都市計画論文集
Online ISSN : 2185-0593
Print ISSN : 0916-0647
ISSN-L : 0916-0647
50 巻, 1 号
都市計画論文集
選択された号の論文の20件中1~20を表示しています
  • 蠶室地区開発総合計画(1970年)と蠶室地区開発総合基本計画(1974年)の比較と再評価
    朴 光賢
    原稿種別: 研究論文
    2015 年50 巻1 号 p. 1-7
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    本稿は、今まで等閑視されてきたソウルの蠶室地区開発総合計画(1970年)を取り上げ、その内容を詳らかにし、後継計画として策定された蠶室地区開発総合基本計画(1974年)と比較することで、両計画の再評価を行うものである。後者で初めて計画されたと評価されてきた内容、つまり土地区画整理事業に先立ってマスタープランを策定した点、敷地全体において住居・商業・緑地地域の土地利用を計画し、それらを大街区毎に配した点、建物、特に住棟の型式・規模・配置の計画を提示した点は、前者において既に試みられていた。但し、前者が単なる住宅地の建設を目標としていたのに対して、後者は大規模業務機能を加えた副都心として計画された点では異なっており、また大街区単位のアパート団地を複数集めた大団地を計画・実施した点では、以後の「新都市」や「新市街地」開発における大団地計画に影響を与えたと言える。
  • 福島第一原子力発電所事故から2年半後の記録
    川崎 興太
    原稿種別: 論説・報告
    2015 年50 巻1 号 p. 8-19
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    本研究は、福島第一原子力発電所事故が発生してから約2年半が経過した平成25年8月末現在における除染特別地域内の11市町村の除染に関する評価・見解を明らかにするとともに、除染特別地域の除染・復興に関する検討課題を提起することを目的とするものである。本研究を通じて、除染特別地域における除染の実施主体である国の除染方針や取り組みを不適切であると認識している市町村が多いこと、除染などによって空間線量率が0.23microSv/h未満になったとしても原発事故前と同程度にならなければ住民は帰還して安全に安心して生活することができないと認識している市町村が多いこと、特別地域内除染実施計画に基づいて除染を実施すれば住民は帰還して安全に安心して生活することができるようになると認識している市町村は皆無であることなどを明らかにしている。これらの結果を踏まえ、除染特別地域の除染・復興に関する検討課題として、除染を前提としない復興政策を確立すること、広域単位での除染・復興政策・体制を確立することを提起している。
  • SP調査に基づく個人の居住地選好の分析
    山崎 敦広, 高見 淳史, 力石 真, 大森 宣暁, 原田 昇
    原稿種別: 研究論文
    2015 年50 巻1 号 p. 20-27
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    本研究では、集約型都市構造の実現に向け居住地の集約化を図る観点から、集約対象地域への居住のメリットや撤退対象地域への居住のデメリットを、施策を通じて付与・提示することが、個人の居住地選好に与える影響について分析を行った。地方政令市に居住し転居意向を持つ個人に対しSP調査を実施し、仮想的な都市上で4つの施策((1)都市機能集積地域の明示、(2)まちなか住宅助成金付与、(3)郊外施設撤退の明示、(4)郊外公共交通減便方針の明示)を提示し、選好の変化を観察した。MXLモデル分析より、今回の調査分析の条件下では、助成金付与や郊外施設撤退・郊外公共交通減便方針の明示が共に居住を集約化させる方向に選択を変容させることが示された。また感度分析より、上記施策は最大1割程度選択を変容させ、デメリット提示施策の方がメリット提示施策に比べて大きな効果があると示された。以上から、居住集約化に向け、撤退対象地域側のリスクやネガティブ情報の提示についても着目検討する必要が示唆された。
  • 長曽我部 まどか, 榊原 弘之
    原稿種別: 研究論文
    2015 年50 巻1 号 p. 28-36
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    本論文では、ファシリテーションの支援技術の開発を目的とし、ワークショップ(WS)討議の分析を行った。WS討議において相互補完的に話題が形成される点に着目し、参加者の対話の相互補完的特性を考慮した、討議の分析手法の開発を行った。発言者の異なる複数の発言から話題を抽出し、討議の構造を把握することを試みた。複数の発言から話題を抽出するため、新たな分析単位として「会話単位」を定義した。会話単位内の名詞語句の頻度に着目し、WS討議の時系列と名詞語句の出現頻度の関係を因子分析より明らかにした。複数の発言で構成された話題が抽出され、討議で継続した話題や突出した話題が明らかになった。本論文の手法は、KJ法を用いた意見整理を補完する役割を果たす可能性があり、ファシリテーターが、参加者に共有された話題を把握したり、討議内容を振り返ったりする際に有効である。
