土木計画学研究・論文集
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17 巻
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  • 川除 隆広, 多々納 裕一, 岡田 憲夫
    2000 年 17 巻 p. 431-438
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, レクリエーション施設の整備便益について旅行費用法に着目し, オプション価格の推計便益の信頼性の評価手法として, 近似法 (テーラー展開・エッジワース展開) およびシミュレーション法による信頼区間推定法を提示している. モンテカルロ法を用いた数値実験からは, 分散の直接推計が困難な非線形関数の推定量に対する信頼区間を求める上では, シミュレーション法および解析的アプローチであるエッジワース展開による推計法が有効であり, テーラー展開については, 対称分布を仮定しない他の2つの信頼区間推定法と比べては誤差を伴う可能性が高いことが示唆されている.
  • 厖 暁晋, 宮田 譲
    2000 年 17 巻 p. 439-448
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は現状の大量生産・消費・廃棄社会の限界と問題点を踏まえ, 将来の社会システムのあるべき姿として提唱される循環型社会の中で, 地域の生産形態が果たしていくべき役割について考察する. 一つの地域をモデルとして取り上げ、それを資源循環型地域生産システムの解析モデルとして定式化する. そして地域総合コストの低減, 地域マテリアルリサイクル率と地域パーツリサイクル率の向上, という3つの目標から構成される多目的最適化問題として分析する. この解析モデルはさらに多目的線形計画問題に帰着され, ε制約法と重み付け法を用いた数値シミュレーションによって, パレート最適解と最適選好解が求められる. 解析モデルは, 総合コスト率とリサイクル率との関係, 回収率パターンが総合コスト, リサイクル率に及ぼす影響分析などから, 今後の資源循環型地域生産システムの課題と展望を考察する.
  • 宮田 譲, 厖 暁晋
    2000 年 17 巻 p. 449-460
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は愛知県を対象とした, 筆者らの経済-物質循環システムに関する既存研究を大幅に拡張したものである。具体的には, 既存の経済-物質循環CGEモデルにおいて, バージン財と再 (生) 利用財を差別化し, 再 (生) 利用活動を明示化するとともに, 用いているデータも可能な限りその精度の向上を図った。新たなモデルを用いて愛知県のゼロエミッション化のシミュレーション分析を行った。その結果, 再 (生) 利用財価格は18%から95%下落しなければ, 100%の再 (生) 利用は実現できないことが判明した。またその一般均衡効果として, 産業構造は再 (生) 利用財に代替される素材系産業が縮小し, 財価格下落に伴う代替効果から農業や食料品産業が拡大し, また需要構造変化によって加工組立系産業, 第3次産業なども拡大することが確認された。
  • 加河 茂美, 稲村 肇
    2000 年 17 巻 p. 461-470
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文は, 物量ベース, 金銭ベースで表されたSNA産業連関表に基づき, エネルギー供給産業起源のエネルギー必要量を推計するための分析手法を提案している. ハイブリッド型SNA産業連関表は, 横断的エネルギー価格の変化による物量ベースの投入構造への不整な影響を取り除くために提案されている. さらに, 本ハイブリッドモデルに構造階層化システムを適用することによって, 非エネルギー部門間の生産波及に伴う直接間接的なエネルギー必要量を推計するための手法を提案している. 実際に1985年, 1990年の基本データを適用し実証分析を行い, 有用な知見を得ている. 最後に拡張産業連関モデルの定式化について一般逆行列の適用可能性を示した.
