都市計画論文集
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41.1 巻
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  • 袁 暁宇, 大西 一嘉
    2006 年 41.1 巻 p. 1-7
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    1996年2月3日午後19時14分,麗江地震は発生した。震源地は麗江県大研鎮培良村,震源の深さは約10km,麗江の地震観測史上初めてMs7.0を記録し,被害は約1.8万km2の広い地域に及んだ。麗江県内だけ見ても,死者294人,負傷者16638人の被害を出したほか,建物への被害も大きく,交通網やライフラインも寸断された。本研究においては,中国雲南省麗江地震を事例として,現地でのヒアリングや入手した資料等から,可能な限り麗江の住宅復興過程や復興計画及び地震後に行われた様々な住宅復興支援対策を明らかにし,住宅復興計画の全体像を捕らえ,その特徴を整理して,今後の震災都市住宅復興のあり方を示す一考察とする。
  • 渡辺 貴史, 鈴木 勉, 横張 真
    2006 年 41.1 巻 p. 8-14
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文は,緑地の配置に関わる複数の意図((1)緑地間の距離,(2)緑地-市街地間の距離,(3)緑地-市街地間の接触)を反映した変数からなる最適化モデルを,緑地と市街地の2種類の土地利用比率が異なる複数の空間に適用し,市街地との混合度から見た緑地の適正配置パターンを明らかにした.その結果,(1)緑地の配置に関わる意図の様々な重みと組み合わせのもとで見いだされた緑地の適正配置はいくつかのパターンに限られていたこと,(2)緑地の適正配置パターンの形成には,緑地と市街地間の距離と緑地と市街地間の接触が大きな影響を与えていたことなどが明らかにされた.これらの結果から,緑地と市街地の配置目標は,本研究で示されたいくつかの配置パターンの使い分けによって対応できる可能性が考察された.
  • 米国ミルウォーキー市サードワード地区を事例に
    遠藤 新
    2006 年 41.1 巻 p. 15-24
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、公的性格を有する街づくり組織が既成市街地内の特定地区の空間整備に継続的に関与してきた事例に注目し、連鎖的に展開した整備事業と当該組織の関係分析から、事業連鎖の促進方法を解明することを目的とする。米国ミルウォーキー市サードワード地区を対象とした分析から、1)公共空間整備と民間整備の繋ぎ役として資金やデザインの調整を行う、連鎖を期待する領域においてイベント実施や統一感のあるデザインの推奨によって一体感のあるイメージを醸成する等の手法、2)既成市街地全体で税制優遇等のインセンティブ提供、プロモーションや不動産情報発信等により地区全体の魅力を高める手法、3)地区内の建物情報や事業に関する情報等を不動産所有者間で共有することで地区内の事業機会を高める手法、4)地区に相応しい住宅・店舗等デザインの標準モデルを考案することによって地権者の事業意欲を高める手法、という4つの手法が明らかになった。
  • 東京都中央区銀座地区における「銀座ルール」の制度体系と初動的運用実績
    川崎 興太
    2006 年 41.1 巻 p. 25-36
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、平成15年に東京都中央区銀座地区において導入された「銀座ルール」の制度体系と初動的実績を考察することを目的とするものである。銀座ルールとは、賑わいの連続性を確保しながら建築物の更新を促進すること等を目的として、基本的には附置義務の量しかコントロールし得ない駐車場附置義務制度について、まちづくりの観点から敷地の大小による役割分担を定め、地区単位で隔地駐車場制度を活用するローカルルールである。銀座ルールは、その目的が長期間にわたる建築物の建て替え等に伴って漸進的に実現される制度であり、施行期間や適用件数から言って未だ体系的な評価を行うことはできないが、本研究を通じて以下の3点が明らかになった。第一に、銀座ルールは、小規模敷地に対しては、附置義務駐車場の隔地附置を容易にすることで土地の高度利用化を促進しており、賑わいの連続性を維持継承しながら土地利用や駐車に関する諸問題を解決する上で一定の効果を発揮している。しかし第二に、都条例に基づく台数以上の附置義務駐車場の敷地内附置が課された大規模敷地では、建築物の更新の低下率が顕著であり、銀座ルールは更新阻害要因にもなっている。これらの結果として、第三に、小規模敷地での建築物による隔地附置駐車場台数と、大規模敷地での建築物に確保されたその受け皿となる駐車場の台数は、アンバランスな状況にある。
  • 室町 泰徳
    2006 年 41.1 巻 p. 37-42