  • 阿部 正太朗, 藤井 聡
    原稿種別: 研究論文
    2015 年50 巻1 号 p. 37-45
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    自転車の放置駐輪は、社会的ジレンマ構造を内包し大きな社会問題となっている。京都市では放置駐輪に対して、駐輪場増設や撤去取締りなどに力を入れている。また、放置駐輪への警告看板を市内のいたるところに設置しているが、その内容は放置自転車の撤去に関する記載に留まり、看板自体も老朽化、陳腐化している。本研究では、心理学などの知見を援用しつつ、放置駐輪の抑制を目的としたポスターを設計した。そして、設計したポスターを、実際に放置駐輪多発地点に設置し、その効果の検証を試みた。その結果、自転車放置者が自転車の放置をためらう意識の活性化等が確認され、ポスター設置による放置駐輪抑制効果が示された。
  • 馬場 健司, 田中 充
    原稿種別: 研究論文
    2015 年50 巻1 号 p. 46-53
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    本研究は、文献調査や地方自治体政策担当者へのインタビュー調査により「レジリエントシティ」の概念を整理した上で、これを評価するためのレジリエンス指標について明らかにしている。本研究では、「レジリエントシティ」を気候変動や自然災害といったマルチプルなリスクに対応しうる能力を持つ都市と規定した。また、自治体がどのような外力、脆弱性をもち、回避すべき想定事態(エンドポイントとシナリオ)に対してどのような施策(予防策、順応策、転換策)を準備しているのか(行政指標)、どのような潜在能力を持っているのかを定量的に(都市指標)、定性的に(市民指標)評価する政策モデルの枠組みを構築した。このうち行政指標の計測のため、全国の自治体を対象として質問紙調査を実施した結果では、i) 多くの自治体が危機と想定している事象は、地震、人口減少や温室効果ガス排出増大などであること、ii)実施・準備しているレジリエント施策は、予防策としての再生可能エネルギーの推進や順応策としての被害に係る情報収集・提供方法の拡充であることなどが示された。
  • 姜 気賢, 有馬 隆文
    原稿種別: 研究論文
    2015 年50 巻1 号 p. 54-60
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    本研究は、歩行の促進が可能な都市空間に関して知見を得るため、街路モンタージュ画像を用いて「歩行者を歩きたいと思わせる条件」と「歩行経路選択時に歩行者が重視する要因」を把握し、歩行に影響を与える要素を明らかにした。その結果、歩行者は目的地までの「最短距離」と「車の少なさ」を重視してルートを決めるが、歩行者の現状や街路の状況により実際の歩行とは異なることが分かった。また、歩行者は街路に対する視覚情報により感じる「道先への期待感」・「街路の安心感」などにより「歩きたい」と意識する街路の評価が変化し、歩行意思も高まることが明らかになった。
  • エコツーリズム地域推進組織に対するアンケート調査とヒアリング調査の結果を踏まえて
    川崎 興太, 三部 和哉
    原稿種別: 論説・報告
    2015 年50 巻1 号 p. 61-68
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    本研究は、エコツーリズム地域推進組織に対するアンケート調査とヒアリング調査の結果を踏まえて、我が国におけるエコツーリズムとエコツーリズム地域推進組織の実態と問題点を体系的に明らかにすることを目的とするものである。本研究を通じて、(1)エコツーリズム地域推進組織は、行政からの経済的支援のもとに成立している小規模な任意組織が多い、地域の将来像を定めた全体構想または任意の構想・計画を作成する予定のない組織が少なくない、主な活動は関係者の連絡調整と広報活動であるが必ずしも将来像の実現に向けて行われているわけではない、(2)エコツーリズムを推進する上で、地域推進組織それ自体とガイドと環境に関する問題を抱えている地域が多い、(3)法制度に関しては、縦割り行政の解消や財政的支援の強化などが望まれていることが明らかになった。結論として、今後、我が国においてエコツーリズムを推進する上では、多様な主体の連携による地域推進組織の設立と、その組織の構想・計画作成機能とマネージメント機能の発揮を可能にする制度的・財政的・人的な諸条件を整備・充実することが必要であることを指摘している。
