都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
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46 巻, 2 号
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  • 鈴木 崇之, 石川 徹, 貞広 幸雄, 浅見 泰司
    2011 年 46 巻 2 号 p. 117-123
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、居住者の都市施設とまちへの愛着について、街頭調査を通して実証的に調べた。結果から、まちへの愛着の程度によって、回答者を3つのグループに分類できることがわかった。1つのグループはまちへの愛着が相対的に低く、他の2グループは相対的に高かったが、後者2グループに関しては、帰属意識と持続願望の程度に違いが見られた。この3つの回答者グループを詳細に分析した結果、まちへの愛着は、都市施設への愛着および回答差の個人属性との間に有意な相関があることが明らかになった。これらの結果は、住民のまちへの愛着を、都市計画の取り組みを通して高め得ることを示しており、今後の施設整備の方針等において活用可能な示唆を与えると考えられる。
  • 引田 有人, 石川 徹
    2011 年 46 巻 2 号 p. 125-131
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、高齢者の現地と地図の対応能力について、地図上に示された位置・方向と写真で示された光景を合致させるという空間的作業を通して実証的に調べた。高齢者88人と若齢者26人のデータを構造方程式モデルを用いて分析したところ、現地と地図の対応能力は年齢に影響され、その直接的影響は、老化度に対する自己評価を通した間接的影響よりも大きいことがわかった。このことは、一般的な身体的老化に伴う困難のみではなく、高齢者がまちでの位置把握に対して感じる心理的な困難を理解し、案内情報の効果的な提示の方法を考えることが都市計画においても重要であることを示している。また、地図利用経験と地理的知識が現地と地図の対応能力に影響を与えていることもわかり、日常的に歩き回ることのできる都市空間を創造し、経験や知識を増やすことを補助することにより、高齢者の空間能力・行動を促進し得るという効果があることも示唆している。
  • 梅本 通孝
    2011 年 46 巻 2 号 p. 132-142
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル オープンアクセス
    県域間に及ぶ長距離避難時の移動手段別の需要推定に向けた基礎的知見を得ることを目的として、都道府県へのアンケート調査により国民保護住民避難に関する準備・検討状況の把握を図った上で、福島、新潟、福井、静岡の各県内居住者を対象とするWebアンケートに基づき長距離避難時の避難手段選択に関する要因分析を行うとともに、既存統計データを用いた避難手段選択確率の補正推定を試みた。多項ロジスティック回帰モデルによる分析の結果、長距離避難時の自家用車の選択確率は、バスなど他の移動手段を終始上回っており、その選択確率はピーク時には福島県・福井県では6割に達し、新潟県・静岡県でも5割を超えるとの推定結果を得た。この結果は、住民避難への自家用車利用に慎重な都道府県の思惑とは齟齬をきたしており、住民避難時には自家用車利用の自粛を求めるのとは別に、自家用車避難の大量発生を想定した準備・検討が必要と結論付けた。
  • 空間的マイクロシミュレーションを用いたアプローチ
    花岡 和聖
    2011 年 46 巻 2 号 p. 143-149
    発行日: 2011/10/25
    公開日: 2011/12/27
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は、空間的マイクロシミュレーションを用いて、町丁・字等の小地域単位での所得(賃金)分布推定を行うことである。同手法は、国勢調査などのマクロな統計資料とミクロデータを組み合わせることで、詳細な地理情報を付与した疑似的なミクロデータ(合成ミクロデータ)を推定する手法である。本研究では、この手法を用いて、パーソントリップ調査のミクロデータから、国勢調査小地域集計と高い精度で整合する合成ミクロデータを推定した。その上で、個人属性の性別や年齢階級、産業を考慮した精緻な所得推計、小地域単位で平均所得分布の地図化を行った。さらに合成ミクロデータを再集計し複数の所得指標を算出することで、都市内部の地域差をより多面的に把握できた。
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