  • 加藤 博和, 大浦 雅幸
    2000 年 17 巻 p. 471-479
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、環境負荷計測手法として近年注目されているLife Cycle Assessmentを社会資本整備評価に適用するために拡張した「ELCEL (Extended Life Cycle Environmental Load) 概念」を用いて、新規鉄軌道整備によるCO2排出量変化を定量的に評価する手法を構築し、交通需要・車両性能・運行計画の違いによって、鉄軌道整備がCO2排出削減政策として成り立ち得るかどうかを示すことを目的としている。モデルを用いた試算の結果、1) 鉄軌道整備による削減効果に比べ、その整備・維持管理による排出が無視できない値であること、2) 誘発需要や自動車走行速度改善効果がないと仮定すると、地下鉄整備では30, 000 [人/日・片道] 程度の需要がないと排出削減にならないこと、3) 同様に、路面電車整備では区間総交通需要が小さく転換率が大きい場合のみ排出削減となること、が明らかになった。
  • ジィハン エルハディ, 窪田 陽一, 深堀 清隆
    2000 年 17 巻 p. 481-490
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究の目的は鉄道駅舎周辺における空間構造パターンが駅への視覚的アクセスに及ぼす影響を明らかにすることである。まず東京の鉄道駅を対象としたケーススタディをもとに広場のタイプ分析が行われた。視覚的構造の解析は、調査対象となった実際の駅周辺空間と、交通需要予測に基づいて仮定された広場について実施された。解析においては広場のスケールや形態、街路との接合形態の要因を重視した。結果として広場のW/Dが増加すると視覚的アクセシビリティも増加すること、街路が正面から広場にアクセスする形態は視覚的アクセシビリティが高く、2本並行してアクセスするタイプは逆に低いことなどが判明した。
  • 田中 尚人, 川崎 雅史, 鶴川 登紀久
    2000 年 17 巻 p. 491-496
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、文献や資料、絵図・写真等、ヒアリング調査をもとに、近世から近代にかけて京都高瀬川において活躍した「舟運」というインフラストラクチャーを基軸とした都市・景観形成過程を明らかにした。結論として、高瀬川は運河に必要な水位調節技術を含む治水技術を駆使して建設され、運河というインフラストラクチャー機能を十分に発揮し、ターミナル機能を持つ河岸 (河港施設) を接続点として都市に多くのアメニティを供給したことが分かった。高瀬川舟運に基盤を置く諸活動の活発化により、都市の成熟が促進され、多様な都市景観が創出されたと言える。
  • 河端 邦彦, 山田 圭二郎, 中村 良夫
    2000 年 17 巻 p. 497-502
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    現在の親水空間の考え方は様々な施設を見ても人間が水に近づいていくという設計思想である. 本研究では日本人が古くから持つ入と水との関係に着目し, 古代都市である坂本の水路網の構造を分析・考察した結果, 日本には「自然」と「人」との問の取り方というものが存在し, 自然を人間に近づける思想があったと考えら得られる. これらにより, 局所的な親水空間の創造にとどまらず都市的な広域空間に親水空間を作る上での新たな視点, 方法論が与えられたと思う.
  • 日米の歴史的環境保全思想の比較研究
    阿部 貴弘, 篠原 修
    2000 年 17 巻 p. 503-514
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年棚田や二風谷等、米国ではヴァナキュラー環境として評価・保全されている環境の保全に対する要請がある。しかしそれらの歴史的重要性に対する認識の低さから、その要請に応える気運は高まりを見せていない。本研究では日米の歴史的環境保全思想の比較により、ヴァナキュラー環境の評価・保全の意義について考察することを目的に、文献調査・保全事例調査・インタビュー調査を行った。その結果地域あるいは地域生活のアイデンティティーの保全の観点から、日本においてもヴァナキュラー環境を評価・保全していく必要があることを指摘し、さらに日米においてヴァナキュラー環境を評価する際に有効と考えられる評価視点・評価意図をまとめた。
  • 西井 和夫, 土井 勉, 川崎 雅史, 西野 至, 服部 純司
    2000 年 17 巻 p. 515-523
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、京都観光で代表的な洛西・洛東エリアを取上げ観光客が抱く魅力的なスポットやルートに対するイメージ評価と実際のエリア内回遊行動特性との関連性を明らかにすることを目的とする。具体的には、観光客アンケート調査データより魅力的なルートに関する観光スポット間連結性とトリップ連関性の両者を比較することにより、洛西・洛東の2エリアの各々の回遊エリアおよびその特徴を明らかにするとともに、その中に含まれる観光スポットの歴史・文化的イメージについても言及した。これらより、魅力的な回遊路として、洛西エリアでは「嵐山嵯峨野地区」、洛東エリアでは「銀閣寺・哲学の道ルート」「清水寺・二年坂ルート」の合計3ルートを提案している。
  • 平野 勝也, 齋藤 淳
    2000 年 17 巻 p. 525-532
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では街路イメージの認知構造を2つの瞬間視実験により明らかにすることを目的とする.認知構造とは, 時間増大に伴う街路イメージの深化, イメージ形成要因の変化を意味する.この研究の成果を以下に要約する.街路イメージには4つの層が存在し, それらは 「街路に対する心理的距離」「街路の品格」「街路ボリューム」「街路の流行度」 の4つである.各イメージ層の想起・決定の時間と順序が構造化された.
  • 平野 勝也, 資延 宏紀
    2000 年 17 巻 p. 533-540
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    繁華街の魅力の重要な要素である 「多様性」「奥行き」 を創造するためには, 「人の感覚」 を基準とした街路類型が必要であり, これに従った繁華街構成を論じる必要がある.本研究は「人の感覚」を反映するために認知科学に基づき研究を行い, 結果, 分類試験により昼夜ともに4本の判断軸と, 昼9類, 夜8類の潜在的街路イメージ類型を明らかにした.また, この類型を実際の繁華街に用い, エントロピー指標を導入することにより多様性・複雑性の両面からの定量的分析, 街路類型の繋がりに着目した定性的分析を行い, 繁華街の街路構成を明確にした.