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、違法駐輪の撤去活動レベルが異なる鉄道駅前地区を複数抽出し、自転車利用者に対するアンケート調査を実施して、地方自治体による撤去活動レベルが違法駐輪行動の選択に与える影響を検討した。その結果、自転車利用者は返還料を正確に認知し、撤去回数もある程度正確に認知している。撤去回数の認知は、路上駐輪利用者と駐輪場利用者とで異なる傾向があり、後者の方が認知が曖昧で、撤去回数の少ない側に偏っている可能性がある。路上駐輪利用者は駐輪場利用割合を小さめに認知し、駐輪場利用者は駐輪場利用割合を正確に認知している。自転車利用者の駐輪場利用割合の認知自体は、協力行動開始割合との相互関係において違法路上駐輪行動の選択に影響を与えている。鉄道駅前地区へのアクセス交通手段選択モデルの推定より、自転車利用者による撤去活動レベルと駐輪場利用割合に対する認知が、アクセス交通手段選択行動に影響していることが示された。
  • Strasubourg 都市圏のSCOT 策定を事例として
    岡井 有佳, 大西 隆
    2006 年 41.1 巻 p. 43-48
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、フランスにおいては住民参加に関する制度が急激に整備されているところである。本研究は、住民参加制度のひとつであり、計画案策定段階での合意形成手法であるコンセルタシオンに着目し、フランスの広域都市計画であるSCOTにおける合意形成手法を明らかにすることを目的としている。フランスの住民参加制度におけるコンセルタシオンの位置づけと仕組み、SCOTの策定プロセスを明確にした上で、ストラスブール都市圏のSCOT策定を事例として、合意形成手法の実態を把握した。その結果、議員や専門家など特定の者を対象にした委員会やワークショップ等で素案を作成し、それをもとに、不特定多数を対象にした公開討論会等で情報を提示し意見を求めるといった一連のプロセスの中で調整を図りながら計画策定が行われていることが明らかとなった。
  • 田中 暁子
    2006 年 41.1 巻 p. 49-54
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、ベルギーの都市計画ツールの一つである、「都市計画負担(Charges d'urbanisme)」の展開を明らかにすることを目的とする。都市計画負担は、1962年のベルギー総合都市計画法にその原型が求められる。1962年からの制度の変化(2章)と地域開発計画(PRD)における位置付け(3章)、2003年都市計画負担法令の内容 (4章)、コミューンレベルでの開発計画との関係(5章)を明らかにし、分譲許可対象地の利便のために公共施設整備を課した制度が、近年では、都心におけるオフィスの抑制及び居住人口の回復のためのツールとなっていること、コミューンが地区ごとに必要性を吟味し、コミューン開発計画、土地利用詳細計画によって義務負担の性質や比重を変え、目標の都市像に近づこうとしていることを明らかにした。
  • 東京都千代田区大手町・丸の内・有楽町地区を事例として
    古賀 浩樹, 高田 邦道
    2006 年 41.1 巻 p. 55-60
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    駐車場の整備手法の一つに附置義務駐車制度がある。附置義務駐車制度とは、建築物の規模と用途に応じて一定水準以上の駐車施設の整備を義務づけるものである。附置義務駐車制度によって、都市内の駐車場は一定量整備されてきた。しかしながら、現行制度は一律の基準であるため、地区特性による床面積当たり発生集中交通量や自動車利用率の違いに対応することが難しいという問題を抱えている。そこで本研究は、東京都区部の駐車場整備地区における駐車需要の特性や土地利用特性を分析し、附置義務駐車制度の課題を整理する。そのうえで、東京都千代田区大手町・丸の内・有楽町地区を対象に、駐車場の利用実態と路上駐車の特性を分析する。それらの結果を基に、附置義務駐車制度のローカルルールの必要性とローカルルールの運用のあり方について考察を試みたものである。
  • 都道府県と市町村の関係に着目して
    岩本 陽介, 松川 寿也, 中出 文平, 樋口 秀
    2006 年 41.1 巻 p. 61-71
    発行日: 2006/04/25
    公開日: 2017/05/01
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、区域マスに記載される白地方針について、都道府県と市町村の関係に着目して、策定過程の実態を明らかにして、その提示のあり方を考察している。まず全都道府県に対して実施したアンケート調査により、白地方針の策定過程における都道府県および市町村の関与の実態を明らかにした。次いで、その結果に基づき各都道府県の白地方針の策定過程を類型化し、各タイプから長野、熊本、宮城、福井各県の策定経緯を詳細に調査した。その結果、白地方針を策定する際の将来市街地の選定や、都道府県と市町村の関わり方に問題が存在することを指摘した。また、区域マスの白地方針は、市町村が策定する土地利用計画やその後の運用において、都道府県の意向が反映されるような役割を担うべきである事を提言した。
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