都市計画論文集
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51 巻 , 3 号
都市計画論文集
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  • 上村 将人, 十代田 朗, 津々見 崇
    2016 年 51 巻 3 号 p. 201-208
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    公民館は「人材の養成」「交流の創出」などの役目を持つことから、全国地域にとって重要な公共施設であるが、地域活性化や地域づくりを促進する要因の1つである「交流の創出」は公民館だけでなく、その他の公共施設や民間施設でも行われるなど幅が広がってきている。 一方、団体が継続・発展していくには、団体間の交流を創出する「場所」が重要であるされている。従って、地域活性化や地域づくりに繋がる「交流創出の場所の実態や成立要因」を探ることは重要であると考える。 そこで本研究は東京都杉並区に着目し、地域活動団体同士の交流促進という観点で「活動場所」はどうあるべきかを考えるものとする。その結果、(1)公共施設は地域活動団体に多く利用されていること、(2)同じ場所を利用している団体間の認知件数は、最大認知可能数に比べると少ないが、交流している団体間では良い影響を及ぼしあっている例があること、(3)公共施設と民間施設の運営者では交流に対する意識や役割の違いがあること、の3点が明らかになり、団体間の認知や交流を促進するためには公共施設と民間施設の協働が重要になると考えられる。
  • 東野 拓記, 後藤 智香子, 小泉 秀樹
    2016 年 51 巻 3 号 p. 209-215
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    我が国では誰もが気軽にスポーツに楽しめる環境が整備されているとは言い難い。こうした状況から生涯にわたってスポーツを楽しむことができる場を地域につくり定着させること、さらにはコミュニティの醸成に貢献することをねらいとして、近年全国に総合型地域スポーツクラブ(以下、SSC)が設立されている。本研究は、東京都内のSSCを対象に、都区部と多摩地域別に、施設資源及び人的資源の活用の実態を明らかにし、可能性を考察することを目的とする。具体的には、まず都内の都区部と多摩地域にある全121クラブにアンケート調査を実施し、活用の実態を把握した。次に、特徴的な資源の活用が見られた先進事例として3クラブを取り上げ、各SSCの運営主体や自治体担当者へのインタビュー調査をもとに、各SSCにおける地域資源の活用の実態を整理し、分析した。最後に、都区部と多摩地域別に、施設資源及び人的資源の活用の実態をまとめ、可能性を考察した。
  • 細田 隆, 瀬田 史彦, 小泉 秀樹
    2016 年 51 巻 3 号 p. 216-221
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    最近では、国において、スポーツ振興法をスポーツ基本法に改め、新たにスポーツの意義を前文に掲げた。また、地方自治体の行政事務の所管部局を規定していた「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」を改正し、教育委員会が担っていたスポーツ行政を首長部局でも担うことが可能になった。 つまり、地方自治体はスポーツによる地域振興や地域活性化を政策に掲げ、実現できる環境が整いつつある。 地方自治体におけるスポーツ政策は、従来のスポーツ振興のみを目的としたものから、まちづくりや地域活性化を図ることなどを目的にしたものに変化している。 本研究は、これら自治体におけるスポーツ政策の新たな展開について明らかにすることを目的とする。
  • 渡邊 晃佑, 有田 智一
    2016 年 51 巻 3 号 p. 222-229
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、これまでは見られなかった小規模な町内会・自治会や管理組合単位を越え地域の多様な主体が関与し、地域自らが地域課題の解決や活性化を図っていくエリアマネジメントの自立プロセスを明らかにすることを目的している。対象地として、先行事例である川崎市武蔵小杉地駅周辺地区と千葉市幕張ベイタウン地区の事例を基に詳細な分析を行っている。研究の結果として、住環境エリアマネジメントの自立に向けた重要な要素として、"人材面での十分なリソースと自発性を有した人材の存在"、"財政面で安定的なリソース"、"地域社会の様々な組織との信頼に基づいた連携体制"、"管理運営対象とする地域の共有価値となるハード空間とソフト活動の管理運営手続きの確立"、"メンバーにとって許容範囲内で持続可能な形での受益と負担のバランスの維持"の重要性を指摘した。
  • 末繁 雄一, 平本 一雄
    2016 年 51 巻 3 号 p. 230-236
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、土地区画整理事業における事業後のタウンマネジメントの展開手法を明らかにすることを目的に、街づくりのノウハウの無い地権者が区画整理を推進し、事業後のタウンマネジメントに関与してきた実績のある、川崎市麻生区新百合ヶ丘地区に着目し、地権者の動向を分析した。区画整理を主導した地権者らは、区画整理竣工後も離散せずに、保留地処分で得た残余金を基金とした財団を設立した。この基金によって、事業後のタウンマネジメント活動は資金面でサポートされた。区画整理という街の大きな変化の前後で断絶なく、地権者が中心となって、行政、専門家、地域外資本、新住民らと協力して街づくりを展開しており、このことは街の持続的発展に重要な役割を果たしていることが明らかになった。
  • 今西 一男
    2016 年 51 巻 3 号 p. 237-244
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    わが国において、未着手となっている区画整理は市街地の整備を妨げている。しかし、区画整理施行区域の解除に関する知見は乏しい。本研究の目的は区画整理に替わる手法の選択、転換の過程について検討することである。また、その過程における関係権利者の合意形成の進め方も検討課題とした。まず、未着手の区画整理の実態を把握するため、全国調査を行った。506自治体から回答を得たところ、未着手の区画整理が138自治体であることがわかった。その調査結果から、区画整理施行区域の解除、手法の転換を行った川口市芝地区での事例研究を行った。芝地区では道路整備を優先させることから区画整理施行区域の解除を推進した。しかし、その際に導入した地区計画などの手法への理解、運用には課題を残している。本研究では以上の調査結果から、区画整理施行区域の解除に向けた知見をまとめている。
  • 蕭 〓偉, 城所 哲夫, 瀬田 史彦, 全 泓奎