  • 萩下 敬雄, 山田 圭二郎, 中村 良夫
    2000 年 17 巻 p. 541-546
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    人々が抱いている景観認識に関わる既存研究・文献は数多く存在するが, その多くはパブリックなイメージに関する研究であり, そのようなイメージとは異なる断片的な視覚像の連関によるダイナミックな景観認識に着目した研究は少ない.本研究では, 自由連想法を用いたアンケートを実施し, その分析から視覚像や意味内容に関わる意識の連関構造を抽出した.また, 画像とテキストの複合媒体である地誌メディアを用いた分析により, その連関構造と画像とテキストにより構成される全体構造を明らかにした.更に, この構造をモデル化する構造として, ハイパーテキスト構造の可能性に言及した.
  • 駅本屋とトレイン・シェッドの関係に注目して
    金井 昭彦, 天野 光一, 中井 祐
    2000 年 17 巻 p. 547-558
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    駅空間を構成する要素として、様式空間の本屋と機能的空間のトレイン・シェッドがあげられるが、本研究ではトレイン・シェッドの構造的発展が目指した空間を形態別に明らかにした後、トレイン・シェッドが温室技師の提案した教会をモチーフとした大空間を、その技術・システムとともに鉄道・温室技師が適用したことにより発展したことを明らかにした。さらに、本屋とトレイン・シェッドの関係の歴史的変遷及びその背景を明らかにし、建築史におけるトレイン・シェッドの位置付けを示した。
  • 田中 俊祐, 小川 圭一, 宮城 俊彦
    2000 年 17 巻 p. 559-566
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    効率的な交通情報システム構築のために、ドライバーの経路選択行動を的確に把握することが必要とされている。本研究では、経路選択行動に影響を及ぼす要因の1つとして交通情報の不確実性に着目し、経路選択行動のモデル化を行う。ここで、交通情報とドライバーの知覚所要時間は確率変数として扱い、ベイズの定理に基づき、交通情報入手前の知覚所要時間と交通情報から、交通情報入手後の知覚所要時間を導出する。これを非集計行動モデルの説明変数としてSP調査データよりパラメータの推定を行い、モデルの妥当性を検討する。さらに、構築したモデルの感度分析を行い、交通情報の不確実性がドライバーの経路選択行動に与える影響を考察する。
  • 尾上 一馬, 永田 恭裕, 黒岡 亮, 長谷川 利治
    2000 年 17 巻 p. 567-574
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    情報提供がドライバーの交通対応行動に及ぼす影響についての研究例は少なくない。しかし、仮想的な状況に対するドライバーの反応をアンケート調査やシミュレーションを用いて分析されたものが多く、情報提供によりドライバーが実際にどのような交通対応行動を取ったのか、その結果、交通流にどのような影響を及ぼしたのかを実測データを用いて分析された例は少ない。本研究は、山陽自動車道上り三木ジャンクション手前における道路交通情報の提供が、ドライバーの交通対応行動にどのように影響を及ぼしたのかを、分岐直後の交通量の変動による分析とアンケート調査 (RP調査) による分析を行ったものである。
  • 西野 至, 西井 和夫, 北村 隆一
    2000 年 17 巻 p. 575-581
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では京都市で得られた観光周遊行動データをもとに, 個人の目的地選択特性を分析するとともに, 一日に訪問する活動箇所の組み合わせを事前に決定するモデルの一つとして, 試行錯誤的決定プロセスを仮定したモデルの構築を試みた.利用手段別および来訪頻度別にパラメータを推定した結果, 自動車利用者は公共機関利用者に比べて活動箇所数が少なくその位置のばらつきが大きい組み合わせを選びやすいこと, はじめての人は二度目以降の人に比べて活動箇所数が多くその位置のばらつきも大きい組み合わせを選びやすいことが示唆された.またこれらの傾向が個人の目的地選択特性と整合することが確認された.
  • 山本 俊行, 梅木 亮, 北村 隆一
    2000 年 17 巻 p. 583-588
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 世帯における自動車利用の競合を考慮することにより自動車利用の背反性を明示的に考慮した, 世帯における交通手段選択モデルを構築した.すなわち, 世帯が保有する自動車の配分問題として世帯構成員の交通手段選択行動をモデル化した.メインドライバーの選択を上位レベル, 他の世帯構成員の選択を下位レベルとするネスティッド・ロジットモデルを適用し, スケールパラメータを構造化することにより世帯間のメインドライバーの自動車利用に対する優先度の異質性をモデルに導入し, モデル精度の向上を図った.実証分析の結果から, 世帯における構成員間の相互作用を考慮することでモデルの推定精度の向上が確認された他, 世帯主や普通乗用車のメインドライバーは他者の効用を考慮する傾向が弱いことが示された.