  • 野中 勝利
    原稿種別: 論説・報告
    2015 年50 巻1 号 p. 69-80
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    本稿は徳島城址の公園化の背景と経過を明らかにすることが目的である。1905年に徳島県知事が日露戦争の戦捷記念事業として、徳島城址にある山頂への招魂碑の移転を提唱したことが、城址の公園化の発端である。招魂祭の式場を公園整備によって確保することが目的だった。徳島県と徳島市が協議し、徳島市が旧藩主蜂須賀家から城址を買収して公園を整備することになった。そして戦利紀念館や商品陳列館などの近代国家体制と結びついた施設を配置する公共空間が確保された。招魂碑の移転や施設整備は徳島県が事業主体になり、徳島市には整備費の補助金を拠出した。県知事は本多静六に公園の設計を依頼した。本多にとって日比谷公園に次ぐ設計だった。戦捷紀念事業としての公園の意義が自身の持論に合致することから設計を受諾した。1906年春の招魂祭の挙行に向けて、急ピッチで最小限の公園整備が進んだ。
  • 成果主導型政策と貧困地域における包摂的な支援活動のあり方に関する一考察
    河西 奈緒, 杉田 早苗, 土肥 真人
    原稿種別: 研究論文
    2015 年50 巻1 号 p. 81-88
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    サンフランシスコ市では、初期の段階から福祉局と公衆衛生局の連携によるホームレス支援体制が形成されており、公衆衛生局が公的に支持するハームリダクションは、ホームレス支援の理念として根付いてきた。一方で、近年みられる連邦政府によるホームレス支援の成果重視や都市部にみられる貧困地域の高級化は、同市のハームリダクションを理念としたホームレス政策と対立し得るものである。本研究では、サンフランシスコ市のホームレス支援において、複雑な阻害要因を持つホームレスを支援に包摂しようとするハームリダクションの理念と、数値的成果が期待されるハウジングファーストを推進する連邦政府の成果重視の方針が、現場でいかに共存又は対立しているかについて論じるとともに、貧困地域の高級化という文脈から、ホームレス支援におけるハームリダクション理念の意義を明らかにした。
  • 学校教育における位置づけとその背景、及び体系化への動き
    坪原 紳二
    原稿種別: 研究論文
    2015 年50 巻1 号 p. 89-100
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    本稿は自転車利用者の交通ルール順守を促す手段の一つとして、小学校での交通安全教育に着目する。そしてそのオランダにおける実態を、交通安全教育の小学校教育における位置づけ、そうした位置づけの背景、及び近年進められている交通安全教育の体系化の、大きく3つの視点から明らかにすることを目的とする。第1の交通安全教育の位置づけについては、オランダの小学校の多くが、少なくとも2週間に1回は交通安全教育を実施していることが分かった。その背景については、難易度の高い全国交通テストが直接的背景としてあり、また間接的背景として、実践的交通教育を可能とする教授法、及び質の高い交通教育の継続的実施を促す州の制度、交通安全ラベルがあった。最後に交通安全教育の体系化については、小学校を含む全生涯の各年齢階層に対して学習目標が設定されており、それに照らして教材を評価するツールキット、及びチェックリストが開発されていた。
  • 島原半島ジオパーク推進連絡協議会と洞爺湖有珠山ジオパーク推進協議会を事例として
    石川 宏之
    原稿種別: 研究論文
    2015 年50 巻1 号 p. 101-106
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    本研究は、島原半島と洞爺湖有珠山エリアで被災体験の伝承や観光振興を図るために災害遺構の保存と観光資源化するプロセス、それを活かすジオパーク推進協議会の経緯と大学の連携体制について明らかにすることを目的とする。そして、復興まちづくりで研究教育機能を用いて地域活性化に取り組む大学と地域社会の連携のあり方を提言する。結論として以下のことがわかった。1) 島原半島では、災害遺構を保存するために長崎県と深江町が主導的な役割を担った。大学関係者は災害遺構の貴重性を示す調査や保存の技術的な面で協力したが、保存計画の策定に住民を参加させることができなかった。一方、洞爺湖有珠山では、大学関係者が、住民自ら企画したワークショップに協力したことで、災害遺構の保存計画の策定に住民を参画させることができた。2)島原半島ジオパーク推進協議会では、大学が幹事会に加わり、そこを中心にミドルアップダウン式の連携体制を整えた。一方、洞爺湖有珠山ジオパーク推進協議会では、主体的な合同委員会を基盤とするボトムアップ式の協働体制を築き上げた。ゆえに大学は、ジオパーク推進協議会と協定を結び、構成団体として継続的に参画する体制を築くべきである。