    2016 年 51 巻 3 号 p. 245-252
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    旧同和地区では、同和対策関連事業の施行により、独自な福祉機能と施策が実施されてきた。2002年特別措置法の失効に伴い財源の停止、同和対策関連事業も終焉を迎えた。地域主体の自主的な供給等課題が浮き彫りになり、各地区それぞれの自助努力が問われている。今日大阪の旧同和地区においては、「社会福祉事業」を中心とする自立に向けたまちづくりヶ取り組まれている。大阪市12地区の中において、3地区の活発な活動実態が認められ、同市においての重要性が高いと言える。3地区の考察を通して把握される特徴や課題は、今後他地域において自立に向けたまちづくりのための参考となり得る。本稿の研究目的を下記の通りに要約する:(1)地域福祉諸機能に関する分析:まず3地区においての過去の地域福祉諸機能を把握する。更に各「地域団体とその機能」の現状、並びに「社会福祉事業」に焦点を当てその実態を把握しながら、地域横断の比較分析、評価を試みる。(2)地域福祉諸施設に関する分析:過去に同和対策関連事業によって整備された「地域福祉諸施設」(表-1)の現状を把握し、地域横断の分析を行う。
  • 釼持 麻衣, 加藤 祐介, 内海 麻利
    2016 年 51 巻 3 号 p. 253-260
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    市町村合併に伴って自治体の規模が大きくなる中で、市町村区域内をいくつかの地域に分けて、その地域に市町村が有する権限を委ねる「都市内分権」の取組みが進められている。そして、特に「地域・住民への分権」という意味での都市内分権においては、協議会型住民自治組織がその担い手となっており、都市計画分野では計画策定段階での地域意見の集約及び反映の役割を果たすことが期待されている。そこで本研究では、協議会型住民自治組織の法的な位置付けを整理した上で、全国市区を対象に実施されたアンケート調査の結果をもとに、都市内分権の実態を分析した。さらに、同調査及び個別ヒアリング等から、協議会型住民自治組織による都市計画策定への関与について先駆的な取組みをしている、豊田市、出雲市、栃木市及び武蔵野市の事例を紹介するとともに、都市計画分野における都市内分権の意義や課題を考察する。
  • 吉村 真悟, 姥浦 道生, 苅谷 智大, 小地沢 将之
    2016 年 51 巻 3 号 p. 261-268
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、復興まちづくり協議会の長期的活動実態に着目した上で、その活動内容の変遷と活動を長期的に継続する中で生じる課題を明らかにすることで、復興の面的事業を契機に設立されたまちづくり協議会の活動が長期的に継続するための要因を明らかにする。その結果、第一に、震災復興事業で培われたまちづくり協議会の活動は多くの活動地区において継続されていること。第二に、活動内容は2種類に大別されるが、1つ目の「空間環境管理活動」については、施設管理等の団体が明確であることや活動の財源が安定しているといった理由から活動が継続している事例が多いこと。第三に、2つ目の「コミュニティ形成活動」は活動資金の確保の問題から、自主財源を持たないまちづくり協議会が活動を継続させるよりも、それを持つ自治会や施設の管理組織へと活動を引き継いだ方が、課題が少ないこと。第四に、既存の住民組織との関係では、協議会が設置された区域と既存の住民組織の対象区域との間にずれがある場合や、既存の住民組織の構成が空間的機能的に複雑になっている場合には、協議会の活動を既存の住民組織に引き継ぐ際に難航すること。の4点が明らかとなった。
  • 宋 俊煥, 泉山 塁威, 御手洗 潤
    2016 年 51 巻 3 号 p. 269-276
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    日本全国に広がっているエリアマネジメントの組織特性・活動内容・財源調達等が様々で多様化していることに着目し、本研究は、エリアマネジメントを実施している493団体を対象に4つの観点(組織・活動・財源・効果)からみた類型化を行い、我が国のエリアマネジメントの特徴や傾向を明らかにすることを目的としている。「都市再生整備計画」の区域内のエリアマネジメント活動について「国土交通省都市局まちづくり推進課」等により実施されたアンケート調査を用いエリアマネジメント活動を4つの観点により評価する指標を構築し、各指標データを整理した上で主成分分析を行い、4つの特性軸(I:事業指向(公共施設等)、II:賑わい活動指向、III:民間施設利活用指向、IV:民間ネットワーク活動指向)を明らかにした。また、各特性軸の主成分得点を用いクラスター分析を行い、493団体を8グループに類型化した。さらに、類型別の特徴や傾向を整理するとともに、評価指標を含む団体や活動の特性の割合を用いて各類型の比較分析を行った。
  • 岩瀬 貴也, 小泉 秀樹, 後藤 智香子
    2016 年 51 巻 3 号 p. 277-284
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究において、公民連携によるコミュニティガーデンを用いた街区公園の利活用に関して東京都江東区の事例を取り上げ、先駆性や発展可能性、課題について明らかにした。研究方法は、文献調査やインターネット調査に加え、区やデベロッパーなどの各関係主体へのインタビュー調査と活動参加者へのアンケート調査により研究を進めた。公民連携のコミュニティガーデンは先駆性として街区公園という既存公共施設の再整備という点、発展可能性として新規開発にともなう新しい地域貢献型の開発負担制度につながり得るモデルになり得る点で評価できる。ただ、CG活動の主体形成と活動の継続性の確保において課題が残されている。また、多主体連携の体制構築への支援や開発負担制度から地域貢献制度への展開が一般制度化にむけた行政側からの支援や必要な対応として求められる。
  • 増子 翔太, 松川 寿也, 中出 文平, 樋口 秀
    2016 年 51 巻 3 号 p. 285-291
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、和歌山県立自然公園の抜本的見直し事業をケーススタディとして、県全域を対象とした自然公園における見直しをする際の課題や可能性を考察する。地理情報システムを用いて地種および区域の変動、他の土地利用規制との関係を整理し、加えて公園区域見直しの協議録により、土地利用規制変化とその調整実態を明らかにした。この結果、得られた知見を踏まえて主に以下2つ必要性を提言した。 1)県立自然公園における規制に対する地元理解の改善、2)県立自然公園から除外された領域での他の土地利用制度の検討
  • 西村 拓也, 松川 寿也, 中出 文平, 樋口 秀
    2016 年 51 巻 3 号 p. 292-298
