土木計画学研究・論文集
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12 巻
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  • 課題と展望
    小林 潔司
    1995 年 12 巻 p. 1-13
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    知識経済が進展するほど、人間の時間価値が増加するために人々はミーティングに対するより多くのインセンティブを必要とするようになる。このことは、知識社会では、人間のコミュニケーションをますます必要としながちも、それが達成しにくくなるという矛盾率の重要な原因になるだろう。本論文ではフェイス・ツゥ・フェイスコミュニケーションのモデリングに焦点を置きながら、知識社会における知識交換の効率性を克服するための研究課題についてとりまとめる。
  • 森川 高行
    1995 年 12 巻 p. 15-27
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    合理的個人と効用最大化原理に基づく個人選択モデル分析は, 土木計画学の分野では交通手段の選択問題などを中心にかなりの成果を挙げてきた.最近では, マーケティング手法との融合や動的分析など新しい展開も多く見られるようになってきた.本論文の前半部では, これら新展開の一つとして著者らがこれまでに行ってきた「選択の意思決定構造の解明と複数データソースの利用によるモデルシステムの構築」に関する研究の概略を紹介する.後半部では, 地球環境問題に対する政策分析などより広い適用を目指すためには, 個人の合理性や効用の定義の見直しが必要であることを述べ, 西洋流合理性を仮定した現在のパラダイムにとらわれない個人の選択モデルの再構築の可能性について論ずる.
  • 秀島 栄三, 岡田 憲夫, 榎本 和章
    1995 年 12 巻 p. 29-36
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    臨海部等にみられる工場跡地等の遊休地群に対して空間構成を総合的に再編するためにしばしば都市拠点開発プロジェクトが計画される。一体性のある質の高い空間が実現されることの成否には、各主体がいかに協調的に生成プロセスを進めていくかが大きな影響を与えるものと考えられる。本研究では地区空間の生成プロセスを、複数主体による施設整備計画に関する「決定」の積み上げのプロセスとして捉え、これに対してペトリネット理論を適用したモデリングを行う。そしてモデルの再設計により主体間の決定を同期させるような協調的な空間生成プロセスへの改善を試みる。
  • 藤川 謙, 福田 敦, 鈴木 宏典
    1995 年 12 巻 p. 37-44
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、開発途上国において交通施設整備効果が発生するまでに長期間を要する理由として、効果が顕在化してくるまでには、経済基盤の確立が必要であると考え、この経済基盤の確立に至るまでの過程をタイの道路網を対象に段階的に検証する。
    まず、タイにおける道路整備の変遷を述べ、それに伴うネットワークの形成過程を、グラフ理論、最短距離と道路距離の関係、多次元尺度法により分析する。また、このネットワークの形成に伴う輸送体系の変化を計量的に示し、最後に流通機構の変化を整理し、今後の開発援助の在り方について考察を行う。
  • 山中 芳朗, 馬場 健司
    1995 年 12 巻 p. 45-51
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    有効な地域経済政策を導くために、都道府県レベルの統計データを分析した。
    1) 所得の地域格差を4要因に分解して分析した結果、労働生産性が主要因であることがわかった。
    2) 産業構成の平準化が進むものの、各産業の労働生産性の格差拡大がそれ以上に進み、全産業の労働生産性の地域格差は拡大している。労働生産性格差拡大に寄与した産業は、製造業、卸小売業、金融保険業である。
    3) これらの3産業では、間接部門の構成比と労働生産性との相関が徐々に高くなってきており、地域間の役割分担が労働生産性を規定していることがわかった。
  • 稲村 肇, 石丸 久
    1995 年 12 巻 p. 53-59
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    従来の産業連関分析を用いた環境政策評価モデルでは、家計部門が外生部門として扱われているため家計が放出する大気汚染物質やをリサイクル物資の波及影響を分析することができない。本稿ではSNA型産業連関モデルを用い、プロダクトミックスの問題を解決するとともに、リサイクル物資を内生部門として産出表、投入表の産業部門と商品部門にそれぞれ導入した。本モデルにより、空き缶や古紙のリサイクルおよび、乗用車利用の自粛による、CO2、NOx、SOxの3種の大気汚染物質削減効果を推定した。
  • 和田 かおる, 山本 幸司
    1995 年 12 巻 p. 61-68
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    都市土木工事の需要拡大に伴い, 建設残土の発生量も年々増加の一途をたどっており, 大きな社会問題となっている. そこで残土利用の拡大を図るべく工事現場間での残土の相互利用を進めなければならない. 残土を利用する際には, 要求される品質を確保するための再処理施設, さらには需給の量および時期を調整するためのストックヤードを含めて総合的に残土再利用計画を策定しなければならない. そこで本研究では, 複数の再処理施設およびストックヤードを考慮した残土再利用計画を線型計画法によって定式化し, 総運営費を最小とする最適計画案が得られることをを明らかにする.
