都市計画論文集
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50 巻 , 2 号
都市計画論文集
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 橋本 成仁, 厚海 尚哉
    2015 年 50 巻 2 号 p. 162-169
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,我が国における平均寿命は延伸を続けており,高齢期間の長期化がもたらされている.そのため,ゆとりのある余生を幸福な期間として過ごせるようにする重要性は高まっている.高齢者の幸福のためには,買物や通院といった「必須活動」と,趣味やスポーツといった「余暇活動」を充実させることが重要であると考えられる.また,様々な活動を実施するために,移動がしやすい環境であることも重要となると考えられる.本研究では,主観的幸福感尺度を用いることで高齢者の主観的幸福感を測定し,主観的幸福感に関する要因分析などを通して,必須活動や余暇活動及び移動のしやすさが高齢者の主観的幸福感にどのように関わっているのかを明らかにした.
  • 九州地域内の未策定自治体を対象として
    吉武 哲信, 板谷 翔太, 出口 近士, 梶原 文男, 寺町 賢一
    2015 年 50 巻 2 号 p. 170-176
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,都市マスタープラン(都市MP)未策定の小規模自治体に絞ってそれらにどのような傾向があり,その上で,未策定自治体が都市MPの必要性をどのように考えているかを分析した.具体的には,九州地域内において,未策定自治体の人口,都市計画区域等の基礎的特徴を把握し,次いで,アンケート調査により都市MPに対する考え方を把握した.この結果,1)都市MP策定の優先度,必要性は必ずしも高くなく,都市MP不在でも実務に支障がない場合が多い,2)総合計画や区域MPを代替措置とする場合がある,3)合併や都市計画道路の見直しが策定の契機になることが多い,4)都市の将来像確定や住民周知の重要性は認識されているが,それが策定契機とはなりにくいこと等が明らかになり,小規模自治体において都市MPの位置づけ,必要性を再検討する必要があること等を示した.
  • 松中 亮治, 大庭 哲治, 中川 大, 今川 高嶺
    2015 年 50 巻 2 号 p. 177-183
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    In recent years, freight transport by motor vehicles has been increasing rapidly. It has caused energy problems and global warming issues. Therefore, a modal shift to rail and ship is required. However, it is difficult because these modes cannot meet recent demand for freight transport, such as multi- frequency. So we built a nationwide freight network data, setting detailed service of Freight Shinkansen(bullet train), modeled the selection of transport, and evaluated benefits to determine its usefulness. As a result, we clarified that Freight Shinkansen between Shinagawa and Shinosaka reduced about 253 thousand tons of cargo transportation by motor vehicles. The total cargo volume of Freight Shinkansen was about 270 thousand tons, and the cost benefit ratio was 1.805. In conclusion, Freight Shinkansen can be considered socially beneficial.
  • 長野県飯山市なべくら高原森の家を事例として
    小山 環, 十代田 朗, 津々見 崇
    2015 年 50 巻 2 号 p. 184-194
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    我が国では1980年代から交流による地域活性化に取り組まれてきたが、農山村の過疎化は進行する一方である。本研究では、過疎地域に立地する長野県飯山市の「なべくら高原・森の家」を対象として、森の家支配人や近隣・周辺集落の住民、移住者、来訪者へのヒアリング調査等を行い、森の家が中間組織として果たす役割について考察し、次の結論を得た。森の家は、【都市と農村の仲介機能】として「地域資源の魅力の再構築・発信」「移住者への情報提供・相談サロン」「来訪者の活動拠点・交流の仕掛け」「余暇活動空間の提供」、【地域づくりの支援機能】として「地域資源の保全・活用のネットワーク」「地域産業との連携・支援」「集落の見守りと生活文化の継承」の役割を担っている。森の家は一観光施設と捉えられがちであるが、実際には都市と農村、行政と住民、地域の主体間を結びつけ、過疎化が進む集落を支える拠点施設となっていることが示唆された。