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は、景観法第8条第2項第4項ホの規定による自然公園特別地域での上乗せ基準の調査を通じて、景観法と連携した自然公園法の許可基準の運用実態を明らかにすることである。調査の結果、特別地域を有する景観行政団体で上乗せ基準を規定しているのは、全国で5つの景観行政団体のみであることが判明した。各事例を詳細に分析すると、景観行政と自然公園行政の連携体制の構築が不十分であること、上乗せ基準の適用範囲を開発可能性が低い区域としているため効果が限定的であることが明らかになった。これらを踏まえて、自然公園行政との連携と、効果的に上乗せ基準を適用させる仕組みが必要であることを提言した。
  • 上原 奏, 佐藤 宏亮
    2016 年 51 巻 3 号 p. 299-304
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    東京都は都市戦略目標の一つに緑のネットワーク計画を掲げており、それによる生活空間ネットワークの形成を期待している。中でも江東区にある親水公園は線的に広がる歩行空間となっており、水と緑のネットワークの形成要素になっている。また、親水公園が川の埋め立てにより形成されたことから橋の下をくぐるなど、一般道路との平面交差が少ないため歩行空間に連続性が見られる。一方で、高齢化に伴い高齢者が安心して外出することのできる歩行空間の整備も求められる。この研究では高齢者を対象に親水公園の歩行空間について調査を行う。具体的には、高齢者が親水公園を歩行空間として選択する理由や利用の目的、親水公園を利用し始めた時期、親水公園を介した高齢者の行動範囲である。それにより、江東区の特徴的な親水公園が高齢者の行動範囲に与える影響について明らかにし、高齢者の歩行空間について考察する。
  • 田中 雄大, 菅野 圭祐, 佐藤 滋
    2016 年 51 巻 3 号 p. 305-312
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は、山形県鶴岡市を対象として、城下域の取排水系統や、水路網の取水・分水・集水地点などの伝統的水系構造を解明し、景観構成との関係を明らかにすることである。本研究は以下の手順で行う。第一に、城下絵図や明治地籍絵図、現代の地番図などの地図資料の比較を基にArcGISを用いて藩政期における城下域の流路を復元する。第二に、微地形の分析や地図史料を用いて流水方向を特定し、地区ごとに記述する。第三に、各地区の記述に基づき、城下域全体の取排水系統を把握する。また、各系統が配水する地域における土地利用の特徴を考察する。第四に、城下域全体の取排水系統における、取水・分水・集水地点を特定し、各地点に確認される水路形態の特徴を把握する。第五に、水系上に確認される山当て景観と借景の分布実態を把握し、取排水系統の違いによる分布の差異や、取水・分水・集水地点との位置的関係を分析する。
  • 是澤 紀子, 柴田 紘一郎
    2016 年 51 巻 3 号 p. 313-319
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の目的は、歴史まちづくり法のもと策定された歴史的風致維持向上計画による歴史的建造物の保存再生の仕組みと実態について、愛知県名古屋市および犬山市を事例から明らかにすることである。とくに景観行政と文化財行政との連携に着目した結果、認定や登録を行う保存再生制度を支える市独自の専門家育成に取り組む名古屋市では、国登録文化財を中心に扱う県のヘリテージマネージャ―と相互に連携した展開が見出せた。犬山市では、歴史まちづくり法制定以前の都市景観形成基準で図られてきた「保全型」と「創造型」の保存再生手法が「創造型」と同等の基準となる現行のルールへと移行したものの、「保全型」に沿う手法の採用など修理・修景の促進や意識の高まりが指摘できる。そこでは過去に景観助成により整備されたがゆえに、数年に文化財保存事業費補助を受けた際に本来の形態に復原できなかった事例も発生していることから、歴史的価値を踏まえた保存再生の手法の選択や技術の共有が課題となることが示唆された。
  • 宮脇 勝, 鎌田 祥史
    2016 年 51 巻 3 号 p. 320-327
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究の調査対象地である愛媛県愛南町外泊地区は、世界で唯一無二の景観を持っていながら、何の文化的保護措置も受けていない集落のひとつである。古地図や昔の地籍図がないため、本研究は、古写真を用いて、歴史的景観の評価を行う方法に特徴がある。本研究で試みた古写真を用いた景観分析の可能性について、次の有効な結果を得た。1)古写真を歴史的資料として用いることで、変化した部分と変化しない部分を、特定することが可能である。2)「近景」の写真を用いると、石垣の中の積み直した部分まで詳細に分析できる。一方、「中景・遠景」の分析では、石垣や塀の種類は判別が可能である。3)複数の年代の「遠景」の古写真を用いて、集落全体の石垣の高さの変化を分析が可能である。4)伝統的修繕や判別不能を含む「維持された石垣」を評価すると、近景写真の約91%で、現在までよく維持された石垣の景観である。6)「中景・遠景」の分析結果から、すべての視点場の写真が、現在までよく維持された景観写真である。7)「遠景の石垣の高さ」の分析の結果、高さの増減変化の割合は10.2%のみで、50年以上の歴史的石垣景観を維持している。
  • 石山 千代, 窪田 亜矢, 西村 幸夫
    2016 年 51 巻 3 号 p. 328-335
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    我が国における「もっとも初期の住民憲章」であり今日まで約半世紀、運用されている「妻籠宿を守る住民憲章」の起源、すなわち地域が集落保存という新たな方向に舵を切る時に、自主規範としての住民憲章を制定することに着目する点に独自性がある。制定の背景を整理し、制定の過程自体を明らかにすることを通じて、私有財産や自らの生活・生業のあり方を左右しうる住民憲章が広域で合意形成されえた要因と自主規範の制定が集落保存初動期に果たしうる役割を考察した。集落保存の初動期に自主規範を考えることは、地域の置かれている状況を理解し、今後起こりうることを具体的に考え、地域の理念等を徹底的に話し合う重要な機会である。住民間での具体的議論の蓄積による合意形成につながり、一人一人の覚悟、「自律」につながるプロセスと捉えられる。これを促すベースをより良くつくる必要条件として、慎重かつ段階的プロセスと外部主体の活用、集落保存実施以前からの先見性ある対応、事業と計画上での部落間バランス調整と憲章制定の契機があげられる。自主規範が持続的に機能するには明解さも重要ゆえ盛り込める範囲には限界があり、運用システムの構築で補いうる。
  • 藤井 俊輔
    2016 年 51 巻 3 号 p. 336-342