  • 藤井 聡, 中野 雅也, 北村 隆一, 杉山 守久
    2000 年 17 巻 p. 589-597
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 新しい交通環境における認知旅行時間の適応プロセスに関する情報影響仮説 (情報取得によって予測能力が向上し状態依存が低下する), 経験優越仮説 (媒体情報の認知旅行時間への影響は, 実走行経験によって低減する) を提案し, これらを, 阪神高速道路堺線の通行止め期間中の通勤運転者の認知データに基づいて検定した.その結果, データはこの両仮説の成立を支持するものであった.この結果に基づいて, 情報提供方策を検討するためには, 運転者の経験の有無, あるいは, 経験を持つという自認の有無を考慮したマーケティング戦略が重要であることを述べた.
  • 藤原 章正, 神田 佑亮, 杉恵 頼寧, 岡村 敏之
    2000 年 17 巻 p. 599-604
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本論文では, 時刻のカテゴライズの違いにより生ずる時間幅や区切り位置の違いが, 時刻選択モデルの推定結果に及ぼす影響について検討する.交通需要予測として頻繁に用いられている多項ロジットモデルで前提とするIID仮説のうち, 誤差分散の独立性を緩和するPCLモデルと, 誤差分散の均一性を緩和するMass PointLogitモデルを用いて分析を行う.分析の結果から, 選択肢のカテゴライズによって, 誤差分散に類似性, 不均一性の大きさが異なることが明らかとなった.
  • 菊池 輝, 小畑 篤史, 藤井 聡, 北村 隆一
    2000 年 17 巻 p. 605-612
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 従来より用いられてきたゾーンシステムにおける問題点に着目し, 空間表現技法として直交座標系でトリップ日的地点を表現するシステムを用いることで, 目的地認知モデルおよび交通機関目的地点選択モデルを構築した.モデル構築に必要な, トリップデータのコーディング, 土地利用データや交通移動抵抗データの算定には, GISや交通シミュレーションモデルを活用することで対処した.巨大となる目的地選択肢集合数は, プリズム制約等の制約条件を考慮した上でサンプリングを行い, 推定計算を行った.推定の結果, 個人は日的地点を様々な点の集合として考えている訳ではなく, 周辺地域の地点属性も加味した上で選択していること等が分かった.
  • 溝上 章志, 河内 誠
    2000 年 17 巻 p. 613-622
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    TDM施策の1つであるP&Rシステムは, 各地で導入のための試行実験が実施され, その有用性が再評価されてきている.しかし, P&Rシステムは, 端末部の自動車と幹線部の公共交通という旧来型の交通機関を効果的に組み合わせるというシステム改善にすぎず, 既存の公共交通機関に比べてそのサービス水準が飛躍的に改善されるわけではないことから, その需要予測や導入効果の評価はなかなか困難である.そのアプローチとしては, 交通ネットワーク上での交通フローだけでなく, P&R路線や駐車場位置・規模などをも検討することができるネットワーク均衡分析が有用であろう.本研究は, 複数の代表手段で構成されるMixed Modeと自動車との手段選択需要変動を考慮したネットワーク均衡モデルに基づいたP&Rシステムの需要予測手法を提案するものである.
  • ターサヅク ロンビリヤパニチ, 中村 文彦, 大蔵 泉
    2000 年 17 巻 p. 623-632
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、各バス停での乗降人数を自動集計する装置 (BDCS) を有する東京都交通局の2つのバス路線を対象として、同データを活用した何種類かのOD推計手法の精度を比較評価したものである。現在活用不十分なBDCSデータを組み入れてOD表推計手法の向上が課題である。分析の結果、過去のOD表が与件の場合は、過人推計の部分はあるが、エントロピー最大化法によるOD表更新が適用可能とわかった。過去のOD表が与件でない場合は、機会介在法が有用であることがわかった。また、BDCSや過去のOD表タ等利用可能なデータ源をより効果的に活用することで、事業者の調査計画費用の節約にも貢献することが明らかになった。また、計画サイドの制約条件や必要性の違いに基づいてOD推定手法の適用可能性を判断する基準を提案した。
  • 谷口 守, 具 国鎮, 中野 敦
    2000 年 17 巻 p. 633-639
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では、平成4年度全国パーソントリップ調査のデータ及び都市計画地図を用いて、全国の多様な住区についてその諸特性と交通特性の関連を明らかにした。その結果、分析に用いた1996の住区を最終的に交通特性の類似した29の住区群に分類し、住区整備の際に住区の特性から居住者の自動車利用状況等を明らかにできるようにした。また、住区分類の結果、1人あたりの自動車利用時間は最大で3倍程度差がある事、公共交通機関の魅力によって自動車利用に違いがある事、さらに、土地利用の純化した低層の住宅地で自動車利用が多くなる事などを明らかにした。
  • 秋田 直也, 小谷 通泰
    2000 年 17 巻 p. 641-648
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    阪神・淡路大震災では発生直後から深刻な大渋滞が発生し, 消防・救援活動や救援物資の運搬に支障をきたす結果となった.そこで本研究では, 阪神・淡路大震災発生当時に運転免許証を保有していた震災経験者を対象に, 地震発生直後3日間の行動に焦点をあてたアンケート調査を実施し, その結果をもとに以下の分析を試みた.まず, 震災発生直後3日間の主な利用交通手段と, 大渋滞の発生要因の一つとして考えられる自家用車の利用要因を明らかにする.そして, 大規模災害時の交通規制の必要性意識や, 交通規制下における自家用車の利用意向ならびに利用要因について分析する.