  • 都市的土地利用に着目して
    清水 裕之
    原稿種別: 研究論文
    2015 年50 巻1 号 p. 107-117
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    日本では人口減少期が始まり、人口増加を想定して作成されてきた土地利用政策は見直しを必要としている。新しい土地利用政策の策定には、土地利用と人口変化についての基礎的な空間データが必要である。しかし、日本全国を網羅し、かつ、人口の変化と土地利用の変化を連動させた空間分析は十分に行われていない。一方、国土の空間情報は国土数値情報の整備などを通して充実してきている。この論文は、標準地域3次メッシュを用いて、人口変化、あるいは世帯数変化と土地利用変化を連動させ、縮退傾向、集約傾向、安定傾向、拡大傾向、拡散傾向を国土全域にわたり観察するものである。この結果、それらの傾向は、大都市内部では安定傾向が強いものの、その周辺には、様々な傾向がモザイクのように分布している様子が把握できた。
  • 今瀧 亞久里, 坂井 文, 越澤 明
    原稿種別: 研究論文
    2015 年50 巻1 号 p. 118-123
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    約10年前に創設された都市計画提案制度は、2011年までに74都市で146の提案があった。しかし、そのうちの半数の都市では提案数1件のみであった。そうした中、札幌市は21件(2013年時点)の提案を持ち、全国最多であった。よって、本研究では札幌市における提案制度の運用実態に着目し、その課題を明らかにすることを目的とする。札幌市の運用では未利用地利用、マンション問題、高齢化対策、既存不適格建築物の建替えという4つの問題に対し、制度を運用している。本研究の結果、このような運用は波及効果がある点、行政主導に比べ迅速である点に効果がある一方、活動の継続性がない点や合意形成に問題がある点が課題であることがわかった。制度を普及するためには、情報の提供、活動の方法や過程における支援、継続的な補助が求められると思われる。
  • 神奈川県秦野市における気温の長期多点同時観測に基づく分析
    松尾 薫, 田中 貴宏, 佐土原 聡
    原稿種別: 研究論文
    2015 年50 巻1 号 p. 124-129
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    近年、特に夏季において、都市ヒートアイランド現象、および地球温暖化による都市高温化が様々な問題を引き起こすと言われており、その緩和が望まれている。一方、冬季においても、都市高温化が報告されている。冬季の都市高温化は、デング熱等の感染や生態系への悪影響等を引き起こすと言われているが、その一方で暖房用エネルギー消費の削減等にもつながるものと考えられ、その評価が難しい面がある。いずれにしても都市気温のコントロールは、冬季においても必要であると考えられる。そこで本研究では、夏季、冬季を含めた都市気温のコントロール手法を検討するための、第一歩として、冬季の気温分布とその形成要因について、夏季との比較から把握を行った。その結果、冬季の昼間は、夏季に比べて卓越風向の建物遮蔽率の影響が小さく、また夜間は周辺NDVI平均値との関連が夏季ほど大きくないことが分かった。
  • 新宿区を事例として
    滝沢 要, 中井 検裕, 沼田 麻美子
    原稿種別: 研究論文
    2015 年50 巻1 号 p. 130-135
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    近年、東京都心の都市構造は複雑化が進み、その街を初めて訪れる来街者にとって迷うことなく目的地に到達することが難しくなっている。この解決に向けた施策の一つとして通り名による道案内システムが挙げられるが、国交省による社会実験等でその有効性は示されているものの、現段階では具体的な導入を行っている自治体は存在しない。この原因として、多くの自治体が通り名命名に具体的な指針を有していないこと、道案内機能を評価する指標を保持していないことなどが挙げられる。そこで本研究では、道案内システムの導入に向けた方策を提示することを目的とし、自治体の通り名命名の現状を整理し、通り名の特性と通りの現状を調査した上で、既存研究をもとに作成した道案内機能に関する評価手法を用いて評価を行い、道案内機能を導入するにあたっての課題を抽出した。調査からは、特定の地域における通り名や施設の看板の整備やさらなる通り名の命名が必要であることが分かり、改善策の一つとして、本論ではSpace Syntax理論を用いた方策を提示した。