  • 早坂 俊広, 稲村 肇, 平野 勝也
    1995 年 12 巻 p. 69-76
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年, 地区計画に代表されるように, 小規模地域における土地利用計画の必要性が高まっている. ところが, 従来のメッシュデータを用いた土地利用分析では, 小規模地域を分析するには, メッシュの規模が大きく定量的にデータを入手できず, また, 細かいメッシュデータを作成する労力が膨大である. そこで, 本研究ではドット単位のデータを作成できるツールを開発しメッシュデータを用いた分析と比較しながら, その適用を試みた. その結果, 従来のメッシュデータより, 精度, 利用可能性, 省力化の点で有用であることが実証できた.
  • 秋山 孝正, 片桐 雅之
    1995 年 12 巻 p. 77-84
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    都市高速道路は都市景観や環境に配慮し、地域と調和した道路網となるよう努める必要がある。そこで地域の利用者からみた都市高速道路網のイメージ論的な検討を行う。イメージは地域性・路線環境から受ける心理的影響であり、この言葉的表現は困難である。そこで計画情報としての形式的表現として「色彩」を考えた。
    まず路線単位の分析として「環境要因と色彩イメージ」・「色彩イメージと好感度評価」の関係をニューラルネットワーク (NN) モデルで作成した。さらに道路網全体を各路線の色彩イメージの組合とする評価方法を検討した。ここでNNモデルを内包した遺伝的アルゴリズム (GA) により将来イメージの抽出が可能となった。
  • 加賀屋 誠一, 菊池 慎也
    1995 年 12 巻 p. 85-92
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    地方交通施設整備は、地域住民に対する多様な生活レベルに影響を与える。特に、過疎地域での道路整備は、生活環境水準を高める働きが大きい反面、交通の安全性や環境保全へのデメリットも考慮しなければならない。
    ここでは、交通施設整備による生活環境改善度。生活環境満足度を計測するためにそれらの寄与要因を抽出し、地域住民の主観的評価によってファジィモデリングの構築方法を考えた。主観的評価は、住民それぞれが持つあいまい性や、主観性を表現するために、ファジィ測度で計測される。また、ファジィ測度による評価は可能性から必然性までのゆらぎを考慮しながら検討する方法を考えた。それらの検討方法と手順は、実際にトンネル建設による地域間の交通アクセスの改善を対象として実証的にその妥当性が確かめられた。
  • 田北 俊昭, 湯沢 昭, 須田 煕
    1995 年 12 巻 p. 93-99
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年における急速な情報技術の進歩に伴い、従来の電話・郵便サービスに加え、ファクシミリ、データ通信、さらに最近では、TV会議の導入がみられるようになってきた。20世紀の終わりから21世紀初頭にかけて実現されるB-ISDN網の構築により安価でリアリティのあるTV会議が身近なものになる。
    この論文では、情報革命が進行したときの交通と通信の代替性問題を視野にいれたモデルを構築していることに特色がある。まず最初に、TV会議等の導入以前の情報メディアを含む複数の情報メディアとFace-to-Face (交通) との代替性を考慮した社内 (事業所間) および社外間の情報メディア選択モデルを構築している。次に、『情報』の種類が情報メディアの選択プロセスに与える影響について明らかにしている。
  • 長谷川 智彦, 林 良嗣
    1995 年 12 巻 p. 101-106
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    わが国の空港整備制度は、昭和30年代にその大凡の枠組みが構築され、その後の全国空港ネットワーク形成に貢献してきた。しかし、近年の国際旅客・貨物の急増、空港用地費の増大など経済・社会的な変化に対して十分対応しえない側面を呈してきている。今後の日本社会の国際化・産業構造の変革などを進めるためには、空港整備制度、特に大規模空港の整備をより適切かつ効率的に進めることが重要である。本論ではこうした環境変化と空港整備制度が抱える課題について整理し、そのうちの代表的な3つの論点についてより具体的な分析を併せ深度化して提示した。
  • 春名 攻, 辻井 裕, 竹林 弘晃
    1995 年 12 巻 p. 107-118