  • 佐藤 有希也, 内田 敬, 宮本 和明, 小野 寛明
    2000 年 17 巻 p. 649-654
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    自動車保有・利用行動を適切なものへと導く政策の必要性が高まっており, 自動車保有・利用行動に関して, 主観的要因を考慮した分析が必要とされている.本研究ば東アジアの3国において実施した主観的要因を考慮したアンケート調査をもとに, 自動車保有量・利用量モデルを構築し自動車保有・利用行動と社会意識の間の因果関係を定量的に明らかにし, 都市間の差異を示した.ケーススタディとして社会意識の変化を促す政策が行われた際の保有・利用行動が受ける影響を明らかにした.
  • 松島 格也, 小林 潔司, 小路 剛志
    2000 年 17 巻 p. 655-666
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 供給制約があるようなサービスに対する家計の予約行動をモデル化する。家計は将来時点でサービスが購入できなくなる供給側のリスクと予約をキャンセルする可能性があるという需要側のリスクを同時に考慮してサービス予約の有無を決定する.本研究では供給側のリスクが内生的に決定されるような合理的期待均衡モデルを定式化する.さらに合理的期待均衡として定式化された家計の予約行動の特性について, 数値計算を通じて分析する.
  • 大森 宣暁, 室町 泰徳, 原田 昇, 太田 勝敏
    2000 年 17 巻 p. 667-676
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    超高齢社会に向けて、高齢者の交通行動を明らかにし、政策による生活活動パターンヘの影響を的確に把握する必要がある。本稿では、一週間のアクティビティダイアリーデータを用いて、二人の活動スケジュールの時空間制約を考慮した同乗可能性、および複数日単位での外出活動のトレードオフを考慮できる代替活動パターン生成モデルをGISとリンクして、GISベースのゲーミングシミュレーションツールを開発した。このツールを用いて訪問面接調査を行うことで、従来の調査や分析手法では把握することが困難な、個々人に特有の詳細な制約条件を把握することができ、制約条件の変化による活動パターンの変更可能性に関して有益な考察ができた。
  • 日本-北米西岸貨物について
    渡部 富博, 樋口 直人, 森川 雅行
    2000 年 17 巻 p. 677-685
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本分析は, 今後の我が国の国際コンテナ港湾整備の検討に資するために, 平成10年に運輸省が実施した全国輸出入コンテナ貨物流動調査のデータをもとに, 我が国の荷主の港湾・ルート選択モデルの検討を行ったものである.
    分析では, 日本と北米西岸間のコンテナ貨物について, 輸出入別に時間価値分布を推計し, 荷主の港湾・ルート選択を国内・海外のフィーダー輸送を含めて検討できる犠牲量モデルを検討した.
    これらの検討により, 我が国の中枢・中核国際港湾における北米西岸航路の本船寄港便数や本船積卸貨物量, 大阪湾・東京湾との内航フィーダー輸送の状況, 釜山港との海外フィーダー輸送の状況などを説明するモデルが構築できた.
  • 渡辺 研也, 徳永 幸之
    2000 年 17 巻 p. 687-692
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    物流分野では交通渋滞や大気汚染といった様々な問題を抱えている.これらの問題を解決するためにも効率的な物流システムを構築することが求められている.適切な物流施設の配置はその効率化の方法の一つである.本研究では外部性を考慮した物流施設の配置問題について最適化による配置モデルを構築した.仮想都市におけるシミュレーションの結果, 外部性が発生していることが明らかになった.
  • 石黒 一彦, 桜田 崇治, 稲村 肇
    2000 年 17 巻 p. 693-700
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は物資流動量の変化に伴う規模の経済性を明示的に組み込んだ広域物流拠点配置モデルを構築した. 目的関数は総輸送費用最小化であり, 拠点施設整備規模増加および拠点取扱量増加に伴って限界費用が逓減する定式化となっている. 数値シミュレーションとして, 東日本の現在の幹線道路ネットワークに現実の貨物ODを分割配分法により配分した. その結果, 現実的な時間で十分信用に足る結果を得ることができた. 物流拠点は自地域および周辺地域の発生集中量により, 自立型, 周辺依存型, 孤立型に分類されることが確認でき, また最適規模の施設整備を行うことにより, 大幅に総輸送費用を削減することが可能であることを示した.
