作業療法
Online ISSN : 2434-4419
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巻頭言
総説
  • ─スコーピングレビュー─
    中村 拓人, 塩津 裕康, 金子 隆生, 長山 洋史
    2025 年 44 巻 3 号 p. 243-253
    発行日: 2025/06/15
    公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,スコーピングレビューによって子どもと養育者を対象とした作業遂行コーチング(以下,OPC)の有効性に関する既存の知見をマッピングし,介入の有効性に関する現時点でのエビデンスを評価し報告することである.6つのオンラインデータベースから文献を検索し,12の文献が基準に合致した.OPCは遠隔作業療法や,幼稚園や学校での専門職種間連携に応用され,子どもや養育者の作業遂行,ならびに育児・教育関連アウトカムの改善が報告されている.OPCは,作業療法士が地域へアウトリーチするための有望な手段となる可能性がある.

原著論文
  • 大坂 隆介, 金子 翔拓, 仙石 泰仁
    2025 年 44 巻 3 号 p. 254-262
    発行日: 2025/06/15
    公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究は,負担が大きいとされるスノーダンプ(以下,ダンプ)除雪における作業工程ごとの筋活動の特性を調査することを目的に行った.ダンプ除雪は,突き入れ,押し下げ,引き出し,運搬,持ち上げの5工程に分類され,本研究では,健常成人男性を対象に,ダンプ除雪の作業工程別に上腕二頭筋,上腕三頭筋,腹直筋,脊柱起立筋の筋活動量測定および関節角度変化量を算出し,作業工程ごとに分析を行った.運搬以外の4工程において,他の作業工程と比較して有意に高い筋活動量を認めた.ダンプ除雪は,作業工程毎に動作様式が異なり,有意に作用する筋にも違いを認めることから,作業工程別に負担を軽減させる対策を検討する必要性が示唆された.

  • ─複線径路等至性アプローチを用いた分析より─
    畠山 久司, 猪股 英輔, 佐々木 清子, 坂本 俊夫
    2025 年 44 巻 3 号 p. 263-273
    発行日: 2025/06/15
    公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス

    境界知能の子どもを持つ保護者が小学校就学先を決定する際の意思決定プロセスを解明するために,複線径路等至性アプローチを用いて保護者4名の経験を分析した.保護者は発達早期から将来に対して不安を抱えており,葛藤を抱えながらも保護者固有の価値観・信念を明確にしながら小学校就学先を意思決定した.保護者と教育委員会との合議により合意形成に至る径路が描写され,プロセスの各時期に生じる保護者の意思決定を促進,阻害する要点も明らかとなった.作業療法士は,保護者の価値観・信念の明確化に貢献できる可能性があり,そのためには発達早期から保護者にとって信頼できる専門職となる必要性が示された.

  • 島﨑 新, 鈴木 久義
    2025 年 44 巻 3 号 p. 274-282
    発行日: 2025/06/15
    公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス

    本研究の目的は,慢性閉塞性肺疾患患者の呼吸困難の発生状況と活動の実施,あるいは制限に至る過程を明らかにすることである.方法は,慢性閉塞性肺疾患患者10名を対象に半構造化面接を実施し,グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて解析した.慢性閉塞性肺疾患患者の呼吸困難は,労作時や複雑な思考を伴う活動等,さまざまな状況で生じていた.その対処過程では【活動の試みと対処】を中心的なカテゴリーとする9つのカテゴリーが生成され,4つのプロセスパターンが抽出された.慢性閉塞性肺疾患患者の活動の実施や継続を支援する上では,各患者の対処過程と活動の実施や継続に繋がる条件を意識して援助することが重要である.

  • ─日本の医療系大学生を対象とした横断調査─
    田原 正俊, 猿爪 優輝, 高橋 香代子
    2025 年 44 巻 3 号 p. 283-291
    発行日: 2025/06/15
    公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス

    大学生という集団は,COVID-19対策の緊急事態宣言のような制限措置によって,意味のある作業への参加が妨げられ,作業的不公正な状態にあった可能性がある.しかし,この集団における制限措置と作業的公正/不公正の関連は明らかになっていない.この関連を明らかにすることを目的に医療系大学生を対象に第3回緊急事態宣言中と前後半年の非宣言中に作業的公正/不公正,生活の満足度,精神的健康状態を調査し,各調査期間間の比較をすることで行動制限措置が上記の調査内容に与える影響を分析した.その結果,緊急事態宣言中では余暇の満足度が低く,COVID-19パンデミックの前期では精神的健康状態の悪化と作業周縁化に陥っている可能性が示唆された.

  • ─スコーピングレビュー─
    北上 守俊, 峯尾 舞, 富永 雅子
    2025 年 44 巻 3 号 p. 292-301
    発行日: 2025/06/15
    公開日: 2025/06/15
    ジャーナル オープンアクセス

    【目的】本邦における脳損傷者に対する作業療法士(OT)の就労支援実践をマッピングし,就労支援実践や研究の示唆を得ることを目的とした.【方法】包含及び除外基準に基づき,医学中央雑誌などを用いてスコーピングレビューを実施した.【結果】30編を対象文献とした.支援分野は医療機関をはじめ,介護保険分野など多岐にわたり,他職種・他機関との連携や就労定着支援は十分ではない実態が明らかとなった.OT評価やプログラムは,認知機能や身体機能面だけではなく,職場の環境調整,代償手段活用などが実践されていた.【結論】OTは就労先の意向や環境を踏まえながら就労に向けた評価やプログラムを実践し,その効果検証が重要である.

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