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究においては、まず、トンネル工における不確実性問題の要因について観るととに、その取扱について議をかなったいで、この議結を基に、システムの自化と計画の観的な意志決定をするためにエキスパートシステムやファジイ理論を入るとともに施工シミュレーションの活により、リアリティのをした工計画システムを開発した。また、ベイズ確率の念の入によ、計画情報の精度の向上が可能なことを日かにしたそして、後に、複数のトンネル工に適することによって、本システムの有効性を確認した。
  • 花岡 利幸
    1995 年 12 巻 p. 119-129
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    計画事例について、計画組織 (計画推進の核になる人の集まり) の介在に着目する。次に、計画組織の成立経緯との関係で、組織の特色を明かにし、住民の関わり方を整理した。この結果に基づいて計画時の組織編成、住民参加の型を整理し計画方式について考察した。本論文では、a. 計画組織編成に地域や計画レベルの状況により三つの方式があること、b. いずれも何らかの形で住民が関与しているが、住民主導方式において、より計画への住民参加機会の程度が多くなり、参加の型として四つの型があること、c. 計画組織のあり方が地域づくり経験により段階的に展開することが明らかになった。
  • 森杉 壽芳, 小池 淳司, 佐藤 博信
    1995 年 12 巻 p. 131-140
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、国会・中央省庁等の首都機能移転に関心がもたれ、政府をはじめとする各種研究機関等で多数の提言, 提案がなされてきた。このような首都機能移転の社会的意味を判断するためには、その効果を把握する必要がある。そのため、本研究では、首都機能移転によって影響を受ける主体を東京, 新首都, その他の地域及び移転する政府自身に分類し、それぞれの主体に帰着する効果を一覧表にして示す「地域間帰着便益構成表」を提案する。この表では、東京だけでなく、新首都や他の地域を便益を享受する主体としてとりあげることで、首都機能移転に関する個別の効果を国土及び国民全体の観点から総合的に見ることができる。また、必要に応じて、さらに細かい便益の帰着構造を把握し、表の中に位置づけることができる。
  • 森杉 壽芳, 大野 栄治, 小池 淳司, 高木 朗義, 高橋 靖英
    1995 年 12 巻 p. 141-150
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    海面上昇の影響の定量化については、既にいくつかの研究が行われている。しかし、それらは波及的被害が考慮されていない, 被害の二重計測および計測漏れの恐れがある, 計測値に恣意性が含まれる, ある前提条件が必要となるといった問題を抱えている。そこで本研究では、海面上昇対策事業の便益を土地の需要関数を用いて計測することを提案する。具体的には、等価的偏差の概念を適用して便益を定義し、それを一般均衡のフレームワークで展開することにより、需要関数のシフトにより発生する消費者余剰の増分に帰着させた。また、事例研究を通して本手法の実用性を示した。
  • 二神 透, 木俣 昇
    1995 年 12 巻 p. 151-159
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文では, 弱風時の火災領域と防火緑地に着目し, 防災緑地網整備計画を支援するためのシミュレーション・システムの拡張化を試みた. 初めに, 風横側の緑地防火効果をモデル化し, シミュレーション・システムに組み込むとともに, そのアルゴリズムの整合性についての検討を行った. それらの結果, 風横緑地メッシュが炎上する例を提示し, アルゴリズムの論理的整合性を確認するとともに, 緑地高さ, 風速を取り上げ, 計画支援のための基本的な特性を備えたシステムであることを示すことができた.
  • 山内 康弘, 稲村 肇, 徳永 幸之
    1995 年 12 巻 p. 161-170
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    従来の多国間モデルには輸出入予測を商品毎に行っているものがほとんど存在しない. また用いる変数が膨大な数に上り, 発展途上国についてはデータ整備上適用が困難であった. 本研究の目的は港湾計画へ適用可能なレベルでの産業・商品分類を行った経済予測モデルを開発することである. また本モデルは多数の国に対し等しく適用可能なモデルであり, そのため用いる経済指標はかなり限定されている. モデルは資本・労働, 技術選択, 価格, 最終需要そして生産の5つのブロックから構成されている. 本モデルを日本とアメリカについて適用した結果, 価格を除いた各ブロックは良好であった.
