ペット栄養学会誌
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10 巻, Supplement 号
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  • 山口 貴大, 尾方 努, 高崎 暁子, 本田 千恵, 小牧 弘
    2007 年 10 巻 Supplement 号 p. 1-2
    発行日: 2007/07/11
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    ペット用ミニ豚においては緩やかに成長させ長生きさせる不断給餌用飼料を作成する必要があるが,エネルギー要求量についての報告は少ない。[1]代謝エネルギー(ME)は従来,飼料の総エネルギー(GE)から糞中GEと尿中GEを減じて求めているが,尿中GEの測定には時間と経費がかかり困難なため,MEの簡易測定法が望まれている。そこで本研究では尿中の窒素(N)量に着目し,従来の方法で求めたMEnと,尿中CP%と尿中GE(kcal/kg)との相関を明らかにし,その回帰式を用いた代謝エネルギーの簡易測定法について統計的解析を実施し,ME算出式[2-3]の報告と比較検討をした。方法:ポットベリー種と白毛色ミニ豚のF1雌9頭を各試験区に3頭を配し,生後5ヶ月齢~10ヶ月齢までの5ヶ月間飼育試験を行った。尿中GEは尿サンプルを濃縮及び凍結乾燥処理した後,真空式断熱熱量計を用いて測定した。尿中CPはケルダール法で求めた。結果:MEn=0.9219×[DE-(0.9471×尿中CPg+68.63)-41.434 (P<0.01),MEn=1.1467×[DE-(0.4138×飼料中CPg+42.304)-512.35 (P<0.01)の2つの式を明らかにした。以上,ミニ豚におけるMEnの算出法として有効と認めた。
  • 杉江 直美, 大貫 由香子, 尾方 努, 高崎 暁子, 本田 千恵, 武田 梓, 間野 伸宏, 廣瀬 一美, 小牧 弘
    2007 年 10 巻 Supplement 号 p. 3-4
    発行日: 2007/07/11
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    消化試験方法のIndex法は,先人が明らかにした全糞採取法の簡易法としてIndex法の算出式を示唆したが,時間経過と共に原理や条件を理解しないまま利用しているが,今や解説した報告が見あたらない。そこで本実験では原理を解明し,その条件,問題点等を明らかにし,餌のIndex量が全て糞中に排泄された場合(回収率100%)に従来のIndex法の式が対応できるが,Indexの回収率が100%でない場合には従来の式では対応できないことを示唆した。また,回収率の算出方法について検討し,餌・糞量は最初の月の量を用い,Index%は各月の分析値を用いて各々の月の回収率を求めて,消化率を算出した。Index法の消化率はIndexの糞への回収率が100%でない場合には全糞採取法の消化率と有意に異なることを示唆した。また,(18)式は,全糞採取法の消化率と近似な値が得られることを示唆した。
  • 江利川 智己, 村松 仁, 武石 勝, 高橋 康久, 黒澤 亮, 池田 周平, 渋井 仁志, 祐森 誠司
    2007 年 10 巻 Supplement 号 p. 5-6
    発行日: 2007/07/11
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    :各期のウサギのアミノ酸要求量を推定するため,今回は成長期のウサギにおける血漿中の濃度変化を指標とした検討を行った。2ヵ月齢のウサギに対し,CP12, 16及び20%の各CPについてリジンとバリン設定値が相補的に5水準となるように調製した試験飼料を各4日間給与し,血漿中のアミノ酸濃度等の変化について検討した。その結果,CPが12, 16, 20%の場合,リジン要求量は0.57,0.62, 0.66mg/日,バリン要求量は0.48, 0.52, 0.63mg/日と推定された。
  • 村松 仁, 武石 勝, 岩山 敬太, 黒澤 亮, 池田 周平, 渋井 仁志, 祐森 誠司
    2007 年 10 巻 Supplement 号 p. 7-8
    発行日: 2007/07/11
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    1977年のNRCの飼養標準以来,ウサギの飼養標準に関する報告はない。本試験ではウサギのアミノ酸要求量を求める上での基礎知見として,飼料中のCP含量が成長とエネルギー摂取量に及ぼす影響について検討した。2ヵ月齢のウサギを供試して,平均体重が等しくなるようにCP量を12%, 16%, 20%, ME285kcal/100gに調製した飼料を給与する3区に配分した。飼育期間を23日間とし,最後の3日間に全糞採取法による消化試験を行った。区間に増体量,飼料効率,CPの真の消化率において有意な差はみられなかった。また,エネルギー摂取量において16%区,20%区が,12%区に比べ高い値が認められ,幼兎の成長の成長にはCP16%,摂取エネルギー355kcal/日以下と推察された。粗繊維の消化率は16.3から22.4%で変動が大きかった。
  • 五十嵐 悠, 高田 知永子, 茅沼 秀樹, 金子 政弘, 入来 常徳, 菅沼 常徳, 朝見 恭裕, 舟場 正幸
    2007 年 10 巻 Supplement 号 p. 9-10
    発行日: 2007/07/11
