都市計画論文集
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39.2 巻
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  • 関係権利者の属性による事業開始までに要する期間の違いを考慮して
    紙田 和代, 浜田 美恵子, 家田 仁
    2004 年 39.2 巻 p. 1-7
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル オープンアクセス
    都市計画道路整備のための都市計画事業手法は複数存在し、用地取得方法で大別すると直接買収方式と区画整理による減歩・換地方式があるが、これらの中から合理的な選択がなされているとは言い難いのが現状である。また、都市計画事業手法をその構成要素である「事業ツール」(事業を構成するしくみ・手法)に分解して考えてみると、そもそも既存の事業手法が必ずしも事業ツールの最適な組合せであるとは限らない。本研究は、合理的な手法の選択を行い、関係権利者、納税者等に対して明確な基準に基づいた公共事業の検討プロセスを開示するため、都市計画道路整備における事業ツールの最適な組合せの選択方法の構築を試みたものである。
  • 城所 哲夫, 片山 恵美子
    2004 年 39.2 巻 p. 8-14
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル オープンアクセス
    ベトナムでは、国際 NGOや大衆組織のいくつかがコミュニティベースの手法によるプロジェクトを実施しているが、コミュニティ内あるいは外部との多様なネットワークを活かしながらプロジェクトを実施していくことが必要と考えられる。本研究は、このような問題意識のもとで、(1)ホーチミン市の低所得者地域における居住環境関連インフラ整備の実態とその整備過程の把握、(2)低所得者地域における住民間ネットワークの現状についての理解、(3)事業プロセスと住民間関係との相互関係に関する分析、(4)低所得者地域における居住環境整備事業における住民参加のあり方についての検討をおこなったものである。
  • 世界遺産富山県五箇山合掌造り集落の事例
    垣内 恵美子, 西村 幸夫
    2004 年 39.2 巻 p. 15-24
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル オープンアクセス
    富山県五箇山合掌造り集落(世界遺産)を事例として取り上げ、その文化的景観の保護に対する観光客及び全国民の支払い意志額を CVM(2段階 2項選択方式,ランダム効用モデルによる分析)を用いて計測した。この結果、文化的景観は、遺贈価値や存在価値を中心とし、極めて大きな社会的便益を有すること、その便益は属性(学歴、居住地、性別等)に関わらず全国的な広がりを有しており、文化資本としての景観に投資することは広範な人々の間でコンセンサスが得られるであろうこと、また観光客は便益の受益者であるとともに、潜在的な寄付者及びボランティアになりうること、等が確認できた。これらの結果に基づき、景観保護のための可能な制度設計を試みた。
  • ブレーメン広域圏をケーススタディとして
    姥浦 道生
    2004 年 39.2 巻 p. 25-36
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル オープンアクセス
    モータリゼーションの進展により、近年の大型店の開発によるインパクトは自治体レベルにとどまらず、広く広域にわたるため、そのコントロールが問題となる。そこで本研究は、ブレーメン広域圏をケーススタディとして、ドイツにおける大型店開発の非法定広域立地調整システムとその運用実態を明らかにすることを目的とした。まとめとして、調整基準、時期、方法の問題、空間的範囲の問題、旧令に基づく Bplan策定地区等における開発の問題、そして Bauleitplan策定手続におけるブレーメン広域調整システムの役割について考察をした。
  • 西安市臨潼区を事例として
    田 偉利, 川上 洋司
    2004 年 39.2 巻 p. 37-44
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、中国内陸部に位置している地方都市―西安市臨潼区を対象として、1992年~2001年の土地利用現状調査データ、現地調査、関連企業・行政部門へのヒヤリングに基づき、まず農地転換の実態と農地転換による宅地の変化状況から、基本農地保護条例(1996年制定)の影響、農地転換の発生状況把握、農地転換の空間的分布特性等について分析・考察している。さらに農地転換の具体的プロセスを五つのタイプ(大きくは政府主導型と集団主導型)に分類し、それぞれについて事例を取り上げ、農地転換のメカニズムと問題点を考察することによって、農地転換という側面から今後の土地利用制御のあり方についての課題を明らかにしている。
  • 東京都中央区月島地区の事例研究
    川崎 興太
    2004 年 39.2 巻 p. 45-56