  • 近藤 光男, 青山 吉隆, 高田 礼栄
    1995 年 12 巻 p. 171-178
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、地方圏内における人口の社会移動を対象とし、農山村対都市部の構図の中で人口移動は地域の効用格差によって生じるとの仮定によってモデルを作成し、それを用いて移動のメカニズムを解明した。モデル分析では、わが国の地方圏の1つである徳島県を対象とし、県内の50市町村を分析単位とした。その結果、1人当たり所得、生活環境施設の利用機会、故郷や都市までの時間、地価が人口移動の影響要因になっていることが明らかになった。また、地域内の道路整備による時間短縮は都市部に比べ、農山村の効用をより高めることがわかった。しかしながら、農山村と都市部の間には大きな効用の差が依然として存在しており、農山村からの人口流出問題の解決は短期的には厳しい状況にあると思われる。
  • 文 世一
    1995 年 12 巻 p. 179-186
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    二通りの商業立地均衡を定式化し、立地分布の特性および社会的効率性を分析している。第1のモデルは、多数の小規模小売業者が完全競争的に行動する状況を想定しており、第2のモデルでは、少数の大規模小売業者による寡占競争を想定している。これら二通りの立地均衡解を、パレート効率的な立地配分問題の解と比較することによって、それらの社会的効率性について調べている。また、数値シミュレーションにより、立地パターンと、主体間の経済厚生の分配について分析した。
  • 廣瀬 義伸, 青山 吉隆, 井上 雅晴
    1995 年 12 巻 p. 187-194
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、最近の10年間における地価の急騰、そして下落現象に着目し、地価変動の用途間及び地域間の波及メカニズムを解明することを目的として、住居系及び商業系の連続地価公示地点からなる都道府県別のパネルデータを作成し、相関分析を始めとする関連分析と、一般化最小自乗法によるモデルを用いた要因分析を行った。この結果、近年の地価変動においては、明らかな地価変動の空間波及現象が東京を起点として認められた。さらに、地価変動には、金融や所得等の経済的要因、用途間の波及要因、東京からの空間波及要因が関係しており、特に地価急変期においてこれらの要因の寄与が大きいことが明らかになった。
  • MEP型土地利用・交通モデルによる
    西井 和夫, 近藤 勝直, 戸松 稔, 津島 康弘
    1995 年 12 巻 p. 195-205
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    これからの都市高速道路は、大都市圏域においてその広域的ネットワーク整備によって、圏域の社会経済構造の一体的形成に供することが期待できる。本研究は、こうした都市高速道路の整備効果を交通条件の変化に伴う土地利用 (世帯と従業者の立地と配置) の影響という形で計量的に予測評価するMEP型土地利用・交通モデルの構築をはかるとともに、この提案モデルを用いて将来ケーススタディを通じた整備効果の地域帰属を実証的に検討した。
  • 青木 俊明, 稲村 肇
    1995 年 12 巻 p. 207-214
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    システムダイナミックス手法はその柔軟性から都市の成長といった複雑かつ、長期的な問題に対して有効であるが、主観的であるとの批判も多い。本研究では基本的にSDの枠組みを使用しているがミクロ経済学、或いは集計行動モデルの考え方を導入し、都市成長モデルの信頼性を向上させるものである。また、都市成長モデルでは従来は外生的に与えられていた人口の社会動態を都市の魅力という観点から分析し、内生化している。本研究では仙台都市圏をケーススタディーとしてモデルの10年間のキャリブレーションと90年間の成長予測を行っている。
  • 大橋 健一, 青山 吉隆, 近藤 光男
    1995 年 12 巻 p. 215-222
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    地価の高騰・下落、更には、経済の停滞・衰退など、土地利用を取り巻く環境は大きく変化している。土地利用については多くの研究が行われているが、社会環境の変革期を含むような時系列データへの適用例は少ない。本研究では、筆者らが既に発表している市街化過程のマクロモデルを社会環境の変化にも対応できるようにモデルの拡張を試みるとともに、近年の市街化データに適用したものである。市街化モデルの拡張により適合度が大幅に改善するとともに、社会環境の変化を考慮した市街化予測が可能となった。また、今後の市街化と地価に適する政策も明らかになった。
  • 折田 仁典, 清水 浩志郎
    1995 年 12 巻 p. 223-230
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は過疎地域の道路整備効果を分析対象に予備調査を通して道路整備効果を抽出し、得られた効果をDEMATEL法を用いて構造化を行った。その結果、効果の中でもいずれの効果が重要度が高いか、あるいはどの効果が影響度が高いかが明らかになるとともに、効果間の影響関係が把握された。
  • 奥村 誠, 山本 隆昭, 吉川 和広
    1995 年 12 巻 p. 231-238
