ペット栄養学会誌
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18 巻, Suppl 号
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日本ペット栄養学会 第17回大会
特別講演
シンポジウム「高脂血症に伴う疾患の食事管理」
一般演題
  • 帰山 世理, 野口 洋子, 塚田 桂太, 大石 亮, 東 玲利, 金子 政弘
    2015 年 18 巻 Suppl 号 p. suppl_21-suppl_22
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)などのオメガ3脂肪酸は動物の健康にとって有益な機能性を有する。本研究では各種オメガ3脂肪酸含有量が異なる3種類のフードをイヌおよびネコに給与し、血中オメガ3脂肪酸濃度への影響について検討した。その結果、以下のことが示された。
    ●フード中のオメガ3脂肪酸含有量が血中オメガ3脂肪酸濃度に反映される傾向が示された。
    ●生体内でEPAへの変換が期待されたフード中のα-リノレン酸は、血中α-リノレン酸濃度を上昇させたが、一方で血中EPA濃度への影響が小さいことが明らかとなった。
  • 平松 朋子, 後藤 杏依, 小田 民美, 森 昭博, 左向 敏紀
    2016 年 18 巻 Suppl 号 p. suppl_23-suppl_24
    発行日: 2016/06/30
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    健常犬に対し、桑の葉を0.5 g/頭(DNJ:0.97 mg/頭)添加したフードを実験1では4週間、実験2では8週間給与し、脂質代謝に与える影響を検討した。実験1では4週間後、桑の葉無給与群と比較して給与群で体重、腹囲周囲径の増加がわずかに抑えられ、体脂肪率も減少傾向を示し、桑の葉は肥満を予防する可能性が示唆された。しかし、個体によって変動の幅が大きく異なった。実験2では実験1の無給与群を引き続き使用し、目標体重に合わせて維持カロリー量を設定し桑の葉を給与した。8週間後、体重、体脂肪率、腹囲周囲径の3項目ともに減少傾向を示し、桑の葉の給与により減量に繋がることが示唆された。さらに、桑の葉の給与を中止すると、体脂肪率が増加傾向を示したことから、桑の葉は体脂肪の分解に関与したと考えられる。
  • 小野沢 栄里, 生野 佐織, 平松 朋子, 小田 民美, 森昭博 , 呰上 大吾, 左向 敏紀
    2015 年 18 巻 Suppl 号 p. suppl_25-suppl_26
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    担癌犬と健常犬の血漿アミノ酸濃度の比較および化学療法前後における血漿アミノ酸濃度の変化を検討した。移行上皮癌を罹患した犬は Proline、3-Methylhistidine、1-Methylhistidine、Carnosine、Tryptophan、芳香族アミノ酸において有意に高値を示し、 Ficher比は有意に低下した。化学療法前後における血漿アミノ酸濃度の比較を行ったところ、治療開始1週間後においてGlutamine、Proline、Alanineは顕著に上昇していた。1回目の投与開始から3週間後の血漿アミノ酸濃度はコントロール犬よりも低値を示したアミノ酸が多かった。さらに投与開始6週間後の血漿アミノ酸濃度は3週間後のアミノ酸濃度より上昇し、健常犬のアミノ酸濃度に近づいた。以上より、担癌犬において治療効果判定の指標およびアミノ酸を用いた栄養学的介入の可能性が示唆された。
  • 清水 いと世, 舟場 正幸, 松井 徹
    2015 年 18 巻 Suppl 号 p. suppl_27-suppl_28
