな風に考えたものだった.

第58回日本作業療法学会学会長講演
原著論文
  • 助川 文子, 伊藤 祐子
    2025 年44 巻2 号 p. 127-135
    発行日: 2025/04/15
    公開日: 2025/04/15
    ジャーナル フリー

    本研究は軽度知的障害と発達障害がある若年成人のナラティブより,学齢期に就労に対する意思決定をどのように形成したか明らかにすることを目的とした.就労支援事業所の職員らをインフォーマントとし段階的かつ合目的的に5名の研究参加者を選出し半構造化面接を行った.分析は複線径路等至性アプローチを用いた.研究参加者は必須通過点となる就労経験から就労意思を形成していた.しかし,心情も含め自身で,時間的・因果的につなげ組織化し語るには課題があった.作業療法士はセルフ・ナラティブを支援し,クライエントが作業経験を通した信念・価値観の変容を明確化し,意思決定できるようガイドする必要がある.

  • 安田 友紀, 大谷 将之, 金子 隆生
    2025 年44 巻2 号 p. 136-143
    発行日: 2025/04/15
    公開日: 2025/04/15
    ジャーナル フリー

    日本における作業療法士(OTR)の職業的アイデンティティ(PI)と作業科学(OS)の関係を明らかにするため,スコーピングレビューを実施した.CiNii,医中誌,ハンドサーチより14編が対象となり,PIとOSや作業に関する記述は7編で見られた.作業について学ぶことは,個人におけるOTRの専門性を確立し,作業療法実践に影響を与えていた.一方,クライエントの状況や周囲の期待により作業の知識を十分活かすことができず,作業に関わるOTRとしてのPI形成を諦めることもあった.今後はOTRのPIについての整理と,作業に焦点を当てた実践におけるOSの用い方を検討する必要がある.

  • ―重回帰分析による過去起点コホート研究―
    石川 稜馬, 佐藤 英人, 竹田 徳則
    2025 年44 巻2 号 p. 144-150
    発行日: 2025/04/15
    公開日: 2025/04/15
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,回復期リハ病棟の認知症併存者を対象にBPSDのFIM向上への影響を明らかにし,BPSDへの作業療法介入の基礎資料を提供することとした.脳血管疾患136名と運動器疾患137名に対し,目的変数をmFIM利得,説明変数に6因子(年齢,発症後期間,入院時mFIM,入院時cFIM,入院時BMI,入院時NPI-NH合計点)を用いて重回帰分析を実施した.その結果,脳血管疾患,運動器疾患ともに,NPI-NHが阻害因子として抽出され,入院時BPSD有症者へはADL向上の観点からBPSDへ介入する必要性が示唆された.

  • ―テーマティック分析―
    石代 敏拓, 小林 法一, 村田 和香
    2025 年44 巻2 号 p. 151-159
    発行日: 2025/04/15
    公開日: 2025/04/15
    ジャーナル フリー

    脳卒中後遺症者の家事の遂行をドライブする要因,つまり何が家事を突き動かすかを明らかにする目的で,脳卒中後遺症者7名へのインタビューと再帰的テーマティック分析を行った.その結果,〈うまくやりたい〉〈気になってしまう〉〈回復を重ねる〉〈こだわる〉〈自分がやらなければいけない〉の5テーマが生成された.これらのテーマから,研究参加者の家事の遂行が,遂行そのものから受けている意味にドライブされていることがわかった.クライエントを家事に動機付ける先行要因を明らかにする視点も重要だが,家事の遂行が行為者にどのように作用するかに着目する視点の可能性を示す結果であった.

  • 小宮山 貴也, 小渕 浩平, 中田 園子, 柳沢 あずさ, 中村 裕一
    2025 年44 巻2 号 p. 160-166
    発行日: 2025/04/15
    公開日: 2025/04/15
    ジャーナル フリー

    【目的】本研究は,急性期脳卒中患者を対象に退院時のトイレ動作自立に関連する複数要因の相互作用・組み合わせを調査することとした.【方法】急性期脳卒中患者の退院時の機能評価を説明変数,トイレ自立の有無を目的変数とし決定木分析を実施した.【結果】決定木分析の結果,退院時のTCT, MMSEの2項目からなるモデルが作成された.モデル検証の結果は,感度88.2%,特異度77.8%であった.【考察】急性期脳卒中患者の退院時トイレ動作自立に関連する要因として,TCT, MMSEの2つの要因が良好である必要があり,この2つの要因には相互作用があることが示唆された.

  • ―東京都大田区の日常生活圏域Aにおいて地域活動を推進する人々を対象にした質的調査―
    池田 晋平, 松本 大輔, 芳賀 博
    2025 年44 巻2 号 p. 167-175
    発行日: 2025/04/15
    公開日: 2025/04/15
    ジャーナル フリー

    高齢男性を地域活動へ促すための工夫と課題を明らかにするため,地域活動を推進する5名を対象に半構造化面接を行い,質的分析を実施した.その結果,7カテゴリが生成され,趣向を凝らした誘いや声掛け,活動内容の見直しと場づくりの2つに分類された.研究参加者の語りから,共通の趣味がある人や男性参加者など複数の人がきっかけづくりに関与し,個別性を尊重した勧誘をしている実態が示された.また,地域活動の内容に関して男性が好む活動へ見直すことが必要で,公共施設や住民が交流できる場の整備が課題であった.作業療法士には,高齢男性への直接的関与および地域活動のリーダーや行政に対する間接的関与など多様な役割が期待される.

  • ―混合研究法を用いた検討―
    近藤 健, 丸山 祥, 柳井 亮人, 村田 和香, 李 範爽
    2025 年44 巻2 号 p. 176-186
    発行日: 2025/04/15
    公開日: 2025/04/15
    ジャーナル フリー

    リハビリテーション(以下,リハ)専門職10名を対象に体験,振り返り,概念化,積極的施行,報告会を含む3Dプリント技術学習プログラムを実施し,有用性を検討した.実施前,終了後,1ヵ月後の3時点において日本語版修正Technology Acceptance Model質問票を実施した.また,6名に対して,フォーカス・グループ・インタビューを実施した.結果,プログラム後に3Dプリント技術に対する使いやすさの認識が向上し,1ヵ月後も維持していた.質的分析では,参加者の問題解決能力の広がりが確認できた.学習プログラムがリハ専門職の新規技術に対する心理的懸念を軽減し,臨床実践能力を高めることが示唆された.

  • 松本 幸樹, 髙見 彰淑, 牧野 美里
    2025 年44 巻2 号 p. 187-195
    発行日: 2025/04/15
    公開日: 2025/04/15
    ジャーナル フリー

    【目的】脳出血意識障害者に対し,作業療法(OT)時間増加の効果を検証することを目的とした.【方法】研究デザインは非ランダム化比較試験とし,実験群ではコントロール群よりもOTを20分増やした.対象はJCS II桁の脳出血患者86名(各群43名)とした.調査項目は,JCS I桁への改善率との関連が推測されるベースライン特性17項目とした.統計解析は,傾向スコアマッチング後,ログランク検定を用いた.【結果】累積意識障害残存率は,実験群でより低下している様子が観察されたが有意差は無かった.【結論】OTを20分増やすことによる意識障害改善効果は有意差が無かったが,サンプルサイズ不足の可能性が考えられた.

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