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    過去の産業誘致政策の反省から、地方圏では成長率の高い産業を誘致することよりも、育成が容易で他の産業との関係の強い産業を既存産業の中から選んで育成することが重要である。本論文では、消費財産業を識別する「残加工回数」を定義し相関分析により消費財産業の育成の容易さを示すとともに、既存産業との技術や市場情報の共有性などの水平的な関係の重要性を指摘した。地域産業の競争力、魅力度、相互関係を総合的に把握するための業種チャートを用い、消費財産業を足がかりに既存技術を活用できる育成産業を選定する方法を提案した。
  • 首都圏地域を対象として
    岩崎 義一, 相茶 正彦, 遠藤 弘太郎, 土居 厚司, 瀬口 哲夫, 加藤 勝敏
    1995 年 12 巻 p. 239-246
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、首都圏を対象に非集計ロジットモデルを用いて、移転工場の立地因子から類推される多くの説明変数による予測モデルの開発の可能性を試みたものである。その結果、移転元工場との距離、インターチェンジまでの平均距離、地価、工業団地整備率、工配計画の誘導地域面積率、都県の補助制度の規模、港湾との近接性が主要な要因として得られ、比較的良好なモデルを構築することができた。また、工業立地政策を検討する際の操作性に優れたモデルが開発できた。
  • 渡会 英明
    1995 年 12 巻 p. 247-258
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    マリーナの開発計画にあたって最も重要でかつ困難なのが、計画地におけるマリーナの将来需要の予測であるが、これをただ単に定性的にだけではなく、定量的に予測算出することができるような計量経済モデルの設定に関する研究。研究に用いた数学モデルは、地域マリーナ立地需要を、人口・所得などで表わされる背後地でのマリーナ潜在利用者発生経済量に比例し、マリーナまでの距離が増大するにしたがって発生した経済量の到達度が低下すると仮定したもの。このモデルは、すでに多くの実際のマリーナ計画において採用されており、論文では、東京湾エリアと大阪湾エリアの各市町村におけるマリーナ需要の計算結果を例に、その内容について紹介する。
  • 応用一般均衡モデルによるアプローチ
    宮田 譲
    1995 年 12 巻 p. 259-270
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は1985年の北海道を対象とし、廃棄物と経済との相互依存関係を分析するものである。そのために、廃棄物発生、除去活動を内生化した応用一般均衡モデルを構築している。モデルは産業 (3分類)、家計、政府、道外部門、産業廃棄物自己除去活動 (3分類)、廃棄物委託・行政除去活動から成っている。産業は生産活動に伴い産業廃棄物を発生させ、家計は消費活動によって一般廃棄物を発生させる。これらは廃棄物除去活動により、処理・処分されるが、その際、生産活動と同様に生産要素の投入を行う。このモデルを用いて家計廃棄物の有料化、リサイクル推進などが所得、価格、厚生水準などにどの様な影響を与えるのかをシミュレーション分析している。
  • 宮腰 和弘, 小林 健一, 松本 昌二
    1995 年 12 巻 p. 271-276
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、冬季における道路歩行環境に対する地域住民の意識構造を把握し、意識面からみた歩行環境を定量的に評価することを目的としている。長岡市を対象として、冬季歩行環境のアンケート調査を実施し、データを収集した。評価手法としては階層構造分析法 (AHP法) を使用した。データ分析により、冬季における各道路リンクの歩行環境を「リンク得点」として定量的に評価することができた。その結果、除排雪施設の整備計画において「リンク得点」、「地区得点」を評価指標として適用することができる。
  • 林 良嗣, 加藤 博和, 木本 仁, 菅原 敏文
    1995 年 12 巻 p. 277-282
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、世界中の大都市において、モータリゼーションの進行と交通インフラの不足による道路交通渋滞が発生している。これは都市環境を悪化させるのみならず、温室効果物質であるCO2の排出量をも増加させる。生産活動全体のCO2排出に占める交通部門の割合は全世界的に増加しつつある。そこで、交通に伴うCO2排出量を削減する政策の1つとして、自動車から公共交通機関へのモーダル・シフトが注目されている。本研究では、都市旅客交通に伴うCO2排出量を都市のマクロ指標から簡便に推計するモデルを開発している。このモデルを用いて、モーダル・シフト政策のうち、自動車燃料税/炭素税増徴と鉄道整備の効果および実施のための費用を推計した。
  • 森杉 壽芳, 小池 淳司, 武藤 慎一
    1995 年 12 巻 p. 283-294
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    自動車交通は、大気汚染や騒音、交通事故といったいわゆる外部不経済をもたらしているにもかかわらず、必ずしも十分にその責任を負っていないという批判がある。そこで本研究では、道路整備に対する投資と同様、これら外部不経済的費用も自動車交通に起因する支出と考え、現在自動車利用者が税あるいは有料道路料金という形で負担している費用と収支をとることにより、自動車利用者にとっての負担不足分の算出を行う。そして、2010年を評価年として、その負担不足分がゼロとなるようなガソリン・軽油価格すなわち外部不経済を自動車利用者自身が完全に責任をとるという意味で、原因者負担の立場からみた公平な燃料価格水準の推定を行う。
  • 高山 純一, 石井 信通
    1995 年 12 巻 p. 295-304