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は江戸期に作成され、高山城下町全体を描写した11舗の絵図を対象とし、各絵図に共通する地物(共通地物)と個別の絵図にのみ示された地物(個別地物)に分類し、それらの各絵図での描写数を分析することで、当時の共通する高山の空間認識と個別の絵図の作成目的を明らかにすることを目的とする。共通地物は城下町を構成する町、道、川、城下内に位置する橋や坂、藩主に由緒のある社寺、城下外に位置する特徴的な社寺や山である。屋敷割が記載された絵図の地物は基本的に共通地物が80%以上を占め、個別地物はほとんど描写されず、屋敷割図としての基本的特徴が見られた。個別地物は高山盆地全体を含む3舗にほとんどが該当し、3舗に描かれた個別地物の詳細を分析し、作成目的として、村名の表記に主眼を置いた絵図と山や川、野などの盆地内の環境を詳細に描写することに主眼を置いた絵図があることを明らかにした。
  • 長田 洋平, 樋口 秀, 中出 文平, 松川 寿也
    2016 年 51 巻 3 号 p. 343-349
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    危険空き家の存在が隣接する敷地および周辺地域の社会問題となっており、その早急な解体除去が望まれている。本研究は、危険空き家の解体除去に関わる課題に対して、北陸3県内64自治体を対象に、所有者が不在、もしくは所有者がいても経済的な問題を抱える危険空き家の解体除去事例の実態を把握し、課題を抱えた危険空き家を円滑に解体除去するためのあり方を検討することを目的とする。自治体への調査から、危険空き家のうち、「権利関係が複雑なもの」には、明確な認定基準を定めた事業を運用し、所有者の責務である危険空き家の適正管理を放棄させない体制を整えることが重要である。「所有者に資力がないもの」には、除却費用に対して補助金を出すだけでなく、固定資産税を減免することや土地の売却費用で除却費用を賄う等、手厚い支援を行うことで所有者自身による解体除去を促すことが重要である。
  • 木下 広章, 柴田 久, 石橋 知也, 雨宮 護, 樋野 公宏
    2016 年 51 巻 3 号 p. 350-356
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では福岡県警察が全国に先駆けて設立した「犯罪予防研究アドバイザー制度」を事例に,(1)本制度を通じて入手した平成24~26年の福岡県内で発生したコンビニ強盗の犯行内容に関する事案概要データ(全79案件)4)ならびに被害店舗全74店舗(79件のうち5店舗は強盗被害に2回遭っている)の立地を整理,分析した.さらに(2)上記,強盗被害店舗全74店舗と徒歩圏(500m)を越えて最も近隣に立地している非被害店舗(74店舗)の合計148店舗の実地調査を実施し,強盗被害が誘発される立地・空間環境の要点とコンビニの防犯向上に向けた施策について考察した.その結果,コンビニ強盗に対する防犯施策の検討として(1)従業員に対する勤務姿勢を重視した防犯指導,(2)駐車場を中心とした視認性の向上,(3)陳列棚の高さが伴う監視性低下への認識啓発について,その重要性を示唆した.
  • 村中 大輝, 雨宮 護, 大山 智也
    2016 年 51 巻 3 号 p. 357-364
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,地方自治体による公共空間への防犯カメラの大規模設置事例が報告されているが,こうした事例は萌芽期にあり,方法論は様々である.こうした状況下で,先進的に事業に取り組む自治体の事例を把握し,現時点での評価を加えることは,将来普及が見込まれる防犯カメラの設置・運用方針の検討に向け重要である.本研究では,一度に100台以上の規模で防犯カメラの設置事業を行った8自治体へのヒアリングから,事業の方法論を明らかにし,さらに,犯罪統計や市民アンケートの結果も加えて,事業の評価を行うことを目的とした.その結果,以下が明らかとなった.1)防犯カメラの設置過程は,事業を主導する主体や市民への広報に対する考え方等の面において自治体により大きく異なる.2)現在の防犯カメラ設置過程には,防犯カメラの設置規模や設置箇所の決定過程や市民への説明の機会の面で,問題がある可能性がある.3)防犯カメラ設置から5年が経過した一事例では,防犯カメラが車両関連犯罪を減少させ,市民にも受容された可能性が高いと考えられる.以上の結果に基づき,最後に本研究では,自治体が設置する防犯カメラの設置・運用方針について議論した.
  • 加藤 湧亮, 樋口 秀, 中出 文平, 松川 寿也
    2016 年 51 巻 3 号 p. 365-371
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、中心市街地活性化に取り組む119都市を対象に、公営駐車場の利用実態を明らかにすること、中心市街地活性化を目標とした公営駐車場の活用策を提言することを目的とする。まず、公営駐車場を有する89市287箇所の分析の結果、公営駐車場は、規模と立地場所の両面で利便性が高いものの、その利用の程度は全国的に低いことが明らかになった。一方、利用の程度が相対的に高い都市では、中心市街地への来街目的が存在することに加えて、料金の値下げや駐車無料時間の設定が実施されていた。今後の中心市街地活性化には、来街者の増加を目指し、自家用車利用も取り込んだ公営駐車場の有効利用が必要である。そのためには可能な限り利用条件を付けない、一定の駐車時間無料化が有効だと考える。
  • 関口 達也, 樋野 公宏, 石井 儀光
    2016 年 51 巻 3 号 p. 372-379
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,複数地域を対象としたアンケート調査に基づき,高齢者の食料品の購買行動,店舗の質・距離への満足度の分析を行った.その際に,買い物に利用する店舗までの距離に不満はないが,その店舗の質に不満を有する高齢者を「潜在的買い物弱者」と定めた.本稿の目的は,潜在的買い物弱者に該当する高齢者の特性やその発生要因を明らかにし,問題の発生可能性の高い地域の特定や問題が顕在化した地域での対策立案に資する知見を得る事である. 分析では,主に以下を明らかにした.1)店舗の質・距離に対する不満の有無から高齢者は4分類できる.2)食料品の潜在的買い物弱者は,食生活上の問題を有しやすい.高齢者のうち,移動範囲が限定的であり,制約の中で不満なく移動できる範囲に質に満足できる店舗がない場合に潜在的買い物弱者となる.3)店舗の質への評価は,規模の特に大きい店舗が利用できたり,容易に到達可能な店舗数が多い場合に高くなりやすい.また,買い物距離として徒歩・自転車では775.6mを超えると不満を感じ始める.4)潜在的買い物弱者の多少には地域差があり,地域発展の経緯や用途規制などによる店舗の立地環境の差異に影響を受ける.