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    Mg,CaおよびP含量の高いドライフードを成雄ネコに給与した時の尿路結石の形成を調べた。6ヶ月間,上記フードを給与しても尿路結石は認められなかった。その後,ミネラル含量ならびにbase excess値が低いドライフードを給与すると尿沈渣量ならびにストルバイト結晶数が顕著に減少した。したがって,フードのミネラル含量は尿沈渣量やストルバイト結晶の形成には影響を及ぼすものの,尿路結石形成の十分条件ではないと判断された。
  • 大川 勝正, 望月 一男, 志田 英士, 鈴木 敏博, 鈴木 敏博, 保苅 義則, 大場 知子, 松本 透, 橋詰 昌幸, 横越 英彦
    2007 年 10 巻 Supplement 号 p. 11-12
    発行日: 2007/07/11
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    イヌやネコにおける攻撃行動などの問題行動予防等を目的として,カツオ(Katsuwonus pelamis)の卵巣から抽出した油脂(OLS)を摂取したラットの抗不安水準を,高架式十字迷路試験により評価した。OLSを投与したラットのオープンアーム滞在時間は,コントロールよりも有意に長く,ジアゼパム(1.0mg/kg体重)投与ラットに比べて短かった。その他の指標に関する知見などから,OLSは,ジアゼパムほど顕著ではないが,継続的に摂取することで動物に抗不安性を付与するものであることがわかった。
  • 蕪木 祐介, 山根 春香, 濱洲 紘介, 古瀬 充宏
    2007 年 10 巻 Supplement 号 p. 13-14
    発行日: 2007/07/11
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    ドワーフハムスターであるジャンガリアンハムスターとロボロフスキーハムスターの行動量は大きく異なる。ロボロフスキーハムスターは多動性でありペットとして扱いにくいことも知られている。本研究では,2種のドワーフハムスターの行動量の違いが脳内モノアミン濃度の違いで説明できるか否かを検証した。ホームケージでの自発運動量に2種間の違いは見られなかったが,オープンフィールド試験を行ったところ,ジャンガリアンハムスターに比べ,ロボロフスキーハムスターの行動量は有意に高かった。ジャンガリアンハムスターと比べ,ロボロフスキーハムスターのドーパミンおよびセロトニン濃度は低い値を示し,両モノアミンの代謝回転率は速いことが判明した。以上の結果から,ロボロフスキーハムスターの多動行動は,脳内ドーパミンとセロトニンの量と代謝の違いで一部説明できることが判明した。
  • 津山 翔一郎, 及川 大地, 山崎 康子, 高木 小百合, 古瀬 充宏
    2007 年 10 巻 Supplement 号 p. 15-16
    発行日: 2007/07/11
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    アラキドン酸の摂取がマウス脳内の内因性カンナビノイドの産生に対し,遺伝子レベルで影響を与えるか否かを検討した。はじめに内因性カンナビノイドの構成要素の一部であるアラキドン酸をマウスに1週間摂取させた,屠殺後速やかに脳を採取しRNAを抽出した後,real-time PCR法を用いてカンナビノイドレセプター1(CB1),内因性カンナビノイドの合成・代謝酵素のmRNA量を測定した。結果として今回の実験条件下では,どの遺伝子の発現量にも有意な差は見られなかった。しかしながら,内因性カンナビノイドの合成に関わる酵素の遺伝子発現とレセプターの遺伝子発現との間には相関関係が見出された。
  • 井上 達志, 菰田 俊一
    2007 年 10 巻 Supplement 号 p. 17-18
    発行日: 2007/07/11
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    米国でメラミンおよびシアヌル酸に汚染されたペットフードが大量に流通していたことから,日本国内に流通市販されているペットフードを対象にメラミンおよび関連物質について定量分析した。対象とした45点のうち,米国より並行輸入されたと推測されるウェットタイプのドッグフード2点にメラミンが検出されたが,その関連物質はいずれも検出されなかった。メラミンに汚染されたペットフードが国内でも流通販売され,本国でのリコール後も回収されていなかったことが明らかとなった。
  • 久世 尚大, 志賀 勇介, 橋本 幸太郎, 岸 昌生, 矢野 史子
    2007 年 10 巻 Supplement 号 p. 19-20
    発行日: 2007/07/11
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    n-3系不飽和脂肪酸であるα-リノレン酸の長期給与が,血中脂質に及ぼす影響をミニブタで検討した。なおα-リノレン酸はアマニ油カルシウム塩として給与し,対照区には大豆油カルシウム塩を用いた。アマニ油カルシウム塩の給与で,食後の中性脂肪の上昇開始がやや遅くなり,HDL-コレステロールの有意な上昇と,non-HDLコレステロールの低下が見られた。このことからα-リノレン酸の長期給与は,ミニブタで脂質代謝を改善することが推察された。
  • 大町 麻子, 石岡 克己, 寺尾 晶, 木村 和弘
    2007 年 10 巻 Supplement 号 p. 21-22
