都市計画論文集
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51 巻, 2 号
都市計画論文集
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • ナラティブ・アプローチの実践的手法として
    沼田 真一
    原稿種別: 研究論文
    2016 年 51 巻 2 号 p. 134-144
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿の目的は、映画づくりワークショップを現象学的計画論の実践として位置づけ、その成果を明らかにし、さらに、映画づくりワークショップがナラティブ・アプローチの実践的手法であることを明らかにする。最初に、2009年から2015年までに筆者が関与した9回分の映画づくりワークショップについて、4つの大項目で整理し、さらに小項目に分けて解説する。次にこの実施データから、映画づくりワークショップの7つの可能性を考察し、列挙する。結論として、この7つの可能性を3つに再整理することで、映画づくりWSの成果を集約した。すなわち、映画づくりワークショップは(1)合意形成と関係構築に関する効果 (2)参加者の意識変容に関する効果 (3)完成した映画に埋め込まれた情報に関する効果が期待できることがわかった。
  • スクォッター居住地と移転先としての原住民公営住宅居住者への調査を踏まえて
    蕭 〓偉, 全 泓奎, 城所 哲夫
    原稿種別: 研究論文
    2016 年 51 巻 2 号 p. 145-152
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    台湾では、人口の約2%を占める約539,000人の原住民が、多種多様の伝統的文化及び生活領域を持って生活している。しかし差別や偏見により原住民は社会的、経済的ともに地位が低く、特にそのうち都会への出稼ぎ等の理由で非原住民族地区に移住した原住民人口は約251,300人の多くは、従来の生活習慣や低収入等の原因により長期間に渡り河川敷に原始的な住環境を自力造営しスクォッターを形成し、行政による強制撤去の対象とされてきた。原住民の住環境を改善すべく、国の部署である原住民委員会(CIP)は、近年「原住民住宅改善計画」や「住宅法」に基づき積極的に原住民に対する居住支援を行い、様々な取り組みを展開してきた。本研究ではまず原住民の居住の現状、居住支援に関する枠組みを把握した上で、実例の調査を通してその評価も行い、今後の原住民への居住支援に対し提言を試みた。
  • 「Co交通」としてのコミュニティバスの課題
    村上 早紀子, 北原 啓司
    原稿種別: 研究論文
    2016 年 51 巻 2 号 p. 153-158
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    「新しい公共」と称されるように、地域住民が主体となり展開されるコミュニティバスなどの交通サービスが今日、全国各地でみられるようになった。しかし運営において、公的補助金への依存という体質からの脱却は困難であり、運営組織の存続性は保証されるものではない。また、多くの自治体で地域公共交通計画が策定されるようになり、「参加」「協働」など地域住民の参加に関する記載がみられるものの、内容は意見聴取など形式的なものでしかなく、実質的な主体性を実現するには課題が残る。そのため、全国各地で導入されている地域住民主体の地域モビリティ形成の仕組みは、「Co交通」形成に寄与しながら、公共交通を補完するのみならず、これまでにはみられない新たな可能性を提示するものである。
  • 中村 隆司
    原稿種別: 研究論文
    2016 年 51 巻 2 号 p. 159-166
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年日本の地方都市ではモータリゼーションの進展に伴う諸機能の郊外化によって中心市街地の衰退が大きな課題となっている。こうした中で中心市街地への人口回帰は地方都市の中心市街地再生の重要な鍵となるものである。その一方で近年中心市街地に人口が回帰している都市も見受けられる.そこで、本研究では、2010年3月時に中心市街地活性化基本計画に認定されていた100都市のうち、人口10万人以上40万人未満で3大都市圏外の34都市を対象に、中心市街地での人口回帰の実態を確認した上で、特に街なか居住にあたっての主な居住の場となっているとされる分譲マンションの立地に関する分析を詳しく行うことを通じて中心市街地への人口回帰の要因と課題を分析するものである。
  • 福岡県と長崎県を事例として
    中村 匠平, 姥浦 道生
    原稿種別: 研究論文
    2016 年 51 巻 2 号 p. 167-173
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    大型商業施設をはじめとする大規模集客施設の立地は、広域的な空間構造に影響を与えることになる。しかしながら日本では、その広域的コントロールが必ずしも十分であるとは言えず、そのために拡散的な広域的空間構造が形成されている状況にある。この問題に対応するため、一部の都道府県では即地的な計画を活用した立地誘導という、独自の動きを行うようになってきている。そこで本研究では、このような都道府県レベルの即地的誘導区域の設定を通じた大規模集客施設の立地コントロールの効果と課題を明らかにすることを目的とする。結論として、計画プロセスにおける実態的な大規模集客施設の立地可能性の検討の必要性、計画・運用における県と市町村との連携、さらには市町村の主体的参加の重要性等について指摘した。
  • 塚口 博司
    原稿種別: 研究論文
    2016 年 51 巻 2 号 p. 174-183
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    観光地を訪れる観光客には、当地に土地勘がある人だけでなく、土地感に乏しい人々も少なくない。土地勘に乏しい人も含めた多様な人々が訪れる観光地では適切な情報提供が必要である。このため、現地に設置された案内標識は非常に重要である。本論で論じる奈良公園は、1年間に1300万人の観光客が訪れる日本有数の観光地であるが、案内標識が十分ではなく、サインシステム改善の要望が強かった。そこで、2010年の遷都1300年事業の一環として、サインシステム改善プロジェクトが実施された。本論は、サインシステム改善のための調査ならびに改善後の調査に基づいて、観光客の回遊行動および経路選択行動の比較を行うことによって、サインシステム改善に伴う観光客の行動変化について論じたものである。
  • 中山間地域のモビリティに対する不安軽減という観点から
    森 英高, 谷口 守
    原稿種別: 論説・報告
    2016 年 51 巻 2 号 p. 184-191
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    2015年1月に約60年ぶりに小中学校の統廃合に関する手引きの改定案が作成された.その中で,スクールバスの運行が前提となる内容が記載されており,今後はスクールバスの重要性が高まることが考えられる.特に中山間地域において,少子高齢化の影響もあり小中学校の統廃合が進行することが予想される.しかし,元来からバス利用の少ない地域では,地域のモビリティとしてスクールバスが定着しない可能性が考えられる.そこで本調査報告では,用途を限定しないスクールバス運行によって,居住者が抱えているモビリティに対する不安を軽減する可能性等を定量的に分析した.調査・分析の結果,1)子供の通学は世帯の児童有無に関わらず,地域共通の課題として認識されていること,2)少ない需要でもまとめて運行することにより,居住者のモビリティに対する不安が軽減する可能性が示唆されたこと,などが明らかとなった.
  • 佐藤 貴大, 円山 琢也
    原稿種別: 研究論文
    2016 年 51 巻 2 号 p. 192-199
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    2013年11月から12月に熊本都心部においてスマホ・アプリ型回遊調査を実施し,1083人の参加者を得た.データに含まれる膨大なGPSの軌跡情報を効率的に把握・分析する方法の構築が求められている.本研究は,本研究は,2次元と3次元のカーネル密度推定法を応用して,簡易に回遊行動圏を推定する方法を提案する.まず,50%カーネル行動圏の重心を滞在地点としてみなす考えを提示し,この方法により回遊開始エリア別の滞在地点の差などを提示した.さらに,3次元のカーネル密度図により,時空間上に回遊の集積を可視化した.最後に,この図における95%カーネル体積が,回遊時間と回遊圏域の特徴を総合的に評価した指標とみなした分析例を示した
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