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、月島地区における路地を活かした協調建て替え誘導制度である工区区分型一団地認定制度を併用した地区計画(一団地型地区計画)の実績と効果を考察している。それは、接道義務規定、建ぺい率制限、道路斜線制限等の一般建築制限の下では、路地に面する建築物の建て替えが進まず老朽化の進展がみられたこと等を背景に、「防災性の向上」及び「定住性の高い住宅の立地誘導」を目的として平成9年 11月 30日に導入された。本稿での分析を通じて、一団地型地区計画は、それを活用した建築物には一般建築制限の緩和による建築規模の増大という誘因が有効に作用して効果が発揮されているが、活用事例は約3割にとどまっている等、制度的対象である建築物全体の観点からは、その効果及び誘因の作用は限定的なものになっていることが明らかになった。
  • 井上 芳恵, 中山 徹
    2004 年 39.2 巻 p. 57-66
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、民事再生法等、法的な手続きによる大型店撤退事例を取り上げ、段階別の行政・地元の対応状況を分析した。九州の事例では、民事再生法申請の直後から、雇用、融資面での迅速な対策がとられている。一方、跡地利用に関しては、比較的早期に後継店が決定している事例では、行政、商工会・会議所による関与はあまり見られず、民間で解決している事例が多い。また、全国の事例からは、再生計画が提出されるまでは地元では具体的な動きが取れないが、計画案が出され閉鎖店舗として発表された時点では、既に撤退を避けられない状況であることが明らかとなった。最後に、今後大型店撤退に対して取るべき対応策について、段階別、手法別に検討した。
  • フィリピン・メトロマニラのPasig川周辺環境改善・都市再開発事業を対象として
    加藤 浩徳, 大辻 敏博
    2004 年 39.2 巻 p. 67-76
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、フィリピン・メトロマニラの貧困者層を対象に、発展途上国の都市再開発に伴う居住者の郊外移転が都市貧困層の交通や生活にどのような影響を及ぼすのかについて調査分析することを目的とする。現地訪問インタビュー調査の結果,都市貧困層にとって通勤と求職が最も重要な交通行動であること、郊外移転によって多くの都市貧困層は移動に関して不便益を被っていること、交通利便性が低下した結果、移転先での生活水準が低下し一部の移転者は再度都心に戻ったり、家族が離別して生活せざるを得なくなったりしている現状等が判明した。また、プロジェクトの実施主体のプロジェクト遂行能力が貧困解消に大きな影響を及ぼしうることを指摘した。
  • 斉藤 憲晃
    2004 年 39.2 巻 p. 77-85
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、英国ブレア労働党政権下において進められている計画制度改革を概観し、その背景、特徴を明らかにしようとするものである。今回の計画制度改革は、現行制度の骨格が誕生した 1947年以来最大の改革ともされる。これまでの保守党政権下での政策と比べ、地方分権やコミュニティの重視などの新たな視点がみられる一方、経済活動の重視やシステムの簡素化、効率化への志向など、改革の基調にはいわゆるサッチャー革命における制度改革と共通する方向を指摘し得る。
  • 北中 大輔, 岩崎 義一
    2004 年 39.2 巻 p. 86-94
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、自然的、歴史的、文化的等諸側面で捉えられる景観評価について自然景観に着目し、まちづくりに対する住民の主体的積極的参加を動機づけする誘発要因を明らかにすることを目的に、まちづくり事業の対象全体の自然景観がアメニティ評価に及ぼす影響の要因の分析を行うとともに、この要因を構成する景観要素が景観評価に及ぼす影響の分析を行った。本研究の結果として、住民のまちづくり事業への参加意向を高めるためには、地域コミュニティを厚みづけする自然景観の存在が重要であり、とりわけ人間生活と一部関わりあっている自然景観の効果的活用に係るプロセスづくりと事業実施が重要である。
  • 周藤 利一, 越澤 明
    2004 年 39.2 巻 p. 95-104
    発行日: 2004/10/25
    公開日: 2017/08/02
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、大韓民国の開発制限区域 (グリーンベルト ) 制度の歴史及び効果を取り扱っている。韓国のグリーンベルトは、日本と英国の制度に倣って導入された経緯があるが、土地利用や建築行為に対して何ら補償なしに極めて厳格な規制を課すなどの特徴を有する。本研究は、既往研究や既存資料に加えて未公開資料や関係者の証言などに基づき、日本の制度との関係を考察するとともに、韓国のグリーンベルトの歴史、現状及び課題を分析し、政策決定及び都市計画の観点からみた制度の効果を検証する。
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