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    イヌが食物アレルギー疾患などのために手作り食を必要とする場合や、飼い主が手作り食を希望する場合がある。しかし、市販ドッグフードの品質基準であるAAFCO養分基準を満たすように手作り食を作成するのは難しい。本試験では、入手が容易な食材を用い、維持期用のAAFCO養分基準を満たし、なおかつ煩雑さが少なく獣医師が指導しやすい手作り食レシピの設計法を考案した。精肉類などのタンパク質源と白米などの糖質源を1:1としたものを基本食とした。次いで、基本食では不足する栄養素を補うため、補助食を設計した。さらに不足するビタミンとミネラル補給のためサプリメントを用いた。また、Ca源として鶏ガラの利用を試みた。入手が容易な食材を用いた手作り食では、サプリメントの使用が不可避であった。鶏ガラはCa源として有用であり、調理を工夫すれば危険なく利用できると考えられた。
  • 石川 翔, 有原 圭三, 大畑 素子
    2015 年 18 巻 Suppl 号 p. suppl_29-suppl_30
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    ペットフードの製造過程では、アミノ酸などのアミノ化合物と還元糖が加熱されることによりメイラード反応が生じる。メイラード反応生成物には、嗜好性や保健的機能性に影響を及ぼす成分が含まれている。本研究では、各種アミノ酸由来のメイラード反応生成物の抗酸化活性を測定した結果、アルギニンとグルコースを加熱し調製したメイラード反応生成物で高い抗酸化活性が認められた。また、アルギニン由来のメイラード反応生成物の嗜好性を検討するため、犬を用いた嗜好性試験を行った。メイラード反応生成物および未反応物を犬に提示した結果、メイラード反応物が好まれる傾向にあった。また、メイラード反応生成物を添加したフードと未添加のフードを提示した結果、両者の選択頭数に大きな差は見られなかった。アルギニン由来のメイラード反応生成物は、ペットフードへの抗酸化作用付与や、療法食等の嗜好性向上などに利用できるものと考えられる。
  • 小泉 亜希子, 野田 美由紀, 下川 千絵, 久須美 明子, 小林 豊和, 亘 敏弘, 大辻 一也
    2015 年 18 巻 Suppl 号 p. suppl_31-suppl_32
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    ボディコンディションスコア(BCS)は栄養診断法として臨床で最もよく使われる方法の一つである。しかし、BCSは官能検査であるため、診断者によるばらつきが大きい。そこで我々はBCS触診モデルを作成し、BCS診断時に使用することで、診断のばらつきが減少することを明らかにした。BCS診断における触診は胸部で行うことが指示されているだけで、胸部のどの部位がBCSを最もよく反映しているかについては報告がない。本研究では、適正な触診部位を特定するために超音波診断装置(エコー)を用いて、胸部左右併せて18カ所の皮下組織厚を測定した。その結果、T6肋骨の1時および11時の位置が体脂肪率の増減に伴って変化することから、触診部として適切であることが示唆された。
  • 小泉 亜希子, 津田 育美, 福原 唯, 山谷 千鶴, 大野 耕一, 辻本 元, 大辻 一也
    2015 年 18 巻 Suppl 号 p. suppl_33-suppl_34
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    マッスルコンディションスコア(MCS)開発を検討している。今回はモデルの設計に必要な基礎データを取集した。アメリカ動物病院協会(AAHA)の指定する5ヵ所の触診部を触診するとともに、触知を数値化するために触診部の筋硬度を測定した。その結果、MCSと筋硬度は強い相関関係を示した。MCSが筋肉量を反映しているか否かを確認するために、 MCSと血清クレアチニン濃度との相関関係を調べた。その結果、MCSと血清クレアチニン濃度の間に相関関係が認められた。
  • 池田 裕美, 長澤 麻央, 山口 剛史, 南中 希美絵, 五田 亮世, Chowdhury, V.S., 安尾 しのぶ, 古瀬 充宏
    2015 年 18 巻 Suppl 号 p. suppl_35-suppl_36