  • ハンブルク市の「社会モニタリング」に注目して
    太田 尚孝
    2015 年 50 巻 2 号 p. 195-201
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、I.ドイツにおける「都市モニタリングStadtmonitoring」の発展経緯と整備状況に関するマクロ分析、II.ケース都市における評価手法・運営体制・政策展開との関係性等の実態把握、を通してドイツの「都市モニタリング」に関する運用実態と課題を明らかにすることを目的とした。結果として、以下の2点が明らかになった。1)ドイツの大都市では都市内部の小地域単位の発展動向を全市的観点から把握する手法が導入され始めており、先進的なハンブルク市では政策実行の一つの判断基準になっている。一方で、ハンブルク市であっても政策のPDCAには活用されていない。2)モニタリングの結果の解釈はその精度や限界も踏まえながら慎重に行うべきであり、実施側と市民側とのコミュニケーションの取り方がきわめて重要である。
  • 練馬区まちづくり条例における施設管理型まちづくり計画に基づく住民による公園管理
    堂免 隆浩
    2015 年 50 巻 2 号 p. 202-209
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    東京都練馬区では、従来、都市公園において危険と見なされるサッカー利用が禁止されてきた。これに対し、「練馬区立みんなの広場公園」では、サッカーゴールが設置されサッカー教室の公園使用申請に許可が出ている。そこで本研究は、同公園においてサッカーゴールの設置およびサッカー利用の許可が成立する条件の解明を目的とする。結果、条件の第一として、サッカー教室の開催運営を明記した「公園育て計画」の内容が練馬区まちづくり条例において規定されている施設管理型地区まちづくり計画の提案および認定の条件を満たすこと、第二として、「公園育て計画」において明記されている「3時間に1回以上、公園を訪れて施設や利用の状態に問題がないかのチェック」という見守りの水準を「NPO法人公園づくりと公園育ての会」の見回り・見守り活動が満たすこと、第三として、この見回り・見守り活動の効果および持続性を高める仕組みがあること、を明らかにした。
  • 増山 篤
    2015 年 50 巻 2 号 p. 210-220
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    この論文では、青森県弘前市における通所介護および訪問介護サービスへのアクセシビリティを分析し、その結果の示唆するところを議論する。まず、2SFCA(two-step floating catchment area)法と呼ばれる方法におけるアクセシビリティ指標値の空間分布を求め、分析対象地域内のいくつかの場所においては、顕著にその値が低いことを示す。次に、2SFCA法におけるアクセシビリティ指標の値を求めた結果と、先行研究でも使われたアクセシビリティ指標の値を算出した結果とを比較する。そして、その比較結果から、2SFCA法とその他のアクセシビリティ指標とでは、どこをアクセシビリティに欠ける場所と判断するかが少なからず異なることを示す。また、一方で、介護サービスへのアクセシビリティという点で問題視されうる地区を適切に見出すのは、2SFCA法だと期待されることを論じる。最後に、ここでの分析結果が地域包括ケアシステムの理念の実現に向けて与える示唆について考察する。
  • オランダのフィーツストラートに着目して
    坪原 紳二
    2015 年 50 巻 2 号 p. 221-232
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    自転車の走行空間としてオランダの自治体は近年、街区の中を通り、あえて狭い幅員の中で自転車と車を混在させることで車の速度の抑制を図る通り、フィーツストラート(fietsstraat)の整備を急速に進めている。本稿はこのフィーツストラートについて出されている複数の設計指針と、整備事例を整理し、それらの間の共通点と相違点を明らかにすることで、日本における同通りの導入のための基礎データを提供することを目的とする。自転車・自動車交通量等のフィーツストラートの立地条件については、設計指針は一貫した方針を示しており、それに整備事例は基本的には従っていた。一方、道路設計については、特に自転車走行面の幅員等の断面構成について、設計指針間、事例間で大きな違いが見られた。またフィーツストラートの整備事例が増えるにつれて、利用者が道路空間における正しい位置取りを理解するようになる、といった傾向も確認された。
  • 鈴木 崇正
    2015 年 50 巻 2 号 p. 233-238