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    非常時における道路網の信頼性を厳密に評価するためには、1本1本のリンクの連結性を評価して、その全ての組み合わせを考慮する必要があるが、実際規模の大規模道路網を対象とした場合には、計算時間ならびに計算機記憶容量が指数関数的に増大し、厳密計算が非常に困難であるといえる。そこで、本研究では対象ネットワークをいくつかの部分グラフに分割し、ネットワークを簡略化することによって全点間信頼度の近似計算を行う新しい方法を提案するとともに、GAを導入した最適グラフ分割法の適用性についても検討を行う。
  • 杉森 直樹, 岡田 憲夫
    1995 年 12 巻 p. 305-315
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    きめの細かな防災事業を展開するためには、行政側のみならず、住民側による積極的なコミットメントが持続される必要がある。すなわち、地域住民の防災意識の維持・高揚が肝心である。そのためには、性能水準としての防災意識の程度 (活性度) を適切にマネジメントするための政策的知見を提示することが必要である。そこで本研究では、基礎的研究として、地域住民の防災意識の活性度の計量指標化法と、その長期的変動過程メカニズムに対するコミュニティ構成員間の動的相互作用過程モデルを提案する。その際、イジングスピン模型とのアナロジーが有効であることに着目し、クラスターの形成による浸透の動的過程としてモデル化する。
  • 星野 裕司, 篠原 修
    1995 年 12 巻 p. 317-326
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    魅力ある落水表情は河川景観において重要な役割を担っている。しかし河川横断構造物では設計からそれが考慮されることは稀であり、人工の滝のデザインでも経験に基づくのみで水理学的な考察が欠如している。そこで本論は、自由落下型の落水を対象として、現実表情の観察による落水表情の分類、既存の水理学経験式等の適用による規定要因の考察、予測と現実表情との比較を通して、落水表情の予測、制御が可能となるデザイン方法論を提示した。以上のように本論は、水理学上の新たな知見を得るものではないが、落水現象を景観的視点から全体的に把握し、水理学上の理論をデザイン方法論へ統合したことに意義があると考えている。
  • 小柳 武和, 久我 能朗, 志摩 邦雄, 山形 耕一
    1995 年 12 巻 p. 327-334
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    熱気球の優雅で幻想的な景観は、それを見る人々に夢や冒険や自然との一体感など様々なイメージを抱かせる。本研究は、熱気球の創り出す景観が人々にどのように認知されているのかを把握することを目的とし、熱気球のフォトコンテスト応募写真を用いて、熱気球特有の景観の分類抽出と、その視覚的特性および景観構成要素の分析を行ったものである。その結果、熱気球特有の景観タイプとして、9っのタイプが抽出できた。また、願望視距離と視角を指標として、これらのタイプの視覚的特性を明らかにできた。さらに、背景となる山や川や田畑などが熱気球の景観を引き立てる重要な景観構成要素であることが理解できた。
  • 山下 三平
    1995 年 12 巻 p. 335-342
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では「写真投影法」により、成人と子供の沿川住民の河川環境にたいする見方が追究された。その結果、成人と子供には、把握された河川景観の空間的構図 (立体的と平面的) と、河川の水の状態の把握の仕方 (動的と静的) に違いがみられた。
    これらから、住民に認識される河川景観の構成が、時間的な経験のパースペクティヴを、空間的なそれへと投影することにより成り立つことが示唆された。また、河川環境の機能が単純化され、住民の環境認識がそれに基づいて再生産されていく現状と将来を考慮して、河川環境を人間の直接体験の場として検討することの重要性が指摘された。
  • 北村 眞一, 花岡 利幸, 大山 勲, 渡辺 利彦
    1995 年 12 巻 p. 343-348
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文は高原リゾート地域において、森林リゾートと田園リゾートの利用の視点から、地域の密度に関する新しい指標を提案し、八ケ岳南麓山梨県高根町において計測し、リゾート地の現状を明らかにした。地域を広く見た場合のグロス建ぺい率は非常に低く、3%以下で、リゾート地の指標としての森林野草地率はおおむね50%以上、田園森林率は80%以上であることがわかった。こうした低密度の状況が1つの望ましいリゾート地とした時、ネット建ぺい率の規制値として、全面開発可能とすれば8%、現状の集落程度を開発地として60%とすれば、他は2%としなければならない。
  • 和田 章仁, 材野 博司
    1995 年 12 巻 p. 349-355
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年の週休2日制の導入などによる余暇時間の増大によって、都市生活に対するゆとりやうるおいが求められてきている。このことから、本研究では、真に生活の豊かさを楽しめる都市空間の創出を図るため、観光都市である京都における市民の散策行動に着目し、散策空間づくりのあり方について検討を行った。その結果、市民が散策している空間と観光客が観光を行っている空間はほぼ等しく、社寺、公園および川や池などが対象となっていることがわかった。これにより、静けさを中心とした快適な散策空間の整備の必要性を提案した。
  • 深堀 清隆, 窪田 陽一
