ペット栄養学会誌
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16 巻, 1 号
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原著論文
  • 神田 鉄平, 前田 憲孝, 井口 亜弥乃, 柴田 和紀, 野村 千晴, 山本 達也, 村尾 信義, 加計 悟, 古本 佳代, 古川 敏紀
    2013 年 16 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2013/04/10
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    肥満はイヌやネコにおいて一般的な健康問題のひとつである。肥満を予防、あるいはコントロールするには、体脂肪の評価を正しく行うことが必須となる。しかしながら、これまで広く用いられているBCS評価法は、観察と触感のみに基づき主観的になりがちである。そこで、BCSによる体脂肪の評価が客観性を担保した適切な方法であるかを確認すべく、我々はイヌにおけるCT撮影によって得られた体脂肪評価とBCSによる評価に相関が認められるかを検討した。実験には体重が2.6から29.3 kgまでの8犬種15頭のイヌを用いた。「アメリカ動物病院協会 栄養評価 犬・猫に関するガイドライン」に従い、9および5段階によるBCS評価(9段階BCS、5段階BCS)を行い、CT撮影により得られたL3およびL5レベルの断層画像から-135/-105HUの範囲を脂肪組織とみなした。体脂肪面積/体幹面積比はL5レベルにおいて、9段階BCSと中等度の相関を示した。また、9段階BCSはL5レベルでは、腹腔脂肪面積/体幹面積比とも中等度の相関を示した。つまり、イヌにおいて9段階BCSはCT撮影により得られた体脂肪評価との相関を示す結果となった。本研究結果は、BCS9がイヌの体脂肪評価法方法として比較的客観的であり、かつ適切であることを支持するものである。
  • 金井 将昭, 富崎 由佳理, 田村 愛, 中村 敏一, 船越 洋
    2013 年 16 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2013/04/10
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    近年、人獣医療ともに異常行動を含めた精神疾患が増加し、診断・治療法の確立が重要である。一方で、健全な精神発達に栄養が重要である事から、トリプトファン (Trp) 代謝系の高次脳機能に対する役割が注目されている。本研究では、Trp代謝の中心酵素Tryptophan 2,3-dioxygenase (TDO) の翻訳領域に注目し、行動パターンの異なる2系統のマウスの一塩基多型 (SNPs) を解析した。その結果、C57BL/6JとBALB/cマウス間に3種類のSNPsを同定し、その一つであるG87T変異はミスセンス変異であった。しかし、両マウス間で血漿Trp値、肝臓のTDO発現量や酵素活性に差がない事から、この変異による生理的な肝臓TDO機能の修飾は少ない事が示唆された。今後、tdo遺伝子非翻訳領域の修飾や環境因子によるTDO機能の修飾を解析する事が、精神発達の分子機序の解明に繋がる事が期待された。
  • 寺地 智弘, 西浦 誠, 舟場 正幸, 松井 徹
    2013 年 16 巻 1 号 p. 13-17
    発行日: 2013/04/10
    公開日: 2013/05/17
    ジャーナル フリー
    ICP-MSの半定量測定モードを用いて、20種類の市販キャットフード(ドライフード:10、ウェットフード:10)の有害金属類の同時分析を試みた。健康被害リスクがあるとされる元素の内、Li·B·Al·Ti·V·Cr·Mn·Fe·Co·Ni·Cu·Zn·Ge·As·Se·Rb·Sr·Mo·Ag·Cd·Sn·Sb·Ba·W·Hg·Pb·Biの27元素を対象に、添加回収率、変動係数 (CV)、また、定量測定値との回帰を検討したところ、Li·Al·V·Mn·Co·Cu·As·Se·Rb·Sr·Mo·Cd·Sn·Hg·Pbの15元素で、ドライフード、ウェットフードともに、添加回収率が70%~120%、CVが10%以下であり、定量分析値に対する強い回帰 (r2>0.9) が認められた。また、B·Ti·Fe·Zn·Sb·Baの6元素は、添加回収率が70%以下あるいは120%以上であったものの、定量分析値に対する強い回帰が認められた。Cr·Ni·Geの3元素は、定量性は低い、あるいはキャットフードからはほとんど検出されなかったものの、National Research Council (NRC) の定める、げっ歯類における最大耐容量を添加したところ、添加回収率は82~120%であり、検出可能であった。ICP-MSを用いた半定量分析は、多様な有害金属類によるペットフード汚染を防止する上で有効なスクリーニング手法となりうる可能性が示された。
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