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    路線バスは鉄道の重要なアクセス手段のひとつとして、その補完的な役割を期待されているが、鉄道アクセス手段としての路線バスのサービス水準と鉄道需要との関係性についてはこれまで定量的な検討がなされてこなかった。そこで、国内の2大都市圏を対象として、バスサービス水準と鉄道需要の差異を空間横断的に分析することにより、バスサービス水準が鉄道需要に与える影響を考察した。弾力性分析の結果、特に駅から遠方の地域において、バスサービス水準の高さと鉄道需要の多さに正の相互関係が認められたことから、このような地域においてバスが鉄道に対して補完的な役割を一定程度担っている可能性が指摘された。その一方で、分析結果の一部は鉄道とバスの競争的あるいは代替的な関係性を示唆しており、鉄道とバスの路線配置などを考慮したさらに詳細な分析の必要性を指摘した。
  • 高松丸亀町商店街における一連の再開発事業を事例として
    小林 寛, 浅見 泰司
    2015 年 50 巻 2 号 p. 239-245
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    相対的に高い中心市街地の地価が下落し、土地固定資産税収が減少し続けるという自治体財政に直結した問題が全国的に発生している中、高松丸亀町商店街については再開発事業の影響により、地価の推移が改善傾向を示していると報じられた。本研究では当商店街を事例として、再開発事業が地価に対して時空間的にどのように波及したのかを実証的に分析し、結果として2種類の波及効果が確認された。一つは地価変動率の変動幅(差分)を大きく改善させる効果(直接的改善効果)であり、再開発竣工から数年間効果が発現する。もう一つは直接的な変動幅の改善はないものの、直接的改善効果により改善した分がその後長期に渡って波及していく効果(間接的波及効果)である。また、直接的改善効果の影響度合いは、基本的には再開発区域からの距離に応じるが、場所によっては距離以上に影響を与える要因の存在が結果から予想された。
  • 2000年以前の適用事例に着目して
    浅野 純一郎, 山口 歓
    2015 年 50 巻 2 号 p. 246-251
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、地方都市における逆線引き制度運用の実態を、線引き制度や開発許可制度を含む都市計画法の改正のあった2000年以前の事例に焦点をあて、全国レベルの調査から把握し、その課題を考察したものである。逆線引き地区の把握については、道府県の担当部局や当該地区の市町へのアンケート調査で概要をつかんだ後、顕著な課題を示す特定の事例ついては、現地調査や当該市担当部局へのヒアリングを主としたケーススタディで詳細を分析した。その結果、地方都市における適用事例である174の内、約7割は2000年以前の事例であること、逆線引きの経緯としては、開発見込み無し、土地利用調整、区域境界調整、農地保全、自然保護、整備事業見直し、が主の要因としてあることが判明した。また、逆線引き適用に関わる問題としては、逆線引き適用後の個別開発の進展、逆線引き後の土地利用管理方策、初期の線引き設定の適正さ、逆線引き形状の不整型さによる影響があることが判明した。
  • ルンド市、マルメ市の都市規模・形態と導入の背景からみたハード・ソフト施策の比較
    伊藤 俊介
    2015 年 50 巻 2 号 p. 252-259
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    モビリティ・マネジメント(MM)ではソフト施策と共に、利用者の移動手段選択の変容を促すハード施策も同様に重要である。本稿では、公共交通インフラの大規模整備とMM施策を総合的に実施しているスウェーデン南部の二都市、ルンド市およびマルメ市の取り組みを報告・分析する。両市共に都市・交通計画とMM担当部署が緊密に連携しており、近年ではMMの思想が都市計画、インフラ整備、市街地開発に当初から組み込まれている。それぞれの都市規模、形態やMM導入の経緯との関連を見ると、大都市であるマルメ市では啓蒙・意識向上を重視する傾向があり、施策を可視化することに多くの努力がなされていた。一方、小規模な大学街のルンド市ではもともとコンパクトな都市づくりが目指され、市民に広く自転車中心の街というアイデンティティが共有されている。そのため、市民の理解を前提として行動変容への具体的はたらきかけが中心的な取り組みとなっていた。
  • 野中 勝利
    2015 年 50 巻 2 号 p. 260-271
    発行日: 2015/10/25
    公開日: 2015/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は徳島市による徳島城址の初期の公園整備の過程とその整備における本多静六による公園設計の受容性を明らかにした。徳島市は本多静六による公園設計をもとに6年間の継続事業として公園整備をはじめた。その途中で行啓が決まったことに伴い、徳島県は公園内に奉迎のための宿泊施設を建設するとともに、徳島市は公園整備の一部を前倒しした。宿泊施設は既存の集会施設を移転させた跡地に建設された。これは本多の設計とは異なる結果になった。それ以降は徳島市の財政難から事業が繰り延べられ、当初の予算計画通りには進まなかった。大正天皇の即位記念として徳島県は公園内に図書館を建設することにした。これも本多の設計とは異なる場所に決まり、反対論もあった。
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