    1995 年 12 巻 p. 357-366
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では高速道路の走行景観を対象として、構図変化という特性を考慮した評価手法の構築を試みている。そしてこれを景観の移り変わりを考慮した道路景観デザインに役立てようとするものである。ここではシークエンスを構図変化の連続と単純化してとらえ、構図の変化自体の評価構造を把握している。評価基準として力量性、活動性、評価性の3因子を抽出し、活動性の優位性を見いだした。また構図変化に与えられる評価得点から時系列的な景観評価を推定した。これを被験者から実験によって計測した継時的評価と比較し推定結果の有効性を検証した。この手法によってある特定区間の動的景観を定量的な指標によって評価することが可能となった。
  • 土井 勉, 木内 徹, 三星 昭宏, 北川 博巳, 西井 和夫
    1995 年 12 巻 p. 367-374
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、鉄道沿線の地域イメージとその構造的特徴を分析することを目的としている。.こごでは、関西の私鉄の中から、阪急神戸線、近鉄奈良線、南海高野線の3つの沿線地域を取り上げる。本研究ではまず、これらの沿線に存在する物に関する普通名詞・固有名詞を抽出する。次いで、それぞれの名詞のイメージに類似する名詞をこれらの抽出された名詞群から選ぶという意識調査を実施する。この調査データを用いて、想起率が高いモノ・コトを選定する。また、モノ・コトのイメージにおける類似度の関係をイメージ空間上に布置したイメージマップを作成することにより、沿線イメージの構造の特徴を明らかにする。さらにこれらの特徴を考慮しながら、これからの鉄道沿線の地域づくりにおける基本的課題に言及する。
  • 灘岡 和夫, 内山 雄介, 山下 哲弘
    1995 年 12 巻 p. 375-381
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    防災面上の基本要請に加えて高いアメニティ性が求められる海岸空間でのデザインは, 従来の視覚的側面に偏向した景観デザインの枠組みを越えて, 固有の空間特性や人間の五感による空間認識プロセスを統合して議論されるべきであるとの基本認識のもとに, 海岸空間を特徴付ける重要なファクターの一つであるにも関わらずこれまで議論されることのなかった砂浜海岸の微気象と温熱環境特性を, 現地データの解析によって明らかにし, さらに人体温熱快適性の議論に結び付けることを試みた. その結果, 夏季砂浜海岸では汀線から内部境界層が明瞭に発達し, 砂浜が周辺大気に対する顕著な加熱・乾燥作用を及ぼすことから, 内部境界層内では有意な大きさの昇温, ならびに湿度低下が生じることが示された. また, 人体の熱収支解析に基づく温熱環境指標の解析により, この内部境界層の内外で温熱環境的にコントラストの明瞭な空間構造が形成されてることなどを明らかにした.
  • 岡田 昌彰, 仲間 浩一, 中村 良夫
    1995 年 12 巻 p. 383-388
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、内外のウォーターフロントへのパブリックアクセスが整備され、工業港湾もその対象地として注目されている。そこでは、工業港湾らしさを活かした景観計画が重視される。
    本研究では、京浜工業地帯川崎鶴見地区を対象とし、工業港湾施設を工業港湾固有の要素として積極的に捉え、造形上の原理的問題を考察する。具体的には、記憶再現実験、及び瞬間露出実験によってその基本的な景観形成エレメントを把握し、それらの要素に対しCGを用いて視点移動 (視軸方向変化、仰角変化、及び俯角変化) による景観シミュレーションを行う。さらには、古典景観論との比較により、工業景観固有の特徴を解明する。
  • 甲府買物パネルデータを用いて
    西井 和夫, 近藤 勝直, 古屋 秀樹, 鈴木 隆
    1995 年 12 巻 p. 389-396
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、甲府買物パネル調査データを用いて、パネルアトリッションについて実証的検討を行うことを目的としている。具体的には、パネル調査への参加・不参加行動を規定する要因について経時的な集計分析を行うとともに、アトリッションの要因構造を記述する参加・不参加モデルを構築する。またアトリッションの影響を考慮した買物場所選択モデルを構築し、その有効性を検討する。
    結論として、パネル経過時点が異なるとその規定要因が変わってくることが明らかになった。特に、経過時点の少ないサンプルに関してランダム性が強く、経過時点を経た買物場所選択モデルでは各変数の規定力が高くなり、全体として敏感なモデルの同定化ができた。
  • 佐々木 邦明, 森川 高行, 杉本 直
    1995 年 12 巻 p. 397-404
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    非集計モデルにおける個人の嗜好の異質性の表現は, 今後のモデルの適用性の向上に対してきわめて重要な点である.本研究では, 個人がいくつかの潜在的なセグメントに確率的に帰属するという潜在セグメントモデルを提案し, 個人あたりの情報量の多いパネルデータを用いてそれを推定する手法を展開している.事例研究として今後益々重要になってくると考えられる休日の自動車交通を考慮し, 行動上の制約の少なさから個人の嗜好が現れやすいと考えられる, 休日の買物目的地選択を分析した.その結果これまで個人の嗜好を直接的に考慮したモデルは推定が困難な場合が多かったが, 比較的容易に入手できる選択理由データを用いて, 適合度の高いモデルを推定することができた.
