プロバイオティクスとしての利用を目的に,
Butyrivibrio fibrisolvens(酪酸生成菌)をイヌの腸管内に導入した場合に,プレバイオティクスとしてどのような多糖類が有効かについて
in vitro試験で調べた。代表的な多糖類の利用性は供試菌株(MDT-1, A38, 19171, OB156,および51255株)により異なっていた。難消化性デンプンは,MDT-1株以外の4菌株に利用され,ペクチンは全供試菌株に利用された。ヘミセルロースであるイヌリンとキシランはOB156株以外の4菌株に利用された。イヌの糞中混合微生物培養系に上記の各菌株を添加したところ,特にMDT-1株を添加した場合に,ヘミセルロース(特にキシラン)の利用量が大きく増加した。また,総菌数に対する
B.fibrisolvensの菌数の割合が増加し,酪酸生成も増加した。更に,オートクレープした糞をエネルギー源とする培地にキシランを加えたところ,
B.fibrisolvens,特にMDT-1株による酪酸生成が大きく増加した。それ故,MDT-1株をプロバイオティクスとしてイヌの腸管内に導入する場合には,キシランを含む食餌を給餌すれば,大腸内のMDT-1株の数を大きく増加させ,酪酸生成を増加させることができるであろう。
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