  • 吉城 秀治, 辰巳 浩, 堤 香代子
    2016 年 51 巻 3 号 p. 380-386
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    幼少期の思い出や経験、体験は一般的にその後の生き方に影響を及ぼすものとされている。商業地を指向させる上でもその重要性が示されつつある幼少期の思い出は、都心商業地と郊外型SCの競合が生じている昨今での商業地の選好意識を理解する上でも重要と考えられる。そこで本研究では、幼少期における都心ならびに郊外型SCでのポジティブな思い出およびネガティブな思い出について調査しその実態を明らかにした後、それら思い出と商業地の選好意識との関係を明らかにした。その結果、それぞれにおける関わりの実態や今も記憶に残っているポジティブな思い出およびネガティブな思い出を把握できている。そして、都心で遊ぶといった楽しい経験が思い出になく、さらに都心で退屈な時間を過ごした経験や怒られるといった経験が今なお記憶として残っていることが、都心ではなく郊外型SCを選好させる要因になり得ることを明らかにできている。
  • 松田 真依, 松行 美帆子
    2016 年 51 巻 3 号 p. 387-394
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は東日本大震災の被災地である岩手県大槌町を対象に、仮設住宅から恒久住宅への移行期における、高齢住民の買い物行動の現状及び課題、今後発生、深刻化するであろう課題を明らかにすることを目的としている。住民や関係者へのヒアリング及び災害公営住宅における高齢住民へのアンケート調査によって、以下のことが明らかになった。(1)現在大槌町で実施されている買い物支援サービスで、需要があり、採算面から今後の継続が見込まれるのは移動販売車と生協の宅配サービスである。(2)現在多様な買い物支援サービスのある仮設住宅では、今後移動販売車の停車回数の減少が懸念される、(3)自宅に住む住民に対しては、買い物支援サービスの提供が少なく、点在する家族の支援が得られない高齢住民の買い物支援が課題である。(4)災害公営住宅においては、入居直後から買い物支援サービスが定着するまでがとくに問題が深刻であり、近隣住民同士の支援を受けにくいことから、コミュニティの構築が急がれる。
  • 塚田 伸也, 森田 哲夫
    2016 年 51 巻 3 号 p. 395-400
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、自助と共助を対象として地区防災の評価モデルを作成した。また、このモデルにより評価することによって、東日本大震災の発生前後や、自主防災組織の有無による地区防災の特性を明らかにした。さらに、これらの検討結果を踏まえて、今後の地区防災計画を策定する上で本研究の成果と今後の課題について検討を行った。なお、本研究は群馬県前橋市を事例とした。前橋市における事例では、東日本大震災発生後において、自助に「室内安全対策」と「非常時の連絡確認」、共助に行政支援と高齢者支援の取り組みが充実し、双方ともに地域防災の総合評価が高まった傾向が把握された。自主防災組織がある地区では、行政支援と自主防災訓練が充実しており、これによって地域防災の総合評価が高まる傾向が把握された。
  • 酒井 莉奈, 猪八重 拓郎
    2016 年 51 巻 3 号 p. 401-408
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,佐賀低平地に位置する佐賀市,小城市,神埼市の平野部を対象とし,1975年から2007年までの土地利用の変化から都市化した部分を特定した上で,その中の用途別の建物集積を把握することで都市化の実態を捉えた.また,浸水想定区域のデータを用いることにより,当該地区における水害リスクについて明らかにした.さらに,当該地区において設定されてきた都市計画制度との関連から水害リスクコントロールに都市計画制度の土地利用コントロールは効いていたのかを検証した.その結果,特に市街化区域内において,浸水リスクの高い開発が散見され,さらにそうした箇所の用途地域が低層のものに設定されている場合も少なくなく,特にこうした点が都市計画制度の面から水害リスクコントロールについて再考すべき点であることを当該地区における都市化の実態から示した.
  • 松浦 健治郎
    2016 年 51 巻 3 号 p. 409-414
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    南海トラフ地震による地震・津波被害が想定される沿岸部の市街地を対象として、文献調査や地図分析による都市形態学的解読により、昭和19年の東南海地震による被災履歴とその前後の市街地形成との関連性を明らかにすることを目的とする。 明らかになったことは、1)リアス式海岸地区・砂浜海岸地区共に、尾鷲市中心市街地地区のように漁業を生業とする港町を除き、歴史的市街地は比較的安全な場所に立地していること、2)東南海地震以降に東南海地震の建物浸水区域内で市街化が進行していること、3)河口と市街地の間の山を切り崩すことで市街地の防災性を弱体化させることに繋がるような開発が進められてきたこと、4)リアス式海岸地区・砂浜海岸地区共に、過去の被災履歴と色別標高図との重ね合わせにより、市街地内の微地形によって被害を受ける場所が川沿いや低地などに特定されること、5)リアス式海岸地区と砂浜海岸地区の差異について、リアス式海岸地区では、海岸の地形により津波が増長されるため津波による被害が大きいことに対して、砂浜海岸地区では瀕堤の砂浜により津波が止められたため、津波の被害は最小限に留まったこと、である。
  • 市古 太郎, 讃岐 亮, 吉川 仁, 中林 一樹
    2016 年 51 巻 3 号 p. 415-422
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は,東京都八王子市を対象に,未密集地域における事前復興まちづくりの展開プロセスを明らかにした研究である.本研究では展開プロセスとして,2016年3月末時点で東京都内46地区で実施実績のある「震災復興まちづくり模擬訓練」と,自治体が策定する「震災復興マニュアル」の相補関係に着目し,復興まちづくり訓練から震災復興マニュアルへの反映実態,そして震災復興マニュアル策定後,改めて自治体として地域に呼びかけて,地域住民を参加主体とした復興まちづくり訓練が展開していることを明らかにした.東京の事前復興まちづくりの先行研究は密集地域自治体がほとんどであり,大都市郊外自治体においても,密集地域以外で事前復興まちづくりに取り組んでいく方法論を明らかにし,今後の展開について考察をおこなった.