  • 高羽 俊光, 秋山 孝正
    2000 年 17 巻 p. 701-708
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    都市交通政策の影響評価に際して、個人単位の交通現象解析が必要となっている。本研究では、ソフトコンピューティング手法を用いて1日の活動を考慮した交通行動モデルを構築する。具体的には、交通行動意思決定過程のうち目的地・交通手段選択モデルを作成した。すなわち中京圏PT調査結果を用いて、ファジィ制約を用いた目的地選択モデルとロジットモデルを結合したバイブリッド型の交通手段選択モデルを提案した。各モデルにより高精度な段階的推計手順が示される。これらの検討から、人間の判断過程を明示的に表現した交通行動のモデル化手法が整理できる。
  • 小田急小田原線を対象に
    岩倉 成志, 渡辺 将一郎, 土居 厚司
    2000 年 17 巻 p. 709-714
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は、道路交通の配分予測に用いられるBPR関数を応用した都市鉄道のリンクコスト関数の構築を目的とする。小田急小田原線上り方向の急行・準急列車を対象に運行本数と駅乗降者数によって変動する各列車の表定速度を表現可能なモデルを作成した。この後、パラメータ推定の安定性、再現性、パラメータ感度等のモデル特性に関する考察を行った。
  • 御所野ニュータウンを例として
    加藤 光弘, 折田 仁典
    2000 年 17 巻 p. 715-720
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究は地方都市圏で開発が進められているニュータウンにおいて、魅力向上方策の一つとしてニュータウンと母都市間の交通アクセス向上が不可欠であるとの認識に立ち、住民の選好意識に基づき最寄り鉄道駅までの歩道及び新交通システムについて検討したものである。
    分析項目は、鉄道駅の利用実態、整備課題及びアクセス歩道整備・新交通システムの評価などである。分析には、数量化理論II類、非集計行動モデルを用いた。
    その結果ニュータウン、駅間の道路ルートの改善、特に駅周辺道路の照明、所要時間の短縮を図ることが重要であること、さらに新交通システムの検討にあっては、バスシステム、パーク&ライドを念頭に置く必要が明らかとなった。
  • 西村 悦子, 今井 昭夫
    2000 年 17 巻 p. 721-728
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、日本の港湾のハブ機能が低迷しており、この大きな要因として日本での港湾関連コストが高いことが挙げられる。そこで本研究では、港湾関連コスト低減の一方策として、内航船と外航船が同一ターミナルで荷役可能であり、各船がどのバースでも利用できる複数バースの共同利用 (マルチユーザターミナル) を提案する。このターミナルでは船の近傍に必ずしもコンテナが蔵置されるとは限らないことから、現状の荷役速度を維持できるようなトレーラーの新たな運用方法を提案した。シミュレーションを用いて現状の荷役形態と比較したところ、提案した運用方法を用いれば、投入台数を現状より1割程度減らしても現状の荷役速度が維持でき、現状での荷役形態と同じ投入台数でも2時間程度短縮できることが明らかとなった。
  • 川崎 隆広, 外井 哲志, 太田 俊昭, 山内 誉史
    2000 年 17 巻 p. 729-734
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    わが国の港湾の課題は, 荷役サービスの迅速化, 低コストという質の高いサービスを提供することができる港湾物流機能の強化, 充実であり, その解決策として, 高密度集積コンテナストックヤードが考案されている. 本研究では, このシステム導入による特定港湾の機能向上が, その港湾を取り巻くコンテナ貨物の輸送構造に与える影響を明確にし, ハブ港湾の実現を可能にするための施設整備の質と規模について分析する. そこで, 輸送費用が最小となる輸送経路や輸送方法を線形計画法を適用して求める, 品目別港湾間輸送モデルの定式化を行い, 仮想の港湾におけるコンテナ物流にこのモデルを適用し, 物流環境の改善効果を算出した.
  • ザヒール ゥディン MD., 松井 寛, 藤田 素弘
    2000 年 17 巻 p. 735-744
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    ダッカ大都市圏にはlocal, call-on, request stop, express service等様々な特徴を備えた公共交通サービスが私的セクターによって競合的に提供されているが、必ずしも利用者にとって好ましいサーピスシステムになっていない. 本研究では利用者の待ち時間を含む交通コストと運営コストの総和を最小とするような公共交通サービス、たとえば、運行間隔、停留場数、車両サイズを決定するモデルについて提案し、その感度分析について検討している.