    発行日: 2007/07/11
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    肥満した7頭のビーグル犬(平均体重20.7±1.3kg、体脂肪率34.2±3.1%)において24時間絶食時の血中グルコースおよびインスリン濃度は各々96.5±1.1mg/dLと1.24±0.52ng/mLであった。これらの犬を4ヵ月の食事制限により減量させると体重は17.0±0.9kg、体脂肪は23.7±2.1%と減少した。この時グルコース濃度は変化しなかったが、インスリン濃度は0.55±0.26ng/mLに減少した。減量群は肥満群に比ベインスリン感受性が改善されており、エネルギー摂取量の抑制で肥満度の低下と病態の改善が可能であることが示された。
  • 日高 勇一, 石川 憲一, 後藤 美文, 篠原 秀作, 鈴木 智博, 堀脇 浩二, 萩尾 光美
    2007 年 10 巻 Supplement 号 p. 23-24
    発行日: 2007/07/11
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    本研究では椎間板疾患(IDD)や心内膜症(Ec)を多発する犬種(小型犬)に注目して血中ビタミンC(VC)濃度の測定を行った。臨床的に健康とみなされた小型犬のVC濃度は平均3.86±1.84μg/ml(n=11)であった。一方,IDD例およびEcに起因すると思われる僧帽弁閉鎖不全(MR)例における血中VC濃度の平均は,それぞれ3.0±0.67μg/ml(n=5),3.77±1.9μg/ml(n=6)であり,健康犬との間に差はみられなかった。しかし,5歳以下の健康犬におけるVC濃度は加齢とともに減少し,年齢とVC濃度の間に相関がみられた
  • 藤原 めぐみ, 大塚 浩通, 近藤 夏子, 堀 泰智, 金井 一享, 岡野 昇三, 上地 正実, 及川 正明
    2007 年 10 巻 Supplement 号 p. 25-26
    発行日: 2007/07/11
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    近年,肥満が原因となる糖尿病の発生が犬の生活習慣病として問題視されている。免疫細胞は様々な因子によって機能を調整されているが,インスリンは糖の取り込みを促進するホルモンであるが,Tリンパ球の反応を強め,免疫機能活性に関与していることが指摘されている。そこで加齢性変化に伴うTリンパ球のインスリンの反応性の違いを明らかにする目的で,健康な犬のリンパ球を用い,インスリン添加下でのリンパ球幼若化反応およびreal time PCR法によるIL-2,IL-4,IL-10,IFNYmRNAの発現量を解析・比較した。試験対象にはビーグル犬を用い,1から3歳までを1群,4から7歳までを2群,8歳から12歳までを3群として,コンカナバリンA(ConA)によってリンパ球を刺激培養した。全ての群で,インスリン加ConA培養におけるリンパ球のIL-2,IL-4,IFNYmRNA発現量はConA単独に比べ高かったものの,IL-10mRNA発現量は低下した。また,3群のインスリン添加によるIL-2およびIL-4mRNA発現量は,1群および2群に比べ低かった。このことから健康な犬では加齢にともない,インスリン刺激によるT細胞のサイトカイン産生が低下するものと考えられた
  • 永延 清和, 角谷 玲雄, 中原 桂子, 村上 昇
    2007 年 10 巻 Supplement 号 p. 27-28
    発行日: 2007/07/11
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    グレリンはペプチドホルモンで,成長ホルモン分泌刺激,摂食促進,乳汁分泌促進,胃酸分泌促進などの様々な作用を有することが報告されている。現在我々は犬猫におけるグレリンの臨床応用の可能性を検討している。ラット,人,兎では外因性グレリン投与により動脈圧が軽度低下する場合があることが示されている。そこで今回,犬で食欲増進作用が報告されている用量を用いて,グレリン投与後の動脈圧などの変化を全身麻酔した犬で検討した。生理食塩水,グレリン20μg/kg,グレリン40μg/kgそれぞれの静脈内投与後の動脈圧,心拍数,血液ガス分析の各項目は,全てにおいて3群間に有意な差はなかった。また,不整脈も認められなかった。したがって,イソフルランで全身麻酔した犬においては,食欲増進作用を示す用量のグレリン(静脈内投与)では重大な動脈圧低下や呼吸抑制は生じないと考えられた。
  • 2007 年 10 巻 Supplement 号 p. 29-38
    発行日: 2007/07/11
    公開日: 2012/09/24
    ジャーナル フリー
    多くの場合,子猫と成猫の両者における慢性下痢は,不満と挫折感を覚える臨床状態である。動物保護施設にいる子猫では,下痢は上部呼吸器疾患に次いで二番目によくみられる疾患として,獣医師は注意しなければならない。成猫における下痢の原因は,多くの場合,子猫の下痢とは異なり,炎症性腸疾患(IBD)ならびに食物アレルギーが一般的であるが,ストレスのたまる問題であることには変わりが無い。本稿では,成猫と子猫の一般的な原因のいくつかについて論ずるとともに,最もよい下痢の診断と治療について説明する。そして,猫の下痢の管理における食餌療法の役割についても論ずる。
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