  • 神奈川県相模原市における都市計画法第34条11号の条例を事例として
    高野 健人, 秋田 典子
    原稿種別: 研究論文
    2015 年50 巻1 号 p. 136-141
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    神奈川県相模原市では、市街化調整区域の中でも他法令の規制力が弱い地域や、市街化区域周辺地域等の土地利用が混乱した地域に対して、3411条例を活用することで計画的な土地利用転換を図っている。本研究では、相模原市における3411条例の運用に対する調査結果から、個別協議に基づく3411区域指定の課題を明らかにし、市街化調整区域の適切な土地利用コントロールについて考察した。その結果、相模原市の3411区域指定は、市街化調整区域の中でも、農振法による土地利用規制と重複しない地域について、土地利用転換を促していることが明らかになった。残土置場化することで外部不経済をもたらしていた農地が、区域指定により、周辺市街地と調和する良好な住宅地へ転換されていた。一方、農振法の規制力が弱い地域では、農地が集積する地域で突発的な開発が生じた事例も確認されたことから、3411条例によるスプロールの進展や、営農環境の悪化に繋がる可能性が示唆された
  • 大崎上島、竹原‐大長航路を事例として
    岡山 正人
    原稿種別: 研究論文
    2015 年50 巻1 号 p. 142-147
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    大崎上島と本土とを結ぶ高速船は、過疎・高齢化の影響による利用者の減少により赤字となり、現在は大崎上島町の補助により運航されている。大崎上島は現在財政的には必ずしも恵まれておらず、こうした補助のあり方が大きな問題となっている。一般にこうした補助のあり方は、対象となる航路などの地域への貢献具合から議論すべきであろう。近年、瀬戸内海の多くの島ではこうした赤字航路の存続や補助のあり方などが問題視されるようになったものの、こうした赤字航路を対象にその貢献度について研究された例は多くはない。本研究では、島民に実施したアンケート調査結果をもとに、こうした航路が地域へどのような貢献をしているかを、島民の意識構造を探ることにより分析する。
  • 人見 訓嘉, 土井 健司, 猪井 博登
    原稿種別: 論説・報告
    2015 年50 巻1 号 p. 148-153
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    地域とその地域に暮らす人々の創造性は、日常生活や交通などにおける速度感(sense of speed)と密接に関連している。本稿は、スローモビリティが旅行者の意識や行動の変化、創造性の増進に及ぼす影響に焦点を当てている。成功裏に幕を閉じた瀬戸内国際芸術祭と創造都市の関係性に着目をしたアンケート調査を、香川県高松市の住民に対して実施し、主として海上の船を活用したゆったりとした観光体験が参加者の意識および行動に与えた影響を分析している。さらには、スローモビリティを活用した観光が地域にもたらす創造性涵養効果を考察し、創造都市の実装に対する新たな視点を提供している。
  • 前田 陽子, 瀬田 史彦
    原稿種別: 研究論文
    2015 年50 巻1 号 p. 154-161
    発行日: 2015/04/25
    公開日: 2015/04/25
    ジャーナル フリー
    大阪市北区中崎地区は、梅田近接という希少な立地環境にもかかわらず、戦前の長屋など木造建物が相当数残存し、地元住民間には相互扶助的なコミュニティが存在する。徐々に増えつつあった空き家には90年代後半よりカフェや雑貨店が相次いで出店し、古くて新しいまちとして外部者を惹きつけている。一方、比較的広い道路沿いを中心にマンション建設が増加し、中崎地区の構成員としてマンション住民の割合が高まっている。マンション住民は一般的に近所づきあいや地域活動に積極的ではないと言われているが、本研究においては分譲マンションのみならず賃貸マンションの住民にも地元コミュニティとの親密な交流を求める意識が存在することを明らかにした。また、中崎地区の特徴であるカフェや雑貨店等の新しい店舗経営者の存在が、マンション住民と地元住民との間をつなぐルートになりうる可能性があることも示唆した。
feedback
Top