  • 益邑 明伸, 窪田 亜矢
    2016 年 51 巻 3 号 p. 423-430
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    東日本大震災後、岩手県釜石市、大槌町では被災事業者の事業再開のために事業用公設仮設施設(店舗、工場、事務所等)(以下、仮設施設)が整備された。本研究は入居事業者に対する仮設施設の役割と課題を明らかにすることを目的とする。自治体へのインタビュー調査等により施設整備・運用方針と実態を概観し、入居事業者へのインタビュー調査から、入居事業者の事業再開・継続プロセスと仮設施設の関係を明らかにした。その結果、被災後の事業再開・継続において、仮設施設は空間的制約と資金的制約を解消する役割を担い、主に小規模な被災事業者の事業再開、事業環境の改善、事業変更を行う場として機能していた。 事業内容によって仮設施設に求める条件は多様であり、入居を望む期間が一様ではないことも明らかになった。 釜石市、大槌町では行政が主導して整備を行ったことで立地条件等への配慮も行われたが、対応できていない条件も存在した。
  • 桝山 和哉, 姥浦 道生, 苅谷 智大
    2016 年 51 巻 3 号 p. 431-437
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は、被災後の土地の利活用実態を調査し、未利用地に関しては地権者意向を調査することによって土地の利活用実態を明らかにする。その上で、現状に対する課題を考察し、被災中心市街地の土地の活用を促進させていく際の知見を得ることを目的とする。建物再建や整備予定地といった、活用の動きがある土地は主に公共団体・寺院所有、あるいは300m2以上の土地、所有地面積の大きい地権者の土地で多い。浸水深においては、1.0m未満と3.0m以上の土地で活用が図られ、その間の浸水深の土地は未利用地の残存が多い。所有地が未利用地として残っている地権者で活用、売却が予定されていない土地の地権者の意向としては、条件を受け入れられれば賃貸や売却をしても良いという地権者が多く、この条件に合致するようマッチングさせていくことが必要である。
  • 波床 正敏
    2016 年 51 巻 3 号 p. 438-443
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,実際にトランジットモールが実施されている街路および比較参考用に日本の路面電車の走行する街路やその他の街路で騒音測定を行い,等価騒音レベルを計算するとともに音圧の分布を分析した.その結果,TMの静寂性について以下のようなことがわかった. トランジットモールにおける騒音レベルは,等価騒音レベルで見ると2車線や4車線の道路沿道レベルより静かであり,昼間の商業地の騒音レベルと同程度である.路面電車の走行している日本の街路についても,沿道が静穏であれば基本的には静かであるが,軌道や電車が古いために等価騒音レベルで見ると必ずしも静かでは無い. LRTとBRTとでは,明確な差は無いが突発的な大音量が発生しにくいためにBRTの方が等価騒音レベルは小さい傾向にある.日本の繁華街の街路は幹線国道でなくとも騒々しく,2車線道路や4車線道路の沿道レベル(70dB前後)と同程度である.
  • 森田 紘圭, 村山 顕人, 稲永 哲, 藤森 幹人, 延藤 安弘
    2016 年 51 巻 3 号 p. 444-451
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    地域主導型のまちづくりを発展的に持続するためには,戦略的な進捗管理プロセスの導入が重要である.本研究では,低炭素まちづくりの先進異例である「錦二丁目低炭素地区まちづくりプロジェクト」を対象として,関係者の巻き込み(Mobilization),プロジェクトの組織化(Organization),実装(Implementation),学習とフィードマップ(Learning/Feedback)の4段階による発展的循環プロセスの枠組みを仮定し,2014年から2015年に展開された取り組みを整理する.プロジェクトを構成する「I.計画・マネジメント」「II.個別プロジェクト」「III.公開イベント」の各領域から,仮定した枠組みに基づき取り組みを整理したところ,対象事例におけるプロジェクト初動期において領域ごとの循環プロセスが相互に関連しながら徐々に形成されつつあること,同様の枠組みが他地域も適用されうることが示唆された.
  • 川崎 薫, 香月 秀仁, 高原 勇, 谷口 守
    2016 年 51 巻 3 号 p. 452-458
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    環境問題への対策が求められる中で,温暖化ガスを殆ど排出しない水素を燃料に走るFCV(Fuel-Cell Vehicle)が注目されている.現在,このFCVの普及は日本の国家戦略のひとつとして取り組まれているが,FCVへ燃料を供給する水素ステーションの設置は,ややもすればNIMBY問題が発生する可能性を有している.本研究では全国都市を対象にFCVや水素ステーションに関連する意識調査を実施し,居住者のFCV普及過程におけるリスク認知を分析した.その結果, FCV利用意向が高い方がNIMBY問題に関するリスク認知が高いという,FCV普及における重要な課題が明らかとなった.今後はリスク認知の程度に応じた適切なリスクコミュニケーションの実施が望まれる.