  • 武藤 雅威, 内山 久雄
    2000 年 17 巻 p. 745-750
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    休日における幹線鉄道の旅客量はその時代の景気動向に加え、多客期の暦日並びや天候等に左右され、安定した需要を得ることが難しい。交通事業者は、機関間の競争激化により、さらなるサービス向上が要求される。本研究では、休日の幹線鉄道旅客動向、特に対自動車交通を念頭においた機関選択特性を把握するため、首都圏内居住者を対象にアンケート調査を実施した。調査結果から、人数や目的のような旅行形態による選択特性を把握し、鉄道側で有利、不利な条件を抽出した。さらに機関選択時に潜在する主観的意識要因の選択特性を把握し、非集計ロジットモヂルの構築を行い、その依存性を明らかにした。以上の分析をもとに、今後の幹線鉄道利用者拡大へ向けたサービス方策に関する方向性を提言した。
  • 大井 孝通, 高野 伸栄, 加賀屋 誠一
    2000 年 17 巻 p. 751-756
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    地方都市において路線バスは唯一の公共交通であるが、その運行状況は極めて厳しく、さらに平成13年度からの需給調整規制の廃止により、赤字路線の廃止、事業者の撤退が予想される。この際、現在のような乗車密度等の直接的利用価値だけでなく、その存在価値も考慮した路線バスの評価が行われるべきと考える。
    そこで、本研究ではCVM (Contingent Valuation Method: 仮想的市場評価法) を用いることにより、路線バスのオプション価値、非利用価値の計測を試みた。さらに、地方都市における路線バスの評価へのCVMの活用についての考察を行った。
  • 杉尾 恵太, 磯部 友彦, 竹内 伝史, 神谷 孝弘
    2000 年 17 巻 p. 757-764
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    今後のバス事業は、都市の公共輸送網全体の中で個々の路線が担うべき役割を見極め、それを実現するために必要な機能 (サービス水準等の路線の能力と沿線の集客可能性を合わせたもの) を充実していくことが重要となってくる。しかし、路線の現況を概観しても各路線がどのような役割にあるかを見出すことは困難である。そこで本研究では、路線の持つべき役割を路線機能の整備実態から客観的に分類することを目的とした。その結果、路線を6類型に分けることができ、利用実態、都市構造を路線群毎に検討することで、各路線群が持つべき具体的な役割を見いだすとともに、機能充実の方向性についても示唆した。
  • 冨田 安夫
    2000 年 17 巻 p. 765-769
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    イギリスにおける都市交通計画の考え方は, 1990年前半において, 従来のような, 自動車交通を予測して道路を供給するという考え方から, 自動車交通を予測して道路供給に見合うような交通需要に調整・管理するという考え方に転換した. 本研究では, まず, 1960年代以降のイギリス都市交通計画の変遷を振り返り, どのような歴史的経緯を経て, なぜ, 交通計画の考え方の転換が起こったのかを明らかにし, 次に, 新たな交通計画の表明である交通白書 (1998) を踏まえて, 1990年代の交通政策の特徴についての考察している. これらのイギリスの経験は, 今後のわが国の交通計画を検討する上で極めて貴重な示唆を与えるものである.
  • 山崎 基浩, 伊豆原 浩二, 秀島 栄三, 山本 幸司
    2000 年 17 巻 p. 771-777
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、行政の抱える交通課題が多様化する中で、わが国の地方都市においては、交通問題を解決し、交通計画上の目標を達成するためにさまざまな交通施策の展開がなされているが、実施の可否には都市の規模、財政状況、既存の交通施設の整備状況などの都市特性条件が関わっていると考えられた。そこで本稿では、「わが国の地方都市において実施された交通施策は、ある都市特性条件を満たした上で実施されている」という考え方を分析の前提とした上で、地方都市における交通施策の実施状況と都市特性の関連を導き出し、交通施策実施のための都市特性条件を、多変量解析により分類した施策実施パターンの類型ごとに整理した。
  • 西田 悟史, 山本 俊行, 藤井 聡, 北村 隆一
    2000 年 17 巻 p. 779-787
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    将来交通需要予測に非集計交通行動分析手法を適用する場合には, 将来時点の非集計世帯属性データを用意する必要がある. 本研究では, 現在時点の非集計データを基に, 現在時点の複数の周辺分布に合わせた拡大係数を算出し, その上で個々の世帯の属性変化をシミュレートするシステムを構築した. 構築したシステムを大阪市の将来予測に適用した結果, 構築したシステムと従来の拡大係数では現在時点のトリップ数や自動車保有台数の分布が異なること, 1990年のデータを基に1995年度を予測対象年とした場合に実績値をおおよそ再現出来ていること, 2020年では人口予測値の分布に最頻値付近での集中が見られる等の知見を得た.