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    ジャンガリアンハムスターとロボロフスキーハムスターは同属でありながら、ロボロフスキーハムスターはヒトに慣れにくく多動性を示す。慣れにくさは記憶・学習機能に影響されると考え、多動性と記憶・学習機能の関連性を検討するために3種類の行動試験を実施した。その結果、ロボロフスキーハムスターの自発運動量は高く、学習機能は劣ることが示唆された。その原因として、小脳におけるL-セリン含量の低さと、海馬におけるD-セリン含量の低さが影響しているものと考えられた。脳のモノアミン含量の結果においては、先行研究との間に矛盾が認められ、モノアミンのみではなくアミノ酸の変化も多動性と学習機能に影響を及ぼす可能性が示唆された。
  • 宮島 芙美佳, 丸山 夏輝, 細田 祥加, 小野沢 栄里, 生野 佐織, 平松 朋子, 小田 民美, 森 昭博, 左向 敏紀
    2015 年 18 巻 Suppl 号 p. suppl_37-suppl_38
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    ペットにおいて一般的な疾患である歯周病は、進行すると口腔の痛みや機能障害を引き起こし、食物摂取や栄養管理において障害になる。しかし、犬の経時的な歯周病の進行と、歯周病原菌数との関連性は明らかになっていない。そこで、本研究では、全身麻酔下にて歯石除去処置を行い口腔内を清浄化した健常犬に対して、歯周溝深度測定、歯肉の外観的評価、また口腔内細菌数の測定を1ヶ月おきに6ヶ月間実施し、歯周病の進行とRT-PCR法を用いた歯周病原菌数の関連性を調べた。歯石付着スコアと細菌DNAコピー数の関連性を検討した結果、P. gulaeT. forsythiaにおいて歯石付着スコアの上昇につれ有意な菌数の増加が認められた。以上より、リアルタイムPCR法による口腔内細菌の測定は、歯周病進行度の客観的マ ーカーとして用いることができると考えられた。
  • 湯川 尚一郎, 加門 由理, 木川 祐菜, 田中 蓮華, 横田 桃子, 田村 勝利, 大島 誠之助, 古川 敏紀
    2015 年 18 巻 Suppl 号 p. suppl_39-suppl_40
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    ドッグフードへのサルモネラ属菌の混入に起因する、犬糞便へのサルモネラ属菌の排出や、人へのサルモネラ感染症の多発が公衆衛生上問題視されている。米国を中心とする海外ではサルモネラ属菌のドライフードからの検出状況に関する報告が多数されているが、日本国内で製造された国産犬用ドライフードからのサルモネラ属菌の検出状況に関する報告はなされていない。筆者らは、この点に注目して独自に調査を行った結果、国産犬用ドライフード29商品については、サルモネラ属菌はまったく検出されなかった。
  • 福島 建次郎, 大野 耕一, 前田 真吾, 五十嵐 寛貴, 小田巻 俊孝, 高津 善太, 金本 英之, 辻本 元
    2015 年 18 巻 Suppl 号 p. suppl_41-suppl_43
    発行日: 2015/06/30
    公開日: 2016/04/11
    ジャーナル フリー
    近年、炎症性腸疾患(IBD)の病態や治療に関連して、腸内細菌叢や消化管粘膜の免疫寛容などに関しての関心が高まっている。しかしながら日本国内において、プロバイオテ ィクスやプレバイオティクスの投与が動物の消化管に及ぼす影響に関する基礎的な研究は限られている。本研究では健常犬6頭にビフィズス菌・乳酸菌製剤(ビヒラクチンDXTM)およびサイリウムを2週間投与し、投与前、投与後の腸内細菌叢および制御性T細胞(Treg)数の変化について検討した。腸内細菌叢の解析では、投与後にFirmicutes門が減少し、Fusobacterium門およびBacteroides門の菌の構成比が増加していた。また6頭中5頭で、投与後の細菌構成比が類似したパターンへと変化したことが明らかとなった。しかしながら消化管粘膜におけるTreg数については、有意な差は認められなかった。今後はTregの制御に関わるとされる短鎖脂肪酸の解析も実施し、プロバイオティクス投与にともなう健常犬の腸内環境の変化についてさらなる検討を進めていく予定である。
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