  • 竹腰 正隆, 西浦 定継, 小林 利夫
    2016 年 51 巻 3 号 p. 459-465
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    日本では商業の郊外立地やライフスタイルの変化、高齢化、人口減少等の問題に直面しており、市街地のスプロール化が進んでいる。との対応策として、中心市街地に機能を集約し中心市街地の活性化を図るコンパクトシティの概念が注目されている。日本においてコンパクトシティの概念は広く認知されており、人口減少や高齢化問題に対応するため様々なレベルでの計画に適用されている。本研究では人口10万人以上の地方都市を対象にコンパクト性に評価を行い、街路ネットワークから見た都市の空間構造の分析を行った。その結果、コンパクト性の高い都市ではスペースシンタックス理論により求められるアクセス性を表す指標が正規分布に近い形となった。
  • 氏原 岳人, 阿部 宏史, 野中 捷
    2016 年 51 巻 3 号 p. 466-473
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では、住宅地レベルの盛衰状態に着目して岡山県内の109地区を対象に都市スポンジ化の実態を明らかにした。分析の結果、土地の循環利用にはインフラ整備状況等の"住宅地の質"が関わっており、相当に旧ければ多くの住宅地で衰退するものの、特に質の低い住宅地では早い段階からその傾向が見られた。スプロール的に拡大した質の低い住宅地は土地利用の循環が発生しづらく、結果として早期に衰退に向かう短寿命(健康寿命が短い)である可能性が高い。また、それら多くの空き地や空き家の存在が、その住宅地自体の価値をさらに低下させる負のスパイラルも懸念される。土地の循環利用を誘発させ、"住宅地の長寿命化"を図るためには計画的なインフラ整備によって住宅地の質を予め確保することが前提条件と言える。
  • 平山 一樹, 御手洗 潤
    2016 年 51 巻 3 号 p. 474-480
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究は, エリアマネジメントが商業地の地価に正の影響をもたらすという先行研究の結果を前提に,全国の自治体からのアンケートデータ及び地価データを用い,エリアマネジメントが地価にもたらす影響のメカニズムについて明らかにすることを目的とする.検討にあたり,第一にエリアマネジメントがもたらす効果のうち,どの効果が特に地価に正の影響を与えるかについて,ヘドニック・アプローチを用いた検討を行った.その結果,まちなみや景観への効果,および消費・売上・雇用等経済への効果の改善が特に地価に正の影響を与えることが確認された.第二に,上述の効果に対して特に有効なエリアマネジメント活動について,マン‐ホイットニーのU検定を用いた検討を行った.その結果,まちなみや景観への効果に対しては,「まちづくりに関するルール・協定」,「緑化・美化・清掃・駐輪対策」,「指定管理以外の公共空間の整備・管理」が,消費・売上・雇用等への効果に対しては,「イベント・アクティビティ」,「指定管理」,「民間施設の公的利活用」が特に有効な活動であるとの結果が得られた.最後に,事例分析によりこれらの結果が現実的であることを示した.
  • 鳥海 重喜
    2016 年 51 巻 3 号 p. 481-486
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    日本政府観光局によれば,2015年の年間訪日外客数は過去最高の1,973万人であり,東京でオリンピック・パラリンピックが開催される2020年に向けて,訪日外客数は伸びていくと予測されている.また,訪日外客だけでなく国内の宿泊旅行も増加しており,宿泊施設の客室稼働率は高止まりしている.そこで本研究では,2020年の東京オリンピック・パラリンピックの開催時に,宿泊を希望する観戦客に対して現在の宿泊施設は十分な供給力を有しているのかということを評価する.具体的には,宿泊需要を招致委員会の立候補ファイルに基づいて予測するとともに,Web予約を主体としたある旅行会社が取り扱っている宿泊施設のデータを利用して供給量を算出する.そして,宿泊に関する需給バランスを時空間的に評価する.さらに,2競技観戦チケットの導入が需給バランスの改善に寄与することを数理計画モデルによって示す.
  • 薄井 宏行
    2016 年 51 巻 3 号 p. 487-492
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,道路幅員の統計分布を理論的に導出することを試みた.道路幅員の統計分布を線分幅の統計分布モデルとして理論的かつ実用性を考慮して導出した結果,1)道路幅員の統計分布は平均道路幅員,最大道路幅員,最小道路幅員そして道路幅員の構成割合を反映する指標を母数として記述できること,2)街路網整備が十分に進んでいない地域では,道路幅員の統計分布を一定の精度で推定できることがわかった.とくに,道路幅員の構成割合を反映する指標は,地域における災害安全性の評価やその地域間比較を行う際に有効であると考えられる反面,従来の道路網水準の評価指標(道路率,道路延長密度,平均道路幅員)には反映されていない重要な性質をもつ指標である.
  • 奥貫 圭一
    2016 年 51 巻 3 号 p. 493-500
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本論文では,ある領域に対して求めた建ぺい率が,その領域のあらゆる地点において等しく稠密度を反映しているとみなして良いのか,世田谷区太子堂3丁目の街区を採り上げて検討した。街区内の個々の建物周辺の稠密度をとらえるための新たな指標として建物周り建ぺい率を提案し,その値が無償のGISデータである基盤地図情報から算出できることを示した。太子堂3丁目の各街区における建物周り建ぺい率の分布を分析した結果,個々の建物について半径40mのスケール(おおよそ街区のスケールに相当する)で見たとしても,街区内での値の違いは20%を超えることがあるとわかった。また,その違いは,各街区で中央値を含む(代表的な値を示す)半数ほどの建物にしぼって見たとしても,10%を超えることがあるとわかった。
  • 亀山 正廣, 玉川 英則
    2016 年 51 巻 3 号 p. 501-506
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は、建物用途パターンの集塊特性について、理論的な考察を行うものである。2次元空間および2種類の3次元空間を模した都市モデルを定義し、このモデル上で、用途間の連係関係により決まる重力モデルをベースとした影響力が作用するという前提のもと、建物用途シミュレーションを行いその結果について考察した。この中で、連係関係を表す係数として、自己再帰的なものと外生的なものの2種類を設定し、それらが一定の割合で選択されるという複合的なモデルを構築した。 その分析結果からは、(1)都市モデルにより集塊性の差違がみられること、(2)外生的連係係数の効果がないケースがあり得ること、(3)連係関係の選択割合によって集塊性の遷移が変化すること等の現象が明らかとなった。
  • 大久保 立樹, 室町 泰徳
    2016 年 51 巻 3 号 p. 507-512
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では,まず,撮影された写真画像の位置情報と写真画像に対するコメントに加え,方位と仰角を取得することができるシステムを開発した.また,18名の留学生を被験者とし,被験者を各観光地まで案内して,そこから各自自由に観光しながら撮影をしてもらう実験を行った.さらに,写真画像ごとのコメントを記述してもらい,言語と写真画像の両方のデータを取得することで,観光客の関心対象をより詳細に把握することを試みた.結果として,仰角データの活用により,観光客の撮影する関心対象を絞り込むことが可能となることが示された.仰角の高い関心対象は高層の建物が多く,写真画像の撮影位置とは離れた対象である場合があることが明らかとなった.また,仰角の低い関心対象には買い物や食べ物に関わることが多いことも示された.さらに,言語データと写真画像の位置・方位・仰角データを組み合わせることで,言語データのみからでは生じてしまう関心対象の地理的不一致を修正することが可能となり,観光客の関心対象をより詳細に把握できることを示した.
  • 樋口 恵一, 安藤 良輔, 福本 雅之
    2016 年 51 巻 3 号 p. 513-518
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、我が国では高齢者の生きがい創りに繋がる取組みが注目されている。都市計画の分野では、まちづくり活動やコミュニティの維持において高齢者の活躍が期待されているが、これらの活動と高齢者の生きがい意識に関する研究はみられない。そこで本研究では、愛知県豊田市を対象に、現在の高齢者の活動(就労、まちづくり)や今後のまちづくり活動への関心意向と、生きがい意識との関係性を分析した。その結果、就労や地域活動を行っている高齢者の生きがい意識が高いことを確認することができ、生きがい意識を調査することでターゲットを検討することが可能となること、さらに、高齢者の個人属性や経験によって関心意向を示すまちづくり活動が異なることを明らかにした。
  • 関向 直志, 村木 美貴
    2016 年 51 巻 3 号 p. 519-524
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    東日本大震災以降、防災性の観点から自立分散型エネルギーシステムの導入数が急激に増加している。またCOP21を受け、地方自治体は二酸化炭素排出量削減に本格的に取り組む必要性に迫られている。しかしながら、環境性や防災性に優れたエネルギーシステムが必要といえども、地方自治体にとってどのように目標を達成するかは不透明である。そこで本研究は、低炭素で持続可能な市街地形成に向けた目標達成のために必要な開発手法のあり方について明らかにすることを目的とする。本研究ではまず、札幌市におけるエネルギー計画および環境性・社会経済性評価を見ることで都心部におけるエネルギーシステム整備の必要性を明らかにする。次に、都心部の地域特性評価を行なった上で、低炭素で自立可能なエネルギーシステム構築に有効である地域冷暖房システム導入の考え方について議論し、低炭素で自立可能な都心づくりに向けて環境性・採算性の観点から数値目標を明らかにする。最後に環境性・採算性の目標達成に向けて行政が取り組むべき施策とその方向性をバックキャスティング手法によって明らかにするものである。
  • 武藤 晃史, 村木 美貴
    2016 年 51 巻 3 号 p. 525-531
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    我が国では、東日本大震災を受け、大規模集中型電源から自立分散型システムへの転換が求められている。そうした中、エネルギーの高度利用を図ったスマートコミュニティが注目されている。これを受け地方自治体は、スマートコミュニティの構築を目指し、施策の実証実験を開始した。しかし、スマートコミュニティの構築方法は明確に定まっていない。そこで本研究は、地域特性に応じたスマートコミュニティについて論じ、いかに都市へスマートコミュニティの構築を図るかを明らかにしたものである。結果として、地域特性とスマートコミュニティの施策の間に関係性をみることができ、地域分析を行うことで効果が期待されるスマートコミュニティ施策の選定が可能であることが明らかとなった。
  • 中村 圭吾, 村木 美貴
    2016 年 51 巻 3 号 p. 532-537
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    これまで低炭素都市づくりに効果的とされるエネルギーの面的利用は、基本的に都市機能が集積し高い熱需要密度を持つ都心部を中心に導入されてきた。しかし近年は、全国の自治体では立地適正化計画策定に従い、都心部のみではなく地域生活を支える地域交流拠点を定め、都市機能の集積・誘導が積極的に進められていく方針を打ち出している。これにより、今後は地域交流拠点においても面的エネルギー利用が実現する可能性が考えられる。そこで本研究では札幌市の地域交流拠点を対象として、CO2排出量削減の観点から面的エネルギー導入の実現可能性とその在り方を明らかにすることを目的とする。具体的には、立地適正化計画の郊外部の都市機能誘導区域において、土地利用と連動した面的エネルギーネットワークの可能性について環境性と事業性の観点から明らかにするものである。本研究の成果が、今後、地方自治体が地域交流拠点の整備を行う際にCO2排出量削減を同時に検討する参考となることが期待される。
  • 贄田 純平, 姥浦 道生, 宮川 雅史
    2016 年 51 巻 3 号 p. 538-545
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    東日本大震災と復興プロセスにおいて、市街地と集落の空間形成に実態的な変化が生じている。この研究は復興プロセスにおける建物再建と、それに伴う被災自治体の市街地と集落の空間変容の実態と課題を明らかにすることを目的としている。この研究を通して、まず、建物用途によって震災後の建築動向(建設時期、建設場所の分布や従前土地利用等)が異なっていること。次いで、壊滅的な被害を受けた中心市街部での活性化はみられるものの震災前の基準には及ばず、むしろ内陸での郊外化が進んでいること。そして、郊外でのスプロール開発と津波被害を受けた地域での自主的な集団移転といった異なるプロセスによって、市街地の低密化が引き起こされているを明らかにしている。
  • 田崎 智之, 真鍋 陸太郎, 村山 彰人, 大方 潤一郎
    2016 年 51 巻 3 号 p. 546-552
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では人口減少時代を見据えた自治体の人口・土地利用フレーム設定の実態を明らかにすることを目的としている。愛知県内の自治体のうち、都市マスにフレーム検討過程に関する記述がある12自治体を対象として、市街化区域及び市街化調整区域のフレーム検討過程について分析を行った。その結果、複数の自治体が集約型都市構造への転換を意図したフレーム検討を行っていることが確認された。特に、都市中心部におけるまちなか居住について、人口密度や人口として目標値を設定することで、これをフレーム検討へ組み込んでいる自治体が3自治体存在した。また、各自治体のフレーム検討内容は、人口の動向や市街地の現況等個別の事情に基づいて検討が行われているため、多種多様な内容となっていることが明らかになった。
  • 田邉 信男, 阿部 宏史, 氏原 岳人
    2016 年 51 巻 3 号 p. 553-559
    発行日: 2016/10/25
    公開日: 2016/10/25
    ジャーナル オープンアクセス
    「新しい公共」による取り組みが継続・発展するには、その担い手となるNPOなどが「継続的に活動できる団体の運営力」が重要である。また、協働によるまちづくりの現場でも、継続性を担保する仕組みやマネジメントの方法論が問題としてあげられてきている。このような問題意識のもと、本報告では、「新しい公共」の担い手として期待されている任意団体やNPOの団体で継続的に活動している活動主体に着目した。複数の文献から課題を整理し、アンケート調査を通じて、継続的な組織運営の課題の類型化や組織形態別の課題を定量的に分析した。また、分析結果の考察を通して、組織が継続・発展していくためのマネジメントの方策について検討した。
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