  • 阿部 宏史, 粟井 睦夫, 山根 浩三, 藤井 真紀子
    2000 年 17 巻 p. 789-795
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, わが国の地方圏の中で有数の自転車利用都市である岡山市を対象として, 都市交通の現状と自転車利用の実態を分析するとともに, 住民アンケート調査を通じて, 自転車道整備に対する住民意識, 並びに都心部における自転車利用環境の改善が通勤交通手段に及ぼす影響を検討した。分析の結果, 岡山市では単一交通手段のみを利用する通勤者が多く, 自転車が通勤交通の主要手段として利用されていることから, 通勤時の自動車交通削減には自転車利用の促進が大きな意義を持つこと, 都心部における自転車利用環境の整備は, 所要時間が15分以内の短距離通勤の自動車利用削減に有効であること等が明らかになった。
  • 橋本 成仁, 坂本 邦宏, 高宮 進, 久保田 尚
    2000 年 17 巻 p. 797-804
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    新たな面的な交通静穏化対策である「コミュニティ・ゾーン形成事業」の安全性と生活環境の向上に関して三鷹市コミュニティ・ゾーンを題材として詳細な交通事故データ分析や自動車走行速度の事前事後調査、当地区の居住者に対するアンケート調査形式の供用後調査などを行うことにより、評価・問題点の抽出を行った。
    その結果、当地区は交通事故の削減は進んでいるものの、住民がそれを実感できる安心感を醸し出すまでには達していないことが判明した。また、自転車・二輪車交通への対応、狭幅員の道路への整備手法の必要性など、今後、既存住宅地においてこのような事業を進める際に他の地区でも課題となるであろう問題点を抽出した。
  • 外井 哲志, 坂本 紘二
    2000 年 17 巻 p. 805-810
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    著者らは、福岡県浮羽郡田主丸町で実施した散歩行動調査データに基づいて、これまでに、散歩行動に関する意識データに基づいた散歩行動のパターン化、散歩経路として好まれる道路特性の抽出、散歩経路の形態の分析を行い、散歩行動の全体像を明らかにしてきた。本研究では、これらの研究に引き続いて、散歩経路の予測モデルの構築を目標とし、散歩経路の選択問題を散歩経路の快適性の観点から線形計画法問題として定式化した。次に、この数理問題を解くことによって各道路特性の定量的評価値 (解) を求め、複数のタイプの解が存在することを示した。さらに、これらを用いて散歩経路の再現性の検討を行った。
  • 南 正昭
    2000 年 17 巻 p. 811-818
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    近年、高度経済成長期を通じて急速に整備拡充された交通網が、通行の安全と安心を欠くという深刻な事態を招くおそれがでてきている。本研究では、実際に入手可能な道路網災害の発生の可能性を表すデータとして、道路防災総点検による災害点検箇所の調査結果から得られる評点ならびに概算防災対策工費を用い、防災性を条する道路網計画を立案する上での一つの評価技法を提案した。
    山口県の緊急輸送道路網を対象に、道路網における代替ルートの存在を考慮し、都市間を連結する各経路について道路災害の危険度評点ならびに概算対策工費を算出した。また道路防災対策に要する費用と効果の関係を算出する手順を示し適用事例を提示した。
  • 堀切 真美, 小谷 通泰
    2000 年 17 巻 p. 819-826
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    阪神・淡路大震災では、電気・水道・ガスなどのライフラインの遮断とともに12万3千棟にもおよぶ建物が倒壊し、多数の住民が避難生活を余儀なくされた。これより、発災直後ならびにその後の長期間にわたる住民の遭灘行動を適切に撰することは震災後の被災住民の避難に関わる緊急対応策や復旧・復興計画を立てる上できわめて重要といえる。そこで本研究では、筆者らが行った2つの意識調査結果をもとに、発災値後および恒久住宅に居住するまでのそれぞれについて、避難行動の発生モデルを構築するとともに、住民の避難行動の実態を明らかにする。
  • 日野 智, 岸 邦宏, 佐藤 馨一, 千葉 博正
    2000 年 17 巻 p. 827-834
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    整備新幹線である東北新幹線盛岡-新青森間が開通した後、並行在来線である東北本線盛岡-青森間は第三セクターとへ経営が移管される。しかし、同区間は北海道と本州とを結ぶ鉄道貨物列車の主要経路であるため、第三セクター化後の鉄道貨物輸送存続が懸念されている。そこで、本研究は鉄道貨物の必要性を示し、代替経路や代替機関による輸送についても検討する。結果として、東北本線経由の鉄道貨物輸送は大きな役割を果たしており、鉄道貨物を存続させた方が関係主体合計の負担は少ないことが明らかとなった。
  • 花岡 伸也, 石黒 一彦, 菊地 竜也, 稲村 肇
    2000 年 17 巻 p. 835-840
    発行日: 2000/09/30
    公開日: 2010/06/04
    ジャーナル フリー
    本研究では, 荷主の地方港湾の利用を促進し, かつ全国的に効率的な港湾整備計画・制度を策定することを目標として, 調査するべき主要な課題の一つである荷主の港湾選択行動要因を, 国際コンテナ貨物を取り扱う荷主を対象として分析した. まずヒアリング調査に基づき, 荷主の港湾選択要因を港湾特性, 貨物特性, 荷主特性の3つの特性に分類した. 次に従来研究で考慮されてこなかった「(商社が介在するか否かの場合の) 業種別の貨物流動」に視点を当て, 統計データの分析およびロジットモデルによる比較分析を行った. 分析の結果, 荷主の港湾選択行動が貨物流動の業種別に異なることを明らかにした. また, 港湾選択行動を的確に把握するためのデータ整備上の問題について考察した.
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