  • 中川 真治, 若林 拓史, 飯田 恭敬
    1995 年 12 巻 p. 405-412
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    道路網の整備水準を質的に評価する新しい指標である信頼性を取り上げ, 信頼性解析の入力変数として必要なリンク信頼度の簡便かつ有効な推定方法について考察した.特に, 若林・飯田らが開発した, シミュレーションから得た仮説に基づいて構築されたリンク信頼度推定法に関して, その実際面への応用についての課題の整理と解決を試みた.その結果, リンク需要交通量の変動係数モデルが平均OD交通量に関する移転可能性を有することが示された.さらに, 正規分布の再生性を用いてOD交通量変動とリンク需要交通量変動の関係を誘導し, これがリンク需要交通量の変動係数モデルのパラメータ推定法となることを示した.
  • Hussein S. LIDASAN, 石田 東生, 黒川 洸, 谷口 守, 大野 栄治
    1995 年 12 巻 p. 413-423
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    発展途上国においては社会経済属性の変化が非常に急激であるため、個人を経年的に追跡した質の高いパネルデータを用いて社会経済属性の変化や交通行動分析を行うことの意義は大きい。本研究はマニラ大都市圏を対象に、パネルデータを用いることによって個人の通勤交通手段変更と勤務地移動をログリニアモデルにより分析し、それぞれの変化の要因を明らかにした。また、個人の交通機関選択行動についても非集計ロジットモデルを用いて検討した。クロスセクション分析に比して、パネルサンプルをプールして推定した方がパラメータ推定値の時間的安定性が高いことが確認された。
  • 杉恵 頼寧, 張 峻屹, 藤原 章正
    1995 年 12 巻 p. 425-434
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    交通行動が個人によって異なることは明らかである。今までの分析手法では仮定してきた母集団の均質性が成り立たない場合、観測異質性の影響をモデルの中で考慮すべきである。また、個人態度、嗜好のような省略変数がモデルのパラメータ推定に影響する場合、未観測異質性問題が生じてくる。本研究では交通機関選択モデルを対象に、今まで交通行動分析にあまり重要視されていない個人の異質性問題を観測異質性と未観測異質性に分けて、観測異質性の存在をマーヶット・セグメンテーション法により実証する。そして、未観測異質性を扱うことができ、異質性の分布に依存しないノンパラメトリックのMass Point手法の有効性を検証する。
  • 古屋 秀樹, 西井 和夫, 大矢 正樹, 元田 智子
    1995 年 12 巻 p. 435-441
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、観光OD交通量が把握されていない状況のもとで、交通機関分担率を考慮した観光地入り込み客数予測モデルの構築を目的とする。ここで開発されるモデルは、2つの特徴をもつ。1つは、このモデルの基本的な考え方は重力モデル型のOD交通量推計モデルに基づいているが、特にそこで用いられる距離抵抗は、電流回路における並列合成抵抗として定義されることである。もう1つは、予測モデルのパラメータ推計方法として、ボアソン回帰手法を適用していることである。本論文では、ここで提案される距離抵抗に関する定義方法と簡単な加重平均を用いた方法との比較分析を行うとともに、利用交通機関別の観光OD交通量推計値についての検討を行う。
  • 谷口 守, 石田 東生, 小川 博之, 黒川 洸
    1995 年 12 巻 p. 443-451
    発行日: 1995/08/31
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    自動車交通問題の解決のためには、個人の交通手段選択を自動車から公共交通などにシフトさせることの重要性が指摘されている。しかし、そのための基礎となる都市の特性と交通手段選択の関係に関する実証的研究は不十分である。本研究では、全国の131都市を対象に、1970、80、90年の国勢調査報告の通勤・通学利用交通手段のデータを用い、各都市の通勤・通学交通手段分担率の地域的・時間的変化を把握すると共に、その都市特性との関連を判別分析、正準相関分析を通じて明らかにした。この結果、モータリゼーション化のばらつき特性、分担率変化の特性を把握するとともに、都市構造にまで言及しない交通